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180.御庭番式恩返し (蒼紫・夢主・右近)
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「蒼紫様。」
座禅を組んで瞑想をしている蒼紫のもとに右近がやって来た。
「どうした。」
蒼紫は目をつむったまま答えた。
「いつから座禅などをお組みに?」
「俺が座禅をしてはおかしいか。」
「いえ・・ただ年月が流れたのだと感じた次第でございます。」
右近はそう答えて昔を懐かしむように庭を眺めた。
無血開城を迎えた江戸城から追い出されるように放り出された御庭番衆は生きるために他の職を探さなければならなかった。
その中でも右近は再び徳川の時代に戻る事を信じ、次期決戦の場と言われた会津に潜入し情報を得ようとこの宿を再就職先に選んで早十年。
その折に紹介状など、御頭の蒼紫にいろいろ手を尽くしてもらった恩はただの一度も忘れたことはない。
歳は息子がいたらそれくらいの歳になっているだろうと思われる年下の御頭を尊敬し、また息子のようにも思っていた。
願わくば生きているうちにせめてもう一度姿だけでも拝見したいと思っていた矢先、すっかり立派になった蒼紫と再会し心を震わせた右近だった。
その一方、右近には懸念事項もあった。
(蒼紫様は情は篤いが責任感が強すぎて自分を常に殺してしまわれる。御公儀なき今、これからの時代は御自分の幸せを追及して欲しいものだ。)
右近はそう思ったものの、幼少のころから蒼紫に、『女は男を惑わす悪しき者だ』とか『女は目的を達する為の道具だ』と、散々女を手段や目的の為にの使うように教えたのは他でもない右近自身だった。
それが【御頭】暗殺しようとする敵のくノ一から守る術だったにしても今やその必要性はない。
そう右近は思ってはいるのだが自分自身の事を問えばそれは簡単ではない。
長年女を道具として見て来た所為であろうか、御庭番衆を離れた今でも女を人間として見ることができないのである。
仕事上、仲居や女中には笑顔で話しかけもすれば冗談で笑わせたりもする。
だがその言動や表情は自分で計算して作りだしたものでどうしたら効率よく自分の要求通りに動いてもらうかということを考えてのことなのだ。
人として生まれながらも人を愛せない人間になってしまったのはこれまで自分が何をしてきたか、胸に手を当てて聞いてみればこれが己がしてきたことの罰であると右近はそう考えていた。
自分は良い、だが蒼紫には人として幸せな人生を歩んで欲しいと、ただそれだけを願っていた。
先程蒼紫が右近の前に現れた時、右近には驚いた事があった。
それは蒼紫が女を連れていたという事であった。
女の裏の裏まで知り尽くした右近にとっては武尊が女である事はすぐに分かった。
(いくら情に篤い蒼紫様でもただの女を一緒に泊めて欲しいと言われるだろうか。)
という疑惑の念と、
(これはもしや・・!)
