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192.弥彦ショック! (蒼紫・夢主・剣心・薫・弥彦)
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武尊が道場の看板の前でぐるぐる回っていると蒼紫が戻ってきた。
「蒼紫、どうだった?」
「緋村と神谷薫から了承を得た。」
「良かったぁ。」
日も暮れかかろうとするこの時間、出直すのは勘弁して欲しいと武尊は内心思っていた。
それに足もすでに棒のように疲れている。
休ませてもらえると聞いて武尊はホッとした。
「こっちだ。」
と蒼紫に言われ武尊は蒼紫の後をきょろきょろしながらついて行った。
「・・やっぱり焦げ臭い気がする。」
武尊がボソッと言うと蒼紫が、
「今から夕餉だそうだ。秋刀魚を焼いていた。」
と言った。
「そっか、向こうも御飯の時間なんだね。」
武尊は脂ののった秋刀魚をおいしそうなと想像した。
蒼紫は以前泊まった部屋に入り、
「ここで暫く待つ。」
と言った。
「分かった。」
武尊は荷物を下ろし膝を伸ばして座った。
薬箱が気になったがまだ勝手に部屋をうろつくわけにもいかないなと武尊は思った。
思いながら柔軟体操をした。
「いつもの鍛錬か。」
東京へ向かう宿に到着すると武尊が毎回する妙な運動を蒼紫は鍛錬と呼んだ。
「うん、こうしておかないと次の日足の疲れがとれないから。」
「・・それほどに足の疲れを取り除きたいのならば良い経穴があるぞ。」
「大丈夫!そこまでしなくても!」
「・・そうか。」
残念そうなため息を蒼紫がつくのを武尊は見てしまい慌てて畳に視線を移した。
よりによって神谷道場でそんな事を言われてお願いしますなんて言えないと武尊は焦った。
(・・そにれツボ押しって言ったってまた変な所にあるツボだったらそれこそドツボなんじゃ・・蒼紫の場合あり得えそうだからこわい・・。)
怪しげなツボを押されている所を抜刀斎に見られ、それを比古にでも知らされたらますます比古の所へ帰るのに気まずくなると武尊は思った。
「それにしても・・。」
「何だ。」
「ううん・・何でもない。」
(抜刀斎・・
赤い髪に左頬に十字傷の男・・)
武尊は今日で会うのが三度目になるその男の顔を思い出していた。
ことごとく嫌な顔をされて武尊は思い出すだけでも不愉快だと思ったが、あくまでもそれは自分(十六夜丸)が原因なので仕方がないと思った。
ただ今日は師匠との約束はもう追及しなくていいんだと思うと幾分気が楽だと思った。
(抜刀斎・・いや、緋村剣心・・
幕末敵なしの強さのため人斬り抜刀斎と呼ばれた男・・。)
緋村剣心と自分、理由はともかく多くの人の命を奪ったことは間違いない。
武尊はその男と自分と何が違うと改めて自分に問うた。
(比古さんに『東京のバカ弟子に話を聞いて来い』と言われた時は比古さんは私が十六夜丸ってことも知らなかったし私も緋村さんが人斬り抜刀斎だとは知らなかった・・・
・・比古さんは何をいったい私に伝えようとしたんだろう・・。)
人殺しは罪だと思わなかったのだろうか。
人を殺したことを悩まなかったのだろうか。
十年経ったらそれは昔の事だからって忘れる?
(確かに幕末の京都では相手を斬らないと自分が問答無用でやられるっていう環境だったから『話せば分かる』なんて悠長な事なんて言ってられなかったよね。)
武尊にも記憶にある幕末京都の夜。
あの緊張感のある空気はまさに戦場そのもの。
どこから敵が出て来るか分からない。
そして間違いなく戦闘があった事を彷彿させた夜は屯所の部屋に戻って来た沖田や斎藤から血の臭いがした。
武尊は幕末の京都を思い出したその一方で初めて神谷道場に着た日、木の陰から見えた剣心の目尻の下がった笑い顔が脳裏に浮かんだ。
(あんな風に笑えるって事はあの人にとってここは心安らぐ場所なんだ・・。)
自分にとってはそれは藤田夫婦。
彼等に危害を加えようとする者があれば武尊は命を投げ打ってでも守りたいと思っている。
(幕末から十年・・抜刀斎は何を見て何を求めてきたんだろう・・結局それを聞いて来いってことだったんだろうけど・・。)
武尊は緋村剣心という男がどのような十年を過ごしたか、少し興味はあったが絶対聞かなくてはいけない話だとはもう思っていなかった。
斎藤や蒼紫の話を聞いて思った事は、十六夜丸が殺したのはいわゆる誰かの敵であって、要するに互いに敵同士、闘いは必然でその末に生き残った、ただそれだけの事と武尊は結論付けたからだ。
もちろん、罪悪感はある。
(十六夜丸だけ悪いわけじゃない・・私は十六夜丸でなくとも私自身の意志で人を殺している。でも誰かがそれで救われるなら私はこの手が血に染まるのを後悔しない・・。)
十六夜丸の過去を背負う自分と今の自分、どちらにせよ綺麗な人の道なんて歩けはしない、いやもとより自分なんかに歩く資格はない、と武尊は愁いた。
(・・・・今回は薬の奪還、それだけを考えればいい・・。)
武尊の考え事をしているとこちらに近づく足音が廊下からした。
「待たせたでござるな・・。」
