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170.青木ヶ原 (蒼紫・操・御庭番衆)
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翌日、さして急ぐというわけでもなく宿を出ると難所と言われた箱根の峠越え。
だが流石御庭番衆、先行く人をどんどん抜かして峠を越え、沼津から東海道を進んだ。
その日は田子の浦に宿泊。
まだまだ余裕で歩けるのに宿をとる蒼紫にその理由を聞いてみると山の冷えはもうかなり厳しいとのこと。
なるほど、自分達の持っているのは夏装備。
さすが蒼紫様、いろんな所に目を配っていらっしゃると操は感激したが、実は蒼紫が毎度宿に泊まるのはただそれだけの理由ではなかった。
いよいよ東京を出て三日目、この日蒼紫達は朝早くに宿を出た。
秋の色に色づく木々の間をひたすら進み、雄大にそびえる富士山を右手に見ながら歩くこと約半日、ようやく蒼紫は操にもうじき着くと告げた。
その頃周りの景色は明るい雑木林からいつの間にか鬱蒼とした木々に覆われていた。
操は自分がどこをどう進んでいるのか分からなくなってきた。
「蒼紫様~、ここはどこなんですか。さっきから同じ所を回っているような気がするんですけど。」
周りは生い茂る木々で暗くどこを向いても森、森、森だった。
行けども行けども同じような景色が続く中、蒼紫は迷わず一方向目指して進んでいた。
根が躍るようにうねる道なき道を軽々と身をこなしながら進む御庭番衆二人。
新橋から乗った陸蒸気の中で聞かされた般若達の居場所。
深い森の中だと聞かされていたが、この森は操がこれまで旅をした時に通った森とは桁違いに広かった。
少し不安を覚えるも蒼紫を信じてその後をついてく操にようやく蒼紫が
「ここだ。」
と言った。
木が密集する森の中で少しだけ開けたその地に石が四つ並べて添えてあった。
墓石が見えてそこまで約三十メートルほどだというのに蒼紫はその場の雰囲気が今通って来た所と何かが違うと思い、警戒して周囲を見回した。
現実主義の蒼紫だったが気配というのを感じるのは人並以上だった。
もしやまた阿武隈四入道のような不埒な奴等かと蒼紫は思ったがそのような人影はどこにも見えなかった。
ただそうしている間にも蒼紫にも分かるほどその場の空気が禍々しくなっていった。
(まさかこれが武尊の言っていた悪霊なのか。)
蒼紫がそう思った時、操が少し震える声えで蒼紫を呼んだ。
「蒼紫様・・。」
操の声に蒼紫が操の方を見ると先程まで血色のよかった操の顔色が心なしか青いように見えた。
「どうした。」
「ちょっと待ってください、この辺り何か・・気持ち悪い雰囲気・・。」
蒼紫はハッとし武尊の言った言葉を思い出した。
『操ちゃんが反応すると思うよ・・そしたらこのお札をその方向へ投げて。』
蒼紫は今朝、宿を発つ時に念のため、懐に御札を準備していた。
(まさかあいつ等が?そんなはずはない。)
蒼紫はそう思いつつも、蒼紫にもその場が黒い邪悪な空気に包まれていくのが感じられた。
(何だ!?)
蒼紫が操を見ると操は真っ青になって足を震わせていた。
「あ・・蒼紫様!何か怖い!ものすごく怖いの!」
「・・!」
こんな事は蒼紫の人生にとって初めての事だった。
蒼紫が見るからに操はパニック寸前だった。
(くそっ!)
理由は分からないがこの状況は非常にまずい、そして闘おうにも何に対して闘っていいのか分からず刀を抜こうと構えたものの身動きできないでいた。
そんな蒼紫に武尊の言葉がもう一度思い出された。
蒼紫はその言葉どおり、胸元の御札を掴むと操に持たせた。
「武尊の言葉を思い出せ操、これを投げろ!」
「は、はい!蒼紫様!」
操がそのお札を蒼紫から受け取ったその時、漂っていた黒い邪気が二人をめがけて襲って来た。
「あ、悪霊退散!!」
操は目を瞑りつつも必死でその方向に御札を投げるとオオオッーと地鳴りがした。
一瞬のうちに葉がザワザワと騒ぎ、森の中だというのに強い風がビュウと吹き抜け・・
辺りはこれまで走り抜けた道のように静寂に包まれた。
遠くに鳥の声、それで二人は我に返った。
本当に一瞬の事で二人はすぐさまには何が起こったか理解出来なかった。
「大丈夫か操。」
「はい、蒼紫様。蒼紫様は?」
「俺は何ともない。まさかこんな事が・・。」
と蒼紫は周りを見回した。
景色は今までどうりの森、ただ一つ違っていたのは立ち込めていた邪悪な気が一掃され、どちらかと言えば清々しさが漂っていた。
「キツネに包まれた気分だ・・。」
蒼紫は思わずそう呟いた。
操はまだポカンとして周りをキョロキョロ見回した。
自分達に向けられたあの凍るような邪念はどこにも感じなかったからだ。
そんな操に蒼紫は、
