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179.東の翁 (蒼紫・夢主・右近)
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蒼紫が大きな玄関の扉をカラカラと開けると仲居が出てきた。
武尊は蒼紫の一歩後ろで今夜泊めてもらえるだろうかとハラハラして待機していた。
蒼紫が部屋が空いているかどうか聞くと仲居は、
「申し訳ございません、明日なら一部屋空いてございますがもう今日は空いてる部屋がございません。余所を当っておくんなさいまし。」
と言うではないか。
あちゃーと武尊ががっくり思っていると蒼紫は、
「連れが足を怪我している。使用人の部屋でもいい、寝る所と簡単な食事を提供してもらいたい。翁・・いや、主人を呼んでくれ。【蒼紫】と言えば分かるはずだ。」
と蒼紫が強く言うので仲居は断れず、
「へぇ、では少々お待ちください。」
と言って奥に下がって行った。
せっかくいい温泉に入れると期待していただけに今夜は泊れないと聞いて落胆した武尊だったが蒼紫の粘りにまだ少し希望を残した。
(翁?蒼紫今翁って言ったよね。まさか葵屋の翁さんっていうことはないと思うけど・・とにかくここの御主人さんは蒼紫の知ってる人みたいで・・・いい人だったらいいな。)
武尊がそんな期待を持って待っているとすぐに初老の男性が玄関に飛び出してきた。
「蒼紫様、遠路遥々ようこそおいで下さいました。」
と深々と蒼紫に頭を下げると旅館の主についてきた仲居はそんなに偉い人なのかと思って慌てて頭を下げた。
武尊もびっくりして反射的に御主人と仲居に頭を下げた。
「翁・・久しいな。変わりないか。」
「はい、蒼紫様もお変わりございませんようでようございました。」
「早速無理を言って済まない二、三日どこかに泊めてくれないか。客用の部屋でなくていい。武尊の傷に湯を使いたい。」
蒼紫がそう言うと主人はあっさり、
「わかりました。」
と答えた。
蒼紫と主人のやり取りを見て武尊は瞬時にこれはもしかして御庭番衆繋がり?!とピンと来るものがあった。
そういえば目の前の男はまさかの忍者で若くしてその頂点を極めたという男だったという事を改めて武尊は意識した。
東京で蒼紫に会った時はほとんど二人だけの事が多くて蒼紫が御頭の立場にあるということは全く意識しなかったが、仲間内での蒼紫がどれだけ偉いのかという事を実感させられた武尊だった。
(そういえば般若達の陶酔度も半端じゃなかったしな・・。)
蒼紫の後ろで目をぱちくりさせながらも武尊は黙って二人のやり取りを聞いていた。
「恩にきる。」
蒼紫がそう言うと主人は仲居に何かを指示し、
「さあ、どうぞおあがり下さい。」
と片手を出して奥を示した。
(ヤッター!トマレル!)
しかもかなり良さげな温泉宿、武尊の脳内は温泉の文字で埋め尽くされた。
今日ばかりは蒼紫に心から素直に感謝したい!・・でも泥だらけ・・どうしよう。
武尊が上がるのを戸惑っていると蒼紫が懐から手ぬぐいを出し、
「靴を脱げ武尊。」
と言った。
「え。」
「俺の肩に摑まって靴を脱げ。」
武尊の捻挫した足では片足立ちで靴を脱ぐのは難しいと判断した結果の言葉だった。
「ありがとう蒼紫。」
武尊もこんな所でもたもたするのも迷惑かと肩を借りて靴を脱ぐと蒼紫は武尊の足袋を脱がして自分の手ぬぐいで武尊の足を拭いてやった。
武尊は履きっぱなしの靴の中にあった(しかも雨で濡れた靴で長時間蒸れた足)を拭かれるのはある意味ショックだったが自分の手ぬぐいとかは絞ったら水が出そうなくらい湿気ているのでされるがままになるしかなかった。
そして脱いだ泥だらけの靴を見て、
「あの・・靴はどうすれば・・?」
と、心配そうに尋ねると主人は、
