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231.牛肉の話題は災いのもとなのか (黒・白・お近・お増・蒼紫・夢主)
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蒼紫がお茶を入れようと勝手場へ行った時、昼のまかないを作っていた黒と白と細かな手伝いをしていたお近とお増が話をしていた。
「あ、蒼紫様どうかされました?」
「茶を少しもらいにきたのだが。」
「分かりました、お部屋にお持ちいたしますので・・。」
「いや、別に構う必要はない、これくらい自分でいれる。」
お増の言葉をさえぎってスタスタと自分で準備をする蒼紫を四人は思わず注目してしまう。
「何だ、お前達。俺に構わず話を続ければよかろう。」
蒼紫は沸いたお湯で急須を温めながら四人に言った。
そうは言われても困ると思ったのは皆同じであるが、こうして黙って御頭を見ている空気も気まずいので白が先程の話の続きを始めた。
「でもなぁ・・うちは牛肉はまだ扱ったことないしなぁ。」
「確かに牛鍋は美味いと思うけどそれをうちで扱うのは他の品との兼ね合いもあるしな。」
と黒も少々難色を示しながら話しを切り出した。
その話が聞こえた蒼紫は手を動かしながらも思わず、
「何の話だ。」
と会話に加わってきた。
御頭の参戦に一同思わず息を呑んだのだがお近が、
「実は先日長州屋へ行った時の話なんですが、」
と話し始めた。
どうやらお近の話によると、先日呼ばれた長州屋での宴会席でお酌をしていた時の事で、客がその時の仕出し(黒と白が作り、長州屋へ仕出した料理)を食べながら牛肉の話になったというのだ。
お近とお増は丁度その話を黒と白にしていた所だったのだ。
すると、お増は遠慮がちに、
「蒼紫様、東京では最近皆肉を食べているって本当ですか?」
と、の間まで東京に行っていた蒼紫に聞いた。
蒼紫は、
「いや・・俺達は東京へ食道楽をしに行ったわけではない。」
と即答。
四人はやっぱりね、と予想通りの蒼紫の答えに落胆。
そして四人とも心の中で、『そう言えば蒼紫様は四足動物のお肉はお好きじゃなかった』と思い出すのだった。
一瞬しん・・としたこの場に蒼紫は、
「うちの仕出しに牛肉がないと文句をつける客がいたのか。」
と少しお怒り気味に言った。
蒼紫としては今は京都のいち料亭兼旅籠屋ではあるが、将軍家をあらゆる面でお支えしてきた御庭番衆の作った料理にケチをつけられたようで面白くない。
黒と白の料理の腕前は決して手前味噌ではなく、今でも将軍様に献上できるほどの料理を作る腕前なのだ。
お増は言いにくそうに、
「そういうわけではないと思うのですが、あの席にいたお一人がどうやら東京の方のようで、お隣の方とのお話で東京の事をよくお話になられてました。」
と言うとお近が、
「本当、よく喋るというか、東京の自慢話ばっかりというか、昔は京都に住んでたくせに上から目線なのよ、イライラしちゃったわ。」
と付け加えた。
「何だよ、そんなに上から目線なのかよ。」
と、お近が眉毛を吊り上げるものだから黒が思わず聞いた。
「そう感じたわ。」
とお近が答えると今度は白が、
「というより、お近はその客と知り合いなのかい、どうしてそいつが京都に居たって分かるんだ。」
と聞いた。
まさに黒も白と同じ疑問だと頷いた。
「だって、周りの人がみんな『久しぶりの京都はいかがですか』って聞いてるんですもの。本当、ちょっと御維新で御功績をお上げになって東京で働いてるからって偉そうなのよ。」
