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229.翁の決断 (翁・夢主・蒼紫・操)
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「翁さん、お呼びですか?」
武尊が翁の部屋へ行くと、翁はまた詰碁に夢中になっていた。
「おお、すまんのぅ。これが終わったら土岐君のところへ行こうと思っとったんじゃがなかなか終わらんでのう。ま、入りなさい。」
そう言って翁は持っていた白石を碁笥(ゴケ、碁石を入れる容器)に戻し、武尊を手招きした。
武尊は失礼しますと言いながら碁盤の反対側に座った。
翁は武尊に、
「東京では緋村君に色々あってなかなか会えなんだということじゃったそうじゃが、ともあれ無事戻って来て何よりじゃ。」
と言った。
「あ・・いえ・・何とか用事も済みました。それよりまた急にこちらに泊めて頂いてすみません・・しかもちゃんとした宿泊じゃなくて・・。」
と、ただで泊めてもらっていることを申し訳なくそう言った。
「なんもそんなに気を使わんでくれ。蒼紫の御友人ともなればこちらもそれなりに対応させて頂かねば。」
「そんな、それは困ります!友と言っても助けていただいているのはいつも私の方で・・。」
本当にそうなのだと武尊は思う。
最初桂川に落ちた時、それから時尾の警護をお願いした時、そして会津のこと・・。
蒼紫がいなければ今ごろこうして生きていたのかどうかも分からない。
すると翁は、
「いやいや、朝も言ったが儂等御庭番衆にとっては御頭の言葉は絶対、儂等が御庭番衆である事はすでに蒼紫の口から聞いておろう。」
と真面目な顔で武尊に言った。
実は蒼紫、妄想(夢)の後、しばらく座禅を組んで過ごしたのちに翁の所へ行ったのである。
そして翁に自分は御庭番衆御頭であるということを武尊に伝えたという事を話した。
翁はその時の蒼紫の様子を思い出していた。
『何と・・、そこまで己の事を土岐君に話したのか。』
『深い仲になろうとするならばいずれ話さずには通れぬ話、それにここに居る以上遅かれ早かれ御庭番衆の事は武尊に知れる。』
『まあ、、そりゃそうじゃが・・。』
京都で葵屋の面々が御庭番衆だということは周知の事実。
しかもこの間、京都を大火で焼こうとした志々雄真実の配下と大悶着があった際、奮闘したのは御庭番衆で人々の記憶に新しい。
とはいえ、御頭自らがついこの間知り合ったばかりの者に正体を明かすのは通常あり得ない。
翁は増々蒼紫の本気度を知ったのだ。
「ええ・・本当に驚きました。」
驚いたも何もその事を蒼紫から告げられたあの日、蒼紫が船に乗り遅れて共に走った時武尊は蒼紫の身体能力に度胆を抜かれた。
ジャパニーズニンジャ、ここに在り!と、武尊の人生の中ではかなり衝撃的な事だった。
蒼紫の衝撃的な行動はそれ以降も色々な意味で武尊にショックをあたえたのだったが。
「皆さんも四乃森さんみたいに凄いんですか?」
武尊は素朴にその疑問を翁にぶつけた。
「ん?儂等か?ヒョーホホホ、そんなわけがあるまい。蒼紫は特別じゃ。文武両道、まさに天賦の才。あのような男は御庭番衆の歴史においても皆無じゃ。」
と蒼紫を褒めちぎる翁を武尊は何と言っていいのか分からなく翁をまんまる目で見ていた。
「そして蒼紫が元服すると同時に御頭になるように推薦したのは儂じゃからの。」
と、武尊にウインクでも飛ばしそうな顔でそう言ったまではよかったが、急に少しだけ哀愁を漂わせて、
「じゃが・・徳川の時代が終わり御庭番衆はその役目を終えた。蒼紫もようやく最後の仲間を見送り葵屋へ戻って来た。この老人の願いは今こそ蒼紫に一人の男として幸多き道を歩んで欲しいということじゃ。」
と言った。
その後翁は目を閉じ少し感慨にふけった。
武尊は蒼紫の過去の苦労は分からないけれども蒼紫には幸せになってもらいという気持ちは翁と同じだった。
しかしなぜ翁はこんな話を自分にしているのだろうか。
そもそも翁は何の話を自分にしたくて呼んだのか。
武尊は徐々に嫌な予感がしてきた。
