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183.北の地の事件 (斎藤・永倉・署長)
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「おい斎藤、何で急に出てったんだよ。お前尋問得意だろ。」
永倉が斎藤に説明を求めると、
「死ぬほど拷問してもあいつは吐かないだろうさ、俺もそんな奴に労力をつぎ込むほど暇じゃぁない。」
と、ツカツカ歩きながら斎藤は答えた。
「珍しい事もあるもんだ、土方さんが聞いたら手ぬるいって嘆くぜ。」
「現実問題を言っているだけだ。それより【影宮】という奴が何者か調べたい・・どうも俺の勘にひっかかる・・。永倉さんは【影宮】というのを知っているか?」
「いや、昨晩初めて聞いた名だな。名前からするとたいそう偉そうな名前だが自分の事を派手に言う奴ほど大したことはねぇって言うぜ。ははっ、本当の宮様だったら笑えねェ冗談だけどよ。」
「名前はどうであれそいつが阿片の首謀者だとするとかなりの大物だぞ。【蜘蛛の巣】は通常阿片の改良型だ、誰にでも作れるわけじゃない。(高荷が抜刀斎との約束を破り再び蜘蛛の巣に手を染めるとは考えにくい・・)となれば誰が・・・。」
「そうだな・・で、どこから当るんだ。」
「そいつは来月頭に函館へ来るといっていたな。函館港へ今月末から入港する船でも調べるか。」
「ま、それくらいしかねぇか。」
二人は手分けして函館港で聞き込みをした。
夕方になり、資料室へ戻って来た二人は聞き込みの結果を整理し話し合っていた。
「さっぱりわからねぇな、まいったな。」
永倉はお手上げだと両手をあげて伸びをした。
斎藤も眉間に深いしわを刻んで腕組みをしていた。
「多すぎ!多すぎなんだよ!漁船を入れたらいったいどんだけの船が毎日出入りしてるんだよ!いつくるかも分かんねぇし、見張ろうにもどんな奴かわからねぇ。」
永倉が斎藤に何か良い案はないかと意見を求めるように聞いたが斎藤は難しい顔をしたままだった。
「おい、斎藤。聞いているのか。」
「・・武尊ならどう考える。」
「は?」
永倉の間の抜けた声に斎藤は気づいて永倉を見た。
「何だ永倉さん、どうかしたのか。」
と言った。
「どうしたじゃねぇよ、お前今俺の事を武尊ってやつと間違えただろ、こっちが真面目に考えてる時何考えてんだよ。」
斎藤は自分の口から無意識に出たと思われる武尊の名前に驚き一瞬目を丸くした。
「嗚呼・・武尊は俺が東京にいた時の部下の名だ。時々面白い考えを出すのでつい名前が口に出てしまったな。」
「お前の部下?・・そりゃお気の毒様だったな。で、そいつは今どうしてるんだ。」
「お気の毒とはどういう意味だ。武尊はついこないだ警官を辞めた。もともと警官ではなく成り行きで少しの間警官をやっていただけだからな。」
斎藤は短くなった煙草を灰皿にジジッと押し付けると新たに火を点けた。
「で、お前の方は何か良い案でも浮かんだか?」
永倉が聞くと斎藤は渋い顔をして、
「いや・・。」
と呟いた。
その時資料室のドアが開き、署長が入って来た。
「いやあ、二人ともやっと戻って来たかね。昼過ぎにここに来た時は部屋は空っぽだったからな。」
「どうかされたのですか、署長。黒髭が何か吐いたとか。」
永倉は情報が欲しくて署長に聞いたが、
「いやいや、そういう訳じゃない。黒髭は今日も黙秘を続けて何も収穫がなかったよ。」
と署長はため息混じりにそう言った。
署長がここを訪れた用件は黒髭の件ではなかった。
「儂がここへ来たのはそんな事じゃない、大変だ、来月初旬になんと有栖川宮親王殿下の名代で九条道明様が開拓使を視察に来られるそうだ。警備の手が足りんので二人にも手伝ってもらいたいんだが。」
署長の話に永倉と斎藤は同じ事がひらめいて顔を見合わせた。
「何だって!?署長もう一回言ってくれ。」
