※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
175.会津へ(もう一人追加) (夢主・蒼紫・剣心・薫・山本少尉)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「遅くなっちゃったわ。」
薫はアツアツの湯気がモウモウと出ているお茶と饅頭をお盆に乗せ、こぼれないように小走りで剣心の部屋へと向かった。
あと5mほどで剣心の部屋へ着くという時に、
「ふざけるな!」
という大きな蒼紫の声と共に、ドガッツ!バキッ!と何かが破壊されるようなものすごい音が聞こえた。
何事かと思い、薫が更に急いで剣心の部屋へ来てみると、立ち上がって肩を大きく上下させている蒼紫の向こうに吹っ飛んだ襖のさらに奥の襖が壊れており、剣心がうずくまっていた。
蒼紫は剣心が逆刃刀を構える隙を与えないままそのまま剣心を蹴とばしたのだった。
剣心は部屋の後方へ蹴り飛ばされ、そのまま襖を二枚突き破ったのである。
「剣心!」
薫はお茶を下に置いて剣心に駆け寄った。
「これはっ・・どういう事ですか四乃森さん!」
と、薫は蒼紫を睨んだが蒼紫は薫など眼中になく一点見据えながら剣心に迫った。
「どういう事だ緋村、何の為に武尊が東京に来たと思っているんだ。」
脇腹を押さえ、痛みに顔をゆがめながら剣心は蒼紫を見あげた。
「何故・・そこまで武尊にこだわる、蒼紫・・。これは俺と師匠と武尊の問題・・。」
あくまでもこれは自分と武尊と比古の問題だと言い張る剣心に蒼紫は更に一発蹴りを入れてやろうと思って間合いを詰めようとしたが、薫が剣心の前に膝をついて立ちふさがった。
「どけ、神谷薫。」
「待って下さい、四乃森さん!」
黙って薫と剣心を見下ろす蒼紫。
剣心の言葉を聞いて蒼紫の脳裏をよぎったのは武尊が人斬りの罪に苦しんで泣いた姿。
目の前の男も同じ苦しみでついこの前まで落人群にまで身を落としていたのではないかと思うと蒼紫は怒りが収まらない。
何故一言でも何か言ってやらないのか、いや、その前に話をするべきではないのか・・、いや、その前に自分が神谷道場を離れる前に武尊と話をすると自分に約束したのではないかと蒼紫は憤慨した。
だが蒼紫は次の瞬間くるりと剣心に背を向けた。
「お前がそのようなつまらない男だとは思わなかったぞ、緋村。お前には失望した。」
吐き捨てるように呟く蒼紫。
すると剣心は危惧していた思いを蒼紫にぶつけた。
「確かに武尊と十六夜丸は同じ顔でも眼を見れば別人と分かるでござる・・では何故武尊が持つ雰囲気は闇を持つのでござるか?拙者はそれを恐れているのでござる。いつ武尊が十六夜丸になるのではないかと思うと・・。」
「闇?人斬りの過去が闇だというのか?罪に答えを見い出せなくて苦しむ心が闇というのか?確かに一度人を斬ればその後も必ず人を斬るという。誰しもお前のように不殺を貫けるほど強くはないだろう。だが武尊は・・・例え闇を持っていたとしても自分の意志で人斬りに戻るという事はない。そして今後二度と武尊は十六夜丸になることはない。」
薬は斎藤が持っている。
(ならば自ら武尊を十六夜丸するような事はあるまい(この間のようなことさえなければ。)と蒼紫は思った。)
あのおぞましき薬がなければ武尊は十六夜丸に変化はしないのだということを蒼紫は知っている。
「それはどういう事だ蒼紫。」
剣心は蒼紫の言った根拠がわからない。
自分の意志でなければ何なのだと蒼紫に問うた。
「それが知りたければ武尊から聞くんだな。話してくれればの話だが・・。」
そう言うと蒼紫は後ろを振り返らず部屋を出ようとした。
「蒼紫!」
剣心の言葉に蒼紫は振り返らず立ち止まった。
「武尊は東京を離れると言っていたので東京にはいないと思うでござるが・・もし蒼紫が武尊を連れて京都に帰るのならばその時はもう一度ここへ寄って欲しいでござる・・せめて詫びだけでもをしたいでござるよ。」
「・・・武尊に聞いておこう。」
蒼紫はそう言うと神谷道場を後にした。
今、蒼紫の頭にあるのは剣心が武尊と話をしなかった事ではなく、武尊がどこにいるのかという事。
剣心の言ったとおり、東京を離れたというのであれば今いったいどこにいるというのか。
(まさか本当に斎藤を追いかけて北海道へ行ったのか・・?)
