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180.御庭番式恩返し (蒼紫・夢主・右近)
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(うわー、いったい何をするんだ蒼紫は・・。ああいう理由なら紙に書いて残したくないという事は分かるけど・・。)
いくら友でも際どい気がすると武尊は少しドキドキしていた。
その一方で他に分かりやすい説明の仕方はなかったし、蒼紫のあの性格を考えればあれは純粋に相手に納得してもらいたいが為の説明をしたに過ぎないとも思える行動だった。
(私が変に意識しているだけなのかもしれない。)
その真相はどうであれ、今夜は二人きり。
もし、・・もしも蒼紫に変な事をされたらどうしようと武尊は心配になる気持ちもあった。
「比古さん・・、一・・・どうしよう・・。かと言ってこんな遠くまで遠路はるばる来てくれて、しかも助けてくれて、こんないい温泉に泊めてもらうようにしてもらっているのにそっけない態度はとれないよね・・。」
すっかり武尊の頭の中は余計な思考が堂々巡りをして思いっきり長湯をしてしまった。
(露天風呂で冷たい風が当たるのでいくらでも長湯が出来たのはいいけど、やっぱりのぼせたかも・・。)
立ち上がるとクラクラすると思いながらぼーっとしながら武尊は部屋へと戻っていると長い渡り廊下の途中、武尊がはっと気がつくとの目の前に右近がいた。
「あっ、翁さん。先程の夕餉はとてもおいしかったです。それに露天風呂も本当にいいお湯でした。今夜はぐっすり眠れそうです。」
武尊は心からそう言った。
右近は武尊のまるで湯気が立つかと思うぐらいに足の先から顔まで紅潮している姿を見て、
「それはようございました。その御様子では長湯をされましたね。」
とにこやかに言い、お盆に乗っていたお茶を武尊に差し出した。
「食後のお茶はいかがかと思いましてお持ちいたしました。煮出して覚ましたものですから熱くございません、宜しければ今いかがですか。」
「ありがとうございます、長湯をして丁度喉がカラカラだったんです。」
武尊はごくごくと湯呑のお茶を飲み干した。
「・・翁さん、これ少し変わった味ですね。クマ笹茶ですか?」
武尊は北海道にいた時に健康にいいと言われて飲んだお茶を思い出した。
「いえ、薬草を煎じた茶という事には変わりはございませんが・・・。」
と右近が言っていると向うから蒼紫がやって来た。
蒼紫は武尊の帰りがあまりにも遅いので露天風呂に沈んでいるのではないかと心配して様子を見にきたのだった。
「あ、蒼紫。」
武尊が右近の視線を追って蒼紫に気がついた時、武尊の膝がカクンと折れた。
「あれ?」
危く前にすっ転びそうだった武尊を間一髪で蒼紫が抱きとめた。
「あれれ・・?」
武尊は今のは何かの拍子に膝カックンが起こったと思い、普通に立とうとしたが膝から下に力が急に入らなくなっていた。
武尊の様子が変だとすぐに気がついた蒼紫だったが、微かに匂った茶の香りに蒼紫は右近を睨みつけた。
「右近、お前まさか・・・。」
蒼紫の言葉に武尊もハッと翁を見上げた。
にこやかだった右近の顔が一瞬だけ能面のような無表情に変わり、また元に戻った。
武尊はその一瞬に恐怖を感じ身震いをした。
そして一段低い声で、
「御察しの通りでございます、蒼紫様。」
と言った。
武尊は自分を抱えている蒼紫の手が怒りの所為か震えているのを感じて翁から蒼紫の方を見た。
少しの間無言で唇を噛みしめているように見えた蒼紫は右近に向かってこう言った。
「事が終わったらその首繋がっていると思うなよ。」
「え!?」
蒼紫の口から出た尋常じゃない言葉に武尊は自分の耳を疑った。
「ええ??蒼紫?どういう事?」
右近も右近で蒼紫にそのように言われたにもかかわらず蒼紫に対し頭を下げ、
「なんなりと蒼紫様のお好きなように。」
などと言う始末。
まったく二人の会話が見えず武尊は首をひねるばかり。
この状況の始まりは自分が何かやばいお茶と飲んだという事。
(もしかして、毒!?私が翁さんにとって気に入らなかったから?)
