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204.イキサツ(1) (斎藤・夢主)
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「神戸!?」
「何をそんなに驚いている。行先を知らずに乗ったという武尊の方が驚きだぞ。」
斎藤に突っ込まれ、うーと唸りながら武尊は簡易ベッドに腰掛けた。
「神戸か・・随分東京から離れちゃうんだね。でも仕方がないや。神戸なら東京まではなんとか歩けるからそれでよしとしなくっちゃ。一は神戸に用事があったの?」
「しかたなく神戸といった感じか。」
「『しかたなく神戸』ってどういう事?」
「そのことよりさっきの老人のことだ。」
「あっ、そうだったね。」
武尊はいったんそこで言葉を区切り話せば長いんだけど・・と前振りをしてマーティンとの事を話し始めた。
「一が雪代縁のアジトの島へ出発した日、私は一を見送る為に早めに築地へ行ったの。」
「嗚呼、結局誰かは四乃森と話し込んでろくに見送りも出来なかったがな。」
「もう、それは言わないでよぉ・・後から謝ったじゃない。」
そう、あの日は蒼紫と話していて斎藤の出港の時間に間に合わなかったんだと武尊は己の失態と痛感したのだった。
「で、早く築地に着いて何をしていたんだ。」
自分で話を脱線させておいて話をふり出しに戻す斎藤だった。
「海軍施設って・・ほら、いい思い出がないから避けていたら外国人居留地近くをいつの間にか歩いてて、そこでマーティンに声をかけられたの。」
「ほう。」
それは斎藤にも意外だったようで興味深そうに相槌を打った。
「で、何て声をかけられたんだ?」
「コーヒーを飲まないかって。」
「珈琲だと?そんなものに興味があったのか。」
武尊の知らない一面に斎藤は驚いた。
武尊は「そりゃ、【コーヒー中毒】ですもの」と危なく言いかけたが寸ででなんとか食い止めた。
「うん・・きょ、興味があったからつい誘いに乗っちゃた。」
「だからといって異人にホイホイついて行くのか、阿呆が。下手をすれば売られるかもしれんのだぞ。」
斎藤は武尊の無防備さに少し腹を立てた。
「私だって人を見てついて行くよ、マーティンは悪い人には見えなかったもん。」
と、武尊は武尊なりに言い訳したが斎藤のもやもやは収まらない。
少しイライラしつつ、
「で、何であいつは武尊を誘ったんだ。」
と続きを促した。
「うん・・家に招待されてコーヒーを頂きながら聞いたんだけど、私、彼の娘さんに似てるんですって。だから声をかけたんだって。」
「娘にか?武尊がか?どうみても相手は日本人じゃないだろう。それにあの老人の娘なら今はそれなりにいい歳だろう。」
「うん・・そうなんだけど娘さんは若い時に亡くなったんだって。後日その若い時の写真も見せてもらったけど私は似てるとは思わなかったけどなぁ。」
武尊がそう言うと、
「後日だと?」
斎藤はいつの間にそんな所へ行ったのだとジロリと武尊を睨んだ。
武尊は斎藤の声のトーンにハッとして、
「いや・・そんなにピリピリしないでよ・・マーティンは本当にいい人なんだから。」
「縁も所縁(ゆかり)もない日本人(武尊)に娘が似ているだと?そんな怪しい理由を簡単に信じられるか。しかも武尊自身似てないと思っているんだろう?」
「んー、写真って他人が見るのと自分で見るのとでは印象が違う場合があるからそこらへんは何とも言えないよ。確かにマーティン自身は日本人の血は入ってないはずだけれど、昔長崎に行った時に好きになった日本人がいたんだって。
・・・子供もできたらしいって・・だから今回の来日は昔の恋人と子供探しも兼ねていたって言っていた・・結局その人行方は分からなかったみたいだったけど。」
「随分詳しく聞いたんだな。」
「別に私がきいたわけじゃないよ、マーティンが教えてくれただけ。」
「・・・。」
斎藤は少し沈黙をした。
