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169.伝言 (夢主・新市巡査・左之助の舎弟・左之助)
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溜まり場と言っても普通の長屋の一角。
武尊が入口の戸を開くと本当にガラの悪い男達が武尊を一斉に睨んだ。
「何か用かい兄さん、こっちは忙しくて手が離せないんだ、用がないなら帰った帰った。」
と最年長に見える男、銀次はンあにそう言った。
(別に忙しそうには見えないんだけどね・・。)
狭い長屋の中で男五人が腕を組んで座っているだけじゃないのと武尊は思った。
そしてとりあえずこの男達の戦闘能力を分析し、大したことないと判断した。
武尊は今一度、外を見て警官につけられていないことを確認し、
「・・相楽左之助から伝言を預かってここに来たんだけど。」
と言うと五人が一度にドドドと武尊の前に詰め寄ってそれぞれが武尊に質問した。
「左之さんからの伝言って!」
「左之さんはどこに!」
「左之さんは無事か!」
「左之さんは何て言ってた!」
「左之さんはどこだ!」
先程の凄味はどこにと思うほどなりふり構わず武尊のところに来て武尊はちょっとうろたえた。
(えっ・・と・・どうなってんのこれ・・。)
と、武尊も緊張した顔を崩して目をぱちくりさせた。
「ちょっと、いっぺんに言われてもわかんないよ!」
武尊が叫ぶと男どももハッとして一歩引いた。
「そりゃそうだな、つーか、てめぇは誰だ。見かけねェ顔だな。」
代表格の男が武尊の顔をじろじろ見てそう言った。
ついこないだまで警官でしたとは絶対言えない空気だなと思いつつ武尊は、
「まあね。でも相楽左之助とはちょっとした知り合いでね、とある経緯で伝言を頼まれたのさ。」
と言った。
「左之さんは無事なのか!?」
「で、どこにいるんだ左之さんは?」
男達は我慢が出来なくてまた矢継ぎ早に聞いてきた。
街中警官が血眼になって左之助を探しているのに捕まった形跡がないのはよかったと思いつつも、自分達でさえ左之助がいそうな心当たりのどこを探しても見つからないので心配していた所だったのだ。
「築地の外国人居留区。大丈夫、ちゃんと彼は生きてるよ。」
「「「「「外国人居留区~!?」」」」」
武尊の言葉に全員が驚いて叫んだ。
すぐにザワザワと男達は口々に話し出した。
武尊は思わず、シーーー!っと指を口に当てて注意を促した。
舎弟達もハッとして一瞬シーンとしたがすぐにボソボソと話し出した。
「あの左之さんが外国人居留区だって?大丈夫か?異人は血を吸うと言うぞ。」
「左之さんだったら大丈夫だろ、緋村さん以外に左之さんが負けるはずがねぇ。」
「それ以前に左之さん言葉通じないだろ?大丈夫か?」
「でもよ、そこって普通なら絶対行かない所だよな、ある意味正解かもしれねぇ。」
「ああ、警察も外国人居留区にはそうそう手がだせねぇからな。流石左之さんだぜ。」
(もー、ちゃんと人の話を最後まで聞いてよね!)
プチっと血管が切れそうになりそうになりながらも武尊は、
「じゃぁ伝言伝えるよ、明日築地の外国人居留区の干潟に来てくれって。あ、必要なら干潟に行く地図を簡単に描くから何か描く物貸して。」
と、武尊が言うと長屋がシーンとした。
(ん?)
急に水を打ったようなその静けさに武尊がハテナマークを頭に浮かべていると、
「あんたその場所分かるのか?」
と銀次が言った。
「分かるよ。」
と武尊が何の気なしに返事をすると、
「よし!修、お前左之さんの所に行って来い。」
と、銀次は年上の権限で一番若い修に命令した。
「えー!銀次さん、そりゃないっすよ!」
「馬鹿野郎、おめぇは左之さんの舎弟だろうが、おめぇが行かなくてどうするんだよ。」
どうやら内輪でもめはじめたようだが武尊は自分には関係ないと、
「じゃ、伝えることは伝えたから私は帰るね。」
と、これで清々したと男どもにくるりと背を向けて帰ろうとするとガシっと袖を掴まれた。
思わず
(私に触るな・・っ!)
