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164.木枯らし旋風 (夢主・蒼紫・操・剣心組)
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「皆さん、短い間でしたが本当にありがとうございました。」
恵は御礼を言うとともに、あらためて剣心と他の皆を見渡した。
偶然左之助の賭場に逃げ込んだあの日、そして地獄の日々から救ってくれた恩人とその仲間。
一度は本気で愛した人。
懐かしい思いでが走馬灯のように恵の心の中を駆けた。
そして本当に感謝をした。
そうやって恵が少しの間、思い出に浸っていると弥彦が、
「歩いて帰るのか、オイ。」
と真顔で呼びかけてきた。
そういえばこの少年もこの短い間に大きくなったものだとめぐみはフフっと微笑みながら、
「まさか、小国先生のお知り合いの方の馬車で送ってもらうわ、ホラ。」
と言って、先ほどから少し向こうに止まっている馬車を指差した。
そして剣心に歩み寄り、、
「何か体に異常を感じたらこちらに連絡してください。すぐに私が駆けつけますから。」
と、自分の連絡先を書いた紙を手渡した。
「ありがとう、けどその時はちゃんとこちらから出向くでござるよ。」
と、剣心は穏やかに恵に言った。
そしてやっと国元へ帰ることが出来てよかったと恵に微笑んだ。
代々医者の家系である高荷家の血を継ぐものとして自分が言わずともきっと立派な医者になってくれると思いつつも、
「病や怪我の人を助けるのが医者の何よりの務め。頑張るでござるよ。」
と剣心は応援の言葉をかけた。
そして恵の幸せを祈った。
「はい、頑張ります。」
剣心のその言葉が恵にとって何よりの送辞。
高荷の者としてもちろん今後は医者の道を踏み外すまいと決心した恵だったが剣心のその言葉をもらってその思いを更に確かにした。
とても心穏やかな気分でいられる今、今後自分の代わりにの大切な人を看てもらうために用意した自分の分身といえる薬箱を剣心が選んだ人に渡そうと恵が薫を振り返ったのだがーー
「それからあんた、ハイこれ。剣さん達が怪我をした時の為の薬と処方箋が入って・・って。」
恵が見たのは予想外の薫の沈んだ顔だった。
(なんでこうやって気分良く別れようとしている時にそんな顔するの、この子ったら・・。)
思わずそんな事を考えてしまうと言葉がきつくなる。
「ちょっとコラ!あんた何一人で沈んでいるのよ。あんた私のこと嫌いじゃなかったの?(私がいなくなるからもっと嬉々揚揚としてると思ったのに。)」
けれどもあまりにも薫が沈んだ顔をしているので、
(若しかして別れが寂しくなっちゃったとか?)
と恵がそう思った時、小さい声だがはっきりと、
「うん、嫌いだった。」
と言われ、薫に対して思わムカつき度が200%に跳ね上がった恵だった。
しかもその理由が、
「けど、なんかこう・・立て続けに別れが重なると・・。」
という事で、決して自分個人がいなくなって寂しいとかという事ではないのが分かって思わず最後の最後で苛めたいモードになりそうなのを恵はぐっと押さえた。
そこに丁度いい具合に左之助が、
「ホラホラ、シメってんじゃないぜ嬢ちゃん。」
と言ってある意味、恵の気持ちを落ち着かせる間を作ったかのように見えたがその続きの、
「たかが会津、走れば一日で行ける距離だろ?」
という言葉に、恵の癇に障る矛先が薫から左之助に移った。
「(相変わらず馬鹿ね、この男は!)それはあんただけ!」
恵は左之助に怒りを通り越して呆れた。
左之助は恵のお小言を気にもすることなく、落ち込んでいる薫の頭をポンと撫でて、
「それに京都だって年に一度は巴の墓参りしに行くんだから。(つまり葵屋にも寄れるだろ。)」
と、自分なりに励ました。
「別に今生の別れって訳じゃねェ、誰とだって会おうと思えばいつでも会えるじゃねェか。」
今の今まで左之助に呆れていた恵だったが、本当にたまに出る左之助の名言を聞いて感心した。
「あんたホント、たま~~にいいコト言うわよね。」
「だから俺はいつでもいいコトしかいわねぇって。」
やれやれ、出たか女狐言葉と思いつつ左之助は真面目な顔で恵に言った。
