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180.御庭番式恩返し (蒼紫・夢主・右近)
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「頂こう。」
蒼紫は目を開けた。
右近は蒼紫の側に座り盆を廊下に置いて急須から茶を湯呑に注いだ。
「相変わらず美味いな。」
蒼紫も京都からここまでずっと心休まることなく走って来たのだ。
やっと一息つけたと茶を飲み干した。
「茶の湯を御所望でしたら簡易ではございますが御用意いたしますが。」
「いや、いい。ここには茶の湯に来た訳ではないからな。」
右近は茶道の師範の資格を持っている。
一時期ではあったが蒼紫に茶道を教えたのも右近である。
右近は蒼紫が温もりの残る湯呑を手の内に収め一息ついたのを見て、
「蒼紫様は武尊様と御一緒にお入りにならなかったのですか?」
と聞いた。
「俺と武尊はそんな仲ではない。」
カタリと蒼紫は湯呑を置いた。
「ではどのような。」
「・・・俺のかけがえのない友だ。」
蒼紫は少し時間を置いて呟くようにそう言った。
右近はそう言った蒼紫を見つめていると蒼紫は言葉を続けた。
「武尊がいないと俺の中が乾いた砂粒のようになる。先程の茶が喉を潤すように武尊は俺の渇きを潤すのに必要不可欠なのだ。」
右近は黙ってそれを聞いていたが少し間を置いて話題を変えこう言った。
「蒼紫様、私は一番に再就職先を見つけて御庭番衆を離れましたがその後皆はどうなりましたか。」
「他の者は何とか次の仕事を見つかった。・・般若、式尉、火男、癋見以外はな。」
「般若達はどうしているのですか。」
「あの四人は死んだ。葵屋の皆で弔ったばかりだ。」
「そうでございますか。」
右近は仲間の死の知らせに哀しいため息を一つもらした。
だが右近には四人の死の理由を聞くよりも知りたい事があった。
それは死んだ者より生きている者の話。
「それでは蒼紫様は今は葵屋に?西の翁や先代の孫娘はいかがお過ごしでしょうか。」
「嗚呼・・西の翁は死にそうにないぐらい元気だ。操もすでに十六、時が経つのは早いものだ。白尉、黒尉、お近にお増も相変わらずだ。」
「それはようございました。」
右近はそう言うと蒼紫と共に自分の背後を振り返った。
丁度渡り廊下の角を曲がった風呂上りの武尊が姿を見せたところだった。
「あ、翁さん、とてもいいお湯でした。」
武尊はすっきりニコニコ顔で温泉宿の主にペコリと御礼をした。
「それはよかったです。」
右近も営業スマイルで武尊ににこりとした。
「喉がお渇きでしょう、お茶をお持ちしましたのでどうぞ。」
と右近は武尊にお茶を注いだ。
「ありがとうございます。」
武尊は御礼を言った後、蒼紫に、
「蒼紫、お先でした。すごくいい露天風呂だったから蒼紫も早く行った方がいいよ。」
武尊は湯でほんのり色づいた肌で露天風呂の素晴らしさを興奮気味に語った。
「そうか・・では行って来るか。」
蒼紫は立ち上がって浴衣を持ち露天風呂に向かった。
右近とすれ違いざまに武尊に聞こえないように、
「・・余計なことはするな。」
と言い残して。
蒼紫は目を開けた。
右近は蒼紫の側に座り盆を廊下に置いて急須から茶を湯呑に注いだ。
「相変わらず美味いな。」
蒼紫も京都からここまでずっと心休まることなく走って来たのだ。
やっと一息つけたと茶を飲み干した。
「茶の湯を御所望でしたら簡易ではございますが御用意いたしますが。」
「いや、いい。ここには茶の湯に来た訳ではないからな。」
右近は茶道の師範の資格を持っている。
一時期ではあったが蒼紫に茶道を教えたのも右近である。
右近は蒼紫が温もりの残る湯呑を手の内に収め一息ついたのを見て、
「蒼紫様は武尊様と御一緒にお入りにならなかったのですか?」
と聞いた。
「俺と武尊はそんな仲ではない。」
カタリと蒼紫は湯呑を置いた。
「ではどのような。」
「・・・俺のかけがえのない友だ。」
蒼紫は少し時間を置いて呟くようにそう言った。
右近はそう言った蒼紫を見つめていると蒼紫は言葉を続けた。
「武尊がいないと俺の中が乾いた砂粒のようになる。先程の茶が喉を潤すように武尊は俺の渇きを潤すのに必要不可欠なのだ。」
右近は黙ってそれを聞いていたが少し間を置いて話題を変えこう言った。
「蒼紫様、私は一番に再就職先を見つけて御庭番衆を離れましたがその後皆はどうなりましたか。」
「他の者は何とか次の仕事を見つかった。・・般若、式尉、火男、癋見以外はな。」
「般若達はどうしているのですか。」
「あの四人は死んだ。葵屋の皆で弔ったばかりだ。」
「そうでございますか。」
右近は仲間の死の知らせに哀しいため息を一つもらした。
だが右近には四人の死の理由を聞くよりも知りたい事があった。
それは死んだ者より生きている者の話。
「それでは蒼紫様は今は葵屋に?西の翁や先代の孫娘はいかがお過ごしでしょうか。」
「嗚呼・・西の翁は死にそうにないぐらい元気だ。操もすでに十六、時が経つのは早いものだ。白尉、黒尉、お近にお増も相変わらずだ。」
「それはようございました。」
右近はそう言うと蒼紫と共に自分の背後を振り返った。
丁度渡り廊下の角を曲がった風呂上りの武尊が姿を見せたところだった。
「あ、翁さん、とてもいいお湯でした。」
武尊はすっきりニコニコ顔で温泉宿の主にペコリと御礼をした。
「それはよかったです。」
右近も営業スマイルで武尊ににこりとした。
「喉がお渇きでしょう、お茶をお持ちしましたのでどうぞ。」
と右近は武尊にお茶を注いだ。
「ありがとうございます。」
武尊は御礼を言った後、蒼紫に、
「蒼紫、お先でした。すごくいい露天風呂だったから蒼紫も早く行った方がいいよ。」
武尊は湯でほんのり色づいた肌で露天風呂の素晴らしさを興奮気味に語った。
「そうか・・では行って来るか。」
蒼紫は立ち上がって浴衣を持ち露天風呂に向かった。
右近とすれ違いざまに武尊に聞こえないように、
「・・余計なことはするな。」
と言い残して。