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171.神谷道場再び (夢主・剣心・薫・弥彦・海軍少尉・比古・翁)
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左之助が世界へ旅立ってから翌日、神谷道場は少ししんみりしていた。
「左之助も本当に行っちゃったんだね・・あんなに急に行ってしまうと返って実感がわかないわ・・。」
「ああ、けれども左之のことだ。そう心配はいらぬでござるよ、薫殿。」
「でもねぇ、言葉も通じないのによく海外だなんて。そんな事を考えたわよ。流石左之助というべきなのかしら。」
裏庭で洗濯をする剣心と縁側で話をする薫。
「薫!いつまでそこで茶ぶっこいてんだ、早く稽古つけろよ!」
道場でノルマの素振りを終わった弥彦が薫を呼びに来た。
弥彦は昨晩の剣心と左之助のやり取りを見て自分も早く二人のような大人になりたいと意気込んでいた。
「今行くわよ!」
と、薫が道場へ向かおうとした時、三人に武尊の声が聞こえた。
あの声は・・と、はっと剣心と薫が目を合わせた。
「・・拙者が迎えに出るでござる。」
剣心はそう言うと着物の袖で手を拭きながら表へ向かった。
薫と弥彦は顔を見合わせ剣心の後ろをそっとついて行った。
武尊を見た瞬間、米俵を積んだ大八車に目を見張った。
武尊も剣心に気がついた。
「あ、どうも緋村さん。今日はお忙しいでしょうか?もし時間がありましたら師匠の件・・よろしいでしょうか。」
「あ、嗚呼・・確か武尊とか言ったな、どうしたんだそれは。」
「あ・・これ、これですか?うちにあった米と味噌とかなんですけど、緋村さんの話が終わったら東京を離れますのでよかったら使ってもらえないかと思ってもってきたんですけど・・私からのは受け取りませんか?毒なんてはいってませんよ。」
「いや・・お気遣いかたじけない、有り難く頂くでござる。」
「よかったな薫、ぼちぼち家の米なくなるところだったからな。」
と、弥彦の声に剣心は振り向き、武尊も声の方を見た。
「いけねぇ、見つかっちまった!」
「馬鹿ねェ、そんなに声を出したら聞こえちゃうでしょ!(折角隠れてたのに、馬鹿弥彦!)」
「薫殿・・弥彦。」
薫は剣心に怒られると思ったが弥彦は、
「そいつがこの間言ってた武尊とか言う奴か。」
と、持っていた竹刀の先を武尊に向けて塀の影から姿を現した。
この間武尊がここに来たときには見なかった男の子。
だがどういうわけだかその顔からは敵意さえ感じだ。
(この間言ってた?何を・・?)
会ったこともない者、しかも子供からそんな感情を向けられ、武尊が剣心に視線を移すと剣心は、
「先日武尊の過去について薫殿と弥彦に話をした。悪いと思うがまだ拙者は武尊を信用してはおらんでござる。」
と言った。
「・・そうですか、昔の私の事を・・ですか。かまいませんよ・・。でも出来ればそれを今日私にもお聞かせ願えたらいいんですけどね。」
武尊はたいぶ薄くなってきていた自分の過去に対する人々の感情がどのようなものかをまた思い知らされて心をぎゅと握られるような感じがした。
「それはどういう意味でござるか?よもや殺めた者の命などお主の記憶にとどめる価値もないという事でござるか。」
武尊の言葉を別の意味で受け取った剣心。剣心の脳裏に夢の中で見た十六夜丸の笑いが甦る。
まさか十六夜丸の時の記憶が武尊にないなど、そんな事は剣心が知るよしもない。
「価値がないなど一言も言ってないのに勝手に決めつけないでください。」
過去は同じ人斬りだったとしても人の命を命とも思わない奴に話をする気はないと思ってるんだな、と、武尊は剣心の言わんとすることは分かったがそういう言い方をされて武尊はカチンと来ないわけがない。
(せっかく今日はこの間の鬱憤が薄らいで少しは素直な気持ちでここに来たのに・・。)
と、武尊の不快感に火が点いた。
そもそもこの間ここに来てから初対面だというのに酷い扱いに武尊も不満が溜まっていたのだった。
久々にまじ切れする剣心に弥彦はやべぇ展開だと思って何も言えなくなってしまったが、薫はそんな二人を見かねて間に割って入った。
「剣心・・せっかく武尊さんは京都からいらしてくれて私達の事をずっと待ってくれていたのよ。剣心が私達の事を考えてくれているのは分かるけどあの比古清十郎が寄こしたんですもの、剣心が嫌なら私が話をするわ。」
「薫殿!」
薫の言葉に驚く剣心、そして武尊は薫の話を
「いえ、結構です。」
と、再び断った。
「今は多分自分の中で昔の事(十六夜丸の事)はそんなに悩んでいないから。十六夜丸が相手をしたのはお侍さんみたいな人達ばっかりだったみたいだし・・彼らは戦うのが仕事なんでしょ、そして十六夜丸の方が勝負で生き残った・・それだけの事。なのに今も無差別殺人鬼みたいに言われるのは、特に人斬りのあなたから言われるのは私も我慢ならない。今は人は斬らないとか言ってるみたいですけど昔の自分を棚に上げて私を批判するのはおかしいんじゃないですか?だから話は結構です、ただし師匠には今日のことは報告させてもらいます。」
「・・・・。」
「・・・・。」
