※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
204.イキサツ(1) (斎藤・夢主)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
斎藤はそのまま先へ進み、途中の扉を開いた。
そこには下へと続く階段があり、斎藤はそこを下りて更に奥の部屋の扉を開け、そこへ武尊を押し込んだ。
「ここは?」
「俺が泊っている部屋だ。とは言っても函館からまだ二日しか使ってないがな。」
武尊は自分のいる小さな部屋を見回した。
壁際に細長い、おそらく船員用だと思われる古びた簡素な二段ベッドがあり、残った狭いスペースにドンっと置かれた豪華な赤いベルベット張りのソファーとそのセット品だと思われる小テーブルとその上に吸い殻てんこもりの灰皿があった。
武尊は思わず、
「・・全然似合わない家具だね。」
と口にした。
斎藤はその豪華なソファーに足を大きく開いて座りると、いったん煙草の火を指先で弾いて灰を落とした。
そして、
「嗚呼、俺がこの部屋を使えとさっきの老人に言われてからしばらくして別の男がこれをどういう訳かこの椅子を運んできた。もっとも、もてなしているつもりなのかどうかは分からんが煙草をこうやって吸うのには悪くない。」
と斎藤は美味そうに煙草を吸った。
「老人・・て、マーティンのこと?」
ロシア船の中で何故マーティンが斎藤にそんな事をしたのか武尊には全く分からなかった。
そもそもマーティンがこの船に乗っている事も疑問なのに、そのマーティンが斎藤に椅子を持って来る理由なんてもっと分からないと武尊はその椅子に座っている斎藤を見て思った。
(洋館の事件でマーティンは私を見て覚えていた・・と、いうのならもしかしてそこで一を見て知っていたのかもしれない。でも知っているというだけでこんなにいい椅子を持って来るかな?それとも日本の警官に対しちょっとゴマすってる?)
斎藤は警察の制服を着ている。
刀も帯びている帯刀警官だ。
日本通のマーティンの事なら生麦事件とかを知っているかもしれない。
下手なこと言って切り捨てられたらヤバいなんて思ったりしたのかなぁ・・。
と武尊は自分の世界に入って考え事をしていると、
「・・るのか。」
と、斎藤の声がした。
考え事のせいで思いっきり聞いてなくて武尊は、
「え?」
と聞き返すと、
「いったい何をさっきから呆けている、あの老人を知っているのかと聞いたんだ。」
と斎藤が眉間に皺を寄せて武尊に聞いた。
「一はあの人に見おぼえない?」
「何だと?」
斎藤はいぶかしげに武尊を見た。
「さあな、異人の顔を覚えなければならないような任務はなかったはずだが・・。」
「あの人、夜会の事件があった時に音楽隊の指揮棒を振っていた人なの。」
「指揮棒とはなんだ?」
んー、っと武尊はちょっと唸って、
「楽器をまとめる為に中央で棒を振る人のことかな。」
と説明した。
「で、何故そいつを知っている。」
うーん、と武尊が唸ると、
「いちいち唸るな、それとも俺に隠さなければならない事でもあるのか。」
と斎藤は少し武尊に厳しい眼を向けた。
「ううん、そんなことは一つもない。マーティンの事は話せば長いんだけど・・。」
「構わん、さっきも言ったが時間はたっぷりある。」
「たっぷりって言うけど一はこの船が何処へ行くのか知ってるの?もしかして・・二人ともこのままロシアへ連れて行かれるとか・・。」
武尊は本気で心配そうな顔をすると斎藤は、
「阿呆、何処に俺が露西亜行きの船に乗る理由がある。」
と言い武尊にため息をついた。
それでも武尊は心配で、
「でも、これってロシア船でしょ?日本を出たってことは国に帰るんじゃないの?」
と聞くと斎藤は、
「武尊が行先を知らずに乗るほど阿呆だったとは思わなかったぞ。どこへ行くつもりだったんだ。」
と尋ねた。
「どこにも行くつもりなんかなかったよ!出港するなんて知らなかったんだから。」
武尊の説明に斎藤は少し黙った。
「一?」
突然黙られて武尊は斎藤が何を考えているのか分からなくなった。
ただそんな中斎藤を見ていると豪華椅子に座る斎藤が意外に絵になっている、と思った。
(一は何をしてもかっこいいな。)
何て思ってしまう。
すると斎藤は、ふむっと一言唸り、
「まあいい、それよりあの老人のことを話せ。」
