「わーっ！」



と叫んでガバッと起きれば武尊は元の部屋にいた。



冷や汗だらけの武尊に座禅をしていた蒼紫が振り向いた。



武尊は蒼紫と目が合うと、



「蒼紫・・ごめん・・座禅の邪魔をした・・。」



と言った。




「悪い夢でも見たのか、暑かったか？」



武尊は自分に蒼紫のコートがかかっている事に気がついて、



「・・コート掛けてくれてたんだ・・ありがとう蒼紫、暑くなかったよ。気持ち良く寝られたし。」



武尊はふぅと息を吐き汗をぬぐった。



「たまたま怖い夢を見ただけだと思うよ・・って何の夢だったか思い出せないや。・・・私どのくらい寝てたんだろ？」



「ものの二十分ほどだ。」



「そっか・・、たいして寝てないけど眠気は覚めた。」



「疲れているのなら寝ていてもいいぞ。」



「ううん、もう大丈夫。私もたまには・・しなくっちゃ。」



と、武尊は蒼紫の横に間をあけて座り座禅を組んだ。



そして気が身体中に巡るように集中し始めた。









「・・・。」



しばらくして蒼紫は目を開けて横の武尊を見た。



（我流だと言っていたが・・・。）



と、蒼紫はしばらくぶりに見るきちんとした武尊の座禅姿を静かに眺めた。



だが蒼紫が目を開いたのは単に武尊が見たかったという訳ではない。



武尊の【気】が蒼紫の【気】の結界を越えて来たからである。



かといってその【気】に自分の【気】を当てて追い払おうとしたわけではなく、ただ何というか・・そう、武尊の【気】に人の気配を感じさせない何か人を超越した【気】の気配というのを感じたからで蒼紫はそのあふれ出てくる【気】に目を見張ったのだった。