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232.最大の難題 (蒼紫・夢主)
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次に蒼紫が目を開いた時、武尊は質問攻めにあった。
「武尊、いくつか聞きたいことがあるがいいか。」
「いい・・よ。」
「仮に九条が十六夜丸を利用しようとしているとして、武尊を十六夜丸に変えるあの薬を九条は持っているのか。」
「ううん、多分持っていないと思う。あれは多分兄が管理していたから。」
そこで『実は・・』と言おうとして武尊は言葉を飲み込んだ。
『実は兄の足取りの最後が師匠の所でそこに多額のお金とその薬を置いていきました。』なんて口走った日には、自分を探しに比古のところに来た兄と自分が会っていない矛盾に蒼紫ならきっと気がつくと思ったからだ。
自分は戊辰戦争からついこの間までの間は未来に戻っていたのだからこの矛盾に気づかせてはいけないと武尊は直感した。
蒼紫は武尊の様子をずっと伺っていたがすぐにまた別の質問をし、武尊はやり過ごすことが出来たと内心ほっとした。
「・・そうか、では薬は兄が持っているのだな。」
(いいえ、師匠のとこにあります。)と思った武尊だったが、
「たぶん・・。」
と答えると蒼紫は、
「ならば奴等は兄の方も探しているはずだ。薬がないと武尊を手に入れても仕方がないからな」
と言った。
九条が蒼紫と同じように兄が薬を持っていると考えていれば蒼紫の言う事は最もである。
「じゃあ兄はすでに九条に捕まった・・?」
「その可能性はある。」
「そんな・・。」
それならばどれだけ探しても絶対見つからないはずだと武尊は思った。
それ以前にこの広い日本、捕まっていなくてもそうそう出会えるものではない・・と武尊は思ったがすぐに逆の事がひらめいた。
今まで兄について何一つ手がかりがなく探しようがないと思っていたけれども逆に九条に捕まっているのなら九条に聞けばいいのだ。
聞けばいいと言ってもこっちが捕まるわけにはいかないので九条関係のところを片っ端から探れば手がかりをつかめる可能性はずっと高い。
これでやっと、比古のもとに薬とお金を届けた後行方不明の兄に会える可能性が出てきたと武尊の胸に期待の灯火がついた。
どうやら蒼紫も武尊と同じ考えに至ったったと思われ、
「武尊の兄と名乗る男、京都にいる可能性もあるな・・。」
蒼紫がそう考えた根拠は先程の勝手場での会話からだった。
名前が九条、以前に京都に住んでいたという情報だけでその九条という男が九条道明だと完全に断定出来ないが蛇のような目に陰湿な第一印象という事を加えるとやはりあの男だという可能性は高い。
そう仮定すれば当然この京都に九条の別荘のようなものがあってもおかしくはない。
京都には千年天皇の都があったのだ。
公家なら尚更郷愁の想いがあるはずだ、金の羽振りがいい九条のことなら屋敷の一つや二つ、京都にあってもいいというのが蒼紫の考えだった。
「それって九条の屋敷にってこと・・?」
「嗚呼、東京か京都かあるいはもっと別の場所かも知れぬが、可能性が高いのは今住んでいる東京か昔居た京都だろう。」
それを聞いて武尊にはある場所がひらめいた。
もちろんそれは昨日見た周囲に全く同調しない洋館である。
そこから出てきた女は確かにあそこを九条の屋敷だと言った。
もしかしてあそこのどこかに・・と武尊が思ったのも無理はない。
「どうした。」
蒼紫の呼びかけに武尊、
「ううん、ちょっと・・。」
と困惑の表情を浮かべた。
何でもない、と言おうとして武尊は思い留まった。
あの短期間での東京での蒼紫の調査報告は素晴らしいものだった。
この時代の勝手がまだよく分からない自分が調べに行くよりすべてに置いて自分より上をいく蒼紫にお願いした方がいいのではないかと思った。
だから九条の洋館も調べて欲しいと思った。
もとより、心のどこかに蒼紫の力を借りたい・・とそう思ったからこそ葵屋に足が向いてしまった武尊である。
だが、蒼紫に力を貸して欲しいと言うに言えない武尊だった。
九条と自分の事に蒼紫を巻き込んでいいのだろうか・・と。
第一蒼紫には自分に協力したからといってなんのメリットもない。
