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199.夜のお茶の誘い (夢主・蒼紫・薫・剣心)
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剣心と蒼紫は薫が立ち上がった気配を察し、素早く縁の下に隠れたのであった。
そしてそのまま聞き耳を立てた。
期待する薫に申し訳ないかなと思いつつ武尊は、
「大丈夫だよ、緋村さん・・大人でしょ。初めてだったら任せておけばいい。分からない事やして欲しい事があったらきっと教えてくれるから・・・何も心配することないよ。」
武尊は優しくそう言った。
それしか言える事がなかったし、薫にそういって初めて『それでいい』と思える自分に気がついた。
(それに初めての時なんてきっと何をどうしようって最初から考えていても無駄なんだろうな、きっと・・何も考えられなくなってしまうし・・。)
と、斎藤との初体験をちょっと思い出して赤面しそうになった武尊だった。
武尊の言葉は剣心や蒼紫も頷かせていた。
薫もそれを聞いて安心したのか自分の湯呑を取り、一口飲んでほぅ、と息を吐いた。
「よかった、よかったわ。さんに聞いて本当によかった。」
「うん、気にしない方がいいよ。なるようになるから。」
「そうよね・・これでやっと寝れそう・・・・。」
よほど悩んでいたのだろうか、薫は緊張の糸が切れ、そのまま前のめり動かなくなった。
「薫さん・・!?」
とりあえず薫の持っていた湯呑が斜めになってこぼれそうだったので武尊は慌てて薫の肩を支えて湯呑を取り上げた。
その間にも薫の寝息が小さく聞こえてきた。
「薫さん・・よほど心配だったんだね・・。」
武尊は家族を亡くした後一人で頑張って来た少女に少しばかり心を開いた。
(よく頑張ってきたね・・緋村さんと幸せにね。)
武尊はそう思い、薫を畳の上にそっと横たえた。
そして無理に起こさず布団を敷いて寝かせてやろうと思った。
敷布団を敷き、薫をよいしょと寝かせた時、不意に床の間の横にある薬箱が目に入り、武尊に薬の事を思いださせた。
布団から薬箱と思われる箱は手を思いっきり伸ばせば届く位置にあった。
武尊はハッと気を引き締めた・・と同時に部屋の外の何らかの気配に気がついた。
近くはない・・が、遠くでもない。
外の虫の音に変わりはないが気の集中先が薫から周囲に向くと武尊にはピリリとそれが感じられた。
先程薫が誰もいないと言ったのと質問内容が内容だっただけにその気配に武尊は気がつかなかったのだった。
武尊の手が汗で冷たくなった。
(緋村さん・・?それとも蒼紫?どちらにしても・・。)
あの大事な薬が今自分の目と鼻の先にある。
このチャンスは逃すべきではないと自分の頭に自分の声が響く。
下手にガサゴソやって不穏な音を出し踏み込まれるわけにはいかない。
それを避けるために、自分の焦りや怪しい気配を全て断ち切り、今この瞬間から普通に行動しなくてはならないと武尊は瞬時に判断した。
二人とも【気】の達人だ。
戦闘能力も遥かに自分の上を行く二人に悟られることなく薬を奪還する。
難しいことだと分かっているが今が絶好のチャンスなのだ。
薫に掛布団をかけ終わった瞬間からミッションスタートだ、と、武尊は自分に言い聞かせた。
(いい、武尊、迷っている時間は零コンマ一秒だってないわよ!)
