※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
163.山の季節 (操・弥彦・蒼紫・かふぇおじさん・夢主・薫・剣心)
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
マーティンはコーヒーカップを片手にカウンターをひとまわりゆっくり回ると、棚に背を預けながら遠い昔を思い出すように語り始めた。
「ワタシガ ニホンニキタノハ モウ55ネンモマエ。」
初来日じゃないのかと武尊は驚いたがその続きが気になって耳を傾けた。
「イッショニキタ シーボルトトナカヨクナッテ ヨク ナガサキノマチ デカケマシタ。アノコロ ワタシハ マダワカクテ ヒトリノニホンノジョセイ スキニナリアイシマシタ。」
(えー!シーボルトってあのシーボルト!?)
聞いていて武尊はまずそこに驚いた。
そしてシーボルトも日本人女性との間に確か子供が出来ていたと言う話を聞いていたことがあったので、このおじさんも若かった時には日本で熱く恋愛をしたのだろうとちょっとロマンを感じたが、その後どうなったのか気になって更に耳を傾けた。
「デモワタシハ サンカゲツゴ オランダニカエラナクテハナラナクナッテシマッタノデ、ソノママ ワカレテシマッタノデス。」
ああ、異人さんとの恋にはよくありがちなパターンだと武尊は内心小さなため息をついた。
(こういう場合泣くのは往々にして日本の女性なのよねー。でも若くて、ストレス満載で長い船旅をしたら・・陸にあがったら女抱きたいよね・・男としては・・。55年前って何歳よ・・ばりばりに若かったんだろうなぁ・・・・・。)
もう済んでしまった過去の話に苛立ちをぶつけても仕方がないし男はそんなもんだろうと思ってしまう武尊は、このおじさんもそのよくある悲劇のパターンだと思った。
(でもまてよ・・今オランダって言ったよね?ドイツじゃなくてオランダ?ドイツ人じゃないの?マーティンって?!)
いくつもの小さな疑問がマーティンの話を聞きながらどんどん頭の中に湧いてくる。
マーティンの話はまだ続いていた。
「ワタシノイエハ ファクトリー ヤッテイタ。イソガシクテネコノテモカリタイ・・ト、ニホンデハ ソウイイマシタカ・・デモワタシハ ホカニドウシテモヤリタイコトガアッテ イエヲトビダシタ。」
(・・・意外に熱いんだな・・このおじさんは。)
と、武尊はおじさんの評価もしつつ、すっかりコーヒーを飲むのを忘れて話に夢中になった。
「デモ ソレカラシバラクシテ オランダ ニ モドッタ。シーボルトトサイカイシタ。ソノトキニ キイタ。ドウヤラ ワタシガアイシタヒト オンナノコ ウンダラシイ。」
うわっ、本当に最悪だ!と武尊は思ったがなんとか黙っていた。
するとマーティンは今度は寄り掛かっていた棚の上にあった写真立てを手に取り、
「ソノトキワタシハ スデニ ドイツデ ケッコンシテイテ コドモモイタ。ソレガコノ【アナ】。デモ【アナ】ハ スデニハナシタヨウニ モウコノヨニイナイ。ツマモ ジュウネンマエニ シンダ。ワタシ、サミシカッタ。モシ ワタシノムスメ、ニホンデイキテルナラ アイタカッタ。ソノタメダケニ ニホンニ キタ。」
「・・・・。」
良い話なのかどうなのか、非常に判断するのは難しいと武尊は思ったがそれでもこの人は親として娘を愛しているんだなという気持ちは武尊にも伝わってきた。
マーティンの話は終わってはいなかった。
武尊がコーヒーを一口すすると、またマーティンは話し出した。
「ケレドモ ニホンニキテ3ネン・・ムスメノテガカリ ナニモナイ、ワカラナイ。ワタシ ザンネン アキラメタ。ライゲツ ドイツニ カエル。」
そこまで話てマーティンは少し冷めたコーヒーを一気に飲んだ。
武尊も残りを最後まで飲み干した。
「モウイッパイイカガ?アナタ ソンナニ コーヒースキ。ソンナ ニホンノジョセイメズラシイ。」
