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197.巫(かんなぎ) (剣心・薫・夢主・蒼紫)
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それから二人はしばらく歩き続けた。
ちょっと外を散策するだけのはずだったのにと武尊は思いながらもと止まらず歩き続ける蒼紫について行くように横を歩いた。
途中何件も蕎麦屋があった。
けれども武尊はそれが蕎麦屋だと分かるとなるべくその店を見ないようにした。
一瞬警視庁前の蕎麦屋台のおじさんの顔がフッと浮かんできたが、なるべく思い出さないように地面にうつむき小石を蹴った。
しばらくした後、蒼紫は前を向いて歩きながら口を開いた。
「緋村の言った事はある意味正しい・・。」
蒼紫の言葉に武尊はハッと顔を上げ蒼紫を見た。
「十六夜丸は男だからな・・武尊の事を女と気付けなければ武尊を男だと思い込んでも仕方があるまい。」
十六夜丸が男。
そんな事は今まで意識したことはなかったが、あの意識の底で話した十六夜丸を見て武尊も十六夜丸が女だとは露ほどにも考えた事はなかった。
例え自分とそっくりな姿をしていた、してもだ。
武尊は歩きながら蒼紫の横顔を見た。
蒼紫は武尊を見てまた前を向いて話した。
「薬を飲んで・・奴に人格を乗っ取られるという表現が適切であるかは分からないが奴が武尊を支配した時は言葉使いや振る舞いは男そのものだ。」
「そ、そうなんだ・・。」
蒼紫に言われて武尊もあの意識の底で会った武尊を思い浮かべた。
十六夜丸と話をした。
確かに彼の話し方は男だった。
そして三途の川の事を話してくれた。
(普通の人間は死んでからの世界なんて知るわけがないよね・・じゃ、十六夜丸って死霊ってわけ・・?)
ざわわっと一瞬鳥肌が立ち、思わず歩きながら身震いする武尊だった。
その横で蒼紫は話を続ける。
「普段の人格と別の人格を引き出す方法が邪法の中に幾つか記されているのを俺は読んだことがある。その中には己自身に強い暗示をかける、若しくは外部から何かきっかけを与える・・などがあるが所詮それは同人物にすぎない。」
その言葉を聞いて武尊は蒼紫に思わず尋ねた。
「蒼紫は十六夜丸が私の別人格ではないとどうしてそう思うの?別人格の中に男の人格があってもおかしくないと思うんだけど。」
蒼紫は今度は武尊の顔をを見ながら答えた。
「人格が違ったとしても記憶は同じのはずだ。
・・江戸城に奴が忍び込んだ時に奴は何をしていたと思う、俺が受けた報告では奴は密書を読み荒らしていたという。読み書きの出来ぬ武尊にそんな事が出来るはずがない、それが別人格ではなく・・。」
そこで言葉を濁した蒼紫に武尊は首を傾げながら、
「別人格ではなく?」
と、その先を聞いた。
蒼紫は数秒口を閉ざした後、
「【別の何か】という事だ。」
と言った。
「【別の何か】って・・。」
武尊は蒼紫の言葉の意味が分からず問い返した。
『別人だ。』というのなら話は分かる。
『何か。』って言われても・・と思った時蒼紫が、
「人にあのような力があるとは思えぬ。」
と言った。
蒼紫の言葉に武尊はハッとした。
武尊は自分が死ぬほどの大けがをしても助かったこと、そして斎藤が話した戊辰の母成峠で部下の怪我を治したという事。
(人に・・そんな事が出来るわけがない!)
