※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
190.友という名のもとに (蒼紫・夢主・右近)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
宿を出てしばらく普通に歩いていた二人だったが、山の長くくねった道で蒼紫と武尊は目で互いに合図をした。
「・・分かるか武尊。」
「・・うん、誰かついて来てる。」
二人は小声でそう話し、武尊は次の曲がり道で道脇に身体を寄せ待ち伏せした。
そして相手が曲がって来た瞬間姿を現し驚かせ、同時に蒼紫が頭上から躍り出て一撃を食らわせその男の腕を捻じりあげた。
「何故俺達をつける。」
蒼紫が男に睨みをきかせながら聞いたがその男は、
「痛ててて!つけてねぇって!いきなり何しやがる、こら!」
と、しらを切った。
そんな見えすいた嘘などに蒼紫に武尊も騙されない。
「・・どうする武尊。」
「・・・。」
蒼紫の問いに武尊は目を見開いて男を見据えた。
理由を答えずともこのままこの男を開放すればいずれきっと自分達に害をなす、そんな予感が武尊にはしていた。
そしてそれは今までの経験に基づく虫の知らせというか間違いはないと武尊に確信させていた。
蒼紫もそうだった。
・・殺しておくべきだと武尊の頭の中で誰かが囁く。
だがそんな囁きに静止する声も同時にしてきた。
『殺すのか・・何の罪もない男を。』
(だって絶対悪い奴だもんこいつ!)
『無理やり吐かせたとしてもそれを裏付ける証拠はあるのか。』
(・・・。)
『それなのに殺すのか、殺していいのか。』
『殺しておかなければ災いをもたらすと分かっていながら見逃すのか。お前の為に他の誰かが犠牲になってもいいのか。』
『またそうやってお前は人の命を簡単に奪うのか、人殺しめ。』
『殺せ!悪党が生きて善人が死ぬ、そんな理不尽な事をお前は許せるのか!』
『やはりりお前の本性は人殺しだ・・殺人人形め。』
(ううっ・・。)
武尊の心拍数が上がっていく。
蒼紫はそんな
武尊の表情をじっと見ていた。
男は逃げようとして暴れかけようとしたがその度に蒼紫に簡単に抑えられていた。
「武尊。」
蒼紫に言われて武尊はようやく口を開いた。
「気絶させて置いていこう・・。」
「分かった。」
と蒼紫は答えるやいなや手刀を一発相手に食らわすと男はその場に崩れ落ちた。
「・・これて良いのか。」
蒼紫に聞かれ武尊は頷いた。
蒼紫はいつの間にか取り出した手ぬぐいをピッと数本裂きそれで男の手足を縛りあげて数メートル崖下へ置いてきた。
「人通りの全くない道ではないからな。いずれ自力で何とかするか助けを呼ぶだろう。これで少しは時間稼ぎになる。」
そう蒼紫はパンパンと手を払いながらそう言った。
二人はまた歩き出した。
しばらくして武尊は考えていた事を蒼紫に言った。
「さっきの人、素人じゃないよね・・。」
「嗚呼、武尊ほどではないがある程度は腕に覚えがある程度か。」
「私ほどって・・。」
と、武尊は蒼紫の前で自分の闘う姿など見せたことなんかないのにどうして自分のレベルを推測できるのかと思った。
「以前操と少し絡んだだろう、それと斎藤が言っていた、『武尊ならそこらの男五人ぐらいなら問題なく相手に出来る』とな。」
そんな事を一が言ったのかと武尊は半ば驚いたが、今の武尊には相手が格下でも自分一人では正しい判断が出来たかどうか分からなかったと思った。
「あれでよかったのかなぁ・・。」
武尊はあの男を生かしておいてよかったのかと心のひっかかりを口に出した。
「今の武尊の足では走って撒くのは少し難儀だ・・まだ足首の捻挫はそこまで回復していまい、それに靴ずれした場所もようやく薄皮が張ったばかりではないか。」
「うん・・そうなんだけど・・。」
よく捻挫の症状まで見破ったと武尊は驚いたが心のもやが晴れたわけではない。
「俺も今のところは一応殺しは控えているからな、あいつはあれで良いだろう。」
蒼紫の口から直接【殺し】という言葉を聞いてはっとし一瞬背筋を寒くした武尊だったが、よくよく考えれば自分も【土岐武尊】自身として人を殺したのではなかったのかと喉をつまらせた。
それより今はこれから先の事の不安の方が大きかった武尊は、
「でも・・・あの男が仲間を連れて大勢で来たら他の人を巻き込むかもしれない・・。」
と、うつむきながら呟いた。
「暫く警戒するしかないな。おそらく俺達をつけさせたのは九条だろう。」
「私もそう思う・・でも何でだろう。」
「東京へ戻ったら少し調べるか。」
「いいよ、(蒼紫にそんな事までさせられない。)きっと大丈夫だよ。」
「いや、俺がつけられた可能性もある。どうせ海軍との約束の日までは少し時間があるはずだ。調べておいて損はないはずだ。」
蒼紫がそう言うのならと武尊はそれ以上は言わなかった。
2015/04/27
「・・分かるか武尊。」
「・・うん、誰かついて来てる。」
二人は小声でそう話し、武尊は次の曲がり道で道脇に身体を寄せ待ち伏せした。
そして相手が曲がって来た瞬間姿を現し驚かせ、同時に蒼紫が頭上から躍り出て一撃を食らわせその男の腕を捻じりあげた。
「何故俺達をつける。」
蒼紫が男に睨みをきかせながら聞いたがその男は、
「痛ててて!つけてねぇって!いきなり何しやがる、こら!」
と、しらを切った。
そんな見えすいた嘘などに蒼紫に武尊も騙されない。
「・・どうする武尊。」
「・・・。」
蒼紫の問いに武尊は目を見開いて男を見据えた。
理由を答えずともこのままこの男を開放すればいずれきっと自分達に害をなす、そんな予感が武尊にはしていた。
そしてそれは今までの経験に基づく虫の知らせというか間違いはないと武尊に確信させていた。
蒼紫もそうだった。
・・殺しておくべきだと武尊の頭の中で誰かが囁く。
だがそんな囁きに静止する声も同時にしてきた。
『殺すのか・・何の罪もない男を。』
(だって絶対悪い奴だもんこいつ!)
