※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
192.弥彦ショック! (蒼紫・夢主・剣心・薫・弥彦)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「緋村はいるか。」
蒼紫は玄関で呼びかけたが誰も出てこなかった。
だが微かに煙の臭いが流れてくる。
(これは秋刀魚の焦げる臭いだ。)
蒼紫が中庭へまわると丁度台所から駆けてきた剣心と鉢合わせた。
(・・蒼紫!)
剣心は一瞬蒼紫を見て目を見開いたが、今はそれよりも大事な事があると目の前の薫に叫んだ。
「薫殿!秋刀魚が!」
「あらやだ、やっぱり焼きすぎかしら。でも剣心、剣心はこないだ秋刀魚は焦げた方がおいしいって言ったじゃない。」
と、薫は七輪に乗せた二匹のほとんど炭化した秋刀魚をさらに団扇で仰いだ。
「ああ~、薫殿~。」
剣心はがくっと肩を落とした。
が、次の瞬間蒼紫に向き直った。
薫も剣心の視線の先に誰かがいると気がつき顔を向けた。
「蒼紫。」
「・・蒼紫さん!」
薫は蒼紫の姿を見て驚き扇いでいた手が止まった。
「緋村・・武尊を連れて来たぞ。」
と蒼紫は剣心に言った。
剣心は先日蒼紫に京へ帰る前に此処へ武尊を連れて来れば詫びを入れたいと言ったのだった。
むろん蒼紫もその言葉を覚えている。
二人は互いを見たまま数秒動かなかったが、蒼紫が口を開いた。
「緋村、今日ここへ寄ったのは詫びを入れてもらう為ではない。」
「!」
剣心が耳にした蒼紫の言葉は自分が思いもしなかった言葉だった。
先日の蒼紫の怒り様を思えば即座に詫びを入れるよう促されるとばかり思っていた剣心だった。
同時に武尊にどう詫びれば後に師匠から嫌味を言われる事なく事を収めることが出来るのかと剣心は考えようとしていた矢先だった。
「では何故・・。」
剣心は目を見開いて蒼紫に問うた。
「今月の十日まで俺達をここへ泊めて欲しい。」
詫びの催促ではなく頼み、予想だにしなかった蒼紫の言葉。
剣心は散々葵屋で世話になった上に縁とのことで蒼紫に大きな借りがあるので一瞬武尊(=十六夜丸)の泊まりという事に抵抗を感じたが断る事など出来はしなかった。
「私は構わないけど・・剣心はどう?」
薫は立ち上がって剣心に尋ねた。
「薫殿が構わなければ拙者は何も言う事はないでござるよ。」
先日は武尊を薫に近寄らせまいとした剣心にしてはこの口から出た言葉はかなりの譲渡だった。それに今回は蒼紫もいるので十六夜丸もそう簡単に薫に手出しはできないはず・・という剣心の算段があった。
「して武尊は何処でござるか。」
「門の外だ。一応武尊も緋村に気を使っている。」
「そうでござるか・・。」
「泊まりになるんでしたら夕餉、一緒にどうですか?」
薫の言葉に蒼紫は思わず黒くなった秋刀魚に目をやった。
「・・いや、俺達は済ませて来た。」
済ませてきて正解だったと蒼紫は眉間に皺を寄せた。
「じゃ、とりあえずお部屋に案内しますからそちらで休んでてください。私達ちょっと出稽古でお腹が・・その・・。」
と、お腹がすきすぎて今すぐに御飯を食べたいと薫は強い欲求でもじもじした。
蒼紫は秋刀魚から薫、そして剣心に視線を移し、
「・・武尊は俺と同じ部屋で良い、それでいいだろう緋村。」
と言った。
「蒼紫が武尊を見ていてくれるのであれば拙者もその方がいいでござる。」
剣心と蒼紫が互いに了解を取ったのを聞き薫は、
「じゃ、剣心。秋刀魚焼けたから御膳に乗せといて。私は蒼紫さんを部屋へ案内して来るわ。」
歩き出そうとする薫を蒼紫は制するように、
「先回と同じ部屋なら場所は分かる。俺は武尊とそこで待っているから先に夕餉を取ればいい。」
と言い蒼紫は武尊の所へ戻ろうと踵を返した。
(えっ・・。)
なんとなく蒼紫の言葉に気遣いが含まれているような気がした薫は一瞬戸惑った。
「あ、でしたら先日と同じ部屋を使ってください。後でお布団御用意しますから。」
と、すでに道場の門の方へ歩いていく蒼紫の後ろ姿に薫は返事をした。
そして剣心ははっと気がつくのであった。
「薫殿・・秋刀魚が・・。」
そこには箸でつつけば、カスっと音がしそうな秋刀魚が二匹、黒い煙を微かにあげていたのだった。
蒼紫は玄関で呼びかけたが誰も出てこなかった。
だが微かに煙の臭いが流れてくる。
(これは秋刀魚の焦げる臭いだ。)
蒼紫が中庭へまわると丁度台所から駆けてきた剣心と鉢合わせた。
(・・蒼紫!)