すると翁はおもむろに目を開け武尊に聞いた。
「土岐君、率直に言おう。これも何かの縁、蒼紫と一緒にならんか。」
そう言った翁の目はマジだった。
武尊が翁の部屋へ行くと、翁はまた詰碁に夢中になっていた。
「おお、すまんのぅ。これが終わったら土岐君のところへ行こうと思っとったんじゃがなかなか終わらんでのう。ま、入りなさい。」
そう言って翁は持っていた白石を碁笥(ゴケ、碁石を入れる容器)に戻し、武尊を手招きした。
武尊は失礼しますと言いながら碁盤の反対側に座った。
翁は武尊に、
「東京では緋村君に色々あってなかなか会えなんだということじゃったそうじゃが、ともあれ無事戻って来て何よりじゃ。」
と言った。
「あ・・いえ・・何とか用事も済みました。それよりまた急にこちらに泊めて頂いてすみません・・しかもちゃんとした宿泊じゃなくて・・。」
と、ただで泊めてもらっていることを申し訳なくそう言った。
「なんもそんなに気を使わんでくれ。蒼紫の御友人ともなればこちらもそれなりに対応させて頂かねば。」
「そんな、それは困ります!友と言っても助けていただいているのはいつも私の方で・・。」
本当にそうなのだと武尊は思う。
最初桂川に落ちた時、それから時尾の警護をお願いした時、そして会津のこと・・。
蒼紫がいなければ今ごろこうして生きていたのかどうかも分からない。
すると翁は、
「いやいや、朝も言ったが儂等御庭番衆にとっては御頭の言葉は絶対、儂等が御庭番衆である事はすでに蒼紫の口から聞いておろう。」
と真面目な顔で武尊に言った。
実は蒼紫、妄想(夢)の後、しばらく座禅を組んで過ごしたのちに翁の所へ行ったのである。
そして翁に自分は御庭番衆御頭であるということを武尊に伝えたという事を話した。
翁はその時の蒼紫の様子を思い出していた。
『何と・・、そこまで己の事を土岐君に話したのか。』
『深い仲になろうとするならばいずれ話さずには通れぬ話、それにここに居る以上遅かれ早かれ御庭番衆の事は武尊に知れる。』
『まあ、、そりゃそうじゃが・・。』
京都で葵屋の面々が御庭番衆だということは周知の事実。
しかもこの間、京都を大火で焼こうとした志々雄真実の配下と大悶着があった際、奮闘したのは御庭番衆で人々の記憶に新しい。
とはいえ、御頭自らがついこの間知り合ったばかりの者に正体を明かすのは通常あり得ない。
翁は増々蒼紫の本気度を知ったのだ。
「ええ・・本当に驚きました。」
驚いたも何もその事を蒼紫から告げられたあの日、蒼紫が船に乗り遅れて共に走った時武尊は蒼紫の身体能力に度胆を抜かれた。
ジャパニーズニンジャ、ここに在り!と、武尊の人生の中ではかなり衝撃的な事だった。
蒼紫の衝撃的な行動はそれ以降も色々な意味で武尊にショックをあたえたのだったが。
「皆さんも四乃森さんみたいに凄いんですか?」
武尊は素朴にその疑問を翁にぶつけた。
「ん?儂等か?ヒョーホホホ、そんなわけがあるまい。蒼紫は特別じゃ。文武両道、まさに天賦の才。あのような男は御庭番衆の歴史においても皆無じゃ。」
と蒼紫を褒めちぎる翁を武尊は何と言っていいのか分からなく翁をまんまる目で見ていた。
「そして蒼紫が元服すると同時に御頭になるように推薦したのは儂じゃからの。」
と、武尊にウインクでも飛ばしそうな顔でそう言ったまではよかったが、急に少しだけ哀愁を漂わせて、
「じゃが・・徳川の時代が終わり御庭番衆はその役目を終えた。蒼紫もようやく最後の仲間を見送り葵屋へ戻って来た。この老人の願いは今こそ蒼紫に一人の男として幸多き道を歩んで欲しいということじゃ。」
と言った。
その後翁は目を閉じ少し感慨にふけった。
武尊は蒼紫の過去の苦労は分からないけれども蒼紫には幸せになってもらいという気持ちは翁と同じだった。
しかしなぜ翁はこんな話を自分にしているのだろうか。
そもそも翁は何の話を自分にしたくて呼んだのか。
武尊は徐々に嫌な予感がしてきた。
すると翁はおもむろに目を開け武尊に聞いた。
「土岐君、率直に言おう。これも何かの縁、蒼紫と一緒にならんか。」
そう言った翁の目はマジだった。