(え、ええ・・まあ・・好きですから。(そりゃコーヒー中毒ですから))
と、もごもごする武尊を見てマーティンは優しく微笑みコーヒー豆を挽きだした。
「すみません、この写真見てもいいですか?」
と、武尊はマーティンがコーヒーを挽いている間、立ち上がって棚の写真のところに来た。
「ドウゾドウゾ。」
マーティンは嬉しそうにそう言った。
武尊がじっと眺めていると、
「ネ、アナタニ ニテルデショ。」
と、聞いてきた。
「え!・・・私と?そうですか?うーん・・。」
セピア色の写真の中で若い女性が微笑んでいる。
カラーじゃないので尚更よくわからないが武尊は、
(似てるかなぁ?目元がちょっと似てると言えば似てるけど・・・でもねぇ・・。)
と悩んだ。
だが自分に似た人は世界に三人いるという話は聞いたことがある。
一応自分は作られたとはいえ、オリジナルの遺伝子が誰かのものならやはり世界のどこかに似た人がいてもおかしくないと武尊は思った。
「似てるかどうかわからないけど、でも、とてもきれいで優しそうな人ですね。」
「アリガトウ、ソウ、アナ ハ トテモヤサシイ ムスメダッタ・・・。」
そう言ってマーティンはゴリゴリとコーヒーミルを回した。
武尊は写真を元の棚に置こうとした時、写真の右下に日焼けして見えづらくなっていたサインを発見した。
(・・・Anna van Houten・・・、アナ ヴァン ホーテン・・・え?ヴァンホーテン!?)
その時武尊の頭にマーティンが『家が工場をやっていて・・』という言葉と以前もらったチョコレートが重なった。
「・・・・マーティン、もしかしてファクトリーってチョコレートのファクトリー?」
するとマーティンは驚いてコーヒーミルから手を離した。
「ヤー、ドウシテ ワカッタノデスカ! ヤーヤー、ソノ ファクトリー、ココア ツクリマース。」
「・・て事は!やっぱりあなたはヴァンホーテンさん!」
「ヴァンホーテン チガイマース、ファンハウテン デース。」
(あっ・・フォルクスワーゲンと一緒か、VはあっちではFの音なんだ・・。)
「でも、このまえチョコレートくれた・・。」
「Oh、アレハ スイスノチョコレート。オイシカッタデショ。」
と、マーティンはウインクした。
実は食べたのは一口だけで味はちょっとわかりませんでした・・とは言えない。
武尊はコクコクと頷いた。
「ヨカッタデース。」
「ワタシガ ニホンニキタノハ モウ55ネンモマエ。」
初来日じゃないのかと武尊は驚いたがその続きが気になって耳を傾けた。
「イッショニキタ シーボルトトナカヨクナッテ ヨク ナガサキノマチ デカケマシタ。アノコロ ワタシハ マダワカクテ ヒトリノニホンノジョセイ スキニナリアイシマシタ。」
(えー!シーボルトってあのシーボルト!?)
聞いていて武尊はまずそこに驚いた。
そしてシーボルトも日本人女性との間に確か子供が出来ていたと言う話を聞いていたことがあったので、このおじさんも若かった時には日本で熱く恋愛をしたのだろうとちょっとロマンを感じたが、その後どうなったのか気になって更に耳を傾けた。
「デモワタシハ サンカゲツゴ オランダニカエラナクテハナラナクナッテシマッタノデ、ソノママ ワカレテシマッタノデス。」
ああ、異人さんとの恋にはよくありがちなパターンだと武尊は内心小さなため息をついた。
(こういう場合泣くのは往々にして日本の女性なのよねー。でも若くて、ストレス満載で長い船旅をしたら・・陸にあがったら女抱きたいよね・・男としては・・。55年前って何歳よ・・ばりばりに若かったんだろうなぁ・・・・・。)
もう済んでしまった過去の話に苛立ちをぶつけても仕方がないし男はそんなもんだろうと思ってしまう武尊は、このおじさんもそのよくある悲劇のパターンだと思った。
(でもまてよ・・今オランダって言ったよね?ドイツじゃなくてオランダ?ドイツ人じゃないの?マーティンって?!)