御庭番衆として幕府に忠誠を誓った者は少なからず心の中で新政府の者を良くは思っていない。
「おい、そんな事外で言うなよ。」
黒が心配してお近に口止めを促す。
「分かってるわよ、あー!でも本当あいつ嫌な奴!こっが大人しくお酌してれば勝手に私の膝元触ってくるし・・」
「何だと!」
お近の思わず漏れた愚痴に黒が怒鳴った。
俺のお近に何しやがる、という気持ちが先だったのだ。
その気持ちが分かる白は思わず心の中で苦笑した。
だがその気持ちを白はお増に対して抱く。
しかし、酒の席の酌で酔っぱらった客が酌をする女にあれこれ手を出すのは珍しい事ではない。
そう分かっているのだが黒も白もやきもきしているのだ。
「早く東京に帰ればいいのに、あの蛇男!」
意外に短気な面があるお近は思わず叫んだ。
白はこれ以上のお近の発言は黒に悪い影響を与えると思い、
「お近、落ち着けよ。そんなに目を吊り上げなくてもいいじゃないか。」
「私の目よりももっとあいつは吊り上っていたわよ、まるで蛇みたいで・・あーやだやだ。」
忍耐強く躾けられたくノ一にそこまで言わすなんてどれほどなんだよ、と黒も白もため息をついた。
「でも本当、なんか怖い人だと思ったわ。」
お増も可愛い顔をしてはいるが一人前のくノ一、そのお増にそう言わせるなんてとまたもや黒と白は驚いた。
お近とお増の言葉を聞いていた蒼紫は静かな口調で、
「・・そいつの名は何という。」
とお近とお増を見た。
「え、・・ええと・・。」
いきなり蒼紫に質問されてお近もお増も戸惑う。
けれども記憶を必死で辿って、
「九条!確か九条といいました!」
とお増が答えた。
何故御頭はこの質問をしたのか、名前を聞いてどうするのか!
四人は蒼紫の動向をじっと見守った。
だが蒼紫は、
「・・そうか。」
と答えただけでお茶を入れるとさっさと戻って行ったのだった。
「「 何なのよ~蒼紫様ったら~。 」」
お近もお増も蒼紫の姿が見えなくなってから、口をそろえてそう言った。
「さあなぁ・・。」
黒と白も首を傾げて蒼紫が出て行った方を見た。
「あ、蒼紫様どうかされました?」
「茶を少しもらいにきたのだが。」
「分かりました、お部屋にお持ちいたしますので・・。」
「いや、別に構う必要はない、これくらい自分でいれる。」
お増の言葉をさえぎってスタスタと自分で準備をする蒼紫を四人は思わず注目してしまう。
「何だ、お前達。俺に構わず話を続ければよかろう。」
蒼紫は沸いたお湯で急須を温めながら四人に言った。
そうは言われても困ると思ったのは皆同じであるが、こうして黙って御頭を見ている空気も気まずいので白が先程の話の続きを始めた。
「でもなぁ・・うちは牛肉はまだ扱ったことないしなぁ。」
「確かに牛鍋は美味いと思うけどそれをうちで扱うのは他の品との兼ね合いもあるしな。」
と黒も少々難色を示しながら話しを切り出した。
その話が聞こえた蒼紫は手を動かしながらも思わず、
「何の話だ。」
と会話に加わってきた。
御頭の参戦に一同思わず息を呑んだのだがお近が、
「実は先日長州屋へ行った時の話なんですが、」
と話し始めた。
どうやらお近の話によると、先日呼ばれた長州屋での宴会席でお酌をしていた時の事で、客がその時の仕出し(黒と白が作り、長州屋へ仕出した料理)を食べながら牛肉の話になったというのだ。
お近とお増は丁度その話を黒と白にしていた所だったのだ。
すると、お増は遠慮がちに、
「蒼紫様、東京では最近皆肉を食べているって本当ですか?」
と、の間まで東京に行っていた蒼紫に聞いた。
蒼紫は、
「いや・・俺達は東京へ食道楽をしに行ったわけではない。」
と即答。
