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188.ネタばらし (蒼紫・夢主・右近)
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宿泊客の廊下を渡る足音が聞こえだすと蒼紫と武尊は部屋へ入った。
武尊が手帳を取り自作カレンダーをながめている反対側で蒼紫が小太刀を二本それぞれながめていた。
というよりも異常がないか点検しているのだろうと武尊は思いながら蒼紫をチラ見していた。
そして手元の手帳から視線を蒼紫の方へ向け、
「蒼紫の荷物はそれだけなの?」
武尊は本当にそれだけなのだろうと思いつつも聞いてみた。
蒼紫は、
「嗚呼、今回は急ぎだったからな。」
と、音をたてて刀身を鞘にしまった。
「明日は東京に向けてここを立たなくっちゃね・・。」
「嗚呼・・、今日もどこかへ出かけるか?」
「ううん、明日からまた歩かなくちゃいけないし、せっかくいい宿にいるんだからゆっくりする。」
武尊は昨日計画した予定を変更したくない意志を蒼紫に伝えた。
「そうか、それならそれでいい。」
蒼紫がそう言うと武尊はまた手帳をながめ、
「蒼紫・・私、東京へ戻ったら神谷道場に用事があるんだけど・・。」
と言いにくそうに言った。
蒼紫は立ち上がって小太刀を床の間の前にたたんであるコートの下に隠すと、
「それは目的を果たすためか。」
と言いつつ、武尊の横へ胡坐をかいた。
「目的?」
武尊は一瞬何のことだか分からなくておうむ返しに聞き返した。
「そうだ、武尊が東京に来た目的はそれだろう、ここに来る前に神谷道場へ寄って来た。緋村から聞いたぞ、武尊と話をしていないと。」
「うん・・まぁね・・。」
本来はそれが目的で東京までお金を出してもらって連れてきてもらったんだったと武尊は思ったが、結局その目的を果たしてない事を蒼紫に知られてしまい歯切れ悪く答えたのだった。
「そっか、それを知っているって事は神谷道場へ寄ったんだ・・。」
「嗚呼、東京に戻って最初に斎藤の家へ行ったのだが誰も住んでいない事を知り驚いた。たまたまそこに大家が通りかかり事情を聞くと斎藤は北海道へ転属になり、妻は実家へ帰り、武尊も俺が訪ねた五日前に家を出たと言う。ならば武尊が行った先は神谷道場だと思うのが当たり前だろう。」
武尊はそれを聞いてなるほどと思ったが神谷道場では自分の行先は言ってなかったはずだと思い蒼紫が会津に向かった理由が気になった。
その事は蒼紫に再会した時に聞きたかった事だったが丁度馬車も来ていたとこだったし、その後も何となく聞きづらくてそのうち聞くタイミングを失ったのだった。
蒼紫は武尊の顔を見ながら続きを話し出した。
「人斬りの罪・・それとどう立ち向かうか、それを緋村から聞くのが武尊が東京へ来た目的ではなかったのか。」
「そうだったんだけど・・それはもういいの。」
「何故だ、あれほど十六夜丸の犯した人斬りの罪に苦しんでいたのではないか。」
「うん・・だけど・・・。」
「だが、何だ。」
「前は中身はどうであれ、外から見れば私の身がやった事だから私が罪を償わないととばかり思っていたけど、それを斎藤さんに言ったら『士(さむらい)が刀を抜く時は死も覚悟して闘う時だって・・その勝負に負けたからと言って恨み言を言うのは筋違い』だって・・。」
「・・・。」
「だからって心が痛まないわけじゃない・・昔の話だからと言っても亡くなった人を大事に思っている人からすれば私が憎いに決まっている。」
武尊はうつむいてそう言った。
「・・俺は武尊を憎んではいないぞ。」
蒼紫は斎藤の言った事に理屈上は同じ考えだった。
任務の為に命を懸ける、それは御庭番衆でも同じだからだ。
もしどうしても闘うのであればそれは十六夜丸とであると蒼紫は思うが、十六夜丸の死は武尊の死であると理解する蒼紫はこの先絶対武尊を十六夜丸にしてはいけないと強く思うのであった。
「ありがとう蒼紫・・でもそうじゃない人もいる・・惡一文字とか緋村さんとか・・。たとえそれが十六夜丸に対してだとしてもあの怒りや疑念の視線が私はつらい・・・って言ってもそれは間違いなくこの手が人を殺めたんだもん、受け止めなくちゃいけないよね。」
武尊は独り言のように自分に言い聞かせた。
「では何故神谷道場へ行く?武尊の中では人斬りの罪に対する答えは出たのではないのか。」
武尊はハッとした。
蒼紫の言っている事もそうだが、このままでは何故自分が神谷道場へ行くのかその理由が成り立たない。
武尊が神谷道場へ行くのは恵が剣心の為にと置いていった薬箱の中に自分の預けた薬を入れっぱなしにしていたからだ。
それを回収するため・・・と、武尊は蒼紫に言う訳にはいかないと思った。
「まだ・・まだ答えは出てないよ。それに三度目の正直、私自身気は進まないけど緋村剣心という人間がどんな人間か・・少しぐらいは知っておかないとと思って・・。でないと師匠の所へ帰った時に困る気が・・する・・。」
と、武尊は何とか理由をつけた。
「・・それがいい。武尊も緋村剣心という男がどんな人間か・・少しぐらい分かった方がいい・・・。少しは以前と変わっているかも知れないしな。」
「変わっている?」
やぶから棒にそんな事を言われて話が見えない武尊は驚いて蒼紫を見た。
蒼紫は変わらない口調で、