武尊はすべてを集中し、気がぶれないようにした。
決して迷ってはいけない。
迷いは空気に淀みを生ずる。
この部屋の空気のあるがままに空気のように行動することが大事なのだ。
(こちらが妙な気を発しただけできっと部屋に押し入られてしまう・・。)
祈りたい気持ちも押さえ、武尊は無心で薬箱の一番上を引いた。
・・・ビンゴだった。
十数個ある薬の包み紙の中に一つだけ見覚えのある油紙で包んだ薬包が一つ、武尊はそれを引出を引いたその手で掴み、また同じ手で引出を閉めた。
身体を動かさないためであった。
そして自然に立ち上がりお茶を回収して薫の部屋を出た。
「武尊、薫殿は?」
部屋を出た瞬間に武尊は剣心に呼び止められた。
声のする方向を見てみれば、自分が向かおうとしていた廊下の先に剣心が姿を現した。
「薫さんは寝てしまいました。少しお疲れだったみたいです。だからそのまま布団に寝かせました。」
「左様でござるか、ありがとうでござる。」
剣心は障子を少し開けて薫の寝ている姿を確認した。
「緋村さん・・ちゃんと見に行った方がいいですよ。私が十六夜丸だったら薫さんの首を絞めて殺しているかもしれませんよ。」
「大丈夫でござるよ、薫殿の叫び声もしなかったでござるし・・。」
剣心はそう言って障子を閉め、真面目な顔になった。
「言ったでござろう、十六夜丸は女ではないでござると・・。拙者はそれを知らずに未熟にも武尊が十六夜丸だと疑ってござったがよくよく考えれば師匠が手元に男など置く分けなかったでござるよ。あまりにも武尊と十六夜丸が似ているので拙者は気づけなかったでござる。」
武尊は剣心の言う事を黙って聞いていた。
剣心は最後に、
「・・それに万に一つでも武尊が十六夜丸であったなら・・師匠がその場で切り捨てているでござる。」
武尊は剣心の言葉に思わず、
「そうですね・・師匠なら・・そうですね。」
と答えて比古の顔を思い出した。
だが本当は十六夜丸と自分は同じ姿。
(あの場にいたのが自分でなく十六夜丸だったなら・・?)
武尊は比古はいったい自分をどうしたのだろうかと思った。
剣心の言ったように刀の錆びにでもなっていたのか・・。
答えは今すぐにはでなかった。
武尊は、
「・・では緋村さん、失礼します。これ、洗って戻しておきますね。」
武尊は湯呑とかが載ったお盆を少し上げてみせて洗い場へ向かったのだった。
2015.8.17
そしてそのまま聞き耳を立てた。
期待する薫に申し訳ないかなと思いつつ武尊は、
「大丈夫だよ、緋村さん・・大人でしょ。初めてだったら任せておけばいい。分からない事やして欲しい事があったらきっと教えてくれるから・・・何も心配することないよ。」
武尊は優しくそう言った。
それしか言える事がなかったし、薫にそういって初めて『それでいい』と思える自分に気がついた。
(それに初めての時なんてきっと何をどうしようって最初から考えていても無駄なんだろうな、きっと・・何も考えられなくなってしまうし・・。)
と、斎藤との初体験をちょっと思い出して赤面しそうになった武尊だった。
武尊の言葉は剣心や蒼紫も頷かせていた。
薫もそれを聞いて安心したのか自分の湯呑を取り、一口飲んでほぅ、と息を吐いた。
「よかった、よかったわ。さんに聞いて本当によかった。」
「うん、気にしない方がいいよ。なるようになるから。」
「そうよね・・これでやっと寝れそう・・・・。」
よほど悩んでいたのだろうか、薫は緊張の糸が切れ、そのまま前のめり動かなくなった。
「薫さん・・!?」
とりあえず薫の持っていた湯呑が斜めになってこぼれそうだったので武尊は慌てて薫の肩を支えて湯呑を取り上げた。
その間にも薫の寝息が小さく聞こえてきた。
「薫さん・・よほど心配だったんだね・・。」
武尊は家族を亡くした後一人で頑張って来た少女に少しばかり心を開いた。
(よく頑張ってきたね・・緋村さんと幸せにね。)
