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167.左之助の頼み (夢主・左之助・かふぇおじさん)
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仲の悪い者同士、面白くない雰囲気でそれぞれ海を見ていた。
武尊は早くマーティンが帰ってこないかなと何度も心の中でため息をついた。
こんなやつが隣にいると折角物思いにふけろうと思ってきたこの砂浜もそんな気分になれないと思った時、そういえばどうして左之助がここにいるのか不思議に思った。
ここは普通日本人なら用事がない限り来ない外国人居留区だ。
まして、こんな変わった(そして頭の悪そうな)若造が来る所ではない。
いい雰囲気に浸れないのはこの男の所為、ならばその原因を聞いてやろうと武尊は思った。
「ねぇ・・なんであんたみたいな人がこんな所にいるのさ。」
武尊は見たくないけど左之助の方を少し向いて尋ねた。
左之助も武尊なんかとは話もしたくないと思っていたが、武尊の背後には武尊がいると思うとその真意を確かめたくて答えた。
「とぼけんじゃねぇ、御丁寧にあちこち立札まで立てやがって、どうせ斎藤も一枚噛んでんだろ?」
「立札?」
「は、しらを切りやがって。」
と、左之助は吐き捨てるように言うと立ち上がって後ろを振り返り大声で叫んだ。
「どういうつもりだ斎藤~!まさかお前があのブタまんじゅうを庇ってんじゃないだろうな!」
左之助は辺りに向かって叫ぶが、通りかかった外国人が数人変な目で左之助を見て通り過ぎる以外、取り立てて人の気配はしなかった。
「コラ!どうせその辺で隠れて見てんだろ、出て来い斎藤!」
それでも周囲に斎藤がいると見回している左之助に武尊は、
「斎藤さんはここにはいないよ・・。彼はいろいろと忙しいんでね。」
と言った。
「んだと?」
「立札のことは知らないけど、あんたの言い分だと斎藤さんが悪者を庇っているような言い方だけど斎藤さんはそんな事決してしない。」
それだけは真実。
左之助が思い違いをしているならばそれを正さなくてはと武尊は思った。
武尊が強い目で左之助と見ると左之助は、
「分かってんだそんな事は、だからだよ。」
「え?」
「俺がここにいるって事を見当つける事が出来るのは斎藤ぐらいしかいねぇってことだ。現に斎藤の部下のお前がいるじゃねぇか。」
なるほど、と武尊は左之助の言いたいことがわかった。
「飯さえ食えばとっとととんずらしてやるぜ。お前なんかに捕まる前にな。」
「捕まえないよ。」
「あ?」
「私には捕まえる権限なんてない・・・だって警察やめたから。」
「・・じゃ、お前がここにいるのは斎藤の指示じゃねぇってことか。」
「そういうこと。私はたまたまマーティンとここを通りかかっただけ。あんたがここにいるって知っていたら来なかったよ、ここにはね。」
「・・・・。」
斎藤がいないと分かって気を抜いた左之助に武尊は聞いた。
「だから何でこんな所にいるのさ。」
今は敵意もなく聞いてくる武尊に左之助はつまらねぇが説明してやるといった気分で言った。
「ちょっと懲らしめてやったんだよ、きたねぇ元長州維新志士様を・・いやブタ饅頭をな。」
「だから追われてるのか。」
「まあな。サツにタレこむか?」
「別に。私は警察や政府に恩義はないからね。」
「おいおい斎藤の部下じゃなかったのかよ。」
「斎藤さんがそうしろと言ったらするけど、私個人は明治政府を信頼しているわけではないからね。」
「さすが三本傷だな、おめぇも明治政府の間にもいろいろありそうだもんな。」
武尊は左之助の言葉になにか言いたかったが上手く言葉にできなかった。
「・・どうするんだこれから。政府はしつこいぞ。」
別に左之助の事を心配しているわけではないが、元維新志士に対して何かしでかしたという青年が捕まったら気の毒な事になるなと武尊は思った。
しつこい、あくどい、信用できない。