『無理やり吐かせたとしてもそれを裏付ける証拠はあるのか。』
(・・・。)
『それなのに殺すのか、殺していいのか。』
『殺しておかなければ災いをもたらすと分かっていながら見逃すのか。お前の為に他の誰かが犠牲になってもいいのか。』
『またそうやってお前は人の命を簡単に奪うのか、人殺しめ。』
『殺せ!悪党が生きて善人が死ぬ、そんな理不尽な事をお前は許せるのか!』
『やはりりお前の本性は人殺しだ・・殺人人形め。』
(ううっ・・。)
武尊の心拍数が上がっていく。
蒼紫はそんな
武尊の表情をじっと見ていた。
男は逃げようとして暴れかけようとしたがその度に蒼紫に簡単に抑えられていた。
「武尊。」
蒼紫に言われて武尊はようやく口を開いた。
「気絶させて置いていこう・・。」
「分かった。」
と蒼紫は答えるやいなや手刀を一発相手に食らわすと男はその場に崩れ落ちた。
「・・これて良いのか。」
蒼紫に聞かれ武尊は頷いた。
蒼紫はいつの間にか取り出した手ぬぐいをピッと数本裂きそれで男の手足を縛りあげて数メートル崖下へ置いてきた。
「人通りの全くない道ではないからな。いずれ自力で何とかするか助けを呼ぶだろう。これで少しは時間稼ぎになる。」
そう蒼紫はパンパンと手を払いながらそう言った。
二人はまた歩き出した。
しばらくして武尊は考えていた事を蒼紫に言った。
「さっきの人、素人じゃないよね・・。」
「嗚呼、武尊ほどではないがある程度は腕に覚えがある程度か。」
「私ほどって・・。」
と、武尊は蒼紫の前で自分の闘う姿など見せたことなんかないのにどうして自分のレベルを推測できるのかと思った。
「以前操と少し絡んだだろう、それと斎藤が言っていた、『武尊ならそこらの男五人ぐらいなら問題なく相手に出来る』とな。」
そんな事を一が言ったのかと武尊は半ば驚いたが、今の武尊には相手が格下でも自分一人では正しい判断が出来たかどうか分からなかったと思った。
「あれでよかったのかなぁ・・。」
武尊はあの男を生かしておいてよかったのかと心のひっかかりを口に出した。
「今の武尊の足では走って撒くのは少し難儀だ・・まだ足首の捻挫はそこまで回復していまい、それに靴ずれした場所もようやく薄皮が張ったばかりではないか。」
「うん・・そうなんだけど・・。」
よく捻挫の症状まで見破ったと武尊は驚いたが心のもやが晴れたわけではない。
「俺も今のところは一応殺しは控えているからな、あいつはあれで良いだろう。」
蒼紫の口から直接【殺し】という言葉を聞いてはっとし一瞬背筋を寒くした武尊だったが、よくよく考えれば自分も【土岐武尊】自身として人を殺したのではなかったのかと喉をつまらせた。
それより今はこれから先の事の不安の方が大きかった武尊は、
「でも・・・あの男が仲間を連れて大勢で来たら他の人を巻き込むかもしれない・・。」
と、うつむきながら呟いた。
「暫く警戒するしかないな。おそらく俺達をつけさせたのは九条だろう。」
「私もそう思う・・でも何でだろう。」
「東京へ戻ったら少し調べるか。」
「いいよ、(蒼紫にそんな事までさせられない。)きっと大丈夫だよ。」
「いや、俺がつけられた可能性もある。どうせ海軍との約束の日までは少し時間があるはずだ。調べておいて損はないはずだ。」
蒼紫がそう言うのならと武尊はそれ以上は言わなかった。
2015/04/27