恵はそんな左之助を見て、こんなお馬鹿でももう見納めだと思うとやはり剣心とは違うが少しは愛おしくなった。
「ま・・あんたも右手、おかしくなったら会津にいらっしゃいよ。剣さんのついでじゃなくてちゃんと看てあげるから。」
左之助ともいろいろあったけれどもそれでも最後は感謝の気持ちの恵だった。
「そりゃどーも。」
左之助はそんな恵の気持ちが分かってか分からないでか、フッと笑った。
左之助にも言いたいことは言った。
そして本命・・と、恵は自分の分身ともいえる薬箱を薫にスッと差し出した。
「と、いう訳だからあんたもホラ、みっともない顔はよしなさい。」
「あ。」
思わず反射的に手を出した薫に恵はしっかりと薬箱を手渡した。
そして手渡しながら、
「剣さんはね、私でも巴さんでもなく【あなた】を選んだのよ。」
と、いつまでも鈍い薫に【あなた】を強調して言った。
そして薫を真剣に諭すように、
「剣さんの十字傷に効く一番の薬は【笑顔】なんだから、だからあなたがいつでも笑顔で剣さんを看てればいつかきっと・・・。」
そこまで言って恵は言葉を止めた。
もう剣心を看るのは自分の役目ではない、これからはこの娘に自分が託したのだと、そういう気持ちで薫を見つめた。
薫はそんな恵の気持ちを聞いて戸惑っていた。
(もう、この小娘ったら、まだそんな顔をして。)
恵はそんな薫を見てしっかりしなさいとペシっとおでこを軽く叩いた。
「なんか京都の闘いの前とか後とか、コトある毎に叱ってばっかりね。ホントそんな役回りだったわ。」
恵は最後に・・っとちょっとした恨み言を薫に言った。
最後の意地悪もしたし、恵にはもうここには思い残すことはなかった。
(会津へ・・・。)
今こそ、今からやっと高荷の娘としてやるべきことが沢山ある。
恵は自分に託された使命を胸に皆に挨拶をした。
「それじゃあ皆さん、御機嫌良う。」
にこやかにペコリと頭を下げた恵は恵は一度も振り返る事なく、颯爽と会津へと旅だっていった。
恵は御礼を言うとともに、あらためて剣心と他の皆を見渡した。
偶然左之助の賭場に逃げ込んだあの日、そして地獄の日々から救ってくれた恩人とその仲間。
一度は本気で愛した人。
懐かしい思いでが走馬灯のように恵の心の中を駆けた。
そして本当に感謝をした。
そうやって恵が少しの間、思い出に浸っていると弥彦が、
「歩いて帰るのか、オイ。」
と真顔で呼びかけてきた。
そういえばこの少年もこの短い間に大きくなったものだとめぐみはフフっと微笑みながら、
「まさか、小国先生のお知り合いの方の馬車で送ってもらうわ、ホラ。」
と言って、先ほどから少し向こうに止まっている馬車を指差した。
そして剣心に歩み寄り、、
「何か体に異常を感じたらこちらに連絡してください。すぐに私が駆けつけますから。」
と、自分の連絡先を書いた紙を手渡した。
「ありがとう、けどその時はちゃんとこちらから出向くでござるよ。」
と、剣心は穏やかに恵に言った。
そしてやっと国元へ帰ることが出来てよかったと恵に微笑んだ。
代々医者の家系である高荷家の血を継ぐものとして自分が言わずともきっと立派な医者になってくれると思いつつも、
「病や怪我の人を助けるのが医者の何よりの務め。頑張るでござるよ。」
と剣心は応援の言葉をかけた。
そして恵の幸せを祈った。
「はい、頑張ります。」
剣心のその言葉が恵にとって何よりの送辞。
高荷の者としてもちろん今後は医者の道を踏み外すまいと決心した恵だったが剣心のその言葉をもらってその思いを更に確かにした。
とても心穏やかな気分でいられる今、今後自分の代わりにの大切な人を看てもらうために用意した自分の分身といえる薬箱を剣心が選んだ人に渡そうと恵が薫を振り返ったのだがーー
「それからあんた、ハイこれ。剣さん達が怪我をした時の為の薬と処方箋が入って・・って。」
恵が見たのは予想外の薫の沈んだ顔だった。
(なんでこうやって気分良く別れようとしている時にそんな顔するの、この子ったら・・。)
思わずそんな事を考えてしまうと言葉がきつくなる。
「ちょっとコラ!あんた何一人で沈んでいるのよ。あんた私のこと嫌いじゃなかったの?(私がいなくなるからもっと嬉々揚揚としてると思ったのに。)」
けれどもあまりにも薫が沈んだ顔をしているので、
(若しかして別れが寂しくなっちゃったとか?)