いくつもの小さな疑問がマーティンの話を聞きながらどんどん頭の中に湧いてくる。
マーティンの話はまだ続いていた。
「ワタシノイエハ ファクトリー ヤッテイタ。イソガシクテネコノテモカリタイ・・ト、ニホンデハ ソウイイマシタカ・・デモワタシハ ホカニドウシテモヤリタイコトガアッテ イエヲトビダシタ。」
(・・・意外に熱いんだな・・このおじさんは。)
と、武尊はおじさんの評価もしつつ、すっかりコーヒーを飲むのを忘れて話に夢中になった。
「デモ ソレカラシバラクシテ オランダ ニ モドッタ。シーボルトトサイカイシタ。ソノトキニ キイタ。ドウヤラ ワタシガアイシタヒト オンナノコ ウンダラシイ。」
うわっ、本当に最悪だ!と武尊は思ったがなんとか黙っていた。
するとマーティンは今度は寄り掛かっていた棚の上にあった写真立てを手に取り、
「ソノトキワタシハ スデニ ドイツデ ケッコンシテイテ コドモモイタ。ソレガコノ【アナ】。デモ【アナ】ハ スデニハナシタヨウニ モウコノヨニイナイ。ツマモ ジュウネンマエニ シンダ。ワタシ、サミシカッタ。モシ ワタシノムスメ、ニホンデイキテルナラ アイタカッタ。ソノタメダケニ ニホンニ キタ。」
「・・・・。」
良い話なのかどうなのか、非常に判断するのは難しいと武尊は思ったがそれでもこの人は親として娘を愛しているんだなという気持ちは武尊にも伝わってきた。
マーティンの話は終わってはいなかった。
武尊がコーヒーを一口すすると、またマーティンは話し出した。
「ケレドモ ニホンニキテ3ネン・・ムスメノテガカリ ナニモナイ、ワカラナイ。ワタシ ザンネン アキラメタ。ライゲツ ドイツニ カエル。」
そこまで話てマーティンは少し冷めたコーヒーを一気に飲んだ。
武尊も残りを最後まで飲み干した。
「モウイッパイイカガ?アナタ ソンナニ コーヒースキ。ソンナ ニホンノジョセイメズラシイ。」
(え、ええ・・まあ・・好きですから。(そりゃコーヒー中毒ですから))
と、もごもごする武尊を見てマーティンは優しく微笑みコーヒー豆を挽きだした。
「すみません、この写真見てもいいですか?」
と、武尊はマーティンがコーヒーを挽いている間、立ち上がって棚の写真のところに来た。
「ドウゾドウゾ。」
マーティンは嬉しそうにそう言った。
武尊がじっと眺めていると、
「ネ、アナタニ ニテルデショ。」
と、聞いてきた。
「え!・・・私と?そうですか?うーん・・。」
セピア色の写真の中で若い女性が微笑んでいる。
カラーじゃないので尚更よくわからないが武尊は、
(似てるかなぁ?目元がちょっと似てると言えば似てるけど・・・でもねぇ・・。)
と悩んだ。
だが自分に似た人は世界に三人いるという話は聞いたことがある。
一応自分は作られたとはいえ、オリジナルの遺伝子が誰かのものならやはり世界のどこかに似た人がいてもおかしくないと武尊は思った。
「似てるかどうかわからないけど、でも、とてもきれいで優しそうな人ですね。」
「アリガトウ、ソウ、アナ ハ トテモヤサシイ ムスメダッタ・・・。」
そう言ってマーティンはゴリゴリとコーヒーミルを回した。
武尊は写真を元の棚に置こうとした時、写真の右下に日焼けして見えづらくなっていたサインを発見した。
(・・・Anna van Houten・・・、アナ ヴァン ホーテン・・・え?ヴァンホーテン!?)
その時武尊の頭にマーティンが『家が工場をやっていて・・』という言葉と以前もらったチョコレートが重なった。
「・・・・マーティン、もしかしてファクトリーってチョコレートのファクトリー?」
するとマーティンは驚いてコーヒーミルから手を離した。
「ヤー、ドウシテ ワカッタノデスカ! ヤーヤー、ソノ ファクトリー、ココア ツクリマース。」
「・・て事は!やっぱりあなたはヴァンホーテンさん!」
「ヴァンホーテン チガイマース、ファンハウテン デース。」
(あっ・・フォルクスワーゲンと一緒か、VはあっちではFの音なんだ・・。)
「でも、このまえチョコレートくれた・・。」
「Oh、アレハ スイスノチョコレート。オイシカッタデショ。」
と、マーティンはウインクした。
実は食べたのは一口だけで味はちょっとわかりませんでした・・とは言えない。
武尊はコクコクと頷いた。
「ヨカッタデース。」