「もう大丈夫、どこも痛くない。」



武尊はすぐに治まった胸の痛みを蒼紫に報告した。



「ならいいが、しばらく様子見だな。

・・明日からまたしばらく歩く事になる今日はゆっくり休め。俺も今日は一風呂浴びて休むことにする。」



そう言って蒼紫は忍び装束を脱ぎ始めた。



（！！）



武尊は慌てて余所を向き蒼紫を見ないようにした。



そんな武尊を見て蒼紫は、



「今更隠す物は俺にはない、気を使わなくても良いぞ。」



と言った。



「べ、別に蒼紫になくても・・わ、私は、そ、そんなわけにはいかないです。」



武尊はドモリながら答えた。



たぶん同じ事を斎藤に言われても男の素っ裸をこういう状況で見るのはそれこそ心臓をドキドキさせることなのだと武尊は思った。



「そうか。」



顔を赤くし余所を見ている武尊に蒼紫は思わずフッと目を緩めた。






宿の浴衣に着替えた蒼紫は、



「では行って来る。」



と言い障子を開けた。



そして中庭の方を向いて一瞬間を置くと風呂へ向かった。