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230.クロスワード (蒼紫・夢主)
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「見ろ、これは九条家の系図だ。」
と、蒼紫は武尊に巻物をスルスルと開き、ある所で止め指差した。
「これが現在家督を継いでいる九条道孝だ。そして藤氏長者(とうしのちょうじゃ)でもある。」
「トウシノチョウジャ?」
聞き返した武尊の頭にはハテナが沢山飛んでいた。
蒼紫は無知な武尊を笑うわけでもなく真剣にその意味を教えた。
「五摂家とは前にも話したと思うが、藤原氏嫡流の中でも公家の家格の頂点に立った五家で近衛、九条、二条、一条、鷹司家をいう。宮中で大納言・右大臣・左大臣、そしてその後摂政・関白、太政大臣なれる家柄だ。その五家を束ねるまさに藤原の中の藤原氏を藤氏長者という。」
と丁寧に説明した。
武尊は、ハッと気づき、
「そうか、藤原氏(ふじわらし)の事を藤氏(とうし)と呼んだのね。」
「嗚呼・・その九条道孝の父なんだがどうやら・・。」
と、蒼紫はそこで咳払いをして武尊を見た。
「ん?どうしたの?」
なんだか妙なリアクションが入った蒼紫を武尊はちょっと首を傾げて見た。
「いや・・なんでもない。通孝の父、九条尚忠なんだが御庭番衆の調べでは女に手が早いと・・記してある。」
「え・・。」
なんだかいきなりの展開に武尊も閉口して蒼紫を見てしまった。
「これって・・そんなことまで書いてあるの?」
「こういう事が意外に大事なんだ。」
「な・な・なんで分かるの!?まさか・・見てるの!?あ、あの時を!」
武尊はあわわと慌てて赤くなった。
それに対し蒼紫は極めて冷静で、
「全部が全部そういうわけではないだろうがこれは事実確認された事しか記していない。任務にいちいち赤くなったり感情を出したりしていては務まらぬ。」
と、言いつつも武尊が耳を赤くするのを目の奥底で愛いと思ったりする。
他の御庭番衆の女衆達には決してこのように思ったことはないと思いながら。
そして続けてあと三つほど巻物を同じようにほどいて武尊に見せたい部分で止めて言った。
「これらをよく見ろ。」
「よく見ろったって・・何だか複雑で・・。」
そう、家系図といっても実は色々と複雑で、例えば先程の九条道孝だが、父の長男であるにもかかわらず、その父が鷹司家の尚忠を婿養子にもらったため、通孝は尚忠の婿養子という図になっている。
他に見せてもらった公家の家系図もあちこちで養子縁組のような感じがされてあり武尊にとって複雑怪奇極まりなかった。
武尊が理解不能とばかりの顔で首を横にふるとそこで蒼紫は言った。
「この九条家の系図にはあの九条道明の名がない。もし女癖が悪かったという九条尚忠の隠し子だったとしたらどうだ・・何らかの理由で九条家の一員となれない理由があったとすれば少しは合点がいくと思うのだが。」
蒼紫の言葉に武尊は記憶に残る九条の姿、振る舞いを思い起こしてみた。
確かに庶民とはいえない雰囲気で特にあの人を見下したような視線は確かに公家出身者だと思えば納得も行くような気がすると武尊は思った。
「そっか・・そうかもしれないね。」
武尊は相槌を打った。
「だとしてもだ・・何故そんな奴が武尊を狙う。本当は狙われるわけを知っているんじゃないか?」
蒼紫はそう言って武尊を真剣に見据えた。
武尊はこの前まで九条が誰だか本当に分からなかったので自分が狙われる理由が全く心当たりがなかったのだが今は見当がつく。
武尊が返答に一瞬戸惑ったのを蒼紫が見逃すわけがない。
そしてその蒼紫の様子から自分がその理由を知っているということが蒼紫にばれたと感じる武尊だった。
ただそれを言うべきか言わないべきなのか。
仮に言ってどうなるというのだと武尊は悩んだ。
そんな武尊を見て蒼紫は、
「会津の件・・少なからず俺は九条に関わった身だ。悩みがあるなら話してくれ。・・悪いようにはしない。」
と言った。
そう言われ、確かに蒼紫も九条と関わりを持ってしまったのだと武尊は少し複雑な気持ちになった。
あの陰湿な男に・・とは言っても武尊はそこまであの男と話したことなどないのだがあの蛇のようないやらしい感じの目をして自分を見る男の性格はきっと陰湿に違いないと思うのだった。
悪いようにはしないと言われ、武尊は少し考え、それからちらっと蒼紫の方を向くと蒼紫はずっと自分を見ていたのが分かり、武尊はついに、