まだ明治時代に来て然程経ってない武尊でさえそう思う、それが正直な感想だった。
どれだけ短期間で欧州と肩を並べるぐらいに近代できるかどうか。
それが今後の日本が世界の中で生き残っていく鍵になることぐらい武尊には分かる、分かっている。
だが、日本の政治体制の汚い部分をすべて詰め込んだように見えるその組織を武尊は好きになれなかった、そう権力さえ振りかざせば何でも出来るという・・。
「へっ、お前に心配されるなんて思ってもいなかったが、まだどうするか・・考えてもねぇ。・・・・この日本はつまらねぇ、黒でも白だというと白になっちまう。」
左之助はそう言うと頭の後ろで腕を組みごろりと寝転がって空を見た。
武尊はそんな左之助をちらっと横目で見て、
「そうだね・・。」
と呟いた。
すると意外な事に左之助から会話が返ってきた。
「弱いもんを守ろとする頼もしい奴も中にはいるがまだまだ救われねぇ奴もごまんといるんでぃ今の日本にはよ・・。」
「正しい事だと思ってやった事でもあんたのように追われるはめになってしまうしな。」
武尊もなんとなく左之助の言葉に同意するように言葉を返した。
すると、
「・・・・あんたはどうなんでぃ。」
と、左之助の方から話しかけてきた。
会話を続けてくるとは、しかも質問されると思ってなかった武尊は言葉に詰まった。
「え・・どうって・・。」
「こないだ神谷道場へ来ただろ剣心目当てで。・・夏前にも斎藤が剣心目当てで来たんだよ。幕末以来の再会ってことでちと大変だったんだがよ。お前の目的は何だって聞いてんだ。」
「私は師匠に言われて緋村さんと話をしにいったんだ。ただそれだけだ。」
「剣心は不器用で優しすぎて損な生き方しか出来ない、そんな男だ。そして俺の唯一のダチだ。お前が剣心に斎藤のように勝負を挑むんだったら俺が今ここでお前をぶっ潰す。」
「だれも勝負するって言ってないし・・・。(そもそも一 でさえ幕末以来勝負つかずの男となんか勝負にならないって)」
「嘘じゃねぇだろうな。」
「嘘を言ってもしょうがないだろ。」
それで会話は終わった。
二人はそれぞれ視線を合わさないようにし、左之助は寝転がり、武尊はずっと海を見ていた。
武尊は早くマーティンが帰ってこないかなと何度も心の中でため息をついた。
こんなやつが隣にいると折角物思いにふけろうと思ってきたこの砂浜もそんな気分になれないと思った時、そういえばどうして左之助がここにいるのか不思議に思った。
ここは普通日本人なら用事がない限り来ない外国人居留区だ。
まして、こんな変わった(そして頭の悪そうな)若造が来る所ではない。
いい雰囲気に浸れないのはこの男の所為、ならばその原因を聞いてやろうと武尊は思った。
「ねぇ・・なんであんたみたいな人がこんな所にいるのさ。」
武尊は見たくないけど左之助の方を少し向いて尋ねた。
左之助も武尊なんかとは話もしたくないと思っていたが、武尊の背後には武尊がいると思うとその真意を確かめたくて答えた。
「とぼけんじゃねぇ、御丁寧にあちこち立札まで立てやがって、どうせ斎藤も一枚噛んでんだろ?」
「立札?」
「は、しらを切りやがって。」
と、左之助は吐き捨てるように言うと立ち上がって後ろを振り返り大声で叫んだ。
「どういうつもりだ斎藤~!まさかお前があのブタまんじゅうを庇ってんじゃないだろうな!」
左之助は辺りに向かって叫ぶが、通りかかった外国人が数人変な目で左之助を見て通り過ぎる以外、取り立てて人の気配はしなかった。
「コラ!どうせその辺で隠れて見てんだろ、出て来い斎藤!」
それでも周囲に斎藤がいると見回している左之助に武尊は、
「斎藤さんはここにはいないよ・・。彼はいろいろと忙しいんでね。」
と言った。
「んだと?」
「立札のことは知らないけど、あんたの言い分だと斎藤さんが悪者を庇っているような言い方だけど斎藤さんはそんな事決してしない。」
それだけは真実。
