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182.薬草茶の謎はいかに (蒼紫・夢主・右近)
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日が暮れゆく露天風呂もいいけれど朝のうちの露天風呂も青空の下最高だ・・と、武尊は湯気を胸いっぱい吸い込んで露天風呂の幸せを噛みしめた。
(ただ昨晩のハプニングを除いてだけどね・・。)
ちゃぷんと武尊はお湯を腕にかけながら思った。
「本当に予想外・・。」
武尊は小さく呟いた。
岩に背中をくっつけて空を仰ぐと白い雲が流れてゆく。
「あーあ・・。」
武尊はため息一つついて先程洗った髪を手櫛でオールバックにした。
そしてその手で顔をお湯でジャブジャブと洗った。
ついでに頭も後ろの岩にあずけて流れる雲をみつめた。
「蒼紫とあんなことになるなんて・・・。」
武尊はため息をついて昨晩の情事を思い出す。
思い出すのも恥ずかしい自分の泣いて『いかせて』と懇願する姿。
蒼紫には強制的に逝かされた姿も見られているがより今回の方が羞恥度が高いと武尊はお湯に沈みたい気分になった。
「最悪だ・・あんな恥ずかしい姿は今までないぞ・・。」
忘れられるものなら即座に忘れたいものだと武尊はまた一つため息をついた。
そして、
「ここに一のものじゃないものが入ったんだ・・。」
と武尊は自分の女の入口にそっと指先を当て少しめり込ませた。
お湯の中で膣を洗ってしまおうかと思ったがここは家の湯船でないし、やっちゃだめでしょうと武尊は自分で自分に突っ込みを入れた。
「まぁ、いっか・・朝、お布団からあの臭いしなかったし・・・本当に蒼紫出さなかったんだ・・。」
と呟いたと同時に武尊は斎藤から吐き出された白い粘液の独特な臭いを思い出した。
「にしては堅かったよね・・蒼紫の・・・。見なかったからどんなのか分からないけど・・でも太さは一の方が太い気がした・・。」
変な感触だけ妙に生々しく覚えているなと武尊は自分の顔が赤面したのが分かった。
赤面しつつ武尊は、
「蒼・・紫・・・。」
と蒼紫の姿を思い出して名を呟いた。
自分の事を友だと言った男。
そして好いていると告白し、何度も身体を張って自分を何度も助けた男。
今では武尊は蒼紫のことを決して嫌いではなく、むしろ武尊にとっても少し心を許せる貴重な人となっていた。
蒼紫のすごさを知れば知るほど自分が蒼紫の友だなんて軽々しく言えないと思ってしまうほどだ。
「蒼紫・・京都へ戻ったらもう会わない方がいいね・・きっと。」
と、武尊は手で水面をかいた。
(蒼紫の事は嫌いじゃない・・客観的に見れば高身長でイケメンで頭脳明晰で京都老舗料亭の若旦那で・・・ちょっと性格に難ありだけど・・。)
いやいやそういう問題じゃないと武尊は再び自分に突っ込みを入れた。
いくら蒼紫が美青年でその妻の座には料亭の女将のようなポジションが待っていたとしても、武尊の一番の気になるところはそこではなかった。
(私は蒼紫に関わるべきじゃない・・蒼紫には葵屋という帰るべき場所があるし何より操ちゃんが蒼紫を待っている・・・翁さんやみんなも操ちゃんと蒼紫がくっつく事を望んでいるし、私がいたらゴタゴタのもとになるだけだから京都に戻ったら・・・。)
京都へ戻ったらどうしようかと武尊は流れゆく雲を目で追いながら思った。
「折角過去にいるんだもの・・・有名な寺でも観光がてらまわってみようかな。字も勉強して江戸時代の本とか読めたら面白いだろうなぁ・・。」
そのまま比古のもとへ戻ったら、課題を克服するために一大決心をして山から下りた意味がない、自分の【死にたい病】も治るわけでもない。
たとえ十六夜丸の謎に迫れなくても自分の生きようとする意志をどこかでつかめれば課題は一応クリアとして認めてくれるかもしれないと武尊は思った。
(東京に来て・・・一との奇跡の再会を果たした為に比古さんを裏切ってしまったけど今年中には比古さんのもとへ帰る・・・他の男に身も心も捧げましたって言ったら殺されるかもしれないけどね・・・。だから・・どう転んでも蒼紫の想いには答えられない・・・。)
