※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
180.御庭番式恩返し (蒼紫・夢主・右近)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
なんとなく蒼紫が曲がりくねった渡り廊下を歩いているのを見送った武尊はふと横を見ると右近が自分の顔を見ているのに気がついた。
思わず武尊は、
「あの・・この傷気になりますか?すみません。」
と、バツが悪そうに右手で傷を押さえた。
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。蒼紫様のお連れの方に不快な思いをさせてしまいました。」
「いえ、大丈夫です、気になさらないで下さい。」
右近の顔を見ながら少し物悲しげに微笑む武尊の眼は澄んできれいだった。
「武尊様、蒼紫様は大変でございましょう。」
物腰の柔らかい右近の言葉に気を抜いていた武尊は、
「え、ええ・・まあ・・。でも慣れました。」
と、本音がポロリと出てしまった。
なんてこと言うんだ自分!この人は御庭番衆だぞ!と思い慌てて手で口を塞いだ武尊だったが右近は笑って武尊に言った。
「いいんですよ。蒼紫様は少々難しい御方なんです。」
そうだった、この人は御庭番衆。蒼紫の事をよく知っている人なんだ、と武尊は思った。
そしてその言いようから他の御庭番衆に違わず蒼紫をとても敬愛しているという事が感じられた。
「武尊さん。」
不意に呼ばれて武尊は右近を見た。
右近はにこっと笑って懐から懐紙に包まれたお菓子を取り出した。
「これをあなたに。夕餉の前ですが宜しければどうぞ。」
「うわっ、ありがとうございます。」
武尊が受け取って懐紙を開くと胡桃ゆべしが入っていた。
「おいしそう!」
だが武尊はそのまま懐紙を閉じた。
「お気に召しませんでしたか?」
「いえ、胡桃ゆべしは大好きです。でも蒼紫が戻ってきたら半分こして食べます。だって蒼紫にはゆべし出してないでしょ。」
お盆には急須と湯呑しかない。
蒼紫もゆべしを食べていたなら懐紙が置いてあるはずだと武尊は思った。
「分かりました。では私は夕餉をお持ちしに戻ります。夜は急に冷えますので湯冷めしないようにして下さいまし。あ、それから。」
右近はそう言って八畳間の行燈に灯りをつけると武尊の洋服一式を持って本館へ戻っていった。
時は夕暮れ。
空には一番星。
右近が戻っていった後には渡り廊下に吊り下げられている提灯に灯が入りほんのりとした灯りが点々と本館との通路を照らした。
「きれい・・。」
刻々と変わる空のグラデーションに武尊はお茶をすすりながら贅沢な時間だと思いながら眺めていた。
思わず武尊は、
「あの・・この傷気になりますか?すみません。」
と、バツが悪そうに右手で傷を押さえた。
「いえ、こちらこそ申し訳ございません。蒼紫様のお連れの方に不快な思いをさせてしまいました。」
「いえ、大丈夫です、気になさらないで下さい。」
右近の顔を見ながら少し物悲しげに微笑む武尊の眼は澄んできれいだった。
「武尊様、蒼紫様は大変でございましょう。」
物腰の柔らかい右近の言葉に気を抜いていた武尊は、
「え、ええ・・まあ・・。でも慣れました。」
と、本音がポロリと出てしまった。
なんてこと言うんだ自分!この人は御庭番衆だぞ!と思い慌てて手で口を塞いだ武尊だったが右近は笑って武尊に言った。
「いいんですよ。蒼紫様は少々難しい御方なんです。」
そうだった、この人は御庭番衆。蒼紫の事をよく知っている人なんだ、と武尊は思った。
そしてその言いようから他の御庭番衆に違わず蒼紫をとても敬愛しているという事が感じられた。
「武尊さん。」
不意に呼ばれて武尊は右近を見た。
右近はにこっと笑って懐から懐紙に包まれたお菓子を取り出した。
「これをあなたに。夕餉の前ですが宜しければどうぞ。」
「うわっ、ありがとうございます。」
武尊が受け取って懐紙を開くと胡桃ゆべしが入っていた。
「おいしそう!」
だが武尊はそのまま懐紙を閉じた。
「お気に召しませんでしたか?」
「いえ、胡桃ゆべしは大好きです。でも蒼紫が戻ってきたら半分こして食べます。だって蒼紫にはゆべし出してないでしょ。」
お盆には急須と湯呑しかない。
蒼紫もゆべしを食べていたなら懐紙が置いてあるはずだと武尊は思った。
「分かりました。では私は夕餉をお持ちしに戻ります。夜は急に冷えますので湯冷めしないようにして下さいまし。あ、それから。」
右近はそう言って八畳間の行燈に灯りをつけると武尊の洋服一式を持って本館へ戻っていった。
時は夕暮れ。
空には一番星。
右近が戻っていった後には渡り廊下に吊り下げられている提灯に灯が入りほんのりとした灯りが点々と本館との通路を照らした。
「きれい・・。」
刻々と変わる空のグラデーションに武尊はお茶をすすりながら贅沢な時間だと思いながら眺めていた。