左之助が思い違いをしているならばそれを正さなくてはと武尊は思った。
武尊が強い目で左之助と見ると左之助は、
「分かってんだそんな事は、だからだよ。」
「え?」
「俺がここにいるって事を見当つける事が出来るのは斎藤ぐらいしかいねぇってことだ。現に斎藤の部下のお前がいるじゃねぇか。」
なるほど、と武尊は左之助の言いたいことがわかった。
「飯さえ食えばとっとととんずらしてやるぜ。お前なんかに捕まる前にな。」
「捕まえないよ。」
「あ?」
「私には捕まえる権限なんてない・・・だって警察やめたから。」
「・・じゃ、お前がここにいるのは斎藤の指示じゃねぇってことか。」
「そういうこと。私はたまたまマーティンとここを通りかかっただけ。あんたがここにいるって知っていたら来なかったよ、ここにはね。」
「・・・・。」
斎藤がいないと分かって気を抜いた左之助に武尊は聞いた。
「だから何でこんな所にいるのさ。」
今は敵意もなく聞いてくる武尊に左之助はつまらねぇが説明してやるといった気分で言った。
「ちょっと懲らしめてやったんだよ、きたねぇ元長州維新志士様を・・いやブタ饅頭をな。」
「だから追われてるのか。」
「まあな。サツにタレこむか?」
「別に。私は警察や政府に恩義はないからね。」
「おいおい斎藤の部下じゃなかったのかよ。」
「斎藤さんがそうしろと言ったらするけど、私個人は明治政府を信頼しているわけではないからね。」
「さすが三本傷だな、おめぇも明治政府の間にもいろいろありそうだもんな。」
武尊は左之助の言葉になにか言いたかったが上手く言葉にできなかった。
「・・どうするんだこれから。政府はしつこいぞ。」
別に左之助の事を心配しているわけではないが、元維新志士に対して何かしでかしたという青年が捕まったら気の毒な事になるなと武尊は思った。
しつこい、あくどい、信用できない。
まだ明治時代に来て然程経ってない武尊でさえそう思う、それが正直な感想だった。
どれだけ短期間で欧州と肩を並べるぐらいに近代できるかどうか。
それが今後の日本が世界の中で生き残っていく鍵になることぐらい武尊には分かる、分かっている。
だが、日本の政治体制の汚い部分をすべて詰め込んだように見えるその組織を武尊は好きになれなかった、そう権力さえ振りかざせば何でも出来るという・・。
「へっ、お前に心配されるなんて思ってもいなかったが、まだどうするか・・考えてもねぇ。・・・・この日本はつまらねぇ、黒でも白だというと白になっちまう。」
左之助はそう言うと頭の後ろで腕を組みごろりと寝転がって空を見た。
武尊はそんな左之助をちらっと横目で見て、
「そうだね・・。」
と呟いた。
すると意外な事に左之助から会話が返ってきた。
「弱いもんを守ろとする頼もしい奴も中にはいるがまだまだ救われねぇ奴もごまんといるんでぃ今の日本にはよ・・。」
「正しい事だと思ってやった事でもあんたのように追われるはめになってしまうしな。」
武尊もなんとなく左之助の言葉に同意するように言葉を返した。
すると、
「・・・・あんたはどうなんでぃ。」
と、左之助の方から話しかけてきた。
会話を続けてくるとは、しかも質問されると思ってなかった武尊は言葉に詰まった。
「え・・どうって・・。」
「こないだ神谷道場へ来ただろ剣心目当てで。・・夏前にも斎藤が剣心目当てで来たんだよ。幕末以来の再会ってことでちと大変だったんだがよ。お前の目的は何だって聞いてんだ。」
「私は師匠に言われて緋村さんと話をしにいったんだ。ただそれだけだ。」
「剣心は不器用で優しすぎて損な生き方しか出来ない、そんな男だ。そして俺の唯一のダチだ。お前が剣心に斎藤のように勝負を挑むんだったら俺が今ここでお前をぶっ潰す。」
「だれも勝負するって言ってないし・・・。(そもそも
「嘘じゃねぇだろうな。」
「嘘を言ってもしょうがないだろ。」
それで会話は終わった。
二人はそれぞれ視線を合わさないようにし、左之助は寝転がり、武尊はずっと海を見ていた。