だが蒼紫は東京ではお尋ね者の身、一人のこのこと警視庁へ行っては面倒な事になる。
まして斎藤は警察の密偵、なんらの任務を帯びている可能性が高い。
だとすると斎藤に関する情報を仕入れるのは簡単ではない。
(武尊の足取りを追うか・・神谷道場を海軍の軍人と一緒に出たと言っていたな。)
蒼紫は海軍兵学校へ行って山本少尉に面会を申し込んだ。
山本少尉は知らない人物からの面会を断ろうとしたが武尊に関係する人物と聞いて面会を受けた。
「率直に言おう、土岐武尊を探している。最後に会ったのが山本少尉だと聞いてこちらに伺った。」
面会室にいたのはスラリと背が高いイケメン。
山本少尉は蒼紫を上から下まで観察するような視線で蒼紫を見た。
蒼紫はそれを不快に思ったが武尊の情報の為ならと我慢をした。
「貴方は土岐殿とどのような関係ですか。私はこの先土岐殿と大事な約束をしているので土岐殿に不利になるような事でしたら何も貴方に言えませんが。」
「俺は土岐の友人だ。京都へ連れて帰る約束をしていたのだが俺が他の用事をしている間に行方不明になった。」
「友人・・ですか。それだけで今日初めて会った貴方の言葉を信用しろと。」
「武尊は・・土岐土岐は非常に方向音痴だ。東京内でさえ迷っているのに東京を離れたと聞いた。心配でないわけがないだろう。」
山本少尉は腕組みをして蒼紫を疑いの目で見ていたが蒼紫の話が本当であれば困ったことになると思い唸った。
「それは本当ですか・・うーん、方向音痴・・。そうは見えなかったんだが。」
若しそうであれば、来月の約束の日に東京に帰ってこない可能性がある。
それは非常にまずい。
山本少尉は再び蒼紫を見て悩んだ。
敵か・・味方か・・どちら側の人物かどうか、見誤れば海軍の将来に関わる。
「貴方に土岐殿の事を話せば来月の十日に土岐殿を無事確実にここに連れて来てもらえるのでしょうか。であれば私が知っている事をお話しましょう。」
「約束しよう。俺は武尊を守る者だ。」
山本少尉は強い意志で蒼紫から視線を受けた。
土岐の事を名前で呼び、それを守る者だと言いきる目の前の男。
山本少尉は蒼紫のその姿を見て武尊に抱いていた疑問が解けた。
(土岐殿はやはり女であった・・!)