永倉は椅子から体を乗り出して署長に聞いた。
「えー、来月初旬に有栖川宮親王殿下の名代の九条道明様が開拓使を視察に来られる、と言ったんだがそれがどうかしたのか。知り合いか?永倉。」
「まさか、俺にそんな知り合いがいるはずないだろ。それより署長、阿片の話ですが黒幕はどうやら【影宮】という奴でそいつも来月初旬に函館に来るらしいという情報があるんですが若しかしたら・・。」
「永倉、馬鹿も休み休み言え。殿下、若しくはその名代の方が【影宮】だと?有得ん。万に一にその可能性があるとしてその動機は何だ。」
「それが・・。」
そこがわからないと永倉が頭をボリボリかいていると署長は、
「ほらみろ。万が一にも有得ん事を言うな。それより【影宮】という奴の話は儂は聞いとらんが。」
「俺が報告書を書く前に黒髭らを引き渡せと言ったのはいったい誰ですか。」
永倉はあんたがそう言ったんだろうと愚痴った。
「まあ、【影宮】だか何だか知らんがそのうち吐くだろう。それじゃあ永倉、斎藤、警護の支援の件はよろしく頼むよ。細部計画が出来たらまた知らせに来る。」
と署長が帰ろうとした時、資料室の扉がバンッと勢いよく開き、警官が息を切らしていた。
「どうした、何かあったのかね。」
署長が声をかけると報告に来た警官は息をきらしながら署長に敬礼し、
「しょ・・署長、た、・・大変です・・(ハァハァ)・・黒髭が死にました!」
と報告した。
「何だと!」
署長は驚いて叫んだ。
「永倉さん、行くぞ。」
「おう!」
互いに顔を見合わせて目で頷くと永倉と斎藤は拘置所へ向かって走り出した。
余談:
そして今回出てきた有栖川宮殿下も実在された方です。
モデルは有栖川宮熾仁親王殿下で和宮親子内親王と婚約していたことで有名な方です。
皇族に対する敬称があやふやな所は私の勉強不足で大変申し訳ないと思います。
何かおかしなところがありましたら御指摘頂きますようよろしくお願いいたします。m(_ _)m
部下の九条道明(くじょう みちあきら)はオリジナルキャラです。
今後もう少し彼の情報が出てくると思います。
2015/02/22
永倉が斎藤に説明を求めると、
「死ぬほど拷問してもあいつは吐かないだろうさ、俺もそんな奴に労力をつぎ込むほど暇じゃぁない。」
と、ツカツカ歩きながら斎藤は答えた。
「珍しい事もあるもんだ、土方さんが聞いたら手ぬるいって嘆くぜ。」
「現実問題を言っているだけだ。それより【影宮】という奴が何者か調べたい・・どうも俺の勘にひっかかる・・。永倉さんは【影宮】というのを知っているか?」
「いや、昨晩初めて聞いた名だな。名前からするとたいそう偉そうな名前だが自分の事を派手に言う奴ほど大したことはねぇって言うぜ。ははっ、本当の宮様だったら笑えねェ冗談だけどよ。」
「名前はどうであれそいつが阿片の首謀者だとするとかなりの大物だぞ。【蜘蛛の巣】は通常阿片の改良型だ、誰にでも作れるわけじゃない。(高荷が抜刀斎との約束を破り再び蜘蛛の巣に手を染めるとは考えにくい・・)となれば誰が・・・。」
「そうだな・・で、どこから当るんだ。」
「そいつは来月頭に函館へ来るといっていたな。函館港へ今月末から入港する船でも調べるか。」
「ま、それくらいしかねぇか。」
二人は手分けして函館港で聞き込みをした。
夕方になり、資料室へ戻って来た二人は聞き込みの結果を整理し話し合っていた。
「さっぱりわからねぇな、まいったな。」
永倉はお手上げだと両手をあげて伸びをした。
斎藤も眉間に深いしわを刻んで腕組みをしていた。
「多すぎ!多すぎなんだよ!漁船を入れたらいったいどんだけの船が毎日出入りしてるんだよ!いつくるかも分かんねぇし、見張ろうにもどんな奴かわからねぇ。」
永倉が斎藤に何か良い案はないかと意見を求めるように聞いたが斎藤は難しい顔をしたままだった。
「おい、斎藤。聞いているのか。」
