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226.葵屋、蒼紫は実は偉い人? (操・翁・蒼紫・夢主・黒・白)
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武尊が背押されて連れて行かれた場所は宴会場。
すでに皆の御膳が向かい合わせ置かれており右手中央に座っている翁が武尊にこっちだと自分の左に手招きした。
「すみません、いきなり着いて皆さんとこのような席で夕餉まで頂いて・・。」
武尊は申し訳ないと正座して、翁と同じくすでに座っていた黒と白に深く礼をした。
「まあ、そんなにかしこまらんでもええぞ、皆と土岐君とは知らぬ仲ではないしのぅ。」
武尊が顔をあげて黒と白を見ると二人とも笑顔で武尊に会釈をした。
武尊も再び軽く会釈をし、翁の手招きのまま座布団に座った。
御膳は左右に三つづつ。
武尊の向かいには奥から黒、白、そして操が座った。
そして今この場に入って来た蒼紫は翁の右、つまり上座一番奥に座った。
(本当だ、蒼紫って本当に御頭っていう立場なんだ・・。)
以前川に落ちた後の鍋の時はテーブルを囲んでいて座席を気にしていなかった武尊だが、このような場では改めて蒼紫がどういう立場の人間なのかを思い知らされ武尊は背筋がぞくっとしたのであった。
そしていいのかな自分、こんなとこに座ってと場違いなんじゃないかなと落ち着かなかった。
そんな武尊に翁が、
「気楽にしたまえ土岐君や、今日は宿泊客もおらんし楽しくやろうではないか。」
とお銚子をあげた。
(ひっ!酒!・・まさか夕餉といいつつ宴会場でセッティングしてるということはこれも宴会なわけ!?)
武尊は慌てて、
「私、お酒は飲めません!」
と首を横に振り振り翁に言った。
「そうじゃったの、土岐君も蒼紫と一緒で下戸じゃったの・・つまらんのぅ。」
翁はつまらなさそうな顔をして肩を落とした。
「すみません、翁さん。よかったら私がお酌しますので・・。」
と武尊が翁の手から御銚子をもらいうけて翁のおちょこに並々と注いだところで蒼紫に、
「武尊、適当にしておけ。翁の酒に付き合っていればキリがないぞ。」
と言われた。
(助け・・舟?かな。)
と武尊はちらっと翁越しに蒼紫を見ると蒼紫は武尊の方を向いて目で合図した。
髪の毛の隙間から蒼紫の瞳を見た武尊は葵屋での蒼紫の一面に少し面食らいながら、軽くうなずいて自分の席に戻った。
すると、翁が待ってましたとばかりに、
「お近とお増はお座敷のため不在しておるが、今宵は土岐君の再来訪を祝して。」
と、立ち上がり、
「乾杯じゃあ!」
と高らかに御猪口を持ち上げた。
「かんぱーい!」
と操が調子よく合わせて湯呑を持ち上げた。
黒と白は翁と同じく御猪口で乾杯をした。
武尊は面食らって固まっていると黒が、
「土岐さん、気にしないで食べて下さい。翁は何かと理由をつけて酒が飲みたいだけなんですから。」
と言い、すぐさま白が、
「そうそう、大げさにやっているだけだから気を楽にして遠慮なく食べて下さいよ。」
と付け加えた。
「ありがとうございます、頂きます。」
武尊は作ってくれた黒白にまた会釈をして手を合わせて頂きますをし、まず暖かそうな御椀の蓋をあけた。
湯気がふわりとたつお吸い物。
紅葉色の麩が可愛い。
一口すすれば出汁の味が鼻腔の奥まで広がって本当に美味しいお吸い物だった。
昼間にショックな事があって放心状態だった所を蒼紫に葵屋の前で捕まりバタバタの時間を過ごし、今こうやって普通に御飯に有りつけている事が武尊自身不思議だった。
翁は武尊が一口すすってホッと一息するのを見ると話しかけてきた。
「東京はどうじゃったかね、緋村君にはあったんじゃろ?蒼紫や操からも聞いたが緋村君達が大変な目に会って予定通りにはいかんかったみたいじゃが。」
「ええ・・まあ。」
武尊にとっては、横浜へ着いたその日から予定外どころか奇跡の再会に始まり、まったく想定外の出来事の連発だった。
武尊の脳内には昨日の事のように思える斎藤との横浜での再会シーン再生されていた。
すると操もその時の情景を思い出したらしく、
「そうよ、武尊さんったら横浜に着いてすぐに斎藤に拉致されちゃったんだから。」
(拉致って・・。)
武尊はお吸い物をまたすすりながら操の言葉に苦笑いした。
「ま、結局あの後大変だったから武尊さんいなくて正解だったかも。」
と操は言って御飯をばくばく口に放り込んだ。
武尊はその様子を見ながらカボチャの煮物に箸をのばそうとすると操がまだ口の中に御飯が入ったままなのに、
「で、武尊さんはまだ警官続けてるの?仕事あるんじゃまた東京に戻らなくちゃいけないんじゃない。」
と聞いた。
操のただ思いついただけのような質問に、武尊は箸を止めて操を見た。
すると、操の言葉に一斉に翁や黒や白が武尊に視線を向けているのが分かった。
翁は武尊の事に関しては帰って来た操の口から例の斎藤という警官に連れて行かれ、その後武尊も警官になった事までは聞いていた。
しかし今の武尊の状況は翁も初耳で興味深々と武尊を見た。
武尊は周りの注目に困って蒼紫をチラっと見たが蒼紫は素知らぬふりで魚を食べていた。
(もー!どこまで皆私の事知ってるの?)
