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184.秋の花 (斎藤・永倉・謎の警官・夢主・蒼紫)

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山を下り、里に近くなると山も開けてきた。



自分の隣にいるのは江戸幕府直属の忍びの総大将・・・だった御頭と呼ばれた男。



だと思うと武尊は人は見かけによらないと益々思うわけであって料亭のお坊ちゃまのイメージと入り混じって、ただでさえ話にくいのに益々複雑な気分になった。



だが言葉少なくして歩くのは天気の良い秋の自然を散策するのに決して悪い事ではなく、むしろじっくり見るのには武尊には都合がいい事であった。



ハイテク機器と高層ビルで覆い尽くされる東京に比べると比べようもないほど粗末な建築物が並ぶ明治の東京、それでもそこに一ヶ月ほど住むと日本一の都会だと思える今日この頃。



そしてそんな東京に比べると会津は自然豊かな土地だと武尊は珍しくて景色を楽しんだ。



自分は別に蒼紫と無言でも気にしないでいられるが蒼紫はどうなんだろうかと話しかけようと思ったりもしたが昔話は言いたくない事もあるだろうし聞いても答えてくれない事の方が多そうだと武尊は積極的に話しかけなかった。



ただ、道すがら思わず武尊が、



「あっ、綺麗な赤い実。」



と声を出して言ってしまった時、蒼紫はその方向を見て、



「あれはズミの実だ。」



と答えたり、また武尊が真っ赤なツタがあったと言えば、



「あれは蔦漆(ツタウルシ)だ。」



だとか蒼紫が横で名前を言ったり説明したりした。



最初は驚いて目を丸くした武尊だったが聞いてためになる事なので逆に気になるものがあったら、



「何だろうこれ?」



なんて聞いてみる事にした。



こんな話なら変な気を使わなくて普通に言える自分に武尊自身は驚いてはいたが。



「それはオオワライタケだ。苦いだけじゃなく毒もある。」



と蒼紫は答えた。



(おおー!正に歩く植物図鑑!)



と感心したのは内緒にしておいて、



「あ、こんな所にシイタケが!」



武尊が言うと蒼紫は気まずい顔をして、



「それはテングタケだ・・・・傘にイボがあるだろう、食べると腹を壊すし死ぬこともある。武尊はキノコは採らない方がいいな・・。」



と、ぼそっと言った。



「うっ・・。」



かかなくていい恥をかいたかなと武尊が少し思っていたら道端に紫の小さな花をつけた草があった。



「あ、・・これは私にも分かるよ。これはツリガネニンジン。」



と、武尊は分かる植物の名前があってちょっとテンションが上がった。



そしてその植物を数歩通り越して武尊はツリガネニンジンまで戻った。



「どうした武尊。」



と蒼紫が不思議に思って聞くと、



「うん・・お墓にそえようと思ったの。」



と、武尊は根元をポキっと折ってその草を手に取った。









そうして武尊は近藤の墓があるという天寧寺に着いた。



武尊の手にはツリガネニンジンやリンドウの紫の花があった。



武尊は近藤の墓の花立てにそれらを入れて手を合わせた。



蒼紫はそんな武尊を後ろから見ていた。



しばらく手を合わせていた武尊が終わったと蒼紫の所へ行った。



「もういいのか。」



「うん、ありがとう。いろいろ言いたいこと言ってきちゃった。きっとびっくりしてるかも、近藤さん。」



「そうか。」



蒼紫がそう言うと武尊は今一度後ろのお墓を振り返り、



「蒼紫、秋の花って綺麗だけどどこか物悲しいね・・。」



と言った。



「じゃあ行こう、そしてどこかでおにぎり食べたいな。お腹すいちゃった。」



「そうだな。」



昨晩からのぎこちなさがようやく無くなってまた話が出来るようになったと蒼紫は思いながら先に歩く武尊の後ろ姿を見て蒼紫は思った。



(秋の花は武尊の方だ・・何故に武尊が秋の花のように物悲しく、はかないように思えるのだ・・。)



それは、まるで己が手を伸ばしても掴むことが出来ない幻のようだ、と。




2015/03/01
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