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198.黄金色(こがねいろ)の約束 (タエ・サエ・弥彦・剣心・薫・夢主・蒼紫)
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= 赤べこにて =
昨日までは仮店舗で営業していた赤べこ。
明治政府高官に赤べこの根強いファンがおり、再建の高額資金を援助してもらった・・という裏話もありアームストロング砲によって全壊した赤べこは早々に新店舗が建った。
夕方からはその高官御一行の予約が入っているため剣心達は昼の営業に呼ばれた。
赤べこ崩壊の根源となった剣心は当初辞退したがタエと燕の強い強い要望によって折れた剣心だった。
「めんぼくないでござる。」
「いいんですよ、沢山召し上がっておくれやす、ホホホ・・。」
「いやぁ、拙者達はもう十分頂いたでござるよ。」
含みのある笑いをするタエに思わず顔を見合わせた剣心と薫だった。
「薫も剣心もボケっとしてるんじゃねぇ、ありゃサエだぜ。」
燕の手伝いに入っているエプロン弥彦が他の客にお茶を運びながら剣心達に囁いた。
「え!サエさん!?京都の白べこの!?」
薫は目を大きくして驚いた。
「ああ、今日の再建祝いに手伝いに来たらしいぜ。まったく・・俺にこんな変な前掛けをつけさせたのはサエだせ。」
赤べこの店員用にとサエが準備したエプロンは白べこのそれよりもフリルが華やかな可愛らしい・・物だった。
もちろんそれが弥彦の気に入らない所であるが忙しいのでそんな事に構っている暇もなく燕と共に接客に動き回っているのだった。
食事も終わり剣心と薫が帰ろうとした時、サエが薫に店の奥へと手招きした。
「どうかしたんですかサエさん?」
薫がサエの所へやって来るとサエは薫の手を引っ張って店の壁に薫を押し付け薫の顔に自分の顔をズイと近づけた。
「さ・・サエさん?」
目を点にしながら焦る薫にサエは言った。
「薫はん、あれからあの人とはどないなてますん?(どうなっているの?)」
あの人とはもちろん剣心のこと。
「え?・・ええ・・まあ・・その・・。剣心はうちの居候だから別にどうってことは・・。」
ただでさえ最近その事で悩み中の薫はサエに剣心との仲をズバリ聞かれてしどろもどろになった。
「嘘はあきまへん薫はん、剣心さんと薫はんのことはタエからよ~く聞いとります。ええどすか、女もこれと決めた事はきちんと伝えはりませんと(伝えないと)進む話も進みまへん。」
更に薫に顔を近づけて鼻息を荒くするサエだった。
「いえ、その事に関しては・・。」
サエの勢いに圧倒され壁際で縮こまっている所へタエが慌ててやって来た。
「サエ!あんた薫ちゃんに何言ってはるん!薫ちゃん、ごめんなさい、サエったら今日薫ちゃんと剣心さんが来るって聞いたら二人の仲はどうなったかってしつこいのよ。」
「何言うてんはタエの方や、いつまでたっても進展しない薫はんと剣心はんを見ててもどかしい言うたんはタエちゃうん。」
サエはそう言うと薫に向き直り、
「ええどすか、これからこのサエがどんな殿方も落ちる必殺の言葉を薫はんに教えます。」
と意味深に薫にうなずきながら肩をバンッと叩いた。
「必殺って・・あの・・サエさん・・。」
ミーハーな双子の姉だけあって色事への他人への干渉力は妹以上である。
そのサエの並ならぬ迫り方に薫は言葉が出てこない。
サエはそんな薫に調理台にあった湯呑に手を伸ばし渡した。
「薫はん、そんな弱気じゃあきまへん。まずはこれ飲みはって気持ち引き締めておくれやす。」
勢いよく渡されたので薫はそのテンポに飲まれ、つい受け取った湯呑の水を一気にあおりゴクっと一口飲んで、その瞬間それが水でないことに気がついた。
ケホッ。
「サエさん、これ水じゃない!タエさん、お水を!」
薫はむせて胸をたたきながらサエの傍にいたタエに水を求めた。
薫の喉をカッと熱くしたのはなんと酒だった。
「は、はい!」
ハッと気づいたタエはこれは一大事と急いで水を持ってこようと調理場の奥へと向かった。
薫もタエの後を追いかけたが、その途中、店の出口近くで薫を待っているはずの剣心がちらっと見えた。
見知らぬ綺麗な女性とにこやかに話す剣心の姿に薫の足はピタっと止まった。
「・・・。」
薫は剣心から目が離せないでいた。