と恵がそう思った時、小さい声だがはっきりと、
「うん、嫌いだった。」
と言われ、薫に対して思わムカつき度が200%に跳ね上がった恵だった。
しかもその理由が、
「けど、なんかこう・・立て続けに別れが重なると・・。」
という事で、決して自分個人がいなくなって寂しいとかという事ではないのが分かって思わず最後の最後で苛めたいモードになりそうなのを恵はぐっと押さえた。
そこに丁度いい具合に左之助が、
「ホラホラ、シメってんじゃないぜ嬢ちゃん。」
と言ってある意味、恵の気持ちを落ち着かせる間を作ったかのように見えたがその続きの、
「たかが会津、走れば一日で行ける距離だろ?」
という言葉に、恵の癇に障る矛先が薫から左之助に移った。
「(相変わらず馬鹿ね、この男は!)それはあんただけ!」
恵は左之助に怒りを通り越して呆れた。
左之助は恵のお小言を気にもすることなく、落ち込んでいる薫の頭をポンと撫でて、
「それに京都だって年に一度は巴の墓参りしに行くんだから。(つまり葵屋にも寄れるだろ。)」
と、自分なりに励ました。
「別に今生の別れって訳じゃねェ、誰とだって会おうと思えばいつでも会えるじゃねェか。」
今の今まで左之助に呆れていた恵だったが、本当にたまに出る左之助の名言を聞いて感心した。
「あんたホント、たま~~にいいコト言うわよね。」
「だから俺はいつでもいいコトしかいわねぇって。」
やれやれ、出たか女狐言葉と思いつつ左之助は真面目な顔で恵に言った。
恵はそんな左之助を見て、こんなお馬鹿でももう見納めだと思うとやはり剣心とは違うが少しは愛おしくなった。
「ま・・あんたも右手、おかしくなったら会津にいらっしゃいよ。剣さんのついでじゃなくてちゃんと看てあげるから。」
左之助ともいろいろあったけれどもそれでも最後は感謝の気持ちの恵だった。
「そりゃどーも。」
左之助はそんな恵の気持ちが分かってか分からないでか、フッと笑った。
左之助にも言いたいことは言った。
そして本命・・と、恵は自分の分身ともいえる薬箱を薫にスッと差し出した。
「と、いう訳だからあんたもホラ、みっともない顔はよしなさい。」
「あ。」
思わず反射的に手を出した薫に恵はしっかりと薬箱を手渡した。
そして手渡しながら、
「剣さんはね、私でも巴さんでもなく【あなた】を選んだのよ。」
と、いつまでも鈍い薫に【あなた】を強調して言った。
そして薫を真剣に諭すように、
「剣さんの十字傷に効く一番の薬は【笑顔】なんだから、だからあなたがいつでも笑顔で剣さんを看てればいつかきっと・・・。」
そこまで言って恵は言葉を止めた。
もう剣心を看るのは自分の役目ではない、これからはこの娘に自分が託したのだと、そういう気持ちで薫を見つめた。
薫はそんな恵の気持ちを聞いて戸惑っていた。
(もう、この小娘ったら、まだそんな顔をして。)
恵はそんな薫を見てしっかりしなさいとペシっとおでこを軽く叩いた。
「なんか京都の闘いの前とか後とか、コトある毎に叱ってばっかりね。ホントそんな役回りだったわ。」
恵は最後に・・っとちょっとした恨み言を薫に言った。
最後の意地悪もしたし、恵にはもうここには思い残すことはなかった。
(会津へ・・・。)
今こそ、今からやっと高荷の娘としてやるべきことが沢山ある。
恵は自分に託された使命を胸に皆に挨拶をした。
「それじゃあ皆さん、御機嫌良う。」
にこやかにペコリと頭を下げた恵は恵は一度も振り返る事なく、颯爽と会津へと旅だっていった。