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229.翁の決断 (翁・夢主・蒼紫・操)
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「あやつ・・蒼紫の事を【大事な】友と言いおった・・【大事な】とな。
脈は・・あるようじゃの。」
翁は神妙な顔つきでホゥとため息をつくと顎鬚を数度撫でた。
そう、武尊はムキになるあまりに本人さえ自覚していなかった気持ちが【大事な】という言葉になってしまった事は気がついていない。
一方、坐禅を組んだ武尊は翁にあんなことを言われてなかなか集中できない。
(ったく・・操ちゃんの気持ちを何だと思ってるのかしら、乙女を舐めんなよ。蒼紫も蒼紫よ、御庭番衆同士、操ちゃんにしておけばすべて丸くおさまるのに。私はだめだって言ってるじゃない。)
と、心の中で雑念が次から次へと湧いてくる。
しばらくぶつくさ言っていたがようやく集中したのが30分たってほど。
「・・武尊・・・・武尊。」
武尊は二度呼ばれてハッとした。
そして辺りを素早く見回しここが葵屋だということに気がつき、自分を呼んだ相手と目が合った。
「随分深い瞑想だったな。それとも寝ていたのか。」
蒼紫にそう言われても武尊の目が左右に泳ぐ。
「いや・・寝てはいないけど・・。」
確かに今見えていた長い金髪。
その人は武尊に背を向けていて顔は見えなかったが、なびいた美しい金髪が武尊の鼻の先をふわりとかすめたのだった。
確かに髪の毛が鼻先をかすめた感触がある・・と思ったのだがここは現実、葵屋だった。
(・・夢?)
夢だったのか、金髪がこんな所にいるはずもないと思いつつも蒼紫の顔を見ながら武尊は聞いた。
「今日、異人さんの泊り客っている?」
蒼紫は怪訝な顔をしながら、
「この時間は泊りの客はいないはずだが・・異人だか何だか知らないがここには今武尊の気配しかない。」
と、蒼紫も念のため辺りを鋭く見回した。
「そ・・そう。じゃあ寝ぼけてたのか、な。・・あ、おかえりなさい。」
さっそく待ってましたとばかりに九条の事を聞こうと武尊が立ち上がると蒼紫が、
「ちょっといいか。」
と先に武尊に話しかけた。
武尊はてっきり蒼紫の部屋で話をするんだと廊下に出ると、蒼紫は蒼紫の部屋と反対の方へ、つまり来た方向へ戻って行くではないか。
「蒼紫?話をするんじゃ・・。」
と武尊が言うと、
「操が勝手場で茶を入れている。豆大福を武尊に食べさせたいそうだ。」
と蒼紫が理由を説明した。
「そっか・・買ってくるって言ってたもんね。」
と、それなら仕方がないと武尊も蒼紫の後ろをついて行った。
素直についてくる武尊に蒼紫は表情を緩めた。
それを斜め後ろから見た武尊が、
「あ、また笑った。どうせ大事な話より食い気が先立つ私ですよ。」
と武尊がちょっと悔しげに言うと蒼紫はそんな事を言う武尊が愛おしくて、しかしながらこれ以上顔の筋肉を緩めないようにしながら、
「そんなことはない。」
と言った。
脈は・・あるようじゃの。」
翁は神妙な顔つきでホゥとため息をつくと顎鬚を数度撫でた。
そう、武尊はムキになるあまりに本人さえ自覚していなかった気持ちが【大事な】という言葉になってしまった事は気がついていない。
一方、坐禅を組んだ武尊は翁にあんなことを言われてなかなか集中できない。
(ったく・・操ちゃんの気持ちを何だと思ってるのかしら、乙女を舐めんなよ。蒼紫も蒼紫よ、御庭番衆同士、操ちゃんにしておけばすべて丸くおさまるのに。私はだめだって言ってるじゃない。)
と、心の中で雑念が次から次へと湧いてくる。
しばらくぶつくさ言っていたがようやく集中したのが30分たってほど。
「・・武尊・・・・武尊。」
武尊は二度呼ばれてハッとした。
そして辺りを素早く見回しここが葵屋だということに気がつき、自分を呼んだ相手と目が合った。
「随分深い瞑想だったな。それとも寝ていたのか。」
蒼紫にそう言われても武尊の目が左右に泳ぐ。
「いや・・寝てはいないけど・・。」
確かに今見えていた長い金髪。
その人は武尊に背を向けていて顔は見えなかったが、なびいた美しい金髪が武尊の鼻の先をふわりとかすめたのだった。
確かに髪の毛が鼻先をかすめた感触がある・・と思ったのだがここは現実、葵屋だった。
(・・夢?)
夢だったのか、金髪がこんな所にいるはずもないと思いつつも蒼紫の顔を見ながら武尊は聞いた。
「今日、異人さんの泊り客っている?」
蒼紫は怪訝な顔をしながら、
「この時間は泊りの客はいないはずだが・・異人だか何だか知らないがここには今武尊の気配しかない。」
と、蒼紫も念のため辺りを鋭く見回した。
「そ・・そう。じゃあ寝ぼけてたのか、な。・・あ、おかえりなさい。」
さっそく待ってましたとばかりに九条の事を聞こうと武尊が立ち上がると蒼紫が、
「ちょっといいか。」
と先に武尊に話しかけた。
武尊はてっきり蒼紫の部屋で話をするんだと廊下に出ると、蒼紫は蒼紫の部屋と反対の方へ、つまり来た方向へ戻って行くではないか。
「蒼紫?話をするんじゃ・・。」
と武尊が言うと、
「操が勝手場で茶を入れている。豆大福を武尊に食べさせたいそうだ。」
と蒼紫が理由を説明した。
「そっか・・買ってくるって言ってたもんね。」
と、それなら仕方がないと武尊も蒼紫の後ろをついて行った。
素直についてくる武尊に蒼紫は表情を緩めた。
それを斜め後ろから見た武尊が、
「あ、また笑った。どうせ大事な話より食い気が先立つ私ですよ。」
と武尊がちょっと悔しげに言うと蒼紫はそんな事を言う武尊が愛おしくて、しかしながらこれ以上顔の筋肉を緩めないようにしながら、
「そんなことはない。」
と言った。