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170.青木ヶ原 (蒼紫・操・御庭番衆)
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蒼紫は墓石の前に静かに歩み寄った。
そしてスッと片膝を折り般若、式尉、火男、癋見の墓石に語り始めた。
「すまない、御前達に約束した最強の称号・・添えてやる事は出来ない。俺は抜刀斎に負けた。」
(蒼紫様・・。)
操は蒼紫の背後から何か声をかけようと思ったが何も言えなかった。
今なら翁を手にかけてまで蒼紫が欲した最強の称号が何の為だったのか分かるような気がしたからだ。
(蒼紫様は修羅になんてなってなかった。蒼紫様はずっと蒼紫様のままだったんだ。)
操はそのまま蒼紫の背中と四つの墓石を見守った。
「結局俺は御頭として御前達との最後の約束も果たせない情けない御頭だったな。こんな俺に今出来る事と言えば御前達を京へ連れて帰ってやることだ。迎えに来た・・・こんな所に長い間置き去りにしてすまなかった・・。」
普段無口な蒼紫なだけ、その心内を吐露する言葉に操は涙が出そうになった。
そして操は心の中で蒼紫の名を何度も繰り返した。
墓石に語りかけてみたところで当然だが返事はない。
だが墓石だから素直に心の内を話せたと言うのもある。
蒼紫は少しすっきりとした表情で立ち上がった。
「お前らをこの地に弔ったのは俺なのに俺自身がまだお前たちの死を受け入れられないでいる。こんなに弱い御頭が最強の称号など得られはしないな。」
蒼紫は少し自嘲するように笑うと懐に手をやり、もう一枚の御札を取り出した。
「これは土岐武尊という者が書いてくれた御札だ。不思議な女だが先程もそのお札で救われた。もう一枚も言われた通りに使ってみようと思う。これで御前達と話でもできればいいんだがな。」
そんな事は有りもしない事だが珍しくそんな事を言った蒼紫だった。
操はもう一枚の御札は確かお祈りする前って武尊が言っていたようなと思いながらその場を動けず蒼紫の行動を見ていた。
蒼紫は御札を墓石の真ん中にそっと置いた。
だが先程の御札の効果のように劇的に周囲が何か変わるというわけでもなく、何も変化は見られなかった。
しばらく御札を見ていた二人だったが、特に何も起こらないので蒼紫は、
「こっちの方は何の為の御札か分からんな。」
と言い次の行動に移ろうとした時、目の前に白いものがかかってきた。
「む、霧か・・。流石の俺でも霧が濃くなればこの樹海では動きが取れん。」
彼らの骨を早く掘り出さねばと手ごろな木片が落ちてないかと周囲の地面を見回したとき、おかしな事に霧は墓石の所だけにかかり揺れ動いていた。
揺れ動く霧は不審だと蒼紫も、また操もそれを何だろうと見ていると霧の中に影が出来、それが人型に変化していった。
「あっ!」
操は思わず声を上げた。
人型の影は紛れもなくあの懐かしい般若、式尉、火男、癋見のものだったからだ。
蒼紫もその影の変化に目を釘付けになった。
だが不思議な事はそれだけではなかった。
影が今度は光出すと霧の中にあの四人の姿が浮かび上がったのだ。
「・・般若・・・式尉・・・火男・・・癋見・・。」
まさか、まさかこんな事が起ころうとは。
自分の見ている物は幻か。
否、見えていても信じられぬ。
だがそう思う蒼紫の目に映るのは蒼紫の最も見たかったもの。
観柳邸のあの夜の壮絶に散った四人の顔ではなく、微笑み自分を見つめている四人の顔。
蒼紫は何か言おうとしたが、口が少し開いたままで言葉が出せなかった。
込み上げる思いを堪えるように蒼紫はクッっと肩を震わせた。
そしてスッと片膝を折り般若、式尉、火男、癋見の墓石に語り始めた。
「すまない、御前達に約束した最強の称号・・添えてやる事は出来ない。俺は抜刀斎に負けた。」
(蒼紫様・・。)
操は蒼紫の背後から何か声をかけようと思ったが何も言えなかった。
今なら翁を手にかけてまで蒼紫が欲した最強の称号が何の為だったのか分かるような気がしたからだ。
(蒼紫様は修羅になんてなってなかった。蒼紫様はずっと蒼紫様のままだったんだ。)
操はそのまま蒼紫の背中と四つの墓石を見守った。
「結局俺は御頭として御前達との最後の約束も果たせない情けない御頭だったな。こんな俺に今出来る事と言えば御前達を京へ連れて帰ってやることだ。迎えに来た・・・こんな所に長い間置き去りにしてすまなかった・・。」
普段無口な蒼紫なだけ、その心内を吐露する言葉に操は涙が出そうになった。
そして操は心の中で蒼紫の名を何度も繰り返した。
墓石に語りかけてみたところで当然だが返事はない。
だが墓石だから素直に心の内を話せたと言うのもある。
蒼紫は少しすっきりとした表情で立ち上がった。
「お前らをこの地に弔ったのは俺なのに俺自身がまだお前たちの死を受け入れられないでいる。こんなに弱い御頭が最強の称号など得られはしないな。」
蒼紫は少し自嘲するように笑うと懐に手をやり、もう一枚の御札を取り出した。
「これは土岐武尊という者が書いてくれた御札だ。不思議な女だが先程もそのお札で救われた。もう一枚も言われた通りに使ってみようと思う。これで御前達と話でもできればいいんだがな。」
そんな事は有りもしない事だが珍しくそんな事を言った蒼紫だった。
操はもう一枚の御札は確かお祈りする前って武尊が言っていたようなと思いながらその場を動けず蒼紫の行動を見ていた。
蒼紫は御札を墓石の真ん中にそっと置いた。
だが先程の御札の効果のように劇的に周囲が何か変わるというわけでもなく、何も変化は見られなかった。
しばらく御札を見ていた二人だったが、特に何も起こらないので蒼紫は、
「こっちの方は何の為の御札か分からんな。」
と言い次の行動に移ろうとした時、目の前に白いものがかかってきた。
「む、霧か・・。流石の俺でも霧が濃くなればこの樹海では動きが取れん。」
彼らの骨を早く掘り出さねばと手ごろな木片が落ちてないかと周囲の地面を見回したとき、おかしな事に霧は墓石の所だけにかかり揺れ動いていた。
揺れ動く霧は不審だと蒼紫も、また操もそれを何だろうと見ていると霧の中に影が出来、それが人型に変化していった。
「あっ!」
操は思わず声を上げた。
人型の影は紛れもなくあの懐かしい般若、式尉、火男、癋見のものだったからだ。
蒼紫もその影の変化に目を釘付けになった。
だが不思議な事はそれだけではなかった。
影が今度は光出すと霧の中にあの四人の姿が浮かび上がったのだ。
「・・般若・・・式尉・・・火男・・・癋見・・。」
まさか、まさかこんな事が起ころうとは。
自分の見ている物は幻か。
否、見えていても信じられぬ。
だがそう思う蒼紫の目に映るのは蒼紫の最も見たかったもの。
観柳邸のあの夜の壮絶に散った四人の顔ではなく、微笑み自分を見つめている四人の顔。
蒼紫は何か言おうとしたが、口が少し開いたままで言葉が出せなかった。
込み上げる思いを堪えるように蒼紫はクッっと肩を震わせた。