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226.葵屋、蒼紫は実は偉い人? (操・翁・蒼紫・夢主・黒・白)
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「武尊・・、大丈夫か。」
武尊が部屋へ戻ってすぐに蒼紫が布団を持って来た。
部屋に戻ったのはいいが、寒くてうろうろしていた武尊は布団が嬉しかった。
「あ・・うん。布団ありがとう。」
武尊は浮かない顔をして答えた。
そして蒼紫が布団を部屋の隅に置くのを見ながら武尊は、
「たくさん残してごめんなさい。」
と言った。
「いや・・。」
と、蒼紫が答える横で武尊はさっさと布団を敷きだした。
蒼紫は武尊があの場を立ったのは食欲がないということだけではないという事が分かっていた。
緋村との話と言えば十六夜丸の話は避けられない。
武尊はそれを言いたくなかったのだと思いながら武尊が布団を敷くのを見ていた。
「じゃ・・ちょっと早いけど・・先に休みます。蒼紫、泊めてくれてありがとう。」
と武尊は蒼紫にお礼を言い、布団に入ろうとしたら蒼紫に腕を掴まれ抱き寄せられた。
「・・蒼紫っ!」
武尊はここでは絶対こんなことをされてはいけないと身体を離そうとしたが蒼紫の力はそんな事ではうんともすんとも言わない。
万が一にでも操にこんな所を見られてはいけないと武尊が一生懸命抵抗を続けるのを抑え込んで蒼紫は武尊の耳元で、
「無事で・・良かった・・。」
と、囁くと武尊の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
武尊は蒼紫の熱い吐息が耳にかかり一瞬震えたがすぐに蒼紫をひっぺがそうと抵抗した。
「そんなに怒るな・・。」
と蒼紫は分からないほどの表情で悲しく笑い武尊を解放した。
「別に怒ってないけど、、ここ(葵屋)ではダメ、絶対ダメだから・・。」
と武尊は蒼紫をじっと睨んだ。
これまで蒼紫とは数々のハプニングに会ったがどれも武尊を救う理由があったから何とか容認してきた武尊だったが、最後、神谷道場で蒼紫に口づけされたことはそれらとは別だった。
武尊は蒼紫が少し怖くなった。
【友】としての一線をこれ以上超える事になるなら蒼紫とはこれ以上いられない。
武尊の脳裏には蒼紫に接吻された時、自分自身にほんの僅かだが蒼紫に身を任せようと思ってしまった自分がいたということが未だショックなのだ。
それこそがとんでもないことで自分がこれ以上葵屋をかきまわしてしまわないようにしなければと武尊は思っているからだ。
武尊は蒼紫に恋焦がれる一人の少女の気持ちを守りたかった。
その少女は自分が決して得られない幸せを受け、未来にその幸せを繋ぐことが出来るからだ。
(蒼紫!現実を見て!私はこの世に生まれてくるはずのなかった存在なの!貴方には操ちゃんしかいない!)
蒼紫はそんな武尊の視線を受け、少し黙って、それから、
「ここでなければいいのか?」
と言ったので、武尊は首を横にブンブン振り、
「そんなわけないじゃない!分かってるの、蒼紫?」
と強い眼で蒼紫を見た。
蒼紫は、
「・・あの夜、俺が戻って来ても武尊はいなかった。その詳細については明日聞く。・・今日はゆっくり休め。」
と武尊の質問には答えず宴会場へと戻って行った。
一人部屋へ残された武尊。
葵屋へ来てしまったことは間違いだったかもしれないと後悔しながら寒いので半纏を着たまま布団へ潜り込んだ。
(でも・・お風呂と綺麗なお布団と御飯は有り難い・・。)
そう思い、自分がここに来た理由と天秤にかけながら潜った布団の中で目を開けた。
(って、そんな甘い事言ってちゃだめだよね・・。私がここに来た理由は私の荷物を受け取る事、そして・・蒼紫が東京で調べてくれた九条道明の情報を得る事・・それが終わったなら一刻でも早くここを出なきゃ・・。)
自分がここにいるという事が九条に知れれば、もしかしたら操ちゃんや葵屋の人が時尾と同じような危険な目に会ってしまうかもしれないと武尊は不安でたまらなかった。
会津の右近の話では、九条は仙台経由で函館へ視察に行くと言った。
そして視察が終われば東京へ戻るはずだと武尊は思った。
なぜなら、政府のお役人なら居住も仕事も東京だからだ。
(あの場違いな洋館は別荘なのかな・・。)
武尊はずっと色々これからの算段について布団の中で考えていた。
するとふと、潜る時にずり上がって武尊の顔近くにある半纏の襟から蒼紫の匂いが微かにした。