武尊はそう思い、薫を畳の上にそっと横たえた。
そして無理に起こさず布団を敷いて寝かせてやろうと思った。
敷布団を敷き、薫をよいしょと寝かせた時、不意に床の間の横にある薬箱が目に入り、武尊に薬の事を思いださせた。
布団から薬箱と思われる箱は手を思いっきり伸ばせば届く位置にあった。
武尊はハッと気を引き締めた・・と同時に部屋の外の何らかの気配に気がついた。
近くはない・・が、遠くでもない。
外の虫の音に変わりはないが気の集中先が薫から周囲に向くと武尊にはピリリとそれが感じられた。
先程薫が誰もいないと言ったのと質問内容が内容だっただけにその気配に武尊は気がつかなかったのだった。
武尊の手が汗で冷たくなった。
(緋村さん・・?それとも蒼紫?どちらにしても・・。)
あの大事な薬が今自分の目と鼻の先にある。
このチャンスは逃すべきではないと自分の頭に自分の声が響く。
下手にガサゴソやって不穏な音を出し踏み込まれるわけにはいかない。
それを避けるために、自分の焦りや怪しい気配を全て断ち切り、今この瞬間から普通に行動しなくてはならないと武尊は瞬時に判断した。
二人とも【気】の達人だ。
戦闘能力も遥かに自分の上を行く二人に悟られることなく薬を奪還する。
難しいことだと分かっているが今が絶好のチャンスなのだ。
薫に掛布団をかけ終わった瞬間からミッションスタートだ、と、武尊は自分に言い聞かせた。
(いい、武尊、迷っている時間は零コンマ一秒だってないわよ!)
武尊はすべてを集中し、気がぶれないようにした。
決して迷ってはいけない。
迷いは空気に淀みを生ずる。
この部屋の空気のあるがままに空気のように行動することが大事なのだ。
(こちらが妙な気を発しただけできっと部屋に押し入られてしまう・・。)
祈りたい気持ちも押さえ、武尊は無心で薬箱の一番上を引いた。
・・・ビンゴだった。
十数個ある薬の包み紙の中に一つだけ見覚えのある油紙で包んだ薬包が一つ、武尊はそれを引出を引いたその手で掴み、また同じ手で引出を閉めた。
身体を動かさないためであった。
そして自然に立ち上がりお茶を回収して薫の部屋を出た。
「武尊、薫殿は?」
部屋を出た瞬間に武尊は剣心に呼び止められた。
声のする方向を見てみれば、自分が向かおうとしていた廊下の先に剣心が姿を現した。
「薫さんは寝てしまいました。少しお疲れだったみたいです。だからそのまま布団に寝かせました。」
「左様でござるか、ありがとうでござる。」
剣心は障子を少し開けて薫の寝ている姿を確認した。
「緋村さん・・ちゃんと見に行った方がいいですよ。私が十六夜丸だったら薫さんの首を絞めて殺しているかもしれませんよ。」
「大丈夫でござるよ、薫殿の叫び声もしなかったでござるし・・。」
剣心はそう言って障子を閉め、真面目な顔になった。
「言ったでござろう、十六夜丸は女ではないでござると・・。拙者はそれを知らずに未熟にも武尊が十六夜丸だと疑ってござったがよくよく考えれば師匠が手元に男など置く分けなかったでござるよ。あまりにも武尊と十六夜丸が似ているので拙者は気づけなかったでござる。」
武尊は剣心の言う事を黙って聞いていた。
剣心は最後に、
「・・それに万に一つでも武尊が十六夜丸であったなら・・師匠がその場で切り捨てているでござる。」
武尊は剣心の言葉に思わず、
「そうですね・・師匠なら・・そうですね。」
と答えて比古の顔を思い出した。
だが本当は十六夜丸と自分は同じ姿。
(あの場にいたのが自分でなく十六夜丸だったなら・・?)
武尊は比古はいったい自分をどうしたのだろうかと思った。
剣心の言ったように刀の錆びにでもなっていたのか・・。
答えは今すぐにはでなかった。
武尊は、
「・・では緋村さん、失礼します。これ、洗って戻しておきますね。」
武尊は湯呑とかが載ったお盆を少し上げてみせて洗い場へ向かったのだった。
2015.8.17