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226.葵屋、蒼紫は実は偉い人? (操・翁・蒼紫・夢主・黒・白)

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蒼紫の部屋の隣の隣部屋は蒼紫の部屋と襖続きではなく、ちゃんと壁で仕切られていて武尊はホッとした。


まさか翁と操と同じ屋根の下、間違っても会津の時のように、もしくは道中の宿や神谷道場の時のような振る舞いなどするわけがないと思いながらも蒼紫の思考が読めず武尊はドキドキしていたのだった。



「布団は後で持ってこよう、今武尊の荷を持って来る。ここで待て。」



と言って蒼紫は武尊の部屋を出て行った。




床の間付きの京間の十二畳。


たぶんここも客間なのだろうと武尊は通された部屋を見回した。


相変わらずこういった京都の昔の畳は大きく、従って同じ十二畳でも広いのだ。


武尊が一人寝るには広すぎる部屋の中央を進み、ピカピカに磨かれた床柱に近寄るとつい、ツルツルと人差し指で撫でてみた。



武尊。」



蒼紫に呼ばれて別に悪い事をしているわけではなかったが、ビクッ、として武尊は蒼紫の方を振り返った。


そして蒼紫の持って来た荷物を見て肝心な物がない事に気がついた。



「重かったのにごめん・・持って来てくれてありがとう、本当に助かった。・・でも刀は?」



と自分を見つめる武尊に蒼紫は一呼吸置いてから、



「あれ(刀)は今武尊に必要ない。然るべき時が来ればちゃんと渡す。それとも刀が今必要な理由でもあるのか。」



と言った。


武尊は蒼紫にあの刀が誰からもらったものだか言ってない。


だから蒼紫が斎藤の事をあまりよく思ってないのを知っていても武尊は蒼紫がその事で武尊に意地悪をしているとは考えにくかった。


一方蒼紫は会津で武尊の刀の手入れをした時に鞘の家紋からそれが誰の刀だったのか推測し状況から確信を持っていた。


斎藤の思い出の刀など武尊に返したくはなかったのだ。


返してしまえば武尊はすぐにでもここ(葵屋)を出て行ってしまうかもしれないと危惧したのも武尊に刀を渡さなかった理由の一つだ。



「理由もなにもあれは私の・・」



と言い出す武尊に蒼紫は、



「何も返さないとは言っていない。どうしても欲しければ俺を倒して持っていくことだ。翁に聞いても無駄だ。隠し場所は俺しか知らん。」



と言った。



「倒すって・・。(無理でしょ、絶対!)」



武尊は呆れて大きなため息をついた。


武尊にとって斎藤の刀は何も振り回して何かを斬ろうと思っているわけでは決してない。


逆にそんな大事な刀は絶対傷つけたくないと思っているぐらいだ。


武尊にとって斎藤の刀は精神安定剤なのだ。


傍にいて、例え言葉は返ってこなくても何か語りかけたい、そういう物なのだ。


今も誰にも言えない悩みが喉元から出そうでたまらないのに、と武尊は蒼紫を少し恨みがましく見たが、今までの蒼紫の性格を考えると素直に返してもらえそうにない事は明白であった。



「・・わかった。今は蒼紫に預かっててもらう。けど、絶対返してよ、あれは私の大事な・・」


「分かっている。」



蒼紫は武尊が全部言葉を言い終わらないうちにそう言った。


何が分かっているのよ、と武尊は思いつつ分かったと言った蒼紫のもとへ言った。


武尊が腕を伸ばすと蒼紫は持っていた武尊のナップサックを渡した。



「神谷道場にあった荷は全部入れてある。」


「・・ありがとう。」





丁度そこに操がやって来た。



「蒼紫様、武尊さん、夕餉だよ。爺やが皆で食べようって。」


蒼紫は操の方を向いて、



「分かった、今行く。」



と答え、武尊の方を向いて、



「夕餉だ、行くぞ。」



と言った。


武尊は、



「あの・・あんまり食欲ないから夕餉はいいです。」



と、本当に食欲がなかったので断ったのだが操が、



「何言ってるの、うち(葵屋)の料理は天下一品なの知ってるでしょ。お客様用じゃなくまかないだけど食べないのは損よ損!」



と言って武尊の手を引いて走りだした。



「ちょ、ちょっと待って操ちゃん~!」



ととと、と、つられた武尊が危うく転びそうになったので操は今度は武尊の背中を押した。



「と、と、と、と!」


「さ、早く武尊さん!」


「いや、そんなに押さなくても!」



武尊がそう言ったにもかかわらず操はどんどん武尊の背中を押し続けた。
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