剣心が誰にも優しいのは薫も知っている。
けれども綺麗な女性と話しているのを見ると薫は心中は穏やかではいられない。
「はい、薫ちゃん水やで。」
水を差しだすタエからくるりと背を向けた薫はスタスタとサエの方へ戻って酒が入っている湯呑を取り上げた。
「薫ちゃんあきまへん!」
「薫はん、そないに・・っ!」
タエとサエが同時に薫と止めようとしたが寸での差で薫は酒を一気に飲み干した。
普段酒など飲んだ事もない薫は一気飲みにくらりときた。
思わず足元がふらつき近くの柱にゴンを額をぶつけ、反動でひっくり返りバタっと倒れた。
「薫ちゃん!」
「薫はん!」
二人のただならぬ声にさすがの剣心も店奥へと足を進めた。
「何かあったでござるか?して薫殿がどうかしたでござ・・。」
剣心が店奥に続く暖簾を手でよけ、店の奥を見ると薫が尻を床に付け壁にもたれていた。
・・その目は半開きで座っている。
「いったい・・。」
と目を見開く剣心にサエが、
「剣心はん、ごめんどす。ちょっと景気付けや思うて薫はんに少しだけ飲んでもらうつもりやったんが・・。」
と弁明する横で下から薫が、
「剣心のバカァー!!」
と叫んだ。
「もう!薫ちゃんが酔っ払らってしもうたやないの。サエ、どないするつもり?」
タエが両手を腰に当てサエに詰め寄った。
「まあまあお二人とも・・拙者達はぼちぼち帰ろうと思ってた矢先でござったし・・このまま薫殿を連れておいとまするでござるよ。御馳走になったでござる。さあ、薫殿、帰るでござるよ。」
やさしく片手を出されて優しく微笑む剣心に薫はうるうるしながらもまだ駄々をこねていた。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿っ、剣心の馬鹿ーっ!」
何故薫がこのような事を言うのかまったく見当がつかない剣心であったがそれでもよいしょと薫を抱え起こすと薫に寄り添い歩き出した。
「帰るでござるよ、薫殿。」
優しくそう繰り返す剣心を最初はポコポコ叩いていた薫だったがすぐに剣心に寄り添い歩き出した。
どうやら半分夢見心地の様だ。
「緋村はん、少しお店で休んでいかれたらどうどす?まさか薫はんがこないになるとは思わへんかったわ。」
サエがすまなそうに言うと剣心は、
「この様子では心配ないでござろう。飲んだ量も多くなさそうでござるから途中で酔いも冷めるでござろうよ。」
と、微笑んで赤べこを後にしたのであった。
昨日までは仮店舗で営業していた赤べこ。
明治政府高官に赤べこの根強いファンがおり、再建の高額資金を援助してもらった・・という裏話もありアームストロング砲によって全壊した赤べこは早々に新店舗が建った。
夕方からはその高官御一行の予約が入っているため剣心達は昼の営業に呼ばれた。
赤べこ崩壊の根源となった剣心は当初辞退したがタエと燕の強い強い要望によって折れた剣心だった。
「めんぼくないでござる。」
「いいんですよ、沢山召し上がっておくれやす、ホホホ・・。」
「いやぁ、拙者達はもう十分頂いたでござるよ。」
含みのある笑いをするタエに思わず顔を見合わせた剣心と薫だった。
「薫も剣心もボケっとしてるんじゃねぇ、ありゃサエだぜ。」
燕の手伝いに入っているエプロン弥彦が他の客にお茶を運びながら剣心達に囁いた。
「え!サエさん!?京都の白べこの!?」
薫は目を大きくして驚いた。
「ああ、今日の再建祝いに手伝いに来たらしいぜ。まったく・・俺にこんな変な前掛けをつけさせたのはサエだせ。」
赤べこの店員用にとサエが準備したエプロンは白べこのそれよりもフリルが華やかな可愛らしい・・物だった。
もちろんそれが弥彦の気に入らない所であるが忙しいのでそんな事に構っている暇もなく燕と共に接客に動き回っているのだった。
食事も終わり剣心と薫が帰ろうとした時、サエが薫に店の奥へと手招きした。
「どうかしたんですかサエさん?」
薫がサエの所へやって来るとサエは薫の手を引っ張って店の壁に薫を押し付け薫の顔に自分の顔をズイと近づけた。
「さ・・サエさん?」
目を点にしながら焦る薫にサエは言った。
「薫はん、あれからあの人とはどないなてますん?(どうなっているの?)」
あの人とはもちろん剣心のこと。
「え?・・ええ・・まあ・・その・・。剣心はうちの居候だから別にどうってことは・・。」
ただでさえ最近その事で悩み中の薫はサエに剣心との仲をズバリ聞かれてしどろもどろになった。