「何もなければ行くぞ。あいつらの墓はすぐそこだ。」
と言った。
そう蒼紫に言われても先ほどの様な事がまた起きれば絶対腰を抜かすと思った操は蒼紫の後ろにぴったりくっついて歩いた。
だが流石御庭番衆、先行く人をどんどん抜かして峠を越え、沼津から東海道を進んだ。
その日は田子の浦に宿泊。
まだまだ余裕で歩けるのに宿をとる蒼紫にその理由を聞いてみると山の冷えはもうかなり厳しいとのこと。
なるほど、自分達の持っているのは夏装備。
さすが蒼紫様、いろんな所に目を配っていらっしゃると操は感激したが、実は蒼紫が毎度宿に泊まるのはただそれだけの理由ではなかった。
いよいよ東京を出て三日目、この日蒼紫達は朝早くに宿を出た。
秋の色に色づく木々の間をひたすら進み、雄大にそびえる富士山を右手に見ながら歩くこと約半日、ようやく蒼紫は操にもうじき着くと告げた。
その頃周りの景色は明るい雑木林からいつの間にか鬱蒼とした木々に覆われていた。
操は自分がどこをどう進んでいるのか分からなくなってきた。
「蒼紫様~、ここはどこなんですか。さっきから同じ所を回っているような気がするんですけど。」
周りは生い茂る木々で暗くどこを向いても森、森、森だった。
行けども行けども同じような景色が続く中、蒼紫は迷わず一方向目指して進んでいた。
根が躍るようにうねる道なき道を軽々と身をこなしながら進む御庭番衆二人。
新橋から乗った陸蒸気の中で聞かされた般若達の居場所。
深い森の中だと聞かされていたが、この森は操がこれまで旅をした時に通った森とは桁違いに広かった。
少し不安を覚えるも蒼紫を信じてその後をついてく操にようやく蒼紫が
「ここだ。」
と言った。
木が密集する森の中で少しだけ開けたその地に石が四つ並べて添えてあった。
墓石が見えてそこまで約三十メートルほどだというのに蒼紫はその場の雰囲気が今通って来た所と何かが違うと思い、警戒して周囲を見回した。
現実主義の蒼紫だったが気配というのを感じるのは人並以上だった。
もしやまた阿武隈四入道のような不埒な奴等かと蒼紫は思ったがそのような人影はどこにも見えなかった。
ただそうしている間にも蒼紫にも分かるほどその場の空気が禍々しくなっていった。
(まさかこれが武尊の言っていた悪霊なのか。)
蒼紫がそう思った時、操が少し震える声えで蒼紫を呼んだ。
「蒼紫様・・。」
操の声に蒼紫が操の方を見ると先程まで血色のよかった操の顔色が心なしか青いように見えた。
「どうした。」
「ちょっと待ってください、この辺り何か・・気持ち悪い雰囲気・・。」
蒼紫はハッとし武尊の言った言葉を思い出した。
『操ちゃんが反応すると思うよ・・そしたらこのお札をその方向へ投げて。』
蒼紫は今朝、宿を発つ時に念のため、懐に御札を準備していた。
(まさかあいつ等が?そんなはずはない。)
蒼紫はそう思いつつも、蒼紫にもその場が黒い邪悪な空気に包まれていくのが感じられた。
(何だ!?)
蒼紫が操を見ると操は真っ青になって足を震わせていた。
「あ・・蒼紫様!何か怖い!ものすごく怖いの!」
「・・!」
こんな事は蒼紫の人生にとって初めての事だった。
蒼紫が見るからに操はパニック寸前だった。
(くそっ!)
理由は分からないがこの状況は非常にまずい、そして闘おうにも何に対して闘っていいのか分からず刀を抜こうと構えたものの身動きできないでいた。
そんな蒼紫に武尊の言葉がもう一度思い出された。
蒼紫はその言葉どおり、胸元の御札を掴むと操に持たせた。
「武尊の言葉を思い出せ操、これを投げろ!」
「は、はい!蒼紫様!」
操がそのお札を蒼紫から受け取ったその時、漂っていた黒い邪気が二人をめがけて襲って来た。
「あ、悪霊退散!!」
操は目を瞑りつつも必死でその方向に御札を投げるとオオオッーと地鳴りがした。
一瞬のうちに葉がザワザワと騒ぎ、森の中だというのに強い風がビュウと吹き抜け・・
辺りはこれまで走り抜けた道のように静寂に包まれた。
遠くに鳥の声、それで二人は我に返った。
本当に一瞬の事で二人はすぐさまには何が起こったか理解出来なかった。
「大丈夫か操。」
「はい、蒼紫様。蒼紫様は?」
「俺は何ともない。まさかこんな事が・・。」
と蒼紫は周りを見回した。
景色は今までどうりの森、ただ一つ違っていたのは立ち込めていた邪悪な気が一掃され、どちらかと言えば清々しさが漂っていた。
「キツネに包まれた気分だ・・。」
蒼紫は思わずそう呟いた。
操はまだポカンとして周りをキョロキョロ見回した。
自分達に向けられたあの凍るような邪念はどこにも感じなかったからだ。
そんな操に蒼紫は、
「何もなければ行くぞ。あいつらの墓はすぐそこだ。」
と言った。
そう蒼紫に言われても先ほどの様な事がまた起きれば絶対腰を抜かすと思った操は蒼紫の後ろにぴったりくっついて歩いた。