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173.凶星の集う時 (海軍少尉・夢主・影宮・観柳・斎藤・永倉)
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「こ・・ここは・・何処だ?」
話は約一週間前にさかのぼる。
武田観柳は見知らぬ場所で目が覚めた。
確か寝るまでは冷たい鍛冶橋監獄署の房にいたと思った観柳だったが目が覚めると暖かな羽二重の布団に寝ていた。
観柳は起き上がって部屋を見回すと、そこは静かな和室の六畳間。
夢か、もしくは自分は死んだのではないかと観柳は眼鏡をはずして何度も目をこすった。
頬をつねってみたら痛かった。
「どうなっているんだ??」
観柳がポカンとしていると奥の襖が開いた。
観柳が振り返るとそこには一人の男が立っていた。
「お目覚めですか、観柳さん。小狭い和室はハイカラな実業家の観柳さんには合わないと思ったのですがこれぐらいしか私には用意できなくて申し訳ないと思ってるんですよ・・フフ。」
その男は妖しい笑みを浮かべて観柳を見た。
その笑みが何も言わなくてもその男の身が堂々とお天道様の下を歩けるような男ではない事が観柳には分かった。
そう・・裏社会の顔を持つ同じ輩としての匂いを観柳はすぐさま感じ取った。
「あ・・あんたは誰なんだ。」
「そうでしたね、自己紹介がまだでした。観柳さんには【影宮】と名乗った方が分かってもらえると思うのですが。」
観柳はその名前にはっとした。
裏の社会ではかなり名が知られていて明治政府にも金の力でかなり影響を与えることが出来る男がいると観柳は噂では聞いていたが、まさかその人物が自分の目の前に現れるとは・・。
観柳はずり落ちた眼鏡をかけ直し影宮という男を凝視した。
「まさか、あんたが私をあそこから出したのか?」
「ええ、薬で眠ってもらっている間に私の部下がここの屋敷に運びました。ただ出獄ではなく脱獄という形ですので表は歩けないというのは今までと変わりありませんが不服ですか?」
阿片製造・販売、武器密輸、ゆすり、殺人など実業家の顔の裏で凶悪な犯罪を多数やっていた観柳は取り調べついでに死刑とまで噂され、それは本人の耳にも聞こえていた。
死刑を思えば、いや、仮に良くても一生ブタ箱生活だと思えば娑婆に出て来れただけ儲けもの。
だが監獄所から脱獄させたのが裏社会の闇の中の闇の存在と言われる【影宮】であると脱獄させた理由が単なる好意でない事は明らかだった。
観柳の表情を見ていた影宮はニヤリと笑い、
「お察し頂けましたようで有り難い。私は大いに買っているんですよ、あなたの商才を。そしてお互いお金が大好きときている。どうですか、私に協力して互いの夢を叶えませんか。」
と言った。
観柳はこの手の相手とはどうつき合えばいいのか心得ていた。
「いいでしょう、出してくれたお礼に金儲けのお手伝いをさせていただきましょう。」
「そうこなくては。流石観柳さん、話が早い。」
影宮は妖しく目を細めて笑った。
「で、いったいどうやって?私の財産はすべて政府に没収されたと思うんですけどね。」
「その話ですが、観柳さんにはやっていただきたい事が二つあります。一つは武器の密輸。ちょっとこちらの手違いでせっかく密輸した武器が文字通り水の泡となりましてね・・ある程度まとまった武器が必要なんですよ。こちらが使っていた上海の相手先も使えなくなりましたし、観柳さんのお得意先を使わせて頂きたいと思っいましてね、あ、もちろん経費はこちらで出しますよ。それともう一つはこれです。」
そう言って影宮は一つの薬包を出して観柳に寄こした。
観柳が包を開けると白い粉が入っていた。
「これは【蜘蛛の巣】?!」
「そうです、観柳さんがよく御存知の【蜘蛛の巣】、実はうちの方で少々買占めました。何しろこれは従来の四倍の利益を生みますからねぇ。なんとかこれをうちでも作れないかと研究をしましてなんとか同じような物を作る事に成功したわけです。」
「おおっ!」
【蜘蛛の巣】は言わば間違いなく金のなる木、観柳はギラリと目を輝かせた。
「ですが、やはり全く同じ物ではなかったようで効果が安定しないんですよ。今実験的にに北海道でこの【新型蜘蛛の巣】をばら撒いてまして効果を試しているところです。ということ観柳さんにはこの【新型蜘蛛の巣】研究と製造をお願いしたい。これが二つ目の仕事です。」
「どちらも金の匂いがプンプンしてきますねぇ・・。」
「そうでしょう、そうでしょう。それでこの阿片の大量生産に踏み切るために今後は京都でお仕事をしてもらいます。山奥で不便な所ですが打ってつけの場所がありましてね、そちらに工場を作り始めた所なんですよ。どうです?悪くない話だと思いますが。」
「山奥なら人もこないし私がいるとはだれも思わないだろうしいいですね。しかし京都にそんな工場を建てられるような場所があったか?」
「御心配なく。まあ、ほとぼりが冷めるまで頑張って頂いて、それなりに儲けがでましたらその後は海外に行くのも良いでしょう。ただ、これらの仕事を引き受けて下さるにあたって一つだけ条件があります。・・それは私の詮索を決してしないという事、いいですね。」
無用な詮索は不要、これが裏社会の決まり事。
