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229.翁の決断 (翁・夢主・蒼紫・操)

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「はい!?」



武尊は思わず聞き返した。


聞き間違いでなければ武尊の嫌な予感は当たった事になる。


そしてすぐに、



「四乃森さんと私はあくまでも【友】です!それ以上はあり得ません!」



と強く反論した。


武尊の抗議の言葉は続く。



「四乃森さんには操ちゃんがいます!ここにいる翁さんなら分かっているはずです、操ちゃんがどんなに四乃森さんを好きかということを!

どうしてその二人の間をぶち壊すようなことを言えるんですか!翁さんがこんなことを思っているなんて事が操ちゃんに知れたら操ちゃんがどんなに悲しむか分かりますよね。」



半ば怒りだった。


一番葵屋で起こって欲しくない事をここの主が言ったのだ。


武尊もこれだけは譲れない。


しかし翁は武尊の猛攻に少しも取り乱さず、



「うむ、そうじゃな。操には知られぬ方がよいじゃろ。じゃからこうして操払いをしておる。蒼紫に連れ出してもらってな。」



と答えた。



「操ちゃん払いって・・。蒼紫も翁さんの策にかんでるんですか?!」



・・・御庭番衆西の翁とはこの柏崎念至・・・



武尊の脳裏にサッと会津の東の翁の顔が思い浮かんだ。


共に御庭番衆御頭の両翼を担った敏腕の忍。


葵屋の翁とは和やかコミカルに接して来た武尊だったが、これがすべて計算ずくの行動だったらと思うと背筋がぞっとする。


武尊は思わず固唾をのんだ。






「蒼紫には儂がこのような事を言うとは一言も言うとらん。じゃが、言うかも知れぬという事は蒼紫の予測の範囲じゃと思うぞ。」



翁の言葉に武尊はかなり困惑した。



(えっとつまり、この話は蒼紫は了承してるって事?

そりゃ、蒼紫が私を好きだってことは知ってる・・だから出来るだけ蒼紫の気がそっちに向かないように注意してるんだけど・・このまま葵屋にいると益々まずいってこと?)





武尊は焦った。


九条の件を聞くまではどうしても蒼紫が必要なのだ。


武尊の頭の中で、その話を聞いて洋服が乾いたら即行葵屋を出ていく算段が進む。


あんなに恋に真っ直ぐな少女の気持ちを踏みにじる存在になるなんてまっぴらごめんだからだ。



翁は戸惑う武尊の表情を見て、



「蒼紫の事、今すぐに返事をくれとは言わん。じゃがここにいる間はせめて蒼紫に付き合ってやってくれんか。あやつは土岐君がもう一度ここに来ることを心の底から待ちわびておったのじゃ。」



と頼んだ。



「付き合うって・・それは翁さんの勝手です、四乃森さんがどう思おうとも・・私は今まで通り普通に接するだけです。

私・・絶対四乃森さんと一緒にはなりませんから!彼は私の大事な友です、失礼します!」











武尊は翁の部屋を出ると自室に戻った。


何て心はブルーなんだとため息をつく。


まさか翁にそんな事を言われるとは思わなかったからだ。


はっきり言って困ると武尊はまたため息をついた。


武尊は中庭を見つめた。


風は少し冷たい。



だが今の武尊にはそんな事は気にならなかった。


心のもやもやが収まらない。



(こんな時こそ座禅だな・・。)



と、武尊は久しぶりに真剣に座禅を組んだのだった。
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