具体的案については京都へ戻った時に考えようと武尊はそう思った。
「これから・・どうしようかなぁ・・。」
小さな羽ばたきが聞こえて一羽の鳥が空を横切って行く。
「鳥になって・・・どこかへ飛んでいきたい・・。」
苦しみを忘れて一羽の鳥になりたい、私は人でなくていい・・・ううん、存在なんてしなくていい・・・。
そんな思いで鳥を遠い眼で見ていると、
「武尊様。」
と、武尊の背後で急に声がした。
不意を突かれて武尊の心臓はバクリと鼓動を打った。
武尊だったが声のする方にバッと振り向くと岩風呂の向こうの草垣に右近がいた。
「翁さん・・。」
もしかして裸を・・背中の傷を見られた?と冷や汗をかく思いをしながらも武尊は翁がまた何か仕掛けてくるのではないかと警戒した。
首から上だけを岩から出して武尊は右近の方を見た。
「すいません、このような所から。」
右近は前置きをして二、三歩武尊に近づいた。
「昨晩は失礼いたしました。お体の方は大丈夫でございますか。」
「あれは・・御庭番衆秘伝のしびれ薬だったんですね。」
「やはり蒼紫様は貴方に御庭番衆の事を話してましたか。一般には秘密にされている事ですが御庭番衆でない貴方にそのことを打ち明けたのはやはり貴方の存在が只ならぬ事を意味してますね。」
右近は相変わらず笑みを浮かべて武尊に言った。
「翁さんは私があれを飲んで蒼紫がどうするか分かっていてあのお茶を私に飲ませたんですか?なぜ・・あんなことを・・蒼紫が困るのをあなたが分からなかったはずがないでしょ?」
「困る?男は皆好いた女を抱きたいものです。蒼紫様とて例外ではございません。私には蒼紫様の御心がよく分かります。だから貴方を蒼紫様に捧げようと・・そう思った次第でありました。たとえ蒼紫様のお怒りに触れこの命を失おうとも。」
「そんな事で命を・・。」
「【そんな事】・・いえ。そうでもしないと蒼紫様は決して貴方を抱けないでしょう・・・蒼紫様は貴方の事を友と言った。だがその言葉、貴方は真に受けてませんか。」
「そ、それは・・・。」
武尊は口ごもりながら以前蒼紫が言った
『・・お前を好いた男がここにいるという事を覚えておけ。』
という言葉がまた脳裏によみがえった。
(蒼紫の気持ちは・・・知ってる。でも・・・それに応えられない事も蒼紫は知っている・・。)
それ以上言えなくて黙っている武尊を見て右近は、
「蒼紫様はとても繊細な御心をお持ちでございます。我等下の者に対しては決して弱い所はお見せにはなりません。だが貴方に対してはそうではない。蒼紫様の御寵愛を受けながら貴方と蒼紫様の間柄は友だとか。蒼紫様を受け入れない貴方を見ていると私は心配でならないのです、・・貴方が・・・いつか蒼紫様の御心を壊してしまわれるのではないかと。」
「そんなっ・・、私と蒼紫がうまくいかなくても失恋の一つや二つ誰にでもあるでしょう?世の中自分の・・まして他人の思うようになるわけがない。」
「蒼紫様は繊細だと申し上げましたでしょう。もし貴方が蒼紫様の御心を壊した時は御庭番衆東の翁の名に懸けて・・・貴方を殺します。」
「・・・。」
武尊は今の右近の姿に般若達の姿を見た。
狂信的なほどの蒼紫への崇拝。
あの暗い世界で般若達と小競り合いになりそうになった時は現実の世界ではなかったため目が覚めた後は気にしていなかったが今は現実。
武尊は無意識のうちに防御の気を高めた。
暫く互いをけん制するように間を置いた後、右近が口を開いた。
「こんな私の命を助けた事を貴方は後悔してますか。」
「いえ・・蒼紫は貴方を殺してしまったらきっと後で後悔する・・だって貴方は蒼紫にとって大切な御庭番衆だもの・・。」
「・・・。」
「・・・。」
再び武尊と右近は暫く互いを見ながら押し黙った。
「分かりました・・貴方がここに滞在の間は蒼紫様に誓って金輪際貴方には手を出しません。蒼紫様の大事なお客様としてお仕えさせて頂きます。何なりとお申し付け下さい。」
「いえ・・変な事さえしてくれなければ普通でいいですよ・・。」
「ふっ・・武尊様は無防備で無欲すぎでございます。私の言葉を鵜呑みになさってはいけません。」
