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179.東の翁 (蒼紫・夢主・右近)
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風呂場へ続く長い渡り廊下は途中より上り坂になっていた。
歩きながら武尊がふと横を見れば、山間部の夕暮れは少し紅葉した木々を更に赤く染め山肌を美しく色づかせていた。
「最高じゃん。」
武尊はようやく会津までの遠い道のりを歩いてきた疲れが癒される気がした。
そのまま武尊が渡り廊下を歩いてゆけばやがて暖簾がかかった簡易脱衣所が見えてきた。
どうやらそこが目的地で、その奥は湯けむりが上がっていた。
「うわぁ!」
武尊は早速脱衣所で素っ裸になると脱衣所の奥のへ駆け込んだ。
四畳ほどもある岩の露天風呂が武尊の前に姿を現した。
「すごーい・・。」
未来でも十分通じる露天風呂の醍醐味がそこには詰まっていた。
湯船の一角、岩の隙間よりかなりの湯が流れ込んでおり少し低く作られた反対側より湯が溢れだしていた。
「天然温泉かけ流しだ。お湯使い放題ー!」
武尊ははしゃぎながら浴槽の側にしゃがみ、手を入れ湯温を確認すると、にんまりしてそこに置いてあった手桶で湯を汲み頭にぶっかけた。
「うわぁ、気持ちいいー!」
水汲みという重労働なしでこんなにお湯が使えるなんて、なんて贅沢なんだろうと思いつつ、武尊は湯を頭から三度四度とかけ続けた。
石鹸は見当たらなかったものの、手で全身をこすり武尊は湯船に見を沈めた。
「ふあぁぁ~、幸せ~~~。」
首までどっぷり湯につかり武尊は目をつむって吐息をもらした。
足首の靴ずれにお湯がしみて少々痛いが全身を癒す気持ち良さに比べればなんてことはなかった。
一息ついて目を開けた武尊は湯船の側の立て看板に気がついた。
そこには効能が書いてあった。
【切傷、打身、火傷、皮膚病、虚弱、痛風に効き目あり】
「へぇ・・結構何でも効くんだ。有り難いなぁ。」
武尊はぺろっと人差し指を舐めた。
「苦しょっぱい、ふうん、塩泉(※1)か。だから傷に効くってわけね、なるほど。」
武尊は感心しながら右手で湯をすくって反対側の肩へかけて背中の傷に手をやった。
背中の傷はもう今では痛まない。
武尊は自分でその傷を見た事はないけれどもその傷が早く治ればいいのにと思った。
お湯に浸かって膝を伸ばしていると武尊はもっと気持ち良くなりたいと思った。
「ふふっ、泳ぐには狭いけどせっかくだから泳いじゃお!」
重力から解放されて手足を伸ばす解放感が最高に気持ちいいと武尊は思った。
武尊が湯船の対岸から対岸へ何度か平泳ぎをした後、視線を感じたのではっと顔をそちらに向けた。
「・・・気のせいか?」
確かに脱衣所の方から視線を感じたと思って武尊はその方向を凝視したが気配は一度きりで物音ひとつしなかった。
「やっぱり気のせいか。」
ちょっと納得がいかないと思った武尊だったが、蒼紫の『足首をあまり温めるな』という言葉を思い出してとりあえずあがることにした。
「まさか蒼紫がのぞいていた・・とか?」
自分が長湯をしているから待ちきれなくなって交代を催促にきたかと武尊は一瞬思ったが、身体を洗ったのも五分以内、湯に浸かっていたのも五分以内、そんなに時間は経っていない。
きっと気のせいだったと武尊はホカホカの身体に浴衣を着て部屋へ戻っていった。
※1、東山温泉の泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩塩化物泉 です。
食塩系の塩化物泉は殺菌効果があるので外傷治癒に効果があるとされています。
また、汗の蒸発をふせぐ効果があるので湯ざめしにくいといわれています。
2015/01/28
歩きながら武尊がふと横を見れば、山間部の夕暮れは少し紅葉した木々を更に赤く染め山肌を美しく色づかせていた。
「最高じゃん。」
武尊はようやく会津までの遠い道のりを歩いてきた疲れが癒される気がした。
そのまま武尊が渡り廊下を歩いてゆけばやがて暖簾がかかった簡易脱衣所が見えてきた。
どうやらそこが目的地で、その奥は湯けむりが上がっていた。
「うわぁ!」
武尊は早速脱衣所で素っ裸になると脱衣所の奥のへ駆け込んだ。
四畳ほどもある岩の露天風呂が武尊の前に姿を現した。
「すごーい・・。」
未来でも十分通じる露天風呂の醍醐味がそこには詰まっていた。
湯船の一角、岩の隙間よりかなりの湯が流れ込んでおり少し低く作られた反対側より湯が溢れだしていた。
「天然温泉かけ流しだ。お湯使い放題ー!」
武尊ははしゃぎながら浴槽の側にしゃがみ、手を入れ湯温を確認すると、にんまりしてそこに置いてあった手桶で湯を汲み頭にぶっかけた。
「うわぁ、気持ちいいー!」
水汲みという重労働なしでこんなにお湯が使えるなんて、なんて贅沢なんだろうと思いつつ、武尊は湯を頭から三度四度とかけ続けた。
石鹸は見当たらなかったものの、手で全身をこすり武尊は湯船に見を沈めた。
「ふあぁぁ~、幸せ~~~。」
首までどっぷり湯につかり武尊は目をつむって吐息をもらした。
足首の靴ずれにお湯がしみて少々痛いが全身を癒す気持ち良さに比べればなんてことはなかった。
一息ついて目を開けた武尊は湯船の側の立て看板に気がついた。
そこには効能が書いてあった。
【切傷、打身、火傷、皮膚病、虚弱、痛風に効き目あり】
「へぇ・・結構何でも効くんだ。有り難いなぁ。」
武尊はぺろっと人差し指を舐めた。
「苦しょっぱい、ふうん、塩泉(※1)か。だから傷に効くってわけね、なるほど。」
武尊は感心しながら右手で湯をすくって反対側の肩へかけて背中の傷に手をやった。
背中の傷はもう今では痛まない。
武尊は自分でその傷を見た事はないけれどもその傷が早く治ればいいのにと思った。
お湯に浸かって膝を伸ばしていると武尊はもっと気持ち良くなりたいと思った。
「ふふっ、泳ぐには狭いけどせっかくだから泳いじゃお!」
重力から解放されて手足を伸ばす解放感が最高に気持ちいいと武尊は思った。
武尊が湯船の対岸から対岸へ何度か平泳ぎをした後、視線を感じたのではっと顔をそちらに向けた。
「・・・気のせいか?」
確かに脱衣所の方から視線を感じたと思って武尊はその方向を凝視したが気配は一度きりで物音ひとつしなかった。
「やっぱり気のせいか。」
ちょっと納得がいかないと思った武尊だったが、蒼紫の『足首をあまり温めるな』という言葉を思い出してとりあえずあがることにした。
「まさか蒼紫がのぞいていた・・とか?」
自分が長湯をしているから待ちきれなくなって交代を催促にきたかと武尊は一瞬思ったが、身体を洗ったのも五分以内、湯に浸かっていたのも五分以内、そんなに時間は経っていない。
きっと気のせいだったと武尊はホカホカの身体に浴衣を着て部屋へ戻っていった。
※1、東山温泉の泉質はカルシウム・ナトリウム-硫酸塩塩化物泉 です。
食塩系の塩化物泉は殺菌効果があるので外傷治癒に効果があるとされています。
また、汗の蒸発をふせぐ効果があるので湯ざめしにくいといわれています。
2015/01/28