武尊と剣心は互いに見合っていたが、剣心はわかったと言い母屋の方へ踵を返した。
「「剣心!」」
薫と弥彦は剣心の後を追いかけて行った。
その姿を武尊は黙って目で追った。
「左之助も本当に行っちゃったんだね・・あんなに急に行ってしまうと返って実感がわかないわ・・。」
「ああ、けれども左之のことだ。そう心配はいらぬでござるよ、薫殿。」
「でもねぇ、言葉も通じないのによく海外だなんて。そんな事を考えたわよ。流石左之助というべきなのかしら。」
裏庭で洗濯をする剣心と縁側で話をする薫。
「薫!いつまでそこで茶ぶっこいてんだ、早く稽古つけろよ!」
道場でノルマの素振りを終わった弥彦が薫を呼びに来た。
弥彦は昨晩の剣心と左之助のやり取りを見て自分も早く二人のような大人になりたいと意気込んでいた。
「今行くわよ!」
と、薫が道場へ向かおうとした時、三人に武尊の声が聞こえた。
あの声は・・と、はっと剣心と薫が目を合わせた。
「・・拙者が迎えに出るでござる。」
剣心はそう言うと着物の袖で手を拭きながら表へ向かった。
薫と弥彦は顔を見合わせ剣心の後ろをそっとついて行った。
武尊を見た瞬間、米俵を積んだ大八車に目を見張った。
武尊も剣心に気がついた。
「あ、どうも緋村さん。今日はお忙しいでしょうか?もし時間がありましたら師匠の件・・よろしいでしょうか。」
「あ、嗚呼・・確か武尊とか言ったな、どうしたんだそれは。」
「あ・・これ、これですか?うちにあった米と味噌とかなんですけど、緋村さんの話が終わったら東京を離れますのでよかったら使ってもらえないかと思ってもってきたんですけど・・私からのは受け取りませんか?毒なんてはいってませんよ。」
「いや・・お気遣いかたじけない、有り難く頂くでござる。」
「よかったな薫、ぼちぼち家の米なくなるところだったからな。」
と、弥彦の声に剣心は振り向き、武尊も声の方を見た。
「いけねぇ、見つかっちまった!」
「馬鹿ねェ、そんなに声を出したら聞こえちゃうでしょ!(折角隠れてたのに、馬鹿弥彦!)」
「薫殿・・弥彦。」
薫は剣心に怒られると思ったが弥彦は、
「そいつがこの間言ってた武尊とか言う奴か。」
と、持っていた竹刀の先を武尊に向けて塀の影から姿を現した。
この間武尊がここに来たときには見なかった男の子。
だがどういうわけだかその顔からは敵意さえ感じだ。
(この間言ってた?何を・・?)
会ったこともない者、しかも子供からそんな感情を向けられ、武尊が剣心に視線を移すと剣心は、
「先日武尊の過去について薫殿と弥彦に話をした。悪いと思うがまだ拙者は武尊を信用してはおらんでござる。」
と言った。
「・・そうですか、昔の私の事を・・ですか。かまいませんよ・・。でも出来ればそれを今日私にもお聞かせ願えたらいいんですけどね。」
武尊はたいぶ薄くなってきていた自分の過去に対する人々の感情がどのようなものかをまた思い知らされて心をぎゅと握られるような感じがした。
「それはどういう意味でござるか?よもや殺めた者の命などお主の記憶にとどめる価値もないという事でござるか。」
武尊の言葉を別の意味で受け取った剣心。剣心の脳裏に夢の中で見た十六夜丸の笑いが甦る。
まさか十六夜丸の時の記憶が武尊にないなど、そんな事は剣心が知るよしもない。
「価値がないなど一言も言ってないのに勝手に決めつけないでください。」
過去は同じ人斬りだったとしても人の命を命とも思わない奴に話をする気はないと思ってるんだな、と、武尊は剣心の言わんとすることは分かったがそういう言い方をされて武尊はカチンと来ないわけがない。
(せっかく今日はこの間の鬱憤が薄らいで少しは素直な気持ちでここに来たのに・・。)
と、武尊の不快感に火が点いた。
そもそもこの間ここに来てから初対面だというのに酷い扱いに武尊も不満が溜まっていたのだった。
久々にまじ切れする剣心に弥彦はやべぇ展開だと思って何も言えなくなってしまったが、薫はそんな二人を見かねて間に割って入った。
「剣心・・せっかく武尊さんは京都からいらしてくれて私達の事をずっと待ってくれていたのよ。剣心が私達の事を考えてくれているのは分かるけどあの比古清十郎が寄こしたんですもの、剣心が嫌なら私が話をするわ。」
「薫殿!」
薫の言葉に驚く剣心、そして武尊は薫の話を
「いえ、結構です。」
と、再び断った。
「今は多分自分の中で昔の事(十六夜丸の事)はそんなに悩んでいないから。十六夜丸が相手をしたのはお侍さんみたいな人達ばっかりだったみたいだし・・彼らは戦うのが仕事なんでしょ、そして十六夜丸の方が勝負で生き残った・・それだけの事。なのに今も無差別殺人鬼みたいに言われるのは、特に人斬りのあなたから言われるのは私も我慢ならない。今は人は斬らないとか言ってるみたいですけど昔の自分を棚に上げて私を批判するのはおかしいんじゃないですか?だから話は結構です、ただし師匠には今日のことは報告させてもらいます。」
「・・・・。」
「・・・・。」
武尊と剣心は互いに見合っていたが、剣心はわかったと言い母屋の方へ踵を返した。
「「剣心!」」
薫と弥彦は剣心の後を追いかけて行った。
その姿を武尊は黙って目で追った。