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184.秋の花 (斎藤・永倉・謎の警官・夢主・蒼紫)
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会津の森の中にある温泉宿は一晩明けて歩いてみると、いたるところに秋があふれていた。
最初は少し空気が冷たいと感じたが、その空気も歩いているうちに丁度よく感じ、逆にコートを持ってこなくてよかったと思うほどだった。
東京から道を間違えてないか不安を持ちながら会津まで走った時や過去の出来事に気がいってしまいそぞろに歩いた母成峠の時とは違い、一足一足踏みしめて歩くと周りの景色がよく目に入った。
「いつのまにかすっかり秋だね。」
と武尊が色づいた木々を見上げながらなんとなく呟くと横に並んで歩いている蒼紫は、
「嗚呼。」
と言い、蒼紫もまた光が当たる枝葉を見上げ少し目を細めた。
そしてまたしばらく二人は無言で歩いた。
落ち葉が少し積もった道は上り坂になっていた。
踏みしめる枯葉の音が二人分続く。
「ねぇ蒼紫・・散策って言うけど、どこかへ向かってるの?」
と、宿を出て迷わず一方向へ向かう蒼紫に武尊は聞いた。
「嗚呼、この先に滝がある。良い景色だそうだから見に行こうと思っただけだ。」
「へぇ・・詳しいんだ。前に来たことがあるの?」
と武尊が聞くと、
「いや、右近が言っていただけだ。」
と蒼紫は答えた。
「そうなんだ。」
宿のすぐ側に川が流れていたのは分かっていたが、この先に滝があるんだと武尊武尊はと思った。
武尊は右近がなんだかホテルのコンシェルジュみたいだと思った。
(そりゃ十年もここにいたらいろいろ知ってるんだろうな・・翁さん、デートスポット的な場所を色々蒼紫に吹き込んだんだろうな。)
など、そんな事を考えてながら山道を四十分ほど歩けば武尊にも水の音が聞こえてきた。
道沿いから分かれたけもの道のような細い道を下りると河原があり、高さ十メートルばかりの黒い岩肌を滑るように白い水しぶきをあげて落ちてくる滝が見えた。
「うわぁ・・!圧巻!綺麗だね!」
思わず感動して武尊は叫んだ。
丁度少し疲れた頃だと思っていた武尊だったが、その滝の音の心地よさに思わず行ける所まで水際に駆け寄り両手を広げた。
「マイナスイオンがいっぱいだ!」
疲労感が消えていくような滝のミストを気持ちいいと武尊は目を瞑って感じていた。
(武尊・・。)
蒼紫は静かに歩みを武尊の横に寄せ滝を見上げた。
そして武尊の髪に付いた沢山の小さな水滴を払った。
「これ以上濡れると風邪をひくぞ。」
「あ・・、そうだね。」
武尊は目を開けて蒼紫に思わず微笑んだ。
そして蒼紫と目を合わせてドキリとし、慌てて滝から離れるように河原を数メートル走った。
「あら、いつの間にかこんなに濡れちゃった。」
武尊は頭陀袋から手ぬぐいを出して服や髪を拭った。
「せっかくズボンの湿気も乾いたころだったのに失敗失敗。蒼紫も濡れちゃった。」
戻って来た蒼紫の肩の水滴を武尊は拭いた。自然にそうしたのだった。特に意識しなければ武尊にとって蒼紫との距離間はそのぐらいに縮まっていた。また、その変化を蒼紫は察知していて小満足した。
「昨日の雨で水量が増えているようだな、・・少し休むか。」
蒼紫はそう言うと適当な岩に腰掛けた。
「うん。」
武尊も近くの石にお尻をのせて座った。
「・・いい所だね、ここ。」
「そうだな、街中ではなかなかお目にかかれないからな。」
蒼紫は満足そうな武尊の顔を見て思わず口元を緩めた。
滝の音を聞きながら五分ほど景色を堪能していた武尊だった。
武尊が思わず蒼紫に、
「ここで座禅するっていうのもいいかもねっ・・・・くしゅん!」
と提案している最中にくしゃみが出た。
「冷えたのか、大丈夫か。」
と心配したが、武尊は大丈夫と言いつつも再びくしゃみを二連発した。
「これ以上冷えるとまずい、歩けるようならゆっくりでいいから戻るぞ。」
「そうだね、ちょっと汗が冷えたかも。」
武尊は京都で大丈夫と見栄を張って熱を出して迷惑をかけた経験から素直に蒼紫の提案に従った。