「嘘はあきまへん薫はん、剣心さんと薫はんのことはタエからよ~く聞いとります。ええどすか、女もこれと決めた事はきちんと伝えはりませんと(伝えないと)進む話も進みまへん。」
更に薫に顔を近づけて鼻息を荒くするサエだった。
「いえ、その事に関しては・・。」
サエの勢いに圧倒され壁際で縮こまっている所へタエが慌ててやって来た。
「サエ!あんた薫ちゃんに何言ってはるん!薫ちゃん、ごめんなさい、サエったら今日薫ちゃんと剣心さんが来るって聞いたら二人の仲はどうなったかってしつこいのよ。」
「何言うてんはタエの方や、いつまでたっても進展しない薫はんと剣心はんを見ててもどかしい言うたんはタエちゃうん。」
サエはそう言うと薫に向き直り、
「ええどすか、これからこのサエがどんな殿方も落ちる必殺の言葉を薫はんに教えます。」
と意味深に薫にうなずきながら肩をバンッと叩いた。
「必殺って・・あの・・サエさん・・。」
ミーハーな双子の姉だけあって色事への他人への干渉力は妹以上である。
そのサエの並ならぬ迫り方に薫は言葉が出てこない。
サエはそんな薫に調理台にあった湯呑に手を伸ばし渡した。
「薫はん、そんな弱気じゃあきまへん。まずはこれ飲みはって気持ち引き締めておくれやす。」
勢いよく渡されたので薫はそのテンポに飲まれ、つい受け取った湯呑の水を一気にあおりゴクっと一口飲んで、その瞬間それが水でないことに気がついた。
ケホッ。
「サエさん、これ水じゃない!タエさん、お水を!」
薫はむせて胸をたたきながらサエの傍にいたタエに水を求めた。
薫の喉をカッと熱くしたのはなんと酒だった。
「は、はい!」
ハッと気づいたタエはこれは一大事と急いで水を持ってこようと調理場の奥へと向かった。
薫もタエの後を追いかけたが、その途中、店の出口近くで薫を待っているはずの剣心がちらっと見えた。
見知らぬ綺麗な女性とにこやかに話す剣心の姿に薫の足はピタっと止まった。
「・・・。」
薫は剣心から目が離せないでいた。
剣心が誰にも優しいのは薫も知っている。
けれども綺麗な女性と話しているのを見ると薫は心中は穏やかではいられない。
「はい、薫ちゃん水やで。」
水を差しだすタエからくるりと背を向けた薫はスタスタとサエの方へ戻って酒が入っている湯呑を取り上げた。
「薫ちゃんあきまへん!」
「薫はん、そないに・・っ!」
タエとサエが同時に薫と止めようとしたが寸での差で薫は酒を一気に飲み干した。
普段酒など飲んだ事もない薫は一気飲みにくらりときた。
思わず足元がふらつき近くの柱にゴンを額をぶつけ、反動でひっくり返りバタっと倒れた。
「薫ちゃん!」
「薫はん!」
二人のただならぬ声にさすがの剣心も店奥へと足を進めた。
「何かあったでござるか?して薫殿がどうかしたでござ・・。」
剣心が店奥に続く暖簾を手でよけ、店の奥を見ると薫が尻を床に付け壁にもたれていた。
・・その目は半開きで座っている。
「いったい・・。」
と目を見開く剣心にサエが、
「剣心はん、ごめんどす。ちょっと景気付けや思うて薫はんに少しだけ飲んでもらうつもりやったんが・・。」
と弁明する横で下から薫が、
「剣心のバカァー!!」
と叫んだ。
「もう!薫ちゃんが酔っ払らってしもうたやないの。サエ、どないするつもり?」
タエが両手を腰に当てサエに詰め寄った。
「まあまあお二人とも・・拙者達はぼちぼち帰ろうと思ってた矢先でござったし・・このまま薫殿を連れておいとまするでござるよ。御馳走になったでござる。さあ、薫殿、帰るでござるよ。」
やさしく片手を出されて優しく微笑む剣心に薫はうるうるしながらもまだ駄々をこねていた。
「馬鹿、馬鹿、馬鹿っ、剣心の馬鹿ーっ!」
何故薫がこのような事を言うのかまったく見当がつかない剣心であったがそれでもよいしょと薫を抱え起こすと薫に寄り添い歩き出した。
「帰るでござるよ、薫殿。」
優しくそう繰り返す剣心を最初はポコポコ叩いていた薫だったがすぐに剣心に寄り添い歩き出した。
どうやら半分夢見心地の様だ。
「緋村はん、少しお店で休んでいかれたらどうどす?まさか薫はんがこないになるとは思わへんかったわ。」
サエがすまなそうに言うと剣心は、
「この様子では心配ないでござろう。飲んだ量も多くなさそうでござるから途中で酔いも冷めるでござろうよ。」
と、微笑んで赤べこを後にしたのであった。