「嗚呼・・そうなっていることを願いたいだけだ。」
と言った。
蒼紫は、それがまさか自分が緋村を腹いせに蹴とばしたから・・という事は言う必要ないと思いながら。
武尊が手帳を取り自作カレンダーをながめている反対側で蒼紫が小太刀を二本それぞれながめていた。
というよりも異常がないか点検しているのだろうと武尊は思いながら蒼紫をチラ見していた。
そして手元の手帳から視線を蒼紫の方へ向け、
「蒼紫の荷物はそれだけなの?」
武尊は本当にそれだけなのだろうと思いつつも聞いてみた。
蒼紫は、
「嗚呼、今回は急ぎだったからな。」
と、音をたてて刀身を鞘にしまった。
「明日は東京に向けてここを立たなくっちゃね・・。」
「嗚呼・・、今日もどこかへ出かけるか?」
「ううん、明日からまた歩かなくちゃいけないし、せっかくいい宿にいるんだからゆっくりする。」
武尊は昨日計画した予定を変更したくない意志を蒼紫に伝えた。
「そうか、それならそれでいい。」
蒼紫がそう言うと武尊はまた手帳をながめ、
「蒼紫・・私、東京へ戻ったら神谷道場に用事があるんだけど・・。」
と言いにくそうに言った。
蒼紫は立ち上がって小太刀を床の間の前にたたんであるコートの下に隠すと、
「それは目的を果たすためか。」
と言いつつ、武尊の横へ胡坐をかいた。
「目的?」
武尊は一瞬何のことだか分からなくておうむ返しに聞き返した。
「そうだ、武尊が東京に来た目的はそれだろう、ここに来る前に神谷道場へ寄って来た。緋村から聞いたぞ、武尊と話をしていないと。」
「うん・・まぁね・・。」
本来はそれが目的で東京までお金を出してもらって連れてきてもらったんだったと武尊は思ったが、結局その目的を果たしてない事を蒼紫に知られてしまい歯切れ悪く答えたのだった。
「そっか、それを知っているって事は神谷道場へ寄ったんだ・・。」
「嗚呼、東京に戻って最初に斎藤の家へ行ったのだが誰も住んでいない事を知り驚いた。たまたまそこに大家が通りかかり事情を聞くと斎藤は北海道へ転属になり、妻は実家へ帰り、武尊も俺が訪ねた五日前に家を出たと言う。ならば武尊が行った先は神谷道場だと思うのが当たり前だろう。」
武尊はそれを聞いてなるほどと思ったが神谷道場では自分の行先は言ってなかったはずだと思い蒼紫が会津に向かった理由が気になった。
その事は蒼紫に再会した時に聞きたかった事だったが丁度馬車も来ていたとこだったし、その後も何となく聞きづらくてそのうち聞くタイミングを失ったのだった。
蒼紫は武尊の顔を見ながら続きを話し出した。
「人斬りの罪・・それとどう立ち向かうか、それを緋村から聞くのが武尊が東京へ来た目的ではなかったのか。」
「そうだったんだけど・・それはもういいの。」
「何故だ、あれほど十六夜丸の犯した人斬りの罪に苦しんでいたのではないか。」
「うん・・だけど・・・。」
「だが、何だ。」
「前は中身はどうであれ、外から見れば私の身がやった事だから私が罪を償わないととばかり思っていたけど、それを斎藤さんに言ったら『士(さむらい)が刀を抜く時は死も覚悟して闘う時だって・・その勝負に負けたからと言って恨み言を言うのは筋違い』だって・・。」
「・・・。」
「だからって心が痛まないわけじゃない・・昔の話だからと言っても亡くなった人を大事に思っている人からすれば私が憎いに決まっている。」
武尊はうつむいてそう言った。
「・・俺は武尊を憎んではいないぞ。」
蒼紫は斎藤の言った事に理屈上は同じ考えだった。
任務の為に命を懸ける、それは御庭番衆でも同じだからだ。
もしどうしても闘うのであればそれは十六夜丸とであると蒼紫は思うが、十六夜丸の死は武尊の死であると理解する蒼紫はこの先絶対武尊を十六夜丸にしてはいけないと強く思うのであった。
「ありがとう蒼紫・・でもそうじゃない人もいる・・惡一文字とか緋村さんとか・・。たとえそれが十六夜丸に対してだとしてもあの怒りや疑念の視線が私はつらい・・・って言ってもそれは間違いなくこの手が人を殺めたんだもん、受け止めなくちゃいけないよね。」
武尊は独り言のように自分に言い聞かせた。
「では何故神谷道場へ行く?武尊の中では人斬りの罪に対する答えは出たのではないのか。」
武尊はハッとした。
蒼紫の言っている事もそうだが、このままでは何故自分が神谷道場へ行くのかその理由が成り立たない。
武尊が神谷道場へ行くのは恵が剣心の為にと置いていった薬箱の中に自分の預けた薬を入れっぱなしにしていたからだ。
それを回収するため・・・と、武尊は蒼紫に言う訳にはいかないと思った。
「まだ・・まだ答えは出てないよ。それに三度目の正直、私自身気は進まないけど緋村剣心という人間がどんな人間か・・少しぐらいは知っておかないとと思って・・。でないと師匠の所へ帰った時に困る気が・・する・・。」
と、武尊は何とか理由をつけた。
「・・それがいい。武尊も緋村剣心という男がどんな人間か・・少しぐらい分かった方がいい・・・。少しは以前と変わっているかも知れないしな。」
「変わっている?」
やぶから棒にそんな事を言われて話が見えない武尊は驚いて蒼紫を見た。
蒼紫は変わらない口調で、
「嗚呼・・そうなっていることを願いたいだけだ。」
と言った。
蒼紫は、それがまさか自分が緋村を腹いせに蹴とばしたから・・という事は言う必要ないと思いながら。