「そこで結構でございますよ。」
と言われたのですみませんと頭を下げ、コートを脱いで内返しにして泥が落ちないように手に持つと、主人に案内される蒼紫の後をついて行った。
武尊は蒼紫の一歩後ろで今夜泊めてもらえるだろうかとハラハラして待機していた。
蒼紫が部屋が空いているかどうか聞くと仲居は、
「申し訳ございません、明日なら一部屋空いてございますがもう今日は空いてる部屋がございません。余所を当っておくんなさいまし。」
と言うではないか。
あちゃーと武尊ががっくり思っていると蒼紫は、
「連れが足を怪我している。使用人の部屋でもいい、寝る所と簡単な食事を提供してもらいたい。翁・・いや、主人を呼んでくれ。【蒼紫】と言えば分かるはずだ。」
と蒼紫が強く言うので仲居は断れず、
「へぇ、では少々お待ちください。」
と言って奥に下がって行った。
せっかくいい温泉に入れると期待していただけに今夜は泊れないと聞いて落胆した武尊だったが蒼紫の粘りにまだ少し希望を残した。
(翁?蒼紫今翁って言ったよね。まさか葵屋の翁さんっていうことはないと思うけど・・とにかくここの御主人さんは蒼紫の知ってる人みたいで・・・いい人だったらいいな。)
武尊がそんな期待を持って待っているとすぐに初老の男性が玄関に飛び出してきた。
「蒼紫様、遠路遥々ようこそおいで下さいました。」
と深々と蒼紫に頭を下げると旅館の主についてきた仲居はそんなに偉い人なのかと思って慌てて頭を下げた。
武尊もびっくりして反射的に御主人と仲居に頭を下げた。
「翁・・久しいな。変わりないか。」
「はい、蒼紫様もお変わりございませんようでようございました。」
「早速無理を言って済まない二、三日どこかに泊めてくれないか。客用の部屋でなくていい。武尊の傷に湯を使いたい。」
蒼紫がそう言うと主人はあっさり、
「わかりました。」
と答えた。
蒼紫と主人のやり取りを見て武尊は瞬時にこれはもしかして御庭番衆繋がり?!とピンと来るものがあった。
そういえば目の前の男はまさかの忍者で若くしてその頂点を極めたという男だったという事を改めて武尊は意識した。
東京で蒼紫に会った時はほとんど二人だけの事が多くて蒼紫が御頭の立場にあるということは全く意識しなかったが、仲間内での蒼紫がどれだけ偉いのかという事を実感させられた武尊だった。
(そういえば般若達の陶酔度も半端じゃなかったしな・・。)
蒼紫の後ろで目をぱちくりさせながらも武尊は黙って二人のやり取りを聞いていた。
「恩にきる。」
蒼紫がそう言うと主人は仲居に何かを指示し、
「さあ、どうぞおあがり下さい。」
と片手を出して奥を示した。
(ヤッター!トマレル!)
しかもかなり良さげな温泉宿、武尊の脳内は温泉の文字で埋め尽くされた。
今日ばかりは蒼紫に心から素直に感謝したい!・・でも泥だらけ・・どうしよう。
武尊が上がるのを戸惑っていると蒼紫が懐から手ぬぐいを出し、
「靴を脱げ武尊。」
と言った。
「え。」
「俺の肩に摑まって靴を脱げ。」
武尊の捻挫した足では片足立ちで靴を脱ぐのは難しいと判断した結果の言葉だった。
「ありがとう蒼紫。」
武尊もこんな所でもたもたするのも迷惑かと肩を借りて靴を脱ぐと蒼紫は武尊の足袋を脱がして自分の手ぬぐいで武尊の足を拭いてやった。
武尊は履きっぱなしの靴の中にあった(しかも雨で濡れた靴で長時間蒸れた足)を拭かれるのはある意味ショックだったが自分の手ぬぐいとかは絞ったら水が出そうなくらい湿気ているのでされるがままになるしかなかった。
そして脱いだ泥だらけの靴を見て、
「あの・・靴はどうすれば・・?」
と、心配そうに尋ねると主人は、
「そこで結構でございますよ。」
と言われたのですみませんと頭を下げ、コートを脱いで内返しにして泥が落ちないように手に持つと、主人に案内される蒼紫の後をついて行った。