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168.函館と待ち人 (夢主・小国先生・斎藤・永倉・新市巡査)
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一方こちらは海の上。
船は仙台、鮫浦港(現在の八戸港)に寄港した後、函館を目指しているところだった。
親潮の上を吹く海風は涼しさを通り越して冷たささえ感じた。
「これからこっちは本格的に冷えて来るな。だがこれがあれば平気だな、武尊。」
斎藤は首に巻いたマフラーを白手で撫で、フッと独り笑うと吸い終わった煙草を甲板から海へ投げ捨てた。
*********
船は夕方函館へ着いた。
十月この時期は日が沈む時間は早い。
北の大地なら尚更だ。
東京からの商船が着いたと荷物の積み下ろしで賑わう函館港はすでに暗く、斎藤は周りの人を見渡した。
(【永倉左之平】という男が迎えに来ているはずなんだがどいつだ・・。)
斎藤は眼光を光らせその人物を探した。
すると、斎藤の背後から、
「よう、藤田五郎っていうのはあんたかい?」
と、声がした。
自分の警戒網をくぐって声をかけられ、斎藤は刀に手をかけ、バッと振り返った。
「・・・あんた・・・・永倉さんか?」
「やっぱりお前、斎藤か!生きていたという噂は本当だったんだな、嬉しいぜ。」
斎藤に声をかけた男はそう言って本当に目を輝かせた。
その男こそ斎藤と共に熱き幕末を駆け抜けた元新撰組二番組組長、永倉新八であった。
「警視庁には【永倉】が出迎えると伝えるように言ったはずだったんだが聞いてなかったか?」
「いや、ちゃんと聞いていたが・・。」
まさか散々武尊に永倉さんは【永倉左之平】という分かりやすすぎる偽名を使う阿呆ではないと力説した手前、そんな自分に冷や汗をかいた斎藤であった。
(武尊がいなくてよかった・・。)
と、そんな呟きが斎藤の脳裏をかすめたのだった。
斎藤のそんな焦りを知る事もなく永倉は斎藤に、
「まさか赴任してくると聞いていた藤田五郎という警官がお前とは知らなくてよ、お前が船を下りて来たのを見た時の驚きといえばなかったぞ。・・・髷を落としていい男っぷりじゃねぇか。」
「永倉さんこそ。」
「ま、髷があったあの頃の方が俺は楽しかったけどな。」
おっと、シケた事を言ったと永倉は
「しっかしお前の背後から声をかけるのは相変わらず命がけだな。」
と永倉は斎藤の肩を叩きながら笑った。
「そう言うならちゃんと前から言ってくれればいいだろう。」
「お前の反応が鈍ってないか見たくてな、牙がちゃんと砥がれているようでよかったぜ。」
「永倉さんも人が悪いな。」
「まあ、こんな所で立ち話も何だ。ついて来い。」
そう言って永倉は斎藤を近くの浜の小屋へ連れて行った。
「まあ、入れよ。何もねぇけどな。」
船は仙台、鮫浦港(現在の八戸港)に寄港した後、函館を目指しているところだった。
親潮の上を吹く海風は涼しさを通り越して冷たささえ感じた。
「これからこっちは本格的に冷えて来るな。だがこれがあれば平気だな、武尊。」
斎藤は首に巻いたマフラーを白手で撫で、フッと独り笑うと吸い終わった煙草を甲板から海へ投げ捨てた。
*********
船は夕方函館へ着いた。
十月この時期は日が沈む時間は早い。
北の大地なら尚更だ。
東京からの商船が着いたと荷物の積み下ろしで賑わう函館港はすでに暗く、斎藤は周りの人を見渡した。
(【永倉左之平】という男が迎えに来ているはずなんだがどいつだ・・。)
斎藤は眼光を光らせその人物を探した。
すると、斎藤の背後から、
「よう、藤田五郎っていうのはあんたかい?」
と、声がした。
自分の警戒網をくぐって声をかけられ、斎藤は刀に手をかけ、バッと振り返った。
「・・・あんた・・・・永倉さんか?」
「やっぱりお前、斎藤か!生きていたという噂は本当だったんだな、嬉しいぜ。」
斎藤に声をかけた男はそう言って本当に目を輝かせた。
その男こそ斎藤と共に熱き幕末を駆け抜けた元新撰組二番組組長、永倉新八であった。
「警視庁には【永倉】が出迎えると伝えるように言ったはずだったんだが聞いてなかったか?」
「いや、ちゃんと聞いていたが・・。」
まさか散々武尊に永倉さんは【永倉左之平】という分かりやすすぎる偽名を使う阿呆ではないと力説した手前、そんな自分に冷や汗をかいた斎藤であった。
(武尊がいなくてよかった・・。)
と、そんな呟きが斎藤の脳裏をかすめたのだった。
斎藤のそんな焦りを知る事もなく永倉は斎藤に、
「まさか赴任してくると聞いていた藤田五郎という警官がお前とは知らなくてよ、お前が船を下りて来たのを見た時の驚きといえばなかったぞ。・・・髷を落としていい男っぷりじゃねぇか。」
「永倉さんこそ。」
「ま、髷があったあの頃の方が俺は楽しかったけどな。」
おっと、シケた事を言ったと永倉は
「しっかしお前の背後から声をかけるのは相変わらず命がけだな。」
と永倉は斎藤の肩を叩きながら笑った。
「そう言うならちゃんと前から言ってくれればいいだろう。」
「お前の反応が鈍ってないか見たくてな、牙がちゃんと砥がれているようでよかったぜ。」
「永倉さんも人が悪いな。」
「まあ、こんな所で立ち話も何だ。ついて来い。」
そう言って永倉は斎藤を近くの浜の小屋へ連れて行った。
「まあ、入れよ。何もねぇけどな。」