蒼紫と武尊と剣心は互いに目を見合ったが剣心は一呼吸置いた後部屋に入って来た。
「今、薫殿が茶を持ってきてくれるでござるよ。」
剣心はそう言うと蒼紫と武尊の前に座った。
「蒼紫、どうだった?」
「緋村と神谷薫から了承を得た。」
「良かったぁ。」
日も暮れかかろうとするこの時間、出直すのは勘弁して欲しいと武尊は内心思っていた。
それに足もすでに棒のように疲れている。
休ませてもらえると聞いて武尊はホッとした。
「こっちだ。」
と蒼紫に言われ武尊は蒼紫の後をきょろきょろしながらついて行った。
「・・やっぱり焦げ臭い気がする。」
武尊がボソッと言うと蒼紫が、
「今から夕餉だそうだ。秋刀魚を焼いていた。」
と言った。
「そっか、向こうも御飯の時間なんだね。」
武尊は脂ののった秋刀魚をおいしそうなと想像した。
蒼紫は以前泊まった部屋に入り、
「ここで暫く待つ。」
と言った。
「分かった。」
武尊は荷物を下ろし膝を伸ばして座った。
薬箱が気になったがまだ勝手に部屋をうろつくわけにもいかないなと武尊は思った。
思いながら柔軟体操をした。
「いつもの鍛錬か。」
東京へ向かう宿に到着すると武尊が毎回する妙な運動を蒼紫は鍛錬と呼んだ。
「うん、こうしておかないと次の日足の疲れがとれないから。」
「・・それほどに足の疲れを取り除きたいのならば良い経穴があるぞ。」
「大丈夫!そこまでしなくても!」
「・・そうか。」
残念そうなため息を蒼紫がつくのを武尊は見てしまい慌てて畳に視線を移した。
よりによって神谷道場でそんな事を言われてお願いしますなんて言えないと武尊は焦った。
(・・そにれツボ押しって言ったってまた変な所にあるツボだったらそれこそドツボなんじゃ・・蒼紫の場合あり得えそうだからこわい・・。)
怪しげなツボを押されている所を抜刀斎に見られ、それを比古にでも知らされたらますます比古の所へ帰るのに気まずくなると武尊は思った。
「それにしても・・。」
「何だ。」
「ううん・・何でもない。」
(抜刀斎・・
赤い髪に左頬に十字傷の男・・)
武尊は今日で会うのが三度目になるその男の顔を思い出していた。
ことごとく嫌な顔をされて武尊は思い出すだけでも不愉快だと思ったが、あくまでもそれは自分(十六夜丸)が原因なので仕方がないと思った。
ただ今日は師匠との約束はもう追及しなくていいんだと思うと幾分気が楽だと思った。
(抜刀斎・・いや、緋村剣心・・
幕末敵なしの強さのため人斬り抜刀斎と呼ばれた男・・。)
緋村剣心と自分、理由はともかく多くの人の命を奪ったことは間違いない。
武尊はその男と自分と何が違うと改めて自分に問うた。
(比古さんに『東京のバカ弟子に話を聞いて来い』と言われた時は比古さんは私が十六夜丸ってことも知らなかったし私も緋村さんが人斬り抜刀斎だとは知らなかった・・・
・・比古さんは何をいったい私に伝えようとしたんだろう・・。)
人殺しは罪だと思わなかったのだろうか。
人を殺したことを悩まなかったのだろうか。
十年経ったらそれは昔の事だからって忘れる?
(確かに幕末の京都では相手を斬らないと自分が問答無用でやられるっていう環境だったから『話せば分かる』なんて悠長な事なんて言ってられなかったよね。)
武尊にも記憶にある幕末京都の夜。
あの緊張感のある空気はまさに戦場そのもの。
どこから敵が出て来るか分からない。
そして間違いなく戦闘があった事を彷彿させた夜は屯所の部屋に戻って来た沖田や斎藤から血の臭いがした。
武尊は幕末の京都を思い出したその一方で初めて神谷道場に着た日、木の陰から見えた剣心の目尻の下がった笑い顔が脳裏に浮かんだ。
(あんな風に笑えるって事はあの人にとってここは心安らぐ場所なんだ・・。)
自分にとってはそれは藤田夫婦。
彼等に危害を加えようとする者があれば武尊は命を投げ打ってでも守りたいと思っている。
(幕末から十年・・抜刀斎は何を見て何を求めてきたんだろう・・結局それを聞いて来いってことだったんだろうけど・・。)
武尊は緋村剣心という男がどのような十年を過ごしたか、少し興味はあったが絶対聞かなくてはいけない話だとはもう思っていなかった。
斎藤や蒼紫の話を聞いて思った事は、十六夜丸が殺したのはいわゆる誰かの敵であって、要するに互いに敵同士、闘いは必然でその末に生き残った、ただそれだけの事と武尊は結論付けたからだ。
もちろん、罪悪感はある。
(十六夜丸だけ悪いわけじゃない・・私は十六夜丸でなくとも私自身の意志で人を殺している。でも誰かがそれで救われるなら私はこの手が血に染まるのを後悔しない・・。)
十六夜丸の過去を背負う自分と今の自分、どちらにせよ綺麗な人の道なんて歩けはしない、いやもとより自分なんかに歩く資格はない、と武尊は愁いた。
(・・・・今回は薬の奪還、それだけを考えればいい・・。)
武尊の考え事をしているとこちらに近づく足音が廊下からした。
「待たせたでござるな・・。」
蒼紫と武尊と剣心は互いに目を見合ったが剣心は一呼吸置いた後部屋に入って来た。
「今、薫殿が茶を持ってきてくれるでござるよ。」
剣心はそう言うと蒼紫と武尊の前に座った。