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230.クロスワード (蒼紫・夢主)
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蒼紫は障子を開け、武尊を中に入れるとおもむろに閉めた。
床の間の前には本を置く台があり、蒼紫はそこに行って座った。
武尊もしかなたなく本台の近くに行って座った。
「で・・何か分かったの?」
武尊は小さ目の声で蒼紫に聞いた。
蒼紫は腕を組みながら、
「九条道明・・かなり胡散臭い奴だ。」
と切り出した。
今の武尊には九条道明という人物が誰なのか分かっている。
胡散臭いという蒼紫の言葉に真剣に耳を傾けた。
「内務省社寺局での仕事ぶりは至って真面目で特に目立った噂はない。だがやつの自宅は規模の割には人の出入りが多いのが気になった。」
「気になるほど人の出入りが激しいって・・本人は今頃函館でしょ?仕事で用事がある人なら社寺局の方へ行くと思うんだけど何でだろ・・。」
と思わず武尊も疑問を投げかけずにはいられない。
蒼紫は言葉を続けた。
「俺もそう思う。だがそれ以上に気になるのは役人の位からすると奴は社寺局の中では中の上、それほど高いというわけではないにもかかわらず金回りがいやに良い事だ。」
「何でわかるの?そんな事・・。」
思わず武尊は突っ込みを入れつつ正座をしている蒼紫の頭のてっぺんから膝頭まで一通り目を移動させた。
そうしてから武尊は自分の質問が愚問だと気づいた。
蒼紫は翁も絶賛するとびっきりの忍のプロだったのだということを再度実感したからだ。
蒼紫は武尊の表情から武尊の考えを読み取り、話を続けた。
「・・上手く誤魔化しているようだが奴は自宅近くの別な場所に蔵を五つも所蔵している。そのうちの三つに金目のものが詰まっていた。」
「残り二つは?」
「空だった。」
「空・・?」
「嗚呼、それが何故だはあの時間だけでは分からなかった。だが三つの事が推測される・・一つは詰まっていたものを売ったのか、それとも何かを入れるために空けてあるのか、若しくはその両方だ。どちらにしても奴はかなりの額の金を持っている、不自然なほどにな。」
武尊の頭の中は昔の九条の姿を映し出していた。
(あの男がそんなに金持ちに・・?)
とは言え蒼紫の話だと政治の中心でもないのにそれほどまでに金を持っているのは武尊にも不自然さを感じさせることだった。
「俺はもう少し調べを進め、ある証拠を発見した。」
それは何だと武尊は真剣に蒼紫の顔を見た。
「九条は自分の職を利用し、かなりの仏像や書、絵を海外に売っているという事実だ。」
「え!?」
「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)は知っているな。明治政府がその政策を打ち出した後、各地で多くの寺院が廃された。その際価値のある仏像などを懐に収めたのだろう。」
武尊は一際目を大きくして蒼紫を見た。
「そんなに・・寺院って壊されたの?」
「嗚呼、特に廃仏毀釈が徹底された薩摩について言えば千五百以上の寺院が廃され、還俗した僧侶は約三千人。そのうち三分の一は軍属となり寺領から没収された財産は富国強兵に使われたと言われるぐらいだ。個人で手広くやればいい金づるになるだろう。」
武尊は思わず悪党は目の付け所が違うと変な意味で関心したが、そんな事は褒められる事じゃないとすぐに心の中で訂正した。
にしても武尊は蒼紫が言った数字にびっくりした。
薩摩だけでそれなら日本全国ならどれほどのものなのだろうかと。
「それが俺が東京で調べた事だ。それが道場へ戻ってみれば・・。」
と、蒼紫はじろりと武尊を見た。
「あの時は・・。」
蒼紫の視線に思わず武尊はギクッとした。
九条の話の途中でまさか神谷道場の事を蒸し返されるとは・・と武尊は後ろめたい気持ちが復活した。
床の間の前には本を置く台があり、蒼紫はそこに行って座った。
武尊もしかなたなく本台の近くに行って座った。
「で・・何か分かったの?」
武尊は小さ目の声で蒼紫に聞いた。
蒼紫は腕を組みながら、
「九条道明・・かなり胡散臭い奴だ。」
と切り出した。
今の武尊には九条道明という人物が誰なのか分かっている。
胡散臭いという蒼紫の言葉に真剣に耳を傾けた。
「内務省社寺局での仕事ぶりは至って真面目で特に目立った噂はない。だがやつの自宅は規模の割には人の出入りが多いのが気になった。」
「気になるほど人の出入りが激しいって・・本人は今頃函館でしょ?仕事で用事がある人なら社寺局の方へ行くと思うんだけど何でだろ・・。」
と思わず武尊も疑問を投げかけずにはいられない。
蒼紫は言葉を続けた。
「俺もそう思う。だがそれ以上に気になるのは役人の位からすると奴は社寺局の中では中の上、それほど高いというわけではないにもかかわらず金回りがいやに良い事だ。」
「何でわかるの?そんな事・・。」
思わず武尊は突っ込みを入れつつ正座をしている蒼紫の頭のてっぺんから膝頭まで一通り目を移動させた。
そうしてから武尊は自分の質問が愚問だと気づいた。
蒼紫は翁も絶賛するとびっきりの忍のプロだったのだということを再度実感したからだ。
蒼紫は武尊の表情から武尊の考えを読み取り、話を続けた。
「・・上手く誤魔化しているようだが奴は自宅近くの別な場所に蔵を五つも所蔵している。そのうちの三つに金目のものが詰まっていた。」
「残り二つは?」
「空だった。」
「空・・?」
「嗚呼、それが何故だはあの時間だけでは分からなかった。だが三つの事が推測される・・一つは詰まっていたものを売ったのか、それとも何かを入れるために空けてあるのか、若しくはその両方だ。どちらにしても奴はかなりの額の金を持っている、不自然なほどにな。」
武尊の頭の中は昔の九条の姿を映し出していた。
(あの男がそんなに金持ちに・・?)
とは言え蒼紫の話だと政治の中心でもないのにそれほどまでに金を持っているのは武尊にも不自然さを感じさせることだった。
「俺はもう少し調べを進め、ある証拠を発見した。」
それは何だと武尊は真剣に蒼紫の顔を見た。
「九条は自分の職を利用し、かなりの仏像や書、絵を海外に売っているという事実だ。」
「え!?」
「廃仏毀釈(はいぶつきしゃく)は知っているな。明治政府がその政策を打ち出した後、各地で多くの寺院が廃された。その際価値のある仏像などを懐に収めたのだろう。」
武尊は一際目を大きくして蒼紫を見た。
「そんなに・・寺院って壊されたの?」
「嗚呼、特に廃仏毀釈が徹底された薩摩について言えば千五百以上の寺院が廃され、還俗した僧侶は約三千人。そのうち三分の一は軍属となり寺領から没収された財産は富国強兵に使われたと言われるぐらいだ。個人で手広くやればいい金づるになるだろう。」
武尊は思わず悪党は目の付け所が違うと変な意味で関心したが、そんな事は褒められる事じゃないとすぐに心の中で訂正した。
にしても武尊は蒼紫が言った数字にびっくりした。
薩摩だけでそれなら日本全国ならどれほどのものなのだろうかと。
「それが俺が東京で調べた事だ。それが道場へ戻ってみれば・・。」
と、蒼紫はじろりと武尊を見た。
「あの時は・・。」
蒼紫の視線に思わず武尊はギクッとした。
九条の話の途中でまさか神谷道場の事を蒸し返されるとは・・と武尊は後ろめたい気持ちが復活した。