「えっ!今のは嘘ですか!?」
「ははっ、冗談ですよ。そうそう・・大変遅くなりましたが、私めの命をお助け下さいました事、御礼申し上げます。」
右近はそう言って草垣にとけ込むように姿を消した。
2015/02/15
(ただ昨晩のハプニングを除いてだけどね・・。)
ちゃぷんと武尊はお湯を腕にかけながら思った。
「本当に予想外・・。」
武尊は小さく呟いた。
岩に背中をくっつけて空を仰ぐと白い雲が流れてゆく。
「あーあ・・。」
武尊はため息一つついて先程洗った髪を手櫛でオールバックにした。
そしてその手で顔をお湯でジャブジャブと洗った。
ついでに頭も後ろの岩にあずけて流れる雲をみつめた。
「蒼紫とあんなことになるなんて・・・。」
武尊はため息をついて昨晩の情事を思い出す。
思い出すのも恥ずかしい自分の泣いて『いかせて』と懇願する姿。
蒼紫には強制的に逝かされた姿も見られているがより今回の方が羞恥度が高いと武尊はお湯に沈みたい気分になった。
「最悪だ・・あんな恥ずかしい姿は今までないぞ・・。」
忘れられるものなら即座に忘れたいものだと武尊はまた一つため息をついた。
そして、
「ここに一のものじゃないものが入ったんだ・・。」
と武尊は自分の女の入口にそっと指先を当て少しめり込ませた。
お湯の中で膣を洗ってしまおうかと思ったがここは家の湯船でないし、やっちゃだめでしょうと武尊は自分で自分に突っ込みを入れた。
「まぁ、いっか・・朝、お布団からあの臭いしなかったし・・・本当に蒼紫出さなかったんだ・・。」
と呟いたと同時に武尊は斎藤から吐き出された白い粘液の独特な臭いを思い出した。
「にしては堅かったよね・・蒼紫の・・・。見なかったからどんなのか分からないけど・・でも太さは一の方が太い気がした・・。」
変な感触だけ妙に生々しく覚えているなと武尊は自分の顔が赤面したのが分かった。
赤面しつつ武尊は、
「蒼・・紫・・・。」
と蒼紫の姿を思い出して名を呟いた。
自分の事を友だと言った男。
そして好いていると告白し、何度も身体を張って自分を何度も助けた男。
今では武尊は蒼紫のことを決して嫌いではなく、むしろ武尊にとっても少し心を許せる貴重な人となっていた。
蒼紫のすごさを知れば知るほど自分が蒼紫の友だなんて軽々しく言えないと思ってしまうほどだ。
「蒼紫・・京都へ戻ったらもう会わない方がいいね・・きっと。」
と、武尊は手で水面をかいた。
(蒼紫の事は嫌いじゃない・・客観的に見れば高身長でイケメンで頭脳明晰で京都老舗料亭の若旦那で・・・ちょっと性格に難ありだけど・・。)
いやいやそういう問題じゃないと武尊は再び自分に突っ込みを入れた。
いくら蒼紫が美青年でその妻の座には料亭の女将のようなポジションが待っていたとしても、武尊の一番の気になるところはそこではなかった。
(私は蒼紫に関わるべきじゃない・・蒼紫には葵屋という帰るべき場所があるし何より操ちゃんが蒼紫を待っている・・・翁さんやみんなも操ちゃんと蒼紫がくっつく事を望んでいるし、私がいたらゴタゴタのもとになるだけだから京都に戻ったら・・・。)
京都へ戻ったらどうしようかと武尊は流れゆく雲を目で追いながら思った。
「折角過去にいるんだもの・・・有名な寺でも観光がてらまわってみようかな。字も勉強して江戸時代の本とか読めたら面白いだろうなぁ・・。」
そのまま比古のもとへ戻ったら、課題を克服するために一大決心をして山から下りた意味がない、自分の【死にたい病】も治るわけでもない。
たとえ十六夜丸の謎に迫れなくても自分の生きようとする意志をどこかでつかめれば課題は一応クリアとして認めてくれるかもしれないと武尊は思った。
(東京に来て・・・一との奇跡の再会を果たした為に比古さんを裏切ってしまったけど今年中には比古さんのもとへ帰る・・・他の男に身も心も捧げましたって言ったら殺されるかもしれないけどね・・・。だから・・どう転んでも蒼紫の想いには答えられない・・・。)
具体的案については京都へ戻った時に考えようと武尊はそう思った。
「これから・・どうしようかなぁ・・。」
小さな羽ばたきが聞こえて一羽の鳥が空を横切って行く。