「私だって命は惜しいですからね。分かりましたお約束しましょう。」
「よろしく頼みますよ、観柳さん。フフフ。」
「ククククク・・。」
影宮と観柳は不気味な笑いをした。
話は約一週間前にさかのぼる。
武田観柳は見知らぬ場所で目が覚めた。
確か寝るまでは冷たい鍛冶橋監獄署の房にいたと思った観柳だったが目が覚めると暖かな羽二重の布団に寝ていた。
観柳は起き上がって部屋を見回すと、そこは静かな和室の六畳間。
夢か、もしくは自分は死んだのではないかと観柳は眼鏡をはずして何度も目をこすった。
頬をつねってみたら痛かった。
「どうなっているんだ??」
観柳がポカンとしていると奥の襖が開いた。
観柳が振り返るとそこには一人の男が立っていた。
「お目覚めですか、観柳さん。小狭い和室はハイカラな実業家の観柳さんには合わないと思ったのですがこれぐらいしか私には用意できなくて申し訳ないと思ってるんですよ・・フフ。」
その男は妖しい笑みを浮かべて観柳を見た。
その笑みが何も言わなくてもその男の身が堂々とお天道様の下を歩けるような男ではない事が観柳には分かった。
そう・・裏社会の顔を持つ同じ輩としての匂いを観柳はすぐさま感じ取った。
「あ・・あんたは誰なんだ。」
「そうでしたね、自己紹介がまだでした。観柳さんには【影宮】と名乗った方が分かってもらえると思うのですが。」
観柳はその名前にはっとした。
裏の社会ではかなり名が知られていて明治政府にも金の力でかなり影響を与えることが出来る男がいると観柳は噂では聞いていたが、まさかその人物が自分の目の前に現れるとは・・。
観柳はずり落ちた眼鏡をかけ直し影宮という男を凝視した。
「まさか、あんたが私をあそこから出したのか?」
「ええ、薬で眠ってもらっている間に私の部下がここの屋敷に運びました。ただ出獄ではなく脱獄という形ですので表は歩けないというのは今までと変わりありませんが不服ですか?」
阿片製造・販売、武器密輸、ゆすり、殺人など実業家の顔の裏で凶悪な犯罪を多数やっていた観柳は取り調べついでに死刑とまで噂され、それは本人の耳にも聞こえていた。
死刑を思えば、いや、仮に良くても一生ブタ箱生活だと思えば娑婆に出て来れただけ儲けもの。
だが監獄所から脱獄させたのが裏社会の闇の中の闇の存在と言われる【影宮】であると脱獄させた理由が単なる好意でない事は明らかだった。
観柳の表情を見ていた影宮はニヤリと笑い、
「お察し頂けましたようで有り難い。私は大いに買っているんですよ、あなたの商才を。そしてお互いお金が大好きときている。どうですか、私に協力して互いの夢を叶えませんか。」
と言った。
観柳はこの手の相手とはどうつき合えばいいのか心得ていた。
「いいでしょう、出してくれたお礼に金儲けのお手伝いをさせていただきましょう。」
「そうこなくては。流石観柳さん、話が早い。」
影宮は妖しく目を細めて笑った。
「で、いったいどうやって?私の財産はすべて政府に没収されたと思うんですけどね。」
「その話ですが、観柳さんにはやっていただきたい事が二つあります。一つは武器の密輸。ちょっとこちらの手違いでせっかく密輸した武器が文字通り水の泡となりましてね・・ある程度まとまった武器が必要なんですよ。こちらが使っていた上海の相手先も使えなくなりましたし、観柳さんのお得意先を使わせて頂きたいと思っいましてね、あ、もちろん経費はこちらで出しますよ。それともう一つはこれです。」
そう言って影宮は一つの薬包を出して観柳に寄こした。
観柳が包を開けると白い粉が入っていた。
「これは【蜘蛛の巣】?!」
「そうです、観柳さんがよく御存知の【蜘蛛の巣】、実はうちの方で少々買占めました。何しろこれは従来の四倍の利益を生みますからねぇ。なんとかこれをうちでも作れないかと研究をしましてなんとか同じような物を作る事に成功したわけです。」
「おおっ!」
【蜘蛛の巣】は言わば間違いなく金のなる木、観柳はギラリと目を輝かせた。
「ですが、やはり全く同じ物ではなかったようで効果が安定しないんですよ。今実験的にに北海道でこの【新型蜘蛛の巣】をばら撒いてまして効果を試しているところです。ということ観柳さんにはこの【新型蜘蛛の巣】研究と製造をお願いしたい。これが二つ目の仕事です。」
「どちらも金の匂いがプンプンしてきますねぇ・・。」
「そうでしょう、そうでしょう。それでこの阿片の大量生産に踏み切るために今後は京都でお仕事をしてもらいます。山奥で不便な所ですが打ってつけの場所がありましてね、そちらに工場を作り始めた所なんですよ。どうです?悪くない話だと思いますが。」
「山奥なら人もこないし私がいるとはだれも思わないだろうしいいですね。しかし京都にそんな工場を建てられるような場所があったか?」
「御心配なく。まあ、ほとぼりが冷めるまで頑張って頂いて、それなりに儲けがでましたらその後は海外に行くのも良いでしょう。ただ、これらの仕事を引き受けて下さるにあたって一つだけ条件があります。・・それは私の詮索を決してしないという事、いいですね。」
無用な詮索は不要、これが裏社会の決まり事。
「私だって命は惜しいですからね。分かりましたお約束しましょう。」
「よろしく頼みますよ、観柳さん。フフフ。」
「ククククク・・。」
影宮と観柳は不気味な笑いをした。