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163.山の季節 (操・弥彦・蒼紫・かふぇおじさん・夢主・薫・剣心)
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『蒼紫、茶の湯の準備が出来たでござる。』
先程、蒼紫の部屋に剣心が来ていきなりそう告げた。
「・・・・。」
蒼紫は黙って立ち上がり剣心の後をついて別室へ行った。
操は先程からの自分の要求が蒼紫にまるで聞いて貰えなかったのでふてくされて畳に転がった。
剣心と蒼紫は客間に入るとそこには食事で使う湯呑が二つと座布団が二つ置いてあり、剣心はその片方に座った。
本来の茶の湯とは似ても似つかぬ道具と作法だと蒼紫は思ったがこれが緋村の精一杯の気持ちなのだろうと蒼紫はもう一方の座布団に座った。
少しの間二人は沈黙していたが、剣心がおもむろにすでに注がれているお茶をは手に取り、ずずっとすすった。
剣心は半分ほどすすって、ふぅと大きく息を吐いた。
そしてやっと話始めた。
「すまんな、急に。けれどこの機を逃すと次はいつになるかわからんからな。」
蒼紫は部屋に入った時と同じ表情で湯呑を見つめたまま、
「ああ。」
と短く答えた。
「今回の件では随分と世話になった。礼を言うでござる。」
「ああ。」
「外法の者相手とはいえあまり人を殺めるなよ。」
「!」
今の剣心の言葉に蒼紫は初めて視線をあげて剣心の方を見た。
そしてすっと自分の湯呑を持ち、
「(外印の事は言ってなかったはずだが流石緋村だな。そしてこれからのことも・・)・・すべてお見通しか。」
と言った。
蒼紫は剣心にはこれからの自分がどのように生きようとしているのか見えたのだろうと思った。
だがそれがたとえ剣心の知るところとなっても、苦しみの果てに見つけた隠密御庭番衆最後の御頭として、外法の悪党は外法の力を持って更なる闇へと葬り去るという答えだけは変えることは出来ぬ、と蒼紫は思った。
だがその一方で、己の道を阻むものはすべて問答無用で排除するといった今までのやり方が最良でない場合もある・・といった事を蒼紫は目の前の男から学んだこともあり、
「(俺の進む道は変わらんが)・・一応承知したと言っておこう。」
と言い、お茶を一気に飲むと立ち上がった。
話は済んだと部屋を出ようと障子に手をかけた蒼紫だったが、剣心に背を向けたままふと立ち止まった。
そして今度は蒼紫の方から剣心に言った。
「武尊のことだが・・近々またここに顔を出すはずだ。」
剣心はそういえば蒼紫が東京に来たのは武尊の件もあったんだと思いだし、師匠から自分に会えと言われたということもあり、
「その件はわかっているでござるよ。師匠の目的が何だかわからんでござるが武尊本人と話をしてみるでござる。」
「ああ、よろしく頼む。」
「・・・・。」
剣心は蒼紫が武尊の事になると急にいつもの冷たい印象が少し和らぐような気がして、そして蒼紫ほどの使い手が武尊に対しては態度が甘いような気がして思っていることを蒼紫に言った。
「蒼紫は・・昔の武尊の事を知っているのか?」
蒼紫は少しの沈黙の後、剣心に振り向いて言った。
「・・・紅い眼の方に一度だけ会ったことがある。」
「拙者も幕末の京で一度だけ会ったことがあるでござるよ。だから蒼紫は分かると思うでござるがあえて言っておくでござる。拙者は此度の縁の件、自分が蒔いた種とはいえ、薫殿を大変な目にあわせてしまったでござる。拙者はもう二度と薫殿を危険な目に合わせるわけにはいかぬでござる。万が一武尊が幕末のような人間になった時にはこの逆刃刀を向けるかもしれん。」