そして武尊が蒼紫の想い人である事を察知した。
山本少尉はこの若さで海軍卿に見いだされるほどの人物、蒼紫が只者ではない事は姿を見た時から感じていて武尊を蒼紫に任せることにした。
「・・分かりました。お教えしましょう。土岐殿は会津へ向かったと思われます。」
「会津だと?!」
蒼紫は武尊がなぜ会津へ向かったのか全く分からなくて驚いた。
「ええ。理由は知りませんが私に会津へ行くにはどう行けばいいのか聞いてきましたから。それを土岐殿はそれを手帳に書き留めてましたから間違いないでしょう。しかし貴方は私と土岐殿がどのような約束をしたのか気にならないんですか。」
「気にしたところでどうせ任務上秘密とかで話してはくれないのだろう。」
「・・おっしゃる通りです。」
「俺が今優先させるべきは武尊の行方、それだけだ。」
蒼紫は山本少尉に礼を言って海軍兵学校を後にした。
(北か・・。迷子になっていない事を祈るぞ武尊。)
蒼紫は空を見上げた。
武尊が会津へ向かったのは五日前、早く追いつかなければと蒼紫はそのまま会津へと急いだ。
2014.12.23
薫はアツアツの湯気がモウモウと出ているお茶と饅頭をお盆に乗せ、こぼれないように小走りで剣心の部屋へと向かった。
あと5mほどで剣心の部屋へ着くという時に、
「ふざけるな!」
という大きな蒼紫の声と共に、ドガッツ!バキッ!と何かが破壊されるようなものすごい音が聞こえた。
何事かと思い、薫が更に急いで剣心の部屋へ来てみると、立ち上がって肩を大きく上下させている蒼紫の向こうに吹っ飛んだ襖のさらに奥の襖が壊れており、剣心がうずくまっていた。
蒼紫は剣心が逆刃刀を構える隙を与えないままそのまま剣心を蹴とばしたのだった。
剣心は部屋の後方へ蹴り飛ばされ、そのまま襖を二枚突き破ったのである。
「剣心!」
薫はお茶を下に置いて剣心に駆け寄った。
「これはっ・・どういう事ですか四乃森さん!」
と、薫は蒼紫を睨んだが蒼紫は薫など眼中になく一点見据えながら剣心に迫った。
「どういう事だ緋村、何の為に武尊が東京に来たと思っているんだ。」
脇腹を押さえ、痛みに顔をゆがめながら剣心は蒼紫を見あげた。
「何故・・そこまで武尊にこだわる、蒼紫・・。これは俺と師匠と武尊の問題・・。」
あくまでもこれは自分と武尊と比古の問題だと言い張る剣心に蒼紫は更に一発蹴りを入れてやろうと思って間合いを詰めようとしたが、薫が剣心の前に膝をついて立ちふさがった。
「どけ、神谷薫。」
「待って下さい、四乃森さん!」
黙って薫と剣心を見下ろす蒼紫。
剣心の言葉を聞いて蒼紫の脳裏をよぎったのは武尊が人斬りの罪に苦しんで泣いた姿。
目の前の男も同じ苦しみでついこの前まで落人群にまで身を落としていたのではないかと思うと蒼紫は怒りが収まらない。
何故一言でも何か言ってやらないのか、いや、その前に話をするべきではないのか・・、いや、その前に自分が神谷道場を離れる前に武尊と話をすると自分に約束したのではないかと蒼紫は憤慨した。
だが蒼紫は次の瞬間くるりと剣心に背を向けた。
「お前がそのようなつまらない男だとは思わなかったぞ、緋村。お前には失望した。」
吐き捨てるように呟く蒼紫。
すると剣心は危惧していた思いを蒼紫にぶつけた。
「確かに武尊と十六夜丸は同じ顔でも眼を見れば別人と分かるでござる・・では何故武尊が持つ雰囲気は闇を持つのでござるか?拙者はそれを恐れているのでござる。いつ武尊が十六夜丸になるのではないかと思うと・・。」
「闇?人斬りの過去が闇だというのか?罪に答えを見い出せなくて苦しむ心が闇というのか?確かに一度人を斬ればその後も必ず人を斬るという。誰しもお前のように不殺を貫けるほど強くはないだろう。だが武尊は・・・例え闇を持っていたとしても自分の意志で人斬りに戻るという事はない。そして今後二度と武尊は十六夜丸になることはない。」
薬は斎藤が持っている。
(ならば自ら武尊を十六夜丸するような事はあるまい(この間のようなことさえなければ。)と蒼紫は思った。)
あのおぞましき薬がなければ武尊は十六夜丸に変化はしないのだということを蒼紫は知っている。
「それはどういう事だ蒼紫。」
剣心は蒼紫の言った根拠がわからない。
自分の意志でなければ何なのだと蒼紫に問うた。
「それが知りたければ武尊から聞くんだな。話してくれればの話だが・・。」
そう言うと蒼紫は後ろを振り返らず部屋を出ようとした。
「蒼紫!」
剣心の言葉に蒼紫は振り返らず立ち止まった。
「武尊は東京を離れると言っていたので東京にはいないと思うでござるが・・もし蒼紫が武尊を連れて京都に帰るのならばその時はもう一度ここへ寄って欲しいでござる・・せめて詫びだけでもをしたいでござるよ。」
「・・・武尊に聞いておこう。」
蒼紫はそう言うと神谷道場を後にした。
今、蒼紫の頭にあるのは剣心が武尊と話をしなかった事ではなく、武尊がどこにいるのかという事。
剣心の言ったとおり、東京を離れたというのであれば今いったいどこにいるというのか。
(まさか本当に斎藤を追いかけて北海道へ行ったのか・・?)