そうは思って見たものの何が悪かったのか武尊には皆目見当がつかなかった。
その時自分を支えていた蒼紫の腕に力が入り、自分の身体がふわりと浮いたので武尊は自分を抱きかかえた蒼紫の顔を見た。
「蒼紫?」
武尊の見た蒼紫の顔には何やら迷いがあった。
自分の揺れ動く心情を悟られまいと蒼紫は武尊から視線をそらし、
「部屋へ戻るぞ。」
と、ただそれだけを武尊に伝えて風のように元の部屋へ向かった。
右近は二人の姿を見送り、そして呟いた。
「蒼紫様・・これが私に出来る恩返しでございます。その為ならこの命、喜んで差し出しいたします。」
余談雑談:
東北の銘菓って胡桃ゆべしが多いのは私の気のせいでしょうか。
でもおいしいから好き・・・。(笑)
蒼紫は東の翁の事を二人きりの時は特に名前で呼ぶことが多いみたいです。
きっと昔はそういう間柄だったのでしょう。
【クサカベ カン】の話は創作です。
しかし本当は御庭番衆の中だけで使われてそうな言葉とかはいろいろあったのではないかと思いました。
御庭番衆の隠語に興味あり・・。(^_^;)
夢主が飲んでしまったものは本当に毒、なのでしょうか。
流石、御庭番衆。
怪しい物がありすぎです。
そして東の翁もこの物語の御庭番衆に違わずちょっと暴走気味かもしれません。
2015.02.03
いくら友でも際どい気がすると武尊は少しドキドキしていた。
その一方で他に分かりやすい説明の仕方はなかったし、蒼紫のあの性格を考えればあれは純粋に相手に納得してもらいたいが為の説明をしたに過ぎないとも思える行動だった。
(私が変に意識しているだけなのかもしれない。)
その真相はどうであれ、今夜は二人きり。
もし、・・もしも蒼紫に変な事をされたらどうしようと武尊は心配になる気持ちもあった。
「比古さん・・、一・・・どうしよう・・。かと言ってこんな遠くまで遠路はるばる来てくれて、しかも助けてくれて、こんないい温泉に泊めてもらうようにしてもらっているのにそっけない態度はとれないよね・・。」
すっかり武尊の頭の中は余計な思考が堂々巡りをして思いっきり長湯をしてしまった。
(露天風呂で冷たい風が当たるのでいくらでも長湯が出来たのはいいけど、やっぱりのぼせたかも・・。)
立ち上がるとクラクラすると思いながらぼーっとしながら武尊は部屋へと戻っていると長い渡り廊下の途中、武尊がはっと気がつくとの目の前に右近がいた。
「あっ、翁さん。先程の夕餉はとてもおいしかったです。それに露天風呂も本当にいいお湯でした。今夜はぐっすり眠れそうです。」
武尊は心からそう言った。
右近は武尊のまるで湯気が立つかと思うぐらいに足の先から顔まで紅潮している姿を見て、
「それはようございました。その御様子では長湯をされましたね。」
とにこやかに言い、お盆に乗っていたお茶を武尊に差し出した。
「食後のお茶はいかがかと思いましてお持ちいたしました。煮出して覚ましたものですから熱くございません、宜しければ今いかがですか。」
「ありがとうございます、長湯をして丁度喉がカラカラだったんです。」
武尊はごくごくと湯呑のお茶を飲み干した。
「・・翁さん、これ少し変わった味ですね。クマ笹茶ですか?」
武尊は北海道にいた時に健康にいいと言われて飲んだお茶を思い出した。
「いえ、薬草を煎じた茶という事には変わりはございませんが・・・。」
と右近が言っていると向うから蒼紫がやって来た。
蒼紫は武尊の帰りがあまりにも遅いので露天風呂に沈んでいるのではないかと心配して様子を見にきたのだった。
「あ、蒼紫。」
武尊が右近の視線を追って蒼紫に気がついた時、武尊の膝がカクンと折れた。
「あれ?」
危く前にすっ転びそうだった武尊を間一髪で蒼紫が抱きとめた。
「あれれ・・?」
武尊は今のは何かの拍子に膝カックンが起こったと思い、普通に立とうとしたが膝から下に力が急に入らなくなっていた。
武尊の様子が変だとすぐに気がついた蒼紫だったが、微かに匂った茶の香りに蒼紫は右近を睨みつけた。
「右近、お前まさか・・・。」
蒼紫の言葉に武尊もハッと翁を見上げた。
にこやかだった右近の顔が一瞬だけ能面のような無表情に変わり、また元に戻った。
武尊はその一瞬に恐怖を感じ身震いをした。
そして一段低い声で、
「御察しの通りでございます、蒼紫様。」
と言った。
武尊は自分を抱えている蒼紫の手が怒りの所為か震えているのを感じて翁から蒼紫の方を見た。
少しの間無言で唇を噛みしめているように見えた蒼紫は右近に向かってこう言った。
「事が終わったらその首繋がっていると思うなよ。」
「え!?」
蒼紫の口から出た尋常じゃない言葉に武尊は自分の耳を疑った。
「ええ??蒼紫?どういう事?」
右近も右近で蒼紫にそのように言われたにもかかわらず蒼紫に対し頭を下げ、
「なんなりと蒼紫様のお好きなように。」
などと言う始末。
まったく二人の会話が見えず武尊は首をひねるばかり。
この状況の始まりは自分が何かやばいお茶と飲んだという事。
(もしかして、毒!?私が翁さんにとって気に入らなかったから?)
そうは思って見たものの何が悪かったのか武尊には皆目見当がつかなかった。
その時自分を支えていた蒼紫の腕に力が入り、自分の身体がふわりと浮いたので武尊は自分を抱きかかえた蒼紫の顔を見た。
「蒼紫?」
武尊の見た蒼紫の顔には何やら迷いがあった。
自分の揺れ動く心情を悟られまいと蒼紫は武尊から視線をそらし、
「部屋へ戻るぞ。」
と、ただそれだけを武尊に伝えて風のように元の部屋へ向かった。
右近は二人の姿を見送り、そして呟いた。
「蒼紫様・・これが私に出来る恩返しでございます。その為ならこの命、喜んで差し出しいたします。」
余談雑談:
東北の銘菓って胡桃ゆべしが多いのは私の気のせいでしょうか。
でもおいしいから好き・・・。(笑)
蒼紫は東の翁の事を二人きりの時は特に名前で呼ぶことが多いみたいです。
きっと昔はそういう間柄だったのでしょう。
【クサカベ カン】の話は創作です。
しかし本当は御庭番衆の中だけで使われてそうな言葉とかはいろいろあったのではないかと思いました。
御庭番衆の隠語に興味あり・・。(^_^;)
夢主が飲んでしまったものは本当に毒、なのでしょうか。
流石、御庭番衆。
怪しい物がありすぎです。
そして東の翁もこの物語の御庭番衆に違わずちょっと暴走気味かもしれません。
2015.02.03