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170.青木ヶ原 (蒼紫・操・御庭番衆)
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突如蒼紫と操の周りに邪念がこもった黒い空気が湧いた時、
「「「「御頭!操様!」」」」
蒼紫の魂を取り巻く四つの光が叫んだ。
「くそっ、あいつら仕返しに蒼紫様に襲い掛かるつもりだぞ!火男、お前の火で何とかしろよ!」
「無理な事言うなよ、チビ!何とかって何にも出来ねェって!俺達の魂は肉体と離れてんだ、蒼紫様の魂は守れても現実世界では力は発揮出来ねェ!」
言い合いをする癋見と火男の横で額から汗をにじませた式尉が般若に意見を求めた。
「体に戻れりゃ何とかなるかもしれねぇが、こいつらの邪念が強力過ぎてあっちに行けねェぜ。般若、何かいい方法はないのか。」
般若は蒼紫の傍から無念そうに蒼紫の傍から置かれた状況を眺めた。
霊魂の彼らにならこの邪気の正体が分かる。
これらは蒼紫に有無を言わさず切り捨てられた阿武隈四入道の残留思念のなれの果て。
誰にも弔われなかったそれらの躯はこの地にドス黒い気のかたまりとして残った。
そこに蒼紫が転がり込んできたのである。
ただ復讐の邪念と化したそれらは蒼紫を襲って来たのであった。
「我らに方法はない・・だが奴の御札なら・・。見ろ、蒼紫様の懐で光輝いている。あの力なら奴等を消し去ることが出来る力を秘めている。蒼紫様があれをお使いになることに気が付けば・・。」
般若がそう言った時、蒼紫は武尊の言葉を思い出し御札の一枚を操に託したのであった。
そしてそのお札は悪霊となっていた阿武隈四入道を完全に消滅させた。
一部始終を見ていた般若達は御札の力に冷や汗をかいた。
「すげぇ・・。」
火男は目を向いて称賛した。
「なかなかやるじゃねぇか、あいつは。」
式尉は武尊の力を褒めた。
「・・・。」
般若は最初沈黙をしていたが、
「何を言うか式尉、もしあの御札が我らに使われたなら消し飛ぶのは我々の方だったんだぞ。」
「そうなのか般若。」
今の話を聞いて癋見は慌てた。
「慌てるな癋見、蒼紫様が我らに使うはずねぇだろう。な、そうだろ般若。それにあの札・・。」
と、式尉は蒼紫を見た。
「もう一枚も傍から見ていて物凄い力を持ってるのが分かるがあの力、何が源か分かってるのか般若。」
「・・・。」
もちろん般若にもそれは分かっていたが沈黙を通した。
「何なんだ式尉、分かってるならもったいぶらずに教えろよ。」
火男がその答えを催促した。
「あの女の命だ、命の光だ。そんなものを札に込めるなんてある意味イカレてやがる。」
式尉はそう言いつつも武尊に対し敬意を示すような表情をした。
「命ってどういう事だよ。」
ちょっと物分りの悪い火男が式尉に更なる解説を求めた。
「相変わらず頭悪いな、命って事は寿命の事だろ。な、式尉。」
たまたま思いついた事を得意げに癋見が火男に言った。
「それくらい分かってんだよチビ!」
負けず嫌いの火男は癋見にそう言った。
「どういう経緯であの女がそんな事をしたのか分からねぇがお陰で御頭は無事だった。」
式尉は武尊を思い出して少し感謝をした。
四人がそんな会話をしていると蒼紫が墓石の方に向かって歩いてきた。
「あ、御頭が俺達(首)の所に来るぞ。」
癋見が言うと、
「邪気も消えたし、俺達も元の体に戻るとするか。」
式尉がそう提案した。
「・・そうだな、これで京に帰れる・・操様も御一緒してくださる。だが最後に今一度操様に、いや操様だけでなく蒼紫様とも話がしたかった。」
と般若は実に名残惜しそうに言った。
「操にはまた夢に出てやればいいじゃねぇか、般若。御頭は気づくかどうか分からねぇけどよ。後は空から見守ってようぜ、御頭や皆を。」
式尉の言葉に火男も般若を説得するように
「そうだぜ、先に逝った御庭番衆と一緒に御頭を見守ろうぜ。」
と言った。
その時癋見は蒼紫を見てふと疑問が湧いて皆に聞いた。
「けどよ、御札もう一枚残ってるだろ、どうすんだよあれ。まさか俺達も消すんじゃないだろうな。」
「馬鹿言え癋見。ま、そういう俺にも分からねェけどよ、あれはそんなもんじゃねぇ・・と俺は信じるぜ。」
式尉はそう言うと一足先にと自分の首へと戻って行った。
それを見て残りの三人も次々に自分の首へと戻って行った。
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