剣心がそう言った後、蒼紫と剣心は真顔で互いを見合った。
数秒後、蒼紫はふっと顔を正面へ向けあらためて障子に手をかけると、
「・・・好きにしろ。」
そう言って部屋を出た。
先程、蒼紫の部屋に剣心が来ていきなりそう告げた。
「・・・・。」
蒼紫は黙って立ち上がり剣心の後をついて別室へ行った。
操は先程からの自分の要求が蒼紫にまるで聞いて貰えなかったのでふてくされて畳に転がった。
剣心と蒼紫は客間に入るとそこには食事で使う湯呑が二つと座布団が二つ置いてあり、剣心はその片方に座った。
本来の茶の湯とは似ても似つかぬ道具と作法だと蒼紫は思ったがこれが緋村の精一杯の気持ちなのだろうと蒼紫はもう一方の座布団に座った。
少しの間二人は沈黙していたが、剣心がおもむろにすでに注がれているお茶をは手に取り、ずずっとすすった。
剣心は半分ほどすすって、ふぅと大きく息を吐いた。
そしてやっと話始めた。
「すまんな、急に。けれどこの機を逃すと次はいつになるかわからんからな。」
蒼紫は部屋に入った時と同じ表情で湯呑を見つめたまま、
「ああ。」
と短く答えた。
「今回の件では随分と世話になった。礼を言うでござる。」
「ああ。」
「外法の者相手とはいえあまり人を殺めるなよ。」
「!」
今の剣心の言葉に蒼紫は初めて視線をあげて剣心の方を見た。
そしてすっと自分の湯呑を持ち、
「(外印の事は言ってなかったはずだが流石緋村だな。そしてこれからのことも・・)・・すべてお見通しか。」
と言った。
蒼紫は剣心にはこれからの自分がどのように生きようとしているのか見えたのだろうと思った。
だがそれがたとえ剣心の知るところとなっても、苦しみの果てに見つけた隠密御庭番衆最後の御頭として、外法の悪党は外法の力を持って更なる闇へと葬り去るという答えだけは変えることは出来ぬ、と蒼紫は思った。
だがその一方で、己の道を阻むものはすべて問答無用で排除するといった今までのやり方が最良でない場合もある・・といった事を蒼紫は目の前の男から学んだこともあり、
「(俺の進む道は変わらんが)・・一応承知したと言っておこう。」
と言い、お茶を一気に飲むと立ち上がった。
話は済んだと部屋を出ようと障子に手をかけた蒼紫だったが、剣心に背を向けたままふと立ち止まった。
そして今度は蒼紫の方から剣心に言った。
「武尊のことだが・・近々またここに顔を出すはずだ。」
剣心はそういえば蒼紫が東京に来たのは武尊の件もあったんだと思いだし、師匠から自分に会えと言われたということもあり、
「その件はわかっているでござるよ。師匠の目的が何だかわからんでござるが武尊本人と話をしてみるでござる。」
「ああ、よろしく頼む。」
「・・・・。」
剣心は蒼紫が武尊の事になると急にいつもの冷たい印象が少し和らぐような気がして、そして蒼紫ほどの使い手が武尊に対しては態度が甘いような気がして思っていることを蒼紫に言った。
「蒼紫は・・昔の武尊の事を知っているのか?」
蒼紫は少しの沈黙の後、剣心に振り向いて言った。
「・・・紅い眼の方に一度だけ会ったことがある。」
「拙者も幕末の京で一度だけ会ったことがあるでござるよ。だから蒼紫は分かると思うでござるがあえて言っておくでござる。拙者は此度の縁の件、自分が蒔いた種とはいえ、薫殿を大変な目にあわせてしまったでござる。拙者はもう二度と薫殿を危険な目に合わせるわけにはいかぬでござる。万が一武尊が幕末のような人間になった時にはこの逆刃刀を向けるかもしれん。」
剣心がそう言った後、蒼紫と剣心は真顔で互いを見合った。
数秒後、蒼紫はふっと顔を正面へ向けあらためて障子に手をかけると、
「・・・好きにしろ。」
そう言って部屋を出た。