そしてもう一つ同時に武尊の脳裏をよぎった事は自分を過去から未来、未来から過去へ飛ばしたのは十六夜丸だという予感。
人にそんな事が出来るわけがない・・・と武尊は再度強く思った。
と、同時に悪寒が武尊の背筋を駆け抜けた。
「!」
崩れる武尊を蒼紫は抱き留めた。
「武尊!」
武尊は不安定な姿勢だった片足を踏み出し、支えてもらった蒼紫に向き直り、
「大丈夫・・ちょっとくらっとしただけだから。」
と言った。
蒼紫は通りの向こうをながめると、
「そろそろ休むか。あそこに食事が取れる所がある。」
と言った。
「そうだね、お腹もすいたしね。」
と、武尊は今の話であまりお腹はすいた気はしないものの蒼紫はきっとお腹がすいていると思い店に入る事にした。
ちょっと外を散策するだけのはずだったのにと武尊は思いながらもと止まらず歩き続ける蒼紫について行くように横を歩いた。
途中何件も蕎麦屋があった。
けれども武尊はそれが蕎麦屋だと分かるとなるべくその店を見ないようにした。
一瞬警視庁前の蕎麦屋台のおじさんの顔がフッと浮かんできたが、なるべく思い出さないように地面にうつむき小石を蹴った。
しばらくした後、蒼紫は前を向いて歩きながら口を開いた。
「緋村の言った事はある意味正しい・・。」
蒼紫の言葉に武尊はハッと顔を上げ蒼紫を見た。
「十六夜丸は男だからな・・武尊の事を女と気付けなければ武尊を男だと思い込んでも仕方があるまい。」
十六夜丸が男。
そんな事は今まで意識したことはなかったが、あの意識の底で話した十六夜丸を見て武尊も十六夜丸が女だとは露ほどにも考えた事はなかった。
例え自分とそっくりな姿をしていた、してもだ。
武尊は歩きながら蒼紫の横顔を見た。
蒼紫は武尊を見てまた前を向いて話した。
「薬を飲んで・・奴に人格を乗っ取られるという表現が適切であるかは分からないが奴が武尊を支配した時は言葉使いや振る舞いは男そのものだ。」
「そ、そうなんだ・・。」
蒼紫に言われて武尊もあの意識の底で会った武尊を思い浮かべた。
十六夜丸と話をした。
確かに彼の話し方は男だった。
そして三途の川の事を話してくれた。
(普通の人間は死んでからの世界なんて知るわけがないよね・・じゃ、十六夜丸って死霊ってわけ・・?)
ざわわっと一瞬鳥肌が立ち、思わず歩きながら身震いする武尊だった。
その横で蒼紫は話を続ける。
「普段の人格と別の人格を引き出す方法が邪法の中に幾つか記されているのを俺は読んだことがある。その中には己自身に強い暗示をかける、若しくは外部から何かきっかけを与える・・などがあるが所詮それは同人物にすぎない。」
その言葉を聞いて武尊は蒼紫に思わず尋ねた。
「蒼紫は十六夜丸が私の別人格ではないとどうしてそう思うの?別人格の中に男の人格があってもおかしくないと思うんだけど。」
蒼紫は今度は武尊の顔をを見ながら答えた。
「人格が違ったとしても記憶は同じのはずだ。
・・江戸城に奴が忍び込んだ時に奴は何をしていたと思う、俺が受けた報告では奴は密書を読み荒らしていたという。読み書きの出来ぬ武尊にそんな事が出来るはずがない、それが別人格ではなく・・。」
そこで言葉を濁した蒼紫に武尊は首を傾げながら、
「別人格ではなく?」
と、その先を聞いた。
蒼紫は数秒口を閉ざした後、
「【別の何か】という事だ。」
と言った。
「【別の何か】って・・。」
武尊は蒼紫の言葉の意味が分からず問い返した。
『別人だ。』というのなら話は分かる。
『何か。』って言われても・・と思った時蒼紫が、
「人にあのような力があるとは思えぬ。」
と言った。
蒼紫の言葉に武尊はハッとした。
武尊は自分が死ぬほどの大けがをしても助かったこと、そして斎藤が話した戊辰の母成峠で部下の怪我を治したという事。
(人に・・そんな事が出来るわけがない!)
そしてもう一つ同時に武尊の脳裏をよぎった事は自分を過去から未来、未来から過去へ飛ばしたのは十六夜丸だという予感。
人にそんな事が出来るわけがない・・・と武尊は再度強く思った。
と、同時に悪寒が武尊の背筋を駆け抜けた。
「!」
崩れる武尊を蒼紫は抱き留めた。
「武尊!」
武尊は不安定な姿勢だった片足を踏み出し、支えてもらった蒼紫に向き直り、
「大丈夫・・ちょっとくらっとしただけだから。」
と言った。
蒼紫は通りの向こうをながめると、
「そろそろ休むか。あそこに食事が取れる所がある。」
と言った。
「そうだね、お腹もすいたしね。」
と、武尊は今の話であまりお腹はすいた気はしないものの蒼紫はきっとお腹がすいていると思い店に入る事にした。