「九条は私が十六夜丸という事を知っている・・そしてどうやったら十六夜丸になるのかも・・。」
と悩みぬいて絞り出すような声で蒼紫に言った。
と、蒼紫は武尊に巻物をスルスルと開き、ある所で止め指差した。
「これが現在家督を継いでいる九条道孝だ。そして藤氏長者(とうしのちょうじゃ)でもある。」
「トウシノチョウジャ?」
聞き返した武尊の頭にはハテナが沢山飛んでいた。
蒼紫は無知な武尊を笑うわけでもなく真剣にその意味を教えた。
「五摂家とは前にも話したと思うが、藤原氏嫡流の中でも公家の家格の頂点に立った五家で近衛、九条、二条、一条、鷹司家をいう。宮中で大納言・右大臣・左大臣、そしてその後摂政・関白、太政大臣なれる家柄だ。その五家を束ねるまさに藤原の中の藤原氏を藤氏長者という。」
と丁寧に説明した。
武尊は、ハッと気づき、
「そうか、藤原氏(ふじわらし)の事を藤氏(とうし)と呼んだのね。」
「嗚呼・・その九条道孝の父なんだがどうやら・・。」
と、蒼紫はそこで咳払いをして武尊を見た。
「ん?どうしたの?」
なんだか妙なリアクションが入った蒼紫を武尊はちょっと首を傾げて見た。
「いや・・なんでもない。通孝の父、九条尚忠なんだが御庭番衆の調べでは女に手が早いと・・記してある。」
「え・・。」
なんだかいきなりの展開に武尊も閉口して蒼紫を見てしまった。
「これって・・そんなことまで書いてあるの?」
「こういう事が意外に大事なんだ。」
「な・な・なんで分かるの!?まさか・・見てるの!?あ、あの時を!」
武尊はあわわと慌てて赤くなった。
それに対し蒼紫は極めて冷静で、
「全部が全部そういうわけではないだろうがこれは事実確認された事しか記していない。任務にいちいち赤くなったり感情を出したりしていては務まらぬ。」
と、言いつつも武尊が耳を赤くするのを目の奥底で愛いと思ったりする。
他の御庭番衆の女衆達には決してこのように思ったことはないと思いながら。
そして続けてあと三つほど巻物を同じようにほどいて武尊に見せたい部分で止めて言った。
「これらをよく見ろ。」
「よく見ろったって・・何だか複雑で・・。」
そう、家系図といっても実は色々と複雑で、例えば先程の九条道孝だが、父の長男であるにもかかわらず、その父が鷹司家の尚忠を婿養子にもらったため、通孝は尚忠の婿養子という図になっている。
他に見せてもらった公家の家系図もあちこちで養子縁組のような感じがされてあり武尊にとって複雑怪奇極まりなかった。
武尊が理解不能とばかりの顔で首を横にふるとそこで蒼紫は言った。
「この九条家の系図にはあの九条道明の名がない。もし女癖が悪かったという九条尚忠の隠し子だったとしたらどうだ・・何らかの理由で九条家の一員となれない理由があったとすれば少しは合点がいくと思うのだが。」
蒼紫の言葉に武尊は記憶に残る九条の姿、振る舞いを思い起こしてみた。
確かに庶民とはいえない雰囲気で特にあの人を見下したような視線は確かに公家出身者だと思えば納得も行くような気がすると武尊は思った。
「そっか・・そうかもしれないね。」
武尊は相槌を打った。
「だとしてもだ・・何故そんな奴が武尊を狙う。本当は狙われるわけを知っているんじゃないか?」
蒼紫はそう言って武尊を真剣に見据えた。
武尊はこの前まで九条が誰だか本当に分からなかったので自分が狙われる理由が全く心当たりがなかったのだが今は見当がつく。
武尊が返答に一瞬戸惑ったのを蒼紫が見逃すわけがない。
そしてその蒼紫の様子から自分がその理由を知っているということが蒼紫にばれたと感じる武尊だった。
ただそれを言うべきか言わないべきなのか。
仮に言ってどうなるというのだと武尊は悩んだ。
そんな武尊を見て蒼紫は、
「会津の件・・少なからず俺は九条に関わった身だ。悩みがあるなら話してくれ。・・悪いようにはしない。」
と言った。
そう言われ、確かに蒼紫も九条と関わりを持ってしまったのだと武尊は少し複雑な気持ちになった。
あの陰湿な男に・・とは言っても武尊はそこまであの男と話したことなどないのだがあの蛇のようないやらしい感じの目をして自分を見る男の性格はきっと陰湿に違いないと思うのだった。
悪いようにはしないと言われ、武尊は少し考え、それからちらっと蒼紫の方を向くと蒼紫はずっと自分を見ていたのが分かり、武尊はついに、
「九条は私が十六夜丸という事を知っている・・そしてどうやったら十六夜丸になるのかも・・。」
と悩みぬいて絞り出すような声で蒼紫に言った。