と喉まで出かかったがそれはぐっと押さえながらも殺気を込めて武尊が振り返ると袖を掴んだ修という若い舎弟は掴んでいた袖を離して、
「ひっ!」
と尻もちをついた。
武尊の凄味に他の男達も唖然として動けなかった。
武尊は逆に固まっている男達を前に、あれ?と思いつつも修に、
「いったいどうしたのさ。(酷いなぁ・・そんなにびっくりするなんて。)」
となるべく顔の力を抜いて言った。
「あ・・俺、異人だけはダメなんっす、明日俺と一緒に来てください。」
と修は今にも泣きそうに言った。
「・・・・。」
武尊は修を見下ろした後、他の男達を見回すと皆下を向いていた。
「もしかして・・みんな外国人が苦手なの?」
仮にも世間では立派に遊び人かゴロツキの看板を掲げる連中のくせに、しっかりしてよと思わず突っ込みたくなった武尊だったがハァと大きくため息をつくと、
「もー、仕方ないなぁ。じゃぁ新宿駅に十二時集合でいい?一秒でも遅れたら帰るから。それからそこに案内したら私は帰るからね。」
出来る事なら二度と左之助の顔など見たくないと思っている武尊である。
こんな世話なんか焼かなくてもいいのにと言うもう一人の自分の声が聞こえる。
「ありがとうございます!お願いします!」
修の喜ぶ顔を見てさっきの自分の声を頭の中からかき消す武尊だった。
武尊は戸の敷居をまたいで外に出ようとした時、思いついたことがあって修を振り返った。
(あいつは多分外国人居留区から出やしないだろう・・このまま外国行ったら美味しい日本のお米ってもう食べられないかもしれないじゃん。)
また余計なお世話だと武尊の脳内で声がしたが、それを無理やり追いやった。
「修、おにぎりを五個ぐらい持ってきて。相楽もきっと喜ぶと思うから。」
と言って長屋を出た。
武尊が帰った後の長屋。
「あいつ何者だ?」
「そう言えば名前聞いてなかたっすね。」
「さっきの睨み、昔の左之さん並だったな。」
「おっかなかったな、さすが左之さんが伝言を頼むだけあるな。きっと只者じゃないぞ。」
「そんな事言わないで下さいよ~。明日あの人と会うの俺っすよ。」
修はトホホと肩を落とした。
けれども彼らにとって左之助が無事であるという情報はなによりだった。
長屋を出た後、武尊はしばらくして
「あ。」
と呟いた。
今日、自分が相楽左之助の居場所と無事を伝えたことで舎弟達は左之助のゴロツキ長屋に行かなくなるだろう。
(逆にそれを警察にマークされなきゃいいけど・・。あいつら大丈夫かなぁ・・。)
余計な心配だと思いつつも帰り道に何度も首を傾げる武尊だった。
そして大きなため息をついた。
(あーあ、これで明日も神谷道場には行けないや。)
神谷道場、そこは武尊にとってなんとなく行きたくない場所になっていた。
(でもなぁ・・行かないと比古さんの約束守れないしなぁ・・。)
堂々巡りでいつのまにか藤田家へ着いた武尊だった。
門で表札を見上げた武尊は家に入らずそのまま夕飯を食べに出かけ、帰ってから唯一の楽しみのお風呂を沸かし、おもいっきり長湯した後座禅をしていろいろ湧きあがる雑念を押しとめてその晩も床に就いた。
武尊が入口の戸を開くと本当にガラの悪い男達が武尊を一斉に睨んだ。
「何か用かい兄さん、こっちは忙しくて手が離せないんだ、用がないなら帰った帰った。」
と最年長に見える男、銀次はンあにそう言った。
(別に忙しそうには見えないんだけどね・・。)
狭い長屋の中で男五人が腕を組んで座っているだけじゃないのと武尊は思った。
そしてとりあえずこの男達の戦闘能力を分析し、大したことないと判断した。
武尊は今一度、外を見て警官につけられていないことを確認し、
「・・相楽左之助から伝言を預かってここに来たんだけど。」
と言うと五人が一度にドドドと武尊の前に詰め寄ってそれぞれが武尊に質問した。
「左之さんからの伝言って!」
「左之さんはどこに!」
「左之さんは無事か!」
「左之さんは何て言ってた!」
「左之さんはどこだ!」
先程の凄味はどこにと思うほどなりふり構わず武尊のところに来て武尊はちょっとうろたえた。
(えっ・・と・・どうなってんのこれ・・。)
と、武尊も緊張した顔を崩して目をぱちくりさせた。
「ちょっと、いっぺんに言われてもわかんないよ!」
武尊が叫ぶと男どももハッとして一歩引いた。
「そりゃそうだな、つーか、てめぇは誰だ。見かけねェ顔だな。」
代表格の男が武尊の顔をじろじろ見てそう言った。
ついこないだまで警官でしたとは絶対言えない空気だなと思いつつ武尊は、
「まあね。でも相楽左之助とはちょっとした知り合いでね、とある経緯で伝言を頼まれたのさ。」
と言った。
「左之さんは無事なのか!?」
「で、どこにいるんだ左之さんは?」
男達は我慢が出来なくてまた矢継ぎ早に聞いてきた。
街中警官が血眼になって左之助を探しているのに捕まった形跡がないのはよかったと思いつつも、自分達でさえ左之助がいそうな心当たりのどこを探しても見つからないので心配していた所だったのだ。
「築地の外国人居留区。大丈夫、ちゃんと彼は生きてるよ。」
「「「「「外国人居留区~!?」」」」」
武尊の言葉に全員が驚いて叫んだ。
すぐにザワザワと男達は口々に話し出した。
武尊は思わず、シーーー!っと指を口に当てて注意を促した。
舎弟達もハッとして一瞬シーンとしたがすぐにボソボソと話し出した。
「あの左之さんが外国人居留区だって?大丈夫か?異人は血を吸うと言うぞ。」
「左之さんだったら大丈夫だろ、緋村さん以外に左之さんが負けるはずがねぇ。」
「それ以前に左之さん言葉通じないだろ?大丈夫か?」
「でもよ、そこって普通なら絶対行かない所だよな、ある意味正解かもしれねぇ。」
「ああ、警察も外国人居留区にはそうそう手がだせねぇからな。流石左之さんだぜ。」
(もー、ちゃんと人の話を最後まで聞いてよね!)