珍しく何も言ってこないのを武尊は変に思い、
「一?どうしたの、何かおかしいところでもあった?」
と聞くと斎藤は、
「いや・・続けろ。」
と言った。
「何をそんなに驚いている。行先を知らずに乗ったという武尊の方が驚きだぞ。」
斎藤に突っ込まれ、うーと唸りながら武尊は簡易ベッドに腰掛けた。
「神戸か・・随分東京から離れちゃうんだね。でも仕方がないや。神戸なら東京まではなんとか歩けるからそれでよしとしなくっちゃ。一は神戸に用事があったの?」
「しかたなく神戸といった感じか。」
「『しかたなく神戸』ってどういう事?」
「そのことよりさっきの老人のことだ。」
「あっ、そうだったね。」
武尊はいったんそこで言葉を区切り話せば長いんだけど・・と前振りをしてマーティンとの事を話し始めた。
「一が雪代縁のアジトの島へ出発した日、私は一を見送る為に早めに築地へ行ったの。」
「嗚呼、結局誰かは四乃森と話し込んでろくに見送りも出来なかったがな。」
「もう、それは言わないでよぉ・・後から謝ったじゃない。」
そう、あの日は蒼紫と話していて斎藤の出港の時間に間に合わなかったんだと武尊は己の失態と痛感したのだった。
「で、早く築地に着いて何をしていたんだ。」
自分で話を脱線させておいて話をふり出しに戻す斎藤だった。
「海軍施設って・・ほら、いい思い出がないから避けていたら外国人居留地近くをいつの間にか歩いてて、そこでマーティンに声をかけられたの。」
「ほう。」
それは斎藤にも意外だったようで興味深そうに相槌を打った。
「で、何て声をかけられたんだ?」
「コーヒーを飲まないかって。」
「珈琲だと?そんなものに興味があったのか。」
武尊の知らない一面に斎藤は驚いた。
武尊は「そりゃ、【コーヒー中毒】ですもの」と危なく言いかけたが寸ででなんとか食い止めた。
「うん・・きょ、興味があったからつい誘いに乗っちゃた。」
「だからといって異人にホイホイついて行くのか、阿呆が。下手をすれば売られるかもしれんのだぞ。」
斎藤は武尊の無防備さに少し腹を立てた。
「私だって人を見てついて行くよ、マーティンは悪い人には見えなかったもん。」
と、武尊は武尊なりに言い訳したが斎藤のもやもやは収まらない。
少しイライラしつつ、
「で、何であいつは武尊を誘ったんだ。」
と続きを促した。
「うん・・家に招待されてコーヒーを頂きながら聞いたんだけど、私、彼の娘さんに似てるんですって。だから声をかけたんだって。」
「娘にか?武尊がか?どうみても相手は日本人じゃないだろう。それにあの老人の娘なら今はそれなりにいい歳だろう。」
「うん・・そうなんだけど娘さんは若い時に亡くなったんだって。後日その若い時の写真も見せてもらったけど私は似てるとは思わなかったけどなぁ。」
武尊がそう言うと、
「後日だと?」
斎藤はいつの間にそんな所へ行ったのだとジロリと武尊を睨んだ。
武尊は斎藤の声のトーンにハッとして、
「いや・・そんなにピリピリしないでよ・・マーティンは本当にいい人なんだから。」
「縁も所縁(ゆかり)もない日本人(武尊)に娘が似ているだと?そんな怪しい理由を簡単に信じられるか。しかも武尊自身似てないと思っているんだろう?」
「んー、写真って他人が見るのと自分で見るのとでは印象が違う場合があるからそこらへんは何とも言えないよ。確かにマーティン自身は日本人の血は入ってないはずだけれど、昔長崎に行った時に好きになった日本人がいたんだって。
・・・子供もできたらしいって・・だから今回の来日は昔の恋人と子供探しも兼ねていたって言っていた・・結局その人行方は分からなかったみたいだったけど。」
「随分詳しく聞いたんだな。」
「別に私がきいたわけじゃないよ、マーティンが教えてくれただけ。」
「・・・。」
斎藤は少し沈黙をした。
珍しく何も言ってこないのを武尊は変に思い、
「一?どうしたの、何かおかしいところでもあった?」
と聞くと斎藤は、
「いや・・続けろ。」
と言った。