四人はやっぱりね、と予想通りの蒼紫の答えに落胆。
そして四人とも心の中で、『そう言えば蒼紫様は四足動物のお肉はお好きじゃなかった』と思い出すのだった。
一瞬しん・・としたこの場に蒼紫は、
「うちの仕出しに牛肉がないと文句をつける客がいたのか。」
と少しお怒り気味に言った。
蒼紫としては今は京都のいち料亭兼旅籠屋ではあるが、将軍家をあらゆる面でお支えしてきた御庭番衆の作った料理にケチをつけられたようで面白くない。
黒と白の料理の腕前は決して手前味噌ではなく、今でも将軍様に献上できるほどの料理を作る腕前なのだ。
お増は言いにくそうに、
「そういうわけではないと思うのですが、あの席にいたお一人がどうやら東京の方のようで、お隣の方とのお話で東京の事をよくお話になられてました。」
と言うとお近が、
「本当、よく喋るというか、東京の自慢話ばっかりというか、昔は京都に住んでたくせに上から目線なのよ、イライラしちゃったわ。」
と付け加えた。
「何だよ、そんなに上から目線なのかよ。」
と、お近が眉毛を吊り上げるものだから黒が思わず聞いた。
「そう感じたわ。」
とお近が答えると今度は白が、
「というより、お近はその客と知り合いなのかい、どうしてそいつが京都に居たって分かるんだ。」
と聞いた。
まさに黒も白と同じ疑問だと頷いた。
「だって、周りの人がみんな『久しぶりの京都はいかがですか』って聞いてるんですもの。本当、ちょっと御維新で御功績をお上げになって東京で働いてるからって偉そうなのよ。」
御庭番衆として幕府に忠誠を誓った者は少なからず心の中で新政府の者を良くは思っていない。
「おい、そんな事外で言うなよ。」
黒が心配してお近に口止めを促す。
「分かってるわよ、あー!でも本当あいつ嫌な奴!こっが大人しくお酌してれば勝手に私の膝元触ってくるし・・」
「何だと!」
お近の思わず漏れた愚痴に黒が怒鳴った。
俺のお近に何しやがる、という気持ちが先だったのだ。
その気持ちが分かる白は思わず心の中で苦笑した。
だがその気持ちを白はお増に対して抱く。
しかし、酒の席の酌で酔っぱらった客が酌をする女にあれこれ手を出すのは珍しい事ではない。
そう分かっているのだが黒も白もやきもきしているのだ。
「早く東京に帰ればいいのに、あの蛇男!」
意外に短気な面があるお近は思わず叫んだ。
白はこれ以上のお近の発言は黒に悪い影響を与えると思い、
「お近、落ち着けよ。そんなに目を吊り上げなくてもいいじゃないか。」
「私の目よりももっとあいつは吊り上っていたわよ、まるで蛇みたいで・・あーやだやだ。」
忍耐強く躾けられたくノ一にそこまで言わすなんてどれほどなんだよ、と黒も白もため息をついた。
「でも本当、なんか怖い人だと思ったわ。」
お増も可愛い顔をしてはいるが一人前のくノ一、そのお増にそう言わせるなんてとまたもや黒と白は驚いた。
お近とお増の言葉を聞いていた蒼紫は静かな口調で、
「・・そいつの名は何という。」
とお近とお増を見た。
「え、・・ええと・・。」
いきなり蒼紫に質問されてお近もお増も戸惑う。
けれども記憶を必死で辿って、
「九条!確か九条といいました!」
とお増が答えた。
何故御頭はこの質問をしたのか、名前を聞いてどうするのか!
四人は蒼紫の動向をじっと見守った。
だが蒼紫は、
「・・そうか。」
と答えただけでお茶を入れるとさっさと戻って行ったのだった。
「「 何なのよ~蒼紫様ったら~。 」」
お近もお増も蒼紫の姿が見えなくなってから、口をそろえてそう言った。
「さあなぁ・・。」
黒と白も首を傾げて蒼紫が出て行った方を見た。