各人それぞれの夜を過ごし、そして朝がやって来る。



武尊はお腹がすいて目が覚めた。



（お腹がすくっていうことは・・精神的ダメージが軽減されてるってことかな・・。）



武尊は温かな布団からそっと足を出すと冷たい空気が触れた。



「ううっ！」



と、思わず声を出して武尊は足を引っ込めた。



だんだん冷えが強くなってくる冬の季節は武尊は苦手だった。


それでもまだ初冬にもなってないと、武尊はお腹がすきすぎて起きたのだった。


温もりの残る布団を惜しみながらたたみ、いつの間にか脱げていた足袋を履き直し武尊は障子を開けた。





薄暗い外、空は白みがかってもうじき日が昇る。




手元に時計はないがこの間時計がある旅館で時刻を見たときの状況を考えると、だいたい朝の六時過ぎだろうか。



武尊はちらりと蒼紫の部屋の方を見て、厠経由で勝手場へ向かった。