だが蒼紫は東京ではお尋ね者の身、一人のこのこと警視庁へ行っては面倒な事になる。
まして斎藤は警察の密偵、なんらの任務を帯びている可能性が高い。
だとすると斎藤に関する情報を仕入れるのは簡単ではない。
(武尊の足取りを追うか・・神谷道場を海軍の軍人と一緒に出たと言っていたな。)
蒼紫は海軍兵学校へ行って山本少尉に面会を申し込んだ。
山本少尉は知らない人物からの面会を断ろうとしたが武尊に関係する人物と聞いて面会を受けた。
「率直に言おう、土岐武尊を探している。最後に会ったのが山本少尉だと聞いてこちらに伺った。」
面会室にいたのはスラリと背が高いイケメン。
山本少尉は蒼紫を上から下まで観察するような視線で蒼紫を見た。
蒼紫はそれを不快に思ったが武尊の情報の為ならと我慢をした。
「貴方は土岐殿とどのような関係ですか。私はこの先土岐殿と大事な約束をしているので土岐殿に不利になるような事でしたら何も貴方に言えませんが。」
「俺は土岐の友人だ。京都へ連れて帰る約束をしていたのだが俺が他の用事をしている間に行方不明になった。」
「友人・・ですか。それだけで今日初めて会った貴方の言葉を信用しろと。」
「武尊は・・土岐土岐は非常に方向音痴だ。東京内でさえ迷っているのに東京を離れたと聞いた。心配でないわけがないだろう。」
山本少尉は腕組みをして蒼紫を疑いの目で見ていたが蒼紫の話が本当であれば困ったことになると思い唸った。
「それは本当ですか・・うーん、方向音痴・・。そうは見えなかったんだが。」
若しそうであれば、来月の約束の日に東京に帰ってこない可能性がある。
それは非常にまずい。
山本少尉は再び蒼紫を見て悩んだ。
敵か・・味方か・・どちら側の人物かどうか、見誤れば海軍の将来に関わる。
「貴方に土岐殿の事を話せば来月の十日に土岐殿を無事確実にここに連れて来てもらえるのでしょうか。であれば私が知っている事をお話しましょう。」
「約束しよう。俺は武尊を守る者だ。」
山本少尉は強い意志で蒼紫から視線を受けた。
土岐の事を名前で呼び、それを守る者だと言いきる目の前の男。
山本少尉は蒼紫のその姿を見て武尊に抱いていた疑問が解けた。
(土岐殿はやはり女であった・・!)
そして武尊が蒼紫の想い人である事を察知した。
山本少尉はこの若さで海軍卿に見いだされるほどの人物、蒼紫が只者ではない事は姿を見た時から感じていて武尊を蒼紫に任せることにした。
「・・分かりました。お教えしましょう。土岐殿は会津へ向かったと思われます。」
「会津だと?!」
蒼紫は武尊がなぜ会津へ向かったのか全く分からなくて驚いた。
「ええ。理由は知りませんが私に会津へ行くにはどう行けばいいのか聞いてきましたから。それを土岐殿はそれを手帳に書き留めてましたから間違いないでしょう。しかし貴方は私と土岐殿がどのような約束をしたのか気にならないんですか。」
「気にしたところでどうせ任務上秘密とかで話してはくれないのだろう。」
「・・おっしゃる通りです。」
「俺が今優先させるべきは武尊の行方、それだけだ。」
蒼紫は山本少尉に礼を言って海軍兵学校を後にした。
(北か・・。迷子になっていない事を祈るぞ武尊。)
蒼紫は空を見上げた。
武尊が会津へ向かったのは五日前、早く追いつかなければと蒼紫はそのまま会津へと急いだ。
2014.12.23