「・・武尊ならどう考える。」
「は?」
永倉の間の抜けた声に斎藤は気づいて永倉を見た。
「何だ永倉さん、どうかしたのか。」
と言った。
「どうしたじゃねぇよ、お前今俺の事を武尊ってやつと間違えただろ、こっちが真面目に考えてる時何考えてんだよ。」
斎藤は自分の口から無意識に出たと思われる武尊の名前に驚き一瞬目を丸くした。
「嗚呼・・武尊は俺が東京にいた時の部下の名だ。時々面白い考えを出すのでつい名前が口に出てしまったな。」
「お前の部下?・・そりゃお気の毒様だったな。で、そいつは今どうしてるんだ。」
「お気の毒とはどういう意味だ。武尊はついこないだ警官を辞めた。もともと警官ではなく成り行きで少しの間警官をやっていただけだからな。」
斎藤は短くなった煙草を灰皿にジジッと押し付けると新たに火を点けた。
「で、お前の方は何か良い案でも浮かんだか?」
永倉が聞くと斎藤は渋い顔をして、
「いや・・。」
と呟いた。
その時資料室のドアが開き、署長が入って来た。
「いやあ、二人ともやっと戻って来たかね。昼過ぎにここに来た時は部屋は空っぽだったからな。」
「どうかされたのですか、署長。黒髭が何か吐いたとか。」
永倉は情報が欲しくて署長に聞いたが、
「いやいや、そういう訳じゃない。黒髭は今日も黙秘を続けて何も収穫がなかったよ。」
と署長はため息混じりにそう言った。
署長がここを訪れた用件は黒髭の件ではなかった。
「儂がここへ来たのはそんな事じゃない、大変だ、来月初旬になんと有栖川宮親王殿下の名代で九条道明様が開拓使を視察に来られるそうだ。警備の手が足りんので二人にも手伝ってもらいたいんだが。」
署長の話に永倉と斎藤は同じ事がひらめいて顔を見合わせた。
「何だって!?署長もう一回言ってくれ。」
永倉は椅子から体を乗り出して署長に聞いた。
「えー、来月初旬に有栖川宮親王殿下の名代の九条道明様が開拓使を視察に来られる、と言ったんだがそれがどうかしたのか。知り合いか?永倉。」
「まさか、俺にそんな知り合いがいるはずないだろ。それより署長、阿片の話ですが黒幕はどうやら【影宮】という奴でそいつも来月初旬に函館に来るらしいという情報があるんですが若しかしたら・・。」
「永倉、馬鹿も休み休み言え。殿下、若しくはその名代の方が【影宮】だと?有得ん。万に一にその可能性があるとしてその動機は何だ。」
「それが・・。」
そこがわからないと永倉が頭をボリボリかいていると署長は、
「ほらみろ。万が一にも有得ん事を言うな。それより【影宮】という奴の話は儂は聞いとらんが。」
「俺が報告書を書く前に黒髭らを引き渡せと言ったのはいったい誰ですか。」
永倉はあんたがそう言ったんだろうと愚痴った。
「まあ、【影宮】だか何だか知らんがそのうち吐くだろう。それじゃあ永倉、斎藤、警護の支援の件はよろしく頼むよ。細部計画が出来たらまた知らせに来る。」
と署長が帰ろうとした時、資料室の扉がバンッと勢いよく開き、警官が息を切らしていた。
「どうした、何かあったのかね。」
署長が声をかけると報告に来た警官は息をきらしながら署長に敬礼し、
「しょ・・署長、た、・・大変です・・(ハァハァ)・・黒髭が死にました!」
と報告した。
「何だと!」
署長は驚いて叫んだ。
「永倉さん、行くぞ。」
「おう!」
互いに顔を見合わせて目で頷くと永倉と斎藤は拘置所へ向かって走り出した。
余談:
そして今回出てきた有栖川宮殿下も実在された方です。
モデルは有栖川宮熾仁親王殿下で和宮親子内親王と婚約していたことで有名な方です。
皇族に対する敬称があやふやな所は私の勉強不足で大変申し訳ないと思います。
何かおかしなところがありましたら御指摘頂きますようよろしくお願いいたします。m(_ _)m
部下の九条道明(くじょう みちあきら)はオリジナルキャラです。
今後もう少し彼の情報が出てくると思います。
2015/02/22