と、予想外の嬉しい出来事の直感に右近は期待した。
蒼紫が自分と違い、人として目覚めたという事かもしれないとその真意を右近は確かめたいという気持ちでいっぱいになった。
その為には武尊がどういう人間か見る必要がある。
武尊の何が蒼紫を引き付けたのか右近は大いに興味を持った。
右近は先程露天風呂の武尊を覗いて来た所だった。
白いもち肌、胸は小さ目だが均整のとれた肢体に目の肥えた右近も高得点をつけた。
顔に傷がある事や斬髪であることは何らかの理由があればそうなってしまう事もあるのだろうと思っていたが、背中の大きな刀傷や肩の銃創の痕には右近は驚いた。
(コヤツ・・何奴。)
御庭番衆のくノ一であるならば自分は全て掌握しているはず、では何処の手の者、と右近は武尊を少し警戒した。
「右近、何の用事だ。」
座禅をしていた蒼紫に話しかけられ武尊の裸を回想していた右近はハッとして我に返った。
「はい、お湯に入った後は喉がお渇きになるかと思いましてお茶をお持ちいたしました。蒼紫様もいかがですか。」
座禅を組んで瞑想をしている蒼紫のもとに右近がやって来た。
「どうした。」
蒼紫は目をつむったまま答えた。
「いつから座禅などをお組みに?」
「俺が座禅をしてはおかしいか。」
「いえ・・ただ年月が流れたのだと感じた次第でございます。」
右近はそう答えて昔を懐かしむように庭を眺めた。
無血開城を迎えた江戸城から追い出されるように放り出された御庭番衆は生きるために他の職を探さなければならなかった。
その中でも右近は再び徳川の時代に戻る事を信じ、次期決戦の場と言われた会津に潜入し情報を得ようとこの宿を再就職先に選んで早十年。
その折に紹介状など、御頭の蒼紫にいろいろ手を尽くしてもらった恩はただの一度も忘れたことはない。
歳は息子がいたらそれくらいの歳になっているだろうと思われる年下の御頭を尊敬し、また息子のようにも思っていた。
願わくば生きているうちにせめてもう一度姿だけでも拝見したいと思っていた矢先、すっかり立派になった蒼紫と再会し心を震わせた右近だった。
その一方、右近には懸念事項もあった。
(蒼紫様は情は篤いが責任感が強すぎて自分を常に殺してしまわれる。御公儀なき今、これからの時代は御自分の幸せを追及して欲しいものだ。)
右近はそう思ったものの、幼少のころから蒼紫に、『女は男を惑わす悪しき者だ』とか『女は目的を達する為の道具だ』と、散々女を手段や目的の為にの使うように教えたのは他でもない右近自身だった。
それが【御頭】暗殺しようとする敵のくノ一から守る術だったにしても今やその必要性はない。
そう右近は思ってはいるのだが自分自身の事を問えばそれは簡単ではない。
長年女を道具として見て来た所為であろうか、御庭番衆を離れた今でも女を人間として見ることができないのである。
仕事上、仲居や女中には笑顔で話しかけもすれば冗談で笑わせたりもする。
だがその言動や表情は自分で計算して作りだしたものでどうしたら効率よく自分の要求通りに動いてもらうかということを考えてのことなのだ。
人として生まれながらも人を愛せない人間になってしまったのはこれまで自分が何をしてきたか、胸に手を当てて聞いてみればこれが己がしてきたことの罰であると右近はそう考えていた。
自分は良い、だが蒼紫には人として幸せな人生を歩んで欲しいと、ただそれだけを願っていた。
先程蒼紫が右近の前に現れた時、右近には驚いた事があった。
それは蒼紫が女を連れていたという事であった。
女の裏の裏まで知り尽くした右近にとっては武尊が女である事はすぐに分かった。
(いくら情に篤い蒼紫様でもただの女を一緒に泊めて欲しいと言われるだろうか。)
という疑惑の念と、
(これはもしや・・!)
と、予想外の嬉しい出来事の直感に右近は期待した。
蒼紫が自分と違い、人として目覚めたという事かもしれないとその真意を右近は確かめたいという気持ちでいっぱいになった。
その為には武尊がどういう人間か見る必要がある。
武尊の何が蒼紫を引き付けたのか右近は大いに興味を持った。
右近は先程露天風呂の武尊を覗いて来た所だった。
白いもち肌、胸は小さ目だが均整のとれた肢体に目の肥えた右近も高得点をつけた。
顔に傷がある事や斬髪であることは何らかの理由があればそうなってしまう事もあるのだろうと思っていたが、背中の大きな刀傷や肩の銃創の痕には右近は驚いた。
(コヤツ・・何奴。)
御庭番衆のくノ一であるならば自分は全て掌握しているはず、では何処の手の者、と右近は武尊を少し警戒した。
「右近、何の用事だ。」
座禅をしていた蒼紫に話しかけられ武尊の裸を回想していた右近はハッとして我に返った。
「はい、お湯に入った後は喉がお渇きになるかと思いましてお茶をお持ちいたしました。蒼紫様もいかがですか。」