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197.巫(かんなぎ) (剣心・薫・夢主・蒼紫)
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「よかった、席空いてる。」
飯屋の暖簾をくぐって店内の椅子が空いている事にホッとした武尊だった。
「何にする?」
蒼紫に言われ店内に貼られたお品書きを必死で眺める武尊であったが、これまたここの店は癖の強い字のお品書きで武尊は目を皿のように凝らして見つめたが・・よく分からなかった。
蒼紫が武尊の顔を見て少し口元をほころばせた事にも武尊は気づかず、小さくため息をついた。
「だめだ・・読めない。蒼紫と同じものでいい。」
武尊は乾いた笑いをしながら
(なるほどね。)
と思った。
蒼紫は本当に自分の細かいところまでよく見ている。
そう思って今度は武尊が蒼紫を見ていると蒼紫は店員に日替わり定食を二つ頼んだ。
武尊は出てきた熱い番茶の湯呑を両手で包み少しづつ何度も飲んだ。
「寒いのか。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「ならば先程の話を少し続ける。」
と蒼紫は声を落として武尊に言った。
武尊は湯呑を包みながら目を蒼紫に向けた。
「武尊も察しているかもしれないが俺が考えるに十六夜丸は人であろうはずがない。」
蒼紫は斎藤と自分の刃を受けた武尊の無残な姿を見る見るうちに修復させたあの十六夜丸の力を思い出した。
そしてその後武尊に起きた摩訶不思議な現象・・まるで見えないものに犯されているような乱れ喘ぐ武尊の姿。
武尊を苦しめる十六夜丸の正体は呪術による魔物、仮説を立てた。
「人でない者を人へ降ろす、若しくは憑依させるという事は特別な場所では古来より行われていたという・・そんな話自体は俺は信じてはいなかったが・・。」
「その特別な場所って・・どこ!?」
武尊は蒼紫の言葉が最後まで待ちきれず身を乗り出した。
そんな武尊に蒼紫は、
「武尊、巫(かんなぎ)というのを知っているか。」
と聞いた。
「かんなぎ?」
「嗚呼、神に仕える巫女の事だ。」
「巫女・・。」
「明治の世にも未だ一部の巫(かんなぎ)は神の憑代となるという。」
「私は巫女なんかじゃない。」
武尊は否定した。
幼少の頃寺に預けられた時に近くの神社へも遊びに行ったことがあるがそこは賽銭箱が置いてあるくらいの小さな社で宮司も巫女もいなかった。
武尊なんて縁も所縁もないと武尊は自分の人生を振り返ってそう思った。
「別に俺は武尊が巫女であるとは言っていない。ただ神を祭る政(まつりごと)の中では神を降ろし信託を授かったという話があるという事だ。(もっとも俺自身あの魔物が神などとは決して思わぬがな。)」
「つまり蒼紫はあの十六夜丸が神だと・・。」
武尊が瞳を大きく開いて少し声を震わせながら蒼紫に聞くと、
「・・奴のどこが神だと言うんだ!」
声の音量はそのままであったが蒼紫にしては珍しく感情が入った言葉が返ってきて武尊は更に目を大きくした。
武尊の表情にすぐにいつもの冷静な顔に戻った蒼紫だったが不機嫌な口調で、
「人斬りを楽しんでいるような奴が神であるわけがない・・。」
と付け加えた。
「そうだね・・そうだよね・・。」
乗り出していた体を元の椅子に戻して武尊も蒼紫に同意した。
「おまちどうさま。」
丁度話の区切りに店員が日替わり定食を持って来た。
「頂くとするか。」
「うん・・いただきます。」
メインのおかずは煮魚、それに貝の味噌汁。
温かい味噌汁が美味しいと武尊は思った。
会話少なく食事をしてもうすぐ食べ終わりそうな頃蒼紫は言った。
「京都へ戻るまでにまだ日にちがある。俺は少し探りを入れてこようと思う。」
「私も何か手伝う。」
「いや・・。」
蒼紫は武尊の申し出を断った。
「ごめん・・ありがと・・。」
武尊は蒼紫の言わんとすることを瞬時に察知した。
(蒼紫は御庭番衆御頭という凄い人なんだ、私に何が出来るっていうんだろう。結局私のレベルじゃ足引っ張るだけなんだろうな。)
けれども蒼紫はこの東京では御尋ね者、危ない目に合わせるわけにはいかないと武尊は思った。
「無理しなくていいよ、だって蒼紫は・・。」
と武尊が言うと、
「問題ない、俺を誰だと思っている。今の警察などに俺は捕まらぬ。」
と蒼紫は言った。
(蒼紫・・いつもいつも私の為に・・。)
武尊はまた自分の事で蒼紫の手を煩わせる事になったと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
そんな武尊の顔を見て蒼紫は言った。
「調べに行っても期待した結果が得られるとは限らぬ、それよりも気晴らしに浅草に行ってみないか。ここからそれほど遠くはない。」
蒼紫なりに武尊を励まそうとしているのだろう。
何も返すことが出来ないならばせめてその気持ちは受け取らないといけない、武尊はそう思った。