「鳥になって・・・どこかへ飛んでいきたい・・。」
苦しみを忘れて一羽の鳥になりたい、私は人でなくていい・・・ううん、存在なんてしなくていい・・・。
そんな思いで鳥を遠い眼で見ていると、
「武尊様。」
と、武尊の背後で急に声がした。
不意を突かれて武尊の心臓はバクリと鼓動を打った。
武尊だったが声のする方にバッと振り向くと岩風呂の向こうの草垣に右近がいた。
「翁さん・・。」
もしかして裸を・・背中の傷を見られた?と冷や汗をかく思いをしながらも武尊は翁がまた何か仕掛けてくるのではないかと警戒した。
首から上だけを岩から出して武尊は右近の方を見た。
「すいません、このような所から。」
右近は前置きをして二、三歩武尊に近づいた。
「昨晩は失礼いたしました。お体の方は大丈夫でございますか。」
「あれは・・御庭番衆秘伝のしびれ薬だったんですね。」
「やはり蒼紫様は貴方に御庭番衆の事を話してましたか。一般には秘密にされている事ですが御庭番衆でない貴方にそのことを打ち明けたのはやはり貴方の存在が只ならぬ事を意味してますね。」
右近は相変わらず笑みを浮かべて武尊に言った。
「翁さんは私があれを飲んで蒼紫がどうするか分かっていてあのお茶を私に飲ませたんですか?なぜ・・あんなことを・・蒼紫が困るのをあなたが分からなかったはずがないでしょ?」
「困る?男は皆好いた女を抱きたいものです。蒼紫様とて例外ではございません。私には蒼紫様の御心がよく分かります。だから貴方を蒼紫様に捧げようと・・そう思った次第でありました。たとえ蒼紫様のお怒りに触れこの命を失おうとも。」
「そんな事で命を・・。」
「【そんな事】・・いえ。そうでもしないと蒼紫様は決して貴方を抱けないでしょう・・・蒼紫様は貴方の事を友と言った。だがその言葉、貴方は真に受けてませんか。」
「そ、それは・・・。」
武尊は口ごもりながら以前蒼紫が言った
『・・お前を好いた男がここにいるという事を覚えておけ。』
という言葉がまた脳裏によみがえった。
(蒼紫の気持ちは・・・知ってる。でも・・・それに応えられない事も蒼紫は知っている・・。)
それ以上言えなくて黙っている武尊を見て右近は、
「蒼紫様はとても繊細な御心をお持ちでございます。我等下の者に対しては決して弱い所はお見せにはなりません。だが貴方に対してはそうではない。蒼紫様の御寵愛を受けながら貴方と蒼紫様の間柄は友だとか。蒼紫様を受け入れない貴方を見ていると私は心配でならないのです、・・貴方が・・・いつか蒼紫様の御心を壊してしまわれるのではないかと。」
「そんなっ・・、私と蒼紫がうまくいかなくても失恋の一つや二つ誰にでもあるでしょう?世の中自分の・・まして他人の思うようになるわけがない。」
「蒼紫様は繊細だと申し上げましたでしょう。もし貴方が蒼紫様の御心を壊した時は御庭番衆東の翁の名に懸けて・・・貴方を殺します。」
「・・・。」
武尊は今の右近の姿に般若達の姿を見た。
狂信的なほどの蒼紫への崇拝。
あの暗い世界で般若達と小競り合いになりそうになった時は現実の世界ではなかったため目が覚めた後は気にしていなかったが今は現実。
武尊は無意識のうちに防御の気を高めた。
暫く互いをけん制するように間を置いた後、右近が口を開いた。
「こんな私の命を助けた事を貴方は後悔してますか。」
「いえ・・蒼紫は貴方を殺してしまったらきっと後で後悔する・・だって貴方は蒼紫にとって大切な御庭番衆だもの・・。」
「・・・。」
「・・・。」
再び武尊と右近は暫く互いを見ながら押し黙った。
「分かりました・・貴方がここに滞在の間は蒼紫様に誓って金輪際貴方には手を出しません。蒼紫様の大事なお客様としてお仕えさせて頂きます。何なりとお申し付け下さい。」
「いえ・・変な事さえしてくれなければ普通でいいですよ・・。」
「ふっ・・武尊様は無防備で無欲すぎでございます。私の言葉を鵜呑みになさってはいけません。」
「えっ!今のは嘘ですか!?」
「ははっ、冗談ですよ。そうそう・・大変遅くなりましたが、私めの命をお助け下さいました事、御礼申し上げます。」
右近はそう言って草垣にとけ込むように姿を消した。
2015/02/15