と武尊は思いつつ質問した操に対し、
「えーっと、私はもう警官じゃないよ。あれは前にも言ったけど緋村さんの事が片付くまで斎藤さんの手伝いをしてただけで・・。」
と言うと操が、
「そっか、雪代縁の件は片付いちゃったしあの嫌味警官の所にいる必要もなくなったってわけね。あの後緋村と話出来た?確か十日後って言ってたけど私と蒼紫様あの後武尊さんが来る前にこっちに帰ってきちゃったから。」
「ん、、まあ・・ね。」
武尊が仕方なしにそう相槌を返すと操が、
「そっか、なら良かったじゃん。あの時緋村の態度が何か変だったからちょっとは心配したのよー。ね、蒼紫様。」
と操は話を蒼紫に振った。
「・・嗚呼。」
蒼紫は静かに相槌を打った。
そして何事もなかったように箸を進めた。
すると操は更に、
「ねぇ、緋村とどんな話をしたの?」
と聞いてきた。
「え・・?」
武尊は返答に困って箸を置いた。
「皆さん・・すみません、こんなに豪華な夕餉なのに私やっぱり食欲なくて・・。明日ちゃんと頂きますから今日は、すみません!」
武尊はそう言ってその場を出て行った。
「土岐君や!」
「武尊さん!?」
翁が呼びとめたのも時すでに遅し。
すると間髪おかずに蒼紫が立ち上がり、
「俺も席を少し外すぞ、武尊の寝床の準備をして来る。」
と武尊の後を追った。
「蒼紫様、そんなことは私がやります!」
操も蒼紫の後を追おうとしたが翁が呼び止め、
「操や、土岐君は操の質問に困っておったのがわからんか。それに緋村君と土岐君の話は儂等の首を突っ込む話ではないかもしれんからのぅ、土岐君が自ら言わぬ事を根掘り葉堀り聞くものではない。」
と言うと、操はいまいち納得しきれてないようだったがしぶしぶ座り直して御飯をかっ喰らったのだった。
すでに皆の御膳が向かい合わせ置かれており右手中央に座っている翁が武尊にこっちだと自分の左に手招きした。
「すみません、いきなり着いて皆さんとこのような席で夕餉まで頂いて・・。」
武尊は申し訳ないと正座して、翁と同じくすでに座っていた黒と白に深く礼をした。
「まあ、そんなにかしこまらんでもええぞ、皆と土岐君とは知らぬ仲ではないしのぅ。」
武尊が顔をあげて黒と白を見ると二人とも笑顔で武尊に会釈をした。
武尊も再び軽く会釈をし、翁の手招きのまま座布団に座った。
御膳は左右に三つづつ。
武尊の向かいには奥から黒、白、そして操が座った。
そして今この場に入って来た蒼紫は翁の右、つまり上座一番奥に座った。
(本当だ、蒼紫って本当に御頭っていう立場なんだ・・。)
以前川に落ちた後の鍋の時はテーブルを囲んでいて座席を気にしていなかった武尊だが、このような場では改めて蒼紫がどういう立場の人間なのかを思い知らされ武尊は背筋がぞくっとしたのであった。
そしていいのかな自分、こんなとこに座ってと場違いなんじゃないかなと落ち着かなかった。
そんな武尊に翁が、
「気楽にしたまえ土岐君や、今日は宿泊客もおらんし楽しくやろうではないか。」
とお銚子をあげた。
(ひっ!酒!・・まさか夕餉といいつつ宴会場でセッティングしてるということはこれも宴会なわけ!?)