剣心は一瞬蒼紫を見て目を見開いたが、今はそれよりも大事な事があると目の前の薫に叫んだ。
「薫殿!秋刀魚が!」
「あらやだ、やっぱり焼きすぎかしら。でも剣心、剣心はこないだ秋刀魚は焦げた方がおいしいって言ったじゃない。」
と、薫は七輪に乗せた二匹のほとんど炭化した秋刀魚をさらに団扇で仰いだ。
「ああ~、薫殿~。」
剣心はがくっと肩を落とした。
が、次の瞬間蒼紫に向き直った。
薫も剣心の視線の先に誰かがいると気がつき顔を向けた。
「蒼紫。」
「・・蒼紫さん!」
薫は蒼紫の姿を見て驚き扇いでいた手が止まった。
「緋村・・武尊を連れて来たぞ。」
と蒼紫は剣心に言った。
剣心は先日蒼紫に京へ帰る前に此処へ武尊を連れて来れば詫びを入れたいと言ったのだった。
むろん蒼紫もその言葉を覚えている。
二人は互いを見たまま数秒動かなかったが、蒼紫が口を開いた。
「緋村、今日ここへ寄ったのは詫びを入れてもらう為ではない。」
「!」
剣心が耳にした蒼紫の言葉は自分が思いもしなかった言葉だった。
先日の蒼紫の怒り様を思えば即座に詫びを入れるよう促されるとばかり思っていた剣心だった。
同時に武尊にどう詫びれば後に師匠から嫌味を言われる事なく事を収めることが出来るのかと剣心は考えようとしていた矢先だった。
「では何故・・。」
剣心は目を見開いて蒼紫に問うた。
「今月の十日まで俺達をここへ泊めて欲しい。」
詫びの催促ではなく頼み、予想だにしなかった蒼紫の言葉。
剣心は散々葵屋で世話になった上に縁とのことで蒼紫に大きな借りがあるので一瞬武尊(=十六夜丸)の泊まりという事に抵抗を感じたが断る事など出来はしなかった。
「私は構わないけど・・剣心はどう?」
薫は立ち上がって剣心に尋ねた。
「薫殿が構わなければ拙者は何も言う事はないでござるよ。」
先日は武尊を薫に近寄らせまいとした剣心にしてはこの口から出た言葉はかなりの譲渡だった。それに今回は蒼紫もいるので十六夜丸もそう簡単に薫に手出しはできないはず・・という剣心の算段があった。
「して武尊は何処でござるか。」
「門の外だ。一応武尊も緋村に気を使っている。」
「そうでござるか・・。」
「泊まりになるんでしたら夕餉、一緒にどうですか?」
薫の言葉に蒼紫は思わず黒くなった秋刀魚に目をやった。
「・・いや、俺達は済ませて来た。」
済ませてきて正解だったと蒼紫は眉間に皺を寄せた。
「じゃ、とりあえずお部屋に案内しますからそちらで休んでてください。私達ちょっと出稽古でお腹が・・その・・。」
と、お腹がすきすぎて今すぐに御飯を食べたいと薫は強い欲求でもじもじした。
蒼紫は秋刀魚から薫、そして剣心に視線を移し、
「・・武尊は俺と同じ部屋で良い、それでいいだろう緋村。」
と言った。
「蒼紫が武尊を見ていてくれるのであれば拙者もその方がいいでござる。」
剣心と蒼紫が互いに了解を取ったのを聞き薫は、
「じゃ、剣心。秋刀魚焼けたから御膳に乗せといて。私は蒼紫さんを部屋へ案内して来るわ。」
歩き出そうとする薫を蒼紫は制するように、
「先回と同じ部屋なら場所は分かる。俺は武尊とそこで待っているから先に夕餉を取ればいい。」
と言い蒼紫は武尊の所へ戻ろうと踵を返した。
(えっ・・。)
なんとなく蒼紫の言葉に気遣いが含まれているような気がした薫は一瞬戸惑った。
「あ、でしたら先日と同じ部屋を使ってください。後でお布団御用意しますから。」
と、すでに道場の門の方へ歩いていく蒼紫の後ろ姿に薫は返事をした。
そして剣心ははっと気がつくのであった。
「薫殿・・秋刀魚が・・。」
そこには箸でつつけば、カスっと音がしそうな秋刀魚が二匹、黒い煙を微かにあげていたのだった。