むしろリスクの方が大きい。
(自分は最初から蒼紫に・・葵屋に関わるはずのなかった存在・・。)
その思いがフッと胸をよぎった瞬間武尊は決心した。
「武尊、いくつか聞きたいことがあるがいいか。」
「いい・・よ。」
「仮に九条が十六夜丸を利用しようとしているとして、武尊を十六夜丸に変えるあの薬を九条は持っているのか。」
「ううん、多分持っていないと思う。あれは多分兄が管理していたから。」
そこで『実は・・』と言おうとして武尊は言葉を飲み込んだ。
『実は兄の足取りの最後が師匠の所でそこに多額のお金とその薬を置いていきました。』なんて口走った日には、自分を探しに比古のところに来た兄と自分が会っていない矛盾に蒼紫ならきっと気がつくと思ったからだ。
自分は戊辰戦争からついこの間までの間は未来に戻っていたのだからこの矛盾に気づかせてはいけないと武尊は直感した。
蒼紫は武尊の様子をずっと伺っていたがすぐにまた別の質問をし、武尊はやり過ごすことが出来たと内心ほっとした。
「・・そうか、では薬は兄が持っているのだな。」
(いいえ、師匠のとこにあります。)と思った武尊だったが、
「たぶん・・。」
と答えると蒼紫は、
「ならば奴等は兄の方も探しているはずだ。薬がないと武尊を手に入れても仕方がないからな」
と言った。
九条が蒼紫と同じように兄が薬を持っていると考えていれば蒼紫の言う事は最もである。
「じゃあ兄はすでに九条に捕まった・・?」
「その可能性はある。」
「そんな・・。」
それならばどれだけ探しても絶対見つからないはずだと武尊は思った。
それ以前にこの広い日本、捕まっていなくてもそうそう出会えるものではない・・と武尊は思ったがすぐに逆の事がひらめいた。
今まで兄について何一つ手がかりがなく探しようがないと思っていたけれども逆に九条に捕まっているのなら九条に聞けばいいのだ。
聞けばいいと言ってもこっちが捕まるわけにはいかないので九条関係のところを片っ端から探れば手がかりをつかめる可能性はずっと高い。
これでやっと、比古のもとに薬とお金を届けた後行方不明の兄に会える可能性が出てきたと武尊の胸に期待の灯火がついた。
どうやら蒼紫も武尊と同じ考えに至ったったと思われ、
「武尊の兄と名乗る男、京都にいる可能性もあるな・・。」
蒼紫がそう考えた根拠は先程の勝手場での会話からだった。
名前が九条、以前に京都に住んでいたという情報だけでその九条という男が九条道明だと完全に断定出来ないが蛇のような目に陰湿な第一印象という事を加えるとやはりあの男だという可能性は高い。
そう仮定すれば当然この京都に九条の別荘のようなものがあってもおかしくはない。
京都には千年天皇の都があったのだ。
公家なら尚更郷愁の想いがあるはずだ、金の羽振りがいい九条のことなら屋敷の一つや二つ、京都にあってもいいというのが蒼紫の考えだった。
「それって九条の屋敷にってこと・・?」
「嗚呼、東京か京都かあるいはもっと別の場所かも知れぬが、可能性が高いのは今住んでいる東京か昔居た京都だろう。」
それを聞いて武尊にはある場所がひらめいた。
もちろんそれは昨日見た周囲に全く同調しない洋館である。
そこから出てきた女は確かにあそこを九条の屋敷だと言った。
もしかしてあそこのどこかに・・と武尊が思ったのも無理はない。
「どうした。」
蒼紫の呼びかけに武尊、
「ううん、ちょっと・・。」
と困惑の表情を浮かべた。
何でもない、と言おうとして武尊は思い留まった。
あの短期間での東京での蒼紫の調査報告は素晴らしいものだった。
この時代の勝手がまだよく分からない自分が調べに行くよりすべてに置いて自分より上をいく蒼紫にお願いした方がいいのではないかと思った。
だから九条の洋館も調べて欲しいと思った。
もとより、心のどこかに蒼紫の力を借りたい・・とそう思ったからこそ葵屋に足が向いてしまった武尊である。
だが、蒼紫に力を貸して欲しいと言うに言えない武尊だった。
九条と自分の事に蒼紫を巻き込んでいいのだろうか・・と。
第一蒼紫には自分に協力したからといってなんのメリットもない。
むしろリスクの方が大きい。
(自分は最初から蒼紫に・・葵屋に関わるはずのなかった存在・・。)
その思いがフッと胸をよぎった瞬間武尊は決心した。