プチっと血管が切れそうになりそうになりながらも武尊は、
「じゃぁ伝言伝えるよ、明日築地の外国人居留区の干潟に来てくれって。あ、必要なら干潟に行く地図を簡単に描くから何か描く物貸して。」
と、武尊が言うと長屋がシーンとした。
(ん?)
急に水を打ったようなその静けさに武尊がハテナマークを頭に浮かべていると、
「あんたその場所分かるのか?」
と銀次が言った。
「分かるよ。」
と武尊が何の気なしに返事をすると、
「よし!修、お前左之さんの所に行って来い。」
と、銀次は年上の権限で一番若い修に命令した。
「えー!銀次さん、そりゃないっすよ!」
「馬鹿野郎、おめぇは左之さんの舎弟だろうが、おめぇが行かなくてどうするんだよ。」
どうやら内輪でもめはじめたようだが武尊は自分には関係ないと、
「じゃ、伝えることは伝えたから私は帰るね。」
と、これで清々したと男どもにくるりと背を向けて帰ろうとするとガシっと袖を掴まれた。
思わず
(私に触るな・・っ!)
と喉まで出かかったがそれはぐっと押さえながらも殺気を込めて武尊が振り返ると袖を掴んだ修という若い舎弟は掴んでいた袖を離して、
「ひっ!」
と尻もちをついた。
武尊の凄味に他の男達も唖然として動けなかった。
武尊は逆に固まっている男達を前に、あれ?と思いつつも修に、
「いったいどうしたのさ。(酷いなぁ・・そんなにびっくりするなんて。)」
となるべく顔の力を抜いて言った。
「あ・・俺、異人だけはダメなんっす、明日俺と一緒に来てください。」
と修は今にも泣きそうに言った。
「・・・・。」
武尊は修を見下ろした後、他の男達を見回すと皆下を向いていた。
「もしかして・・みんな外国人が苦手なの?」
仮にも世間では立派に遊び人かゴロツキの看板を掲げる連中のくせに、しっかりしてよと思わず突っ込みたくなった武尊だったがハァと大きくため息をつくと、
「もー、仕方ないなぁ。じゃぁ新宿駅に十二時集合でいい?一秒でも遅れたら帰るから。それからそこに案内したら私は帰るからね。」
出来る事なら二度と左之助の顔など見たくないと思っている武尊である。
こんな世話なんか焼かなくてもいいのにと言うもう一人の自分の声が聞こえる。
「ありがとうございます!お願いします!」
修の喜ぶ顔を見てさっきの自分の声を頭の中からかき消す武尊だった。
武尊は戸の敷居をまたいで外に出ようとした時、思いついたことがあって修を振り返った。
(あいつは多分外国人居留区から出やしないだろう・・このまま外国行ったら美味しい日本のお米ってもう食べられないかもしれないじゃん。)
また余計なお世話だと武尊の脳内で声がしたが、それを無理やり追いやった。
「修、おにぎりを五個ぐらい持ってきて。相楽もきっと喜ぶと思うから。」
と言って長屋を出た。
武尊が帰った後の長屋。
「あいつ何者だ?」
「そう言えば名前聞いてなかたっすね。」
「さっきの睨み、昔の左之さん並だったな。」
「おっかなかったな、さすが左之さんが伝言を頼むだけあるな。きっと只者じゃないぞ。」
「そんな事言わないで下さいよ~。明日あの人と会うの俺っすよ。」
修はトホホと肩を落とした。
けれども彼らにとって左之助が無事であるという情報はなによりだった。
長屋を出た後、武尊はしばらくして
「あ。」
と呟いた。
今日、自分が相楽左之助の居場所と無事を伝えたことで舎弟達は左之助のゴロツキ長屋に行かなくなるだろう。
(逆にそれを警察にマークされなきゃいいけど・・。あいつら大丈夫かなぁ・・。)
余計な心配だと思いつつも帰り道に何度も首を傾げる武尊だった。
そして大きなため息をついた。
(あーあ、これで明日も神谷道場には行けないや。)
神谷道場、そこは武尊にとってなんとなく行きたくない場所になっていた。
(でもなぁ・・行かないと比古さんの約束守れないしなぁ・・。)
堂々巡りでいつのまにか藤田家へ着いた武尊だった。
門で表札を見上げた武尊は家に入らずそのまま夕飯を食べに出かけ、帰ってから唯一の楽しみのお風呂を沸かし、おもいっきり長湯した後座禅をしていろいろ湧きあがる雑念を押しとめてその晩も床に就いた。