それでも今宿に戻るとまだお昼前だと武尊が思っていたら蒼紫が、
「武尊は新撰組と関わりがあるのか。」
と、突然聞いてきた。
「え?」
最初は少し空気が冷たいと感じたが、その空気も歩いているうちに丁度よく感じ、逆にコートを持ってこなくてよかったと思うほどだった。
東京から道を間違えてないか不安を持ちながら会津まで走った時や過去の出来事に気がいってしまいそぞろに歩いた母成峠の時とは違い、一足一足踏みしめて歩くと周りの景色がよく目に入った。
「いつのまにかすっかり秋だね。」
と武尊が色づいた木々を見上げながらなんとなく呟くと横に並んで歩いている蒼紫は、
「嗚呼。」
と言い、蒼紫もまた光が当たる枝葉を見上げ少し目を細めた。
そしてまたしばらく二人は無言で歩いた。
落ち葉が少し積もった道は上り坂になっていた。
踏みしめる枯葉の音が二人分続く。
「ねぇ蒼紫・・散策って言うけど、どこかへ向かってるの?」
と、宿を出て迷わず一方向へ向かう蒼紫に武尊は聞いた。
「嗚呼、この先に滝がある。良い景色だそうだから見に行こうと思っただけだ。」
「へぇ・・詳しいんだ。前に来たことがあるの?」
と武尊が聞くと、
「いや、右近が言っていただけだ。」
と蒼紫は答えた。
「そうなんだ。」
宿のすぐ側に川が流れていたのは分かっていたが、この先に滝があるんだと武尊武尊はと思った。
武尊は右近がなんだかホテルのコンシェルジュみたいだと思った。
(そりゃ十年もここにいたらいろいろ知ってるんだろうな・・翁さん、デートスポット的な場所を色々蒼紫に吹き込んだんだろうな。)
など、そんな事を考えてながら山道を四十分ほど歩けば武尊にも水の音が聞こえてきた。
道沿いから分かれたけもの道のような細い道を下りると河原があり、高さ十メートルばかりの黒い岩肌を滑るように白い水しぶきをあげて落ちてくる滝が見えた。
「うわぁ・・!圧巻!綺麗だね!」
思わず感動して武尊は叫んだ。
丁度少し疲れた頃だと思っていた武尊だったが、その滝の音の心地よさに思わず行ける所まで水際に駆け寄り両手を広げた。
「マイナスイオンがいっぱいだ!」
疲労感が消えていくような滝のミストを気持ちいいと武尊は目を瞑って感じていた。
(武尊・・。)
蒼紫は静かに歩みを武尊の横に寄せ滝を見上げた。
そして武尊の髪に付いた沢山の小さな水滴を払った。
「これ以上濡れると風邪をひくぞ。」
「あ・・、そうだね。」
武尊は目を開けて蒼紫に思わず微笑んだ。
そして蒼紫と目を合わせてドキリとし、慌てて滝から離れるように河原を数メートル走った。
「あら、いつの間にかこんなに濡れちゃった。」
武尊は頭陀袋から手ぬぐいを出して服や髪を拭った。
「せっかくズボンの湿気も乾いたころだったのに失敗失敗。蒼紫も濡れちゃった。」
戻って来た蒼紫の肩の水滴を武尊は拭いた。自然にそうしたのだった。特に意識しなければ武尊にとって蒼紫との距離間はそのぐらいに縮まっていた。また、その変化を蒼紫は察知していて小満足した。
「昨日の雨で水量が増えているようだな、・・少し休むか。」
蒼紫はそう言うと適当な岩に腰掛けた。
「うん。」
武尊も近くの石にお尻をのせて座った。
「・・いい所だね、ここ。」
「そうだな、街中ではなかなかお目にかかれないからな。」
蒼紫は満足そうな武尊の顔を見て思わず口元を緩めた。
滝の音を聞きながら五分ほど景色を堪能していた武尊だった。
武尊が思わず蒼紫に、
「ここで座禅するっていうのもいいかもねっ・・・・くしゅん!」
と提案している最中にくしゃみが出た。
「冷えたのか、大丈夫か。」
と心配したが、武尊は大丈夫と言いつつも再びくしゃみを二連発した。
「これ以上冷えるとまずい、歩けるようならゆっくりでいいから戻るぞ。」
「そうだね、ちょっと汗が冷えたかも。」
武尊は京都で大丈夫と見栄を張って熱を出して迷惑をかけた経験から素直に蒼紫の提案に従った。
それでも今宿に戻るとまだお昼前だと武尊が思っていたら蒼紫が、
「武尊は新撰組と関わりがあるのか。」
と、突然聞いてきた。
「え?」