と武尊に行った。
「その前にこの船が何処へ行くのか知っているなら教えてよ。」
斎藤は武尊のその問いに対し、
「神戸だ。」
と答えた。
そこには下へと続く階段があり、斎藤はそこを下りて更に奥の部屋の扉を開け、そこへ武尊を押し込んだ。
「ここは?」
「俺が泊っている部屋だ。とは言っても函館からまだ二日しか使ってないがな。」
武尊は自分のいる小さな部屋を見回した。
壁際に細長い、おそらく船員用だと思われる古びた簡素な二段ベッドがあり、残った狭いスペースにドンっと置かれた豪華な赤いベルベット張りのソファーとそのセット品だと思われる小テーブルとその上に吸い殻てんこもりの灰皿があった。
武尊は思わず、
「・・全然似合わない家具だね。」
と口にした。
斎藤はその豪華なソファーに足を大きく開いて座りると、いったん煙草の火を指先で弾いて灰を落とした。
そして、
「嗚呼、俺がこの部屋を使えとさっきの老人に言われてからしばらくして別の男がこれをどういう訳かこの椅子を運んできた。もっとも、もてなしているつもりなのかどうかは分からんが煙草をこうやって吸うのには悪くない。」
と斎藤は美味そうに煙草を吸った。
「老人・・て、マーティンのこと?」
ロシア船の中で何故マーティンが斎藤にそんな事をしたのか武尊には全く分からなかった。
そもそもマーティンがこの船に乗っている事も疑問なのに、そのマーティンが斎藤に椅子を持って来る理由なんてもっと分からないと武尊はその椅子に座っている斎藤を見て思った。
(洋館の事件でマーティンは私を見て覚えていた・・と、いうのならもしかしてそこで一を見て知っていたのかもしれない。でも知っているというだけでこんなにいい椅子を持って来るかな?それとも日本の警官に対しちょっとゴマすってる?)
斎藤は警察の制服を着ている。
刀も帯びている帯刀警官だ。
日本通のマーティンの事なら生麦事件とかを知っているかもしれない。
下手なこと言って切り捨てられたらヤバいなんて思ったりしたのかなぁ・・。
と武尊は自分の世界に入って考え事をしていると、
「・・るのか。」
と、斎藤の声がした。
考え事のせいで思いっきり聞いてなくて武尊は、
「え?」
と聞き返すと、
「いったい何をさっきから呆けている、あの老人を知っているのかと聞いたんだ。」
と斎藤が眉間に皺を寄せて武尊に聞いた。
「一はあの人に見おぼえない?」
「何だと?」
斎藤はいぶかしげに武尊を見た。
「さあな、異人の顔を覚えなければならないような任務はなかったはずだが・・。」
「あの人、夜会の事件があった時に音楽隊の指揮棒を振っていた人なの。」
「指揮棒とはなんだ?」
んー、っと武尊はちょっと唸って、
「楽器をまとめる為に中央で棒を振る人のことかな。」
と説明した。
「で、何故そいつを知っている。」
うーん、と武尊が唸ると、
「いちいち唸るな、それとも俺に隠さなければならない事でもあるのか。」
と斎藤は少し武尊に厳しい眼を向けた。
「ううん、そんなことは一つもない。マーティンの事は話せば長いんだけど・・。」
「構わん、さっきも言ったが時間はたっぷりある。」
「たっぷりって言うけど一はこの船が何処へ行くのか知ってるの?もしかして・・二人ともこのままロシアへ連れて行かれるとか・・。」
武尊は本気で心配そうな顔をすると斎藤は、
「阿呆、何処に俺が露西亜行きの船に乗る理由がある。」
と言い武尊にため息をついた。
それでも武尊は心配で、
「でも、これってロシア船でしょ?日本を出たってことは国に帰るんじゃないの?」
と聞くと斎藤は、
「武尊が行先を知らずに乗るほど阿呆だったとは思わなかったぞ。どこへ行くつもりだったんだ。」
と尋ねた。
「どこにも行くつもりなんかなかったよ!出港するなんて知らなかったんだから。」
武尊の説明に斎藤は少し黙った。
「一?」
突然黙られて武尊は斎藤が何を考えているのか分からなくなった。
ただそんな中斎藤を見ていると豪華椅子に座る斎藤が意外に絵になっている、と思った。
(一は何をしてもかっこいいな。)
何て思ってしまう。
すると斎藤は、ふむっと一言唸り、
「まあいい、それよりあの老人のことを話せ。」
と武尊に行った。
「その前にこの船が何処へ行くのか知っているなら教えてよ。」
斎藤は武尊のその問いに対し、
「神戸だ。」
と答えた。