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168.函館と待ち人 (夢主・小国先生・斎藤・永倉・新市巡査)
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夜、築地から藤田宅に戻って来た武尊はその夜も静かすぎる家に独り眠った。
**********
翌日、武尊は久しぶりに肉の塊を食べて少々消化不良ぎみの胃をさすりながら起き上がり、昨日マーティンからもらったコートを見た。
太陽の明るい日の下で広げて見てみると、それは真っ黒ではなく紫黒色のコート。
「うわぁ・・これフェルトだ・・。すっごく嬉しい。」
元来寒がりの武尊は以前にタイムスリップしていた時、冬の寒さに本当に凍るような思いをしたことが何度もあったからだ。
「でもこれって男性用・・だよね?今の時代洋装している日本女性ってごく一部でしかもドレスだから私にはこの方が都合がいいんだけど・・。」
と言って武尊は首をひねった。
「日本の娘さんにあげるためにって男物あげるつもりだったのかなぁ、マーティンは?娘さんって生きてたとしても結構年取ったおばさんでしょ?」
武尊がそう思ったのも無理はない、実はそれは若くして死んだ娘のアナの形見の服でマーティンがずっと持っていたものだった。
実は男装も好きだったアナで、マーティンはそのコートを日本の娘のために持って来たものではなく武尊の為に譲ったものだったのだ。
形見だといえば遠慮して受け取ってもらえないとマーティンは思い、日本の娘のために持って来たがもう必要ないと言ったのだ。
武尊が袖を通すと大き目だったが着れない事はないぐらいで、かえって中にももう一枚ぐらい着込めそうだと喜んだ。
そして武尊はもう一つもらったものを出してみた。
チューリップのレリーフのロケットペンダント。
こちらはマーティンが日本にいると思われる娘と会った時の為に持っていたものだった。
昔彼は長崎の街で愛し合った女性に同じ柄のロケットペンダントを渡していた。
もしその女性に子供ができて、その子がペンダントを受け継いでいるとすれば自分が間違いなく親だと分かる、そうマーティンは思っていた。
だが帰国すればもうそれを使う事はない。
老い先短い自分が持っているよりも武尊にそれを持っていてもらって自分を思い出して欲しいとマーティンは思ったのであった。
武尊は鎖を持ち、ぶらぶらとさせながら太陽の光をキラキラと反射するペンダントをみながら思った。
「これって・・銀かなぁ。万が一マーティンの娘さんに会うことがあったら彼の代わりに渡してあげようっと。それがいろいろお世話になった彼への御礼かな。」
冬用のコートを着るにはまだちょっと早いと武尊はコートを脱いで丁寧にたたみ他の荷物に重ねた。
さあ、お腹もすいたし蕎麦でも食べて今日の予定、小国診療所へ向かおうと武尊は裏口を出た。
恵にはあの薬を預けてある。
今日は恵に何か分かったか聞きに行く日に武尊は設定していた。
だが小国診療所を訪問して出てきたのは恵ではなく、小国先生だった。
「おお、確か君は先日入院していた土岐君じゃったな。恵君は一昨日故郷の会津へ帰ったが聞いとらんかったかな。」
「ええー!」
そんな話聞いていないと武尊はびっくりした。
故郷に帰ったのはそれはそれでいい。
だがあの薬ははっきり言って門外不出。
(そうならそうと言ってくれればいいのに~!恵さーん!)
武尊は心の中でそう叫んだのであった。
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翌日、武尊は久しぶりに肉の塊を食べて少々消化不良ぎみの胃をさすりながら起き上がり、昨日マーティンからもらったコートを見た。
太陽の明るい日の下で広げて見てみると、それは真っ黒ではなく紫黒色のコート。
「うわぁ・・これフェルトだ・・。すっごく嬉しい。」
元来寒がりの武尊は以前にタイムスリップしていた時、冬の寒さに本当に凍るような思いをしたことが何度もあったからだ。
「でもこれって男性用・・だよね?今の時代洋装している日本女性ってごく一部でしかもドレスだから私にはこの方が都合がいいんだけど・・。」
と言って武尊は首をひねった。
「日本の娘さんにあげるためにって男物あげるつもりだったのかなぁ、マーティンは?娘さんって生きてたとしても結構年取ったおばさんでしょ?」
武尊がそう思ったのも無理はない、実はそれは若くして死んだ娘のアナの形見の服でマーティンがずっと持っていたものだった。
実は男装も好きだったアナで、マーティンはそのコートを日本の娘のために持って来たものではなく武尊の為に譲ったものだったのだ。
形見だといえば遠慮して受け取ってもらえないとマーティンは思い、日本の娘のために持って来たがもう必要ないと言ったのだ。
武尊が袖を通すと大き目だったが着れない事はないぐらいで、かえって中にももう一枚ぐらい着込めそうだと喜んだ。
そして武尊はもう一つもらったものを出してみた。
チューリップのレリーフのロケットペンダント。
こちらはマーティンが日本にいると思われる娘と会った時の為に持っていたものだった。
昔彼は長崎の街で愛し合った女性に同じ柄のロケットペンダントを渡していた。
もしその女性に子供ができて、その子がペンダントを受け継いでいるとすれば自分が間違いなく親だと分かる、そうマーティンは思っていた。
だが帰国すればもうそれを使う事はない。
老い先短い自分が持っているよりも武尊にそれを持っていてもらって自分を思い出して欲しいとマーティンは思ったのであった。
武尊は鎖を持ち、ぶらぶらとさせながら太陽の光をキラキラと反射するペンダントをみながら思った。
「これって・・銀かなぁ。万が一マーティンの娘さんに会うことがあったら彼の代わりに渡してあげようっと。それがいろいろお世話になった彼への御礼かな。」
冬用のコートを着るにはまだちょっと早いと武尊はコートを脱いで丁寧にたたみ他の荷物に重ねた。
さあ、お腹もすいたし蕎麦でも食べて今日の予定、小国診療所へ向かおうと武尊は裏口を出た。
恵にはあの薬を預けてある。
今日は恵に何か分かったか聞きに行く日に武尊は設定していた。
だが小国診療所を訪問して出てきたのは恵ではなく、小国先生だった。
「おお、確か君は先日入院していた土岐君じゃったな。恵君は一昨日故郷の会津へ帰ったが聞いとらんかったかな。」
「ええー!」
そんな話聞いていないと武尊はびっくりした。
故郷に帰ったのはそれはそれでいい。
だがあの薬ははっきり言って門外不出。
(そうならそうと言ってくれればいいのに~!恵さーん!)
武尊は心の中でそう叫んだのであった。