先程抱きしめられた時の匂いだった。
(これ・・蒼紫の半纏だったんだ・・。)
武尊はそれを知って目を閉じ、更に丸まり息を殺すように眠ったのだった。
2016.06.08
武尊が部屋へ戻ってすぐに蒼紫が布団を持って来た。
部屋に戻ったのはいいが、寒くてうろうろしていた武尊は布団が嬉しかった。
「あ・・うん。布団ありがとう。」
武尊は浮かない顔をして答えた。
そして蒼紫が布団を部屋の隅に置くのを見ながら武尊は、
「たくさん残してごめんなさい。」
と言った。
「いや・・。」
と、蒼紫が答える横で武尊はさっさと布団を敷きだした。
蒼紫は武尊があの場を立ったのは食欲がないということだけではないという事が分かっていた。
緋村との話と言えば十六夜丸の話は避けられない。
武尊はそれを言いたくなかったのだと思いながら武尊が布団を敷くのを見ていた。
「じゃ・・ちょっと早いけど・・先に休みます。蒼紫、泊めてくれてありがとう。」
と武尊は蒼紫にお礼を言い、布団に入ろうとしたら蒼紫に腕を掴まれ抱き寄せられた。
「・・蒼紫っ!」
武尊はここでは絶対こんなことをされてはいけないと身体を離そうとしたが蒼紫の力はそんな事ではうんともすんとも言わない。
万が一にでも操にこんな所を見られてはいけないと武尊が一生懸命抵抗を続けるのを抑え込んで蒼紫は武尊の耳元で、
「無事で・・良かった・・。」
と、囁くと武尊の匂いを胸いっぱいに吸い込んだ。
武尊は蒼紫の熱い吐息が耳にかかり一瞬震えたがすぐに蒼紫をひっぺがそうと抵抗した。
「そんなに怒るな・・。」
と蒼紫は分からないほどの表情で悲しく笑い武尊を解放した。
「別に怒ってないけど、、ここ(葵屋)ではダメ、絶対ダメだから・・。」
と武尊は蒼紫をじっと睨んだ。
これまで蒼紫とは数々のハプニングに会ったがどれも武尊を救う理由があったから何とか容認してきた武尊だったが、最後、神谷道場で蒼紫に口づけされたことはそれらとは別だった。
武尊は蒼紫が少し怖くなった。
【友】としての一線をこれ以上超える事になるなら蒼紫とはこれ以上いられない。
武尊の脳裏には蒼紫に接吻された時、自分自身にほんの僅かだが蒼紫に身を任せようと思ってしまった自分がいたということが未だショックなのだ。
それこそがとんでもないことで自分がこれ以上葵屋をかきまわしてしまわないようにしなければと武尊は思っているからだ。
武尊は蒼紫に恋焦がれる一人の少女の気持ちを守りたかった。
その少女は自分が決して得られない幸せを受け、未来にその幸せを繋ぐことが出来るからだ。
(蒼紫!現実を見て!私はこの世に生まれてくるはずのなかった存在なの!貴方には操ちゃんしかいない!)
蒼紫はそんな武尊の視線を受け、少し黙って、それから、
「ここでなければいいのか?」
と言ったので、武尊は首を横にブンブン振り、
「そんなわけないじゃない!分かってるの、蒼紫?」
と強い眼で蒼紫を見た。
蒼紫は、
「・・あの夜、俺が戻って来ても武尊はいなかった。その詳細については明日聞く。・・今日はゆっくり休め。」
と武尊の質問には答えず宴会場へと戻って行った。
一人部屋へ残された武尊。
葵屋へ来てしまったことは間違いだったかもしれないと後悔しながら寒いので半纏を着たまま布団へ潜り込んだ。
(でも・・お風呂と綺麗なお布団と御飯は有り難い・・。)
そう思い、自分がここに来た理由と天秤にかけながら潜った布団の中で目を開けた。
(って、そんな甘い事言ってちゃだめだよね・・。私がここに来た理由は私の荷物を受け取る事、そして・・蒼紫が東京で調べてくれた九条道明の情報を得る事・・それが終わったなら一刻でも早くここを出なきゃ・・。)
自分がここにいるという事が九条に知れれば、もしかしたら操ちゃんや葵屋の人が時尾と同じような危険な目に会ってしまうかもしれないと武尊は不安でたまらなかった。
会津の右近の話では、九条は仙台経由で函館へ視察に行くと言った。
そして視察が終われば東京へ戻るはずだと武尊は思った。
なぜなら、政府のお役人なら居住も仕事も東京だからだ。
(あの場違いな洋館は別荘なのかな・・。)
武尊はずっと色々これからの算段について布団の中で考えていた。
するとふと、潜る時にずり上がって武尊の顔近くにある半纏の襟から蒼紫の匂いが微かにした。
先程抱きしめられた時の匂いだった。
(これ・・蒼紫の半纏だったんだ・・。)
武尊はそれを知って目を閉じ、更に丸まり息を殺すように眠ったのだった。
2016.06.08