「じゃあ・・行ってみようかな。楽しみだな。」
武尊はそう言って微笑んだ。
蒼紫も武尊の微笑んだ顔を見て微笑した。
ごちそうさまをした二人は浅草へと向かった。
飯屋の暖簾をくぐって店内の椅子が空いている事にホッとした武尊だった。
「何にする?」
蒼紫に言われ店内に貼られたお品書きを必死で眺める武尊であったが、これまたここの店は癖の強い字のお品書きで武尊は目を皿のように凝らして見つめたが・・よく分からなかった。
蒼紫が武尊の顔を見て少し口元をほころばせた事にも武尊は気づかず、小さくため息をついた。
「だめだ・・読めない。蒼紫と同じものでいい。」
武尊は乾いた笑いをしながら
(なるほどね。)
と思った。
蒼紫は本当に自分の細かいところまでよく見ている。
そう思って今度は武尊が蒼紫を見ていると蒼紫は店員に日替わり定食を二つ頼んだ。
武尊は出てきた熱い番茶の湯呑を両手で包み少しづつ何度も飲んだ。
「寒いのか。」
「ううん、大丈夫だよ。」
「ならば先程の話を少し続ける。」
と蒼紫は声を落として武尊に言った。
武尊は湯呑を包みながら目を蒼紫に向けた。
「武尊も察しているかもしれないが俺が考えるに十六夜丸は人であろうはずがない。」
蒼紫は斎藤と自分の刃を受けた武尊の無残な姿を見る見るうちに修復させたあの十六夜丸の力を思い出した。
そしてその後武尊に起きた摩訶不思議な現象・・まるで見えないものに犯されているような乱れ喘ぐ武尊の姿。
武尊を苦しめる十六夜丸の正体は呪術による魔物、仮説を立てた。
「人でない者を人へ降ろす、若しくは憑依させるという事は特別な場所では古来より行われていたという・・そんな話自体は俺は信じてはいなかったが・・。」
「その特別な場所って・・どこ!?」
武尊は蒼紫の言葉が最後まで待ちきれず身を乗り出した。
そんな武尊に蒼紫は、
「武尊、巫(かんなぎ)というのを知っているか。」
と聞いた。
「かんなぎ?」
「嗚呼、神に仕える巫女の事だ。」
「巫女・・。」
「明治の世にも未だ一部の巫(かんなぎ)は神の憑代となるという。」
「私は巫女なんかじゃない。」
武尊は否定した。
幼少の頃寺に預けられた時に近くの神社へも遊びに行ったことがあるがそこは賽銭箱が置いてあるくらいの小さな社で宮司も巫女もいなかった。
武尊なんて縁も所縁もないと武尊は自分の人生を振り返ってそう思った。
「別に俺は武尊が巫女であるとは言っていない。ただ神を祭る政(まつりごと)の中では神を降ろし信託を授かったという話があるという事だ。(もっとも俺自身あの魔物が神などとは決して思わぬがな。)」
「つまり蒼紫はあの十六夜丸が神だと・・。」
武尊が瞳を大きく開いて少し声を震わせながら蒼紫に聞くと、
「・・奴のどこが神だと言うんだ!」
声の音量はそのままであったが蒼紫にしては珍しく感情が入った言葉が返ってきて武尊は更に目を大きくした。
武尊の表情にすぐにいつもの冷静な顔に戻った蒼紫だったが不機嫌な口調で、
「人斬りを楽しんでいるような奴が神であるわけがない・・。」
と付け加えた。
「そうだね・・そうだよね・・。」
乗り出していた体を元の椅子に戻して武尊も蒼紫に同意した。
「おまちどうさま。」
丁度話の区切りに店員が日替わり定食を持って来た。
「頂くとするか。」
「うん・・いただきます。」
メインのおかずは煮魚、それに貝の味噌汁。
温かい味噌汁が美味しいと武尊は思った。
会話少なく食事をしてもうすぐ食べ終わりそうな頃蒼紫は言った。
「京都へ戻るまでにまだ日にちがある。俺は少し探りを入れてこようと思う。」
「私も何か手伝う。」
「いや・・。」
蒼紫は武尊の申し出を断った。
「ごめん・・ありがと・・。」
武尊は蒼紫の言わんとすることを瞬時に察知した。
(蒼紫は御庭番衆御頭という凄い人なんだ、私に何が出来るっていうんだろう。結局私のレベルじゃ足引っ張るだけなんだろうな。)
けれども蒼紫はこの東京では御尋ね者、危ない目に合わせるわけにはいかないと武尊は思った。
「無理しなくていいよ、だって蒼紫は・・。」
と武尊が言うと、
「問題ない、俺を誰だと思っている。今の警察などに俺は捕まらぬ。」
と蒼紫は言った。
(蒼紫・・いつもいつも私の為に・・。)
武尊はまた自分の事で蒼紫の手を煩わせる事になったと申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
そんな武尊の顔を見て蒼紫は言った。
「調べに行っても期待した結果が得られるとは限らぬ、それよりも気晴らしに浅草に行ってみないか。ここからそれほど遠くはない。」
蒼紫なりに武尊を励まそうとしているのだろう。
何も返すことが出来ないならばせめてその気持ちは受け取らないといけない、武尊はそう思った。
「じゃあ・・行ってみようかな。楽しみだな。」
武尊はそう言って微笑んだ。
蒼紫も武尊の微笑んだ顔を見て微笑した。
ごちそうさまをした二人は浅草へと向かった。