武尊は慌てて、
「私、お酒は飲めません!」
と首を横に振り振り翁に言った。
「そうじゃったの、土岐君も蒼紫と一緒で下戸じゃったの・・つまらんのぅ。」
翁はつまらなさそうな顔をして肩を落とした。
「すみません、翁さん。よかったら私がお酌しますので・・。」
と武尊が翁の手から御銚子をもらいうけて翁のおちょこに並々と注いだところで蒼紫に、
「武尊、適当にしておけ。翁の酒に付き合っていればキリがないぞ。」
と言われた。
(助け・・舟?かな。)
と武尊はちらっと翁越しに蒼紫を見ると蒼紫は武尊の方を向いて目で合図した。
髪の毛の隙間から蒼紫の瞳を見た武尊は葵屋での蒼紫の一面に少し面食らいながら、軽くうなずいて自分の席に戻った。
すると、翁が待ってましたとばかりに、
「お近とお増はお座敷のため不在しておるが、今宵は土岐君の再来訪を祝して。」
と、立ち上がり、
「乾杯じゃあ!」
と高らかに御猪口を持ち上げた。
「かんぱーい!」
と操が調子よく合わせて湯呑を持ち上げた。
黒と白は翁と同じく御猪口で乾杯をした。
武尊は面食らって固まっていると黒が、
「土岐さん、気にしないで食べて下さい。翁は何かと理由をつけて酒が飲みたいだけなんですから。」
と言い、すぐさま白が、
「そうそう、大げさにやっているだけだから気を楽にして遠慮なく食べて下さいよ。」
と付け加えた。
「ありがとうございます、頂きます。」
武尊は作ってくれた黒白にまた会釈をして手を合わせて頂きますをし、まず暖かそうな御椀の蓋をあけた。
湯気がふわりとたつお吸い物。
紅葉色の麩が可愛い。
一口すすれば出汁の味が鼻腔の奥まで広がって本当に美味しいお吸い物だった。
昼間にショックな事があって放心状態だった所を蒼紫に葵屋の前で捕まりバタバタの時間を過ごし、今こうやって普通に御飯に有りつけている事が武尊自身不思議だった。
翁は武尊が一口すすってホッと一息するのを見ると話しかけてきた。
「東京はどうじゃったかね、緋村君にはあったんじゃろ?蒼紫や操からも聞いたが緋村君達が大変な目に会って予定通りにはいかんかったみたいじゃが。」
「ええ・・まあ。」
武尊にとっては、横浜へ着いたその日から予定外どころか奇跡の再会に始まり、まったく想定外の出来事の連発だった。
武尊の脳内には昨日の事のように思える斎藤との横浜での再会シーン再生されていた。
すると操もその時の情景を思い出したらしく、
「そうよ、武尊さんったら横浜に着いてすぐに斎藤に拉致されちゃったんだから。」
(拉致って・・。)
武尊はお吸い物をまたすすりながら操の言葉に苦笑いした。
「ま、結局あの後大変だったから武尊さんいなくて正解だったかも。」
と操は言って御飯をばくばく口に放り込んだ。
武尊はその様子を見ながらカボチャの煮物に箸をのばそうとすると操がまだ口の中に御飯が入ったままなのに、
「で、武尊さんはまだ警官続けてるの?仕事あるんじゃまた東京に戻らなくちゃいけないんじゃない。」
と聞いた。
操のただ思いついただけのような質問に、武尊は箸を止めて操を見た。
すると、操の言葉に一斉に翁や黒や白が武尊に視線を向けているのが分かった。
翁は武尊の事に関しては帰って来た操の口から例の斎藤という警官に連れて行かれ、その後武尊も警官になった事までは聞いていた。
しかし今の武尊の状況は翁も初耳で興味深々と武尊を見た。
武尊は周りの注目に困って蒼紫をチラっと見たが蒼紫は素知らぬふりで魚を食べていた。
(もー!どこまで皆私の事知ってるの?)
と武尊は思いつつ質問した操に対し、
「えーっと、私はもう警官じゃないよ。あれは前にも言ったけど緋村さんの事が片付くまで斎藤さんの手伝いをしてただけで・・。」
と言うと操が、
「そっか、雪代縁の件は片付いちゃったしあの嫌味警官の所にいる必要もなくなったってわけね。あの後緋村と話出来た?確か十日後って言ってたけど私と蒼紫様あの後武尊さんが来る前にこっちに帰ってきちゃったから。」
「ん、、まあ・・ね。」
武尊が仕方なしにそう相槌を返すと操が、
「そっか、なら良かったじゃん。あの時緋村の態度が何か変だったからちょっとは心配したのよー。ね、蒼紫様。」
と操は話を蒼紫に振った。
「・・嗚呼。」
蒼紫は静かに相槌を打った。
そして何事もなかったように箸を進めた。
すると操は更に、
「ねぇ、緋村とどんな話をしたの?」
と聞いてきた。
「え・・?」
武尊は返答に困って箸を置いた。
「皆さん・・すみません、こんなに豪華な夕餉なのに私やっぱり食欲なくて・・。明日ちゃんと頂きますから今日は、すみません!」
武尊はそう言ってその場を出て行った。
「土岐君や!」
「武尊さん!?」
翁が呼びとめたのも時すでに遅し。
すると間髪おかずに蒼紫が立ち上がり、
「俺も席を少し外すぞ、武尊の寝床の準備をして来る。」
と武尊の後を追った。
「蒼紫様、そんなことは私がやります!」
操も蒼紫の後を追おうとしたが翁が呼び止め、
「操や、土岐君は操の質問に困っておったのがわからんか。それに緋村君と土岐君の話は儂等の首を突っ込む話ではないかもしれんからのぅ、土岐君が自ら言わぬ事を根掘り葉堀り聞くものではない。」
と言うと、操はいまいち納得しきれてないようだったがしぶしぶ座り直して御飯をかっ喰らったのだった。