※1 記憶を失っている時の名前は変換できません。
111.独り、君は独り (夢主)
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翌朝
「・・・・・。」
武尊は寒くて目が覚めた。
もう秋も近いからだろうか、明け方冷えたようだ。
「そのまま寝ちゃったんだ、私・・・っ、くしゅん!」
と、武尊は小さくくしゃみをすると畳からゆっくり身体を起こした。
「・・・・痛いなぁ。」
ぼんやりした頭の中に昨晩の記憶が甦って来て武尊はまた胸を抑えた。
(生まれて来なければこんなに苦しい思いなんかしなくてすんだのに・・。)
ふとそんな事を思った。
(斎藤さんと出会わなければこんなに苦しい思いなんかしなくてすんだのに・・・。)
幕末、出会った日に恋に落ちた・・・。
自分は斎藤の一番の特別だと思い込んでそれに甘んじていた。
それだけに、昨晩斎藤が言った事が【当たり前に正しい事】だと分かった今もあんな口調で事を言われた事がショックだった。
(自分は馬鹿だ・・・思い上がっていた。斎藤さんには時尾さんがいるんだ。何やってるんだろ、自分。)
横浜で斎藤さんの家に行くと決まった時、決めたはずではなかったのか。
自分は斎藤さんが今を幸せに生きてくれていればそれでいいと。
藤田夫婦を見守るんだと。
もうすぐここを去る。
斎藤さんとも別れの時が来る。
そのあとにきっと訪れる孤独感。
(そう・・・、それがちょっと早く体験できただけ・・・。やがて訪れる斎藤さんとの別れの気持ちを味わったリハーサルみたいな?これで急な喪失感による廃人にならなくてすんだと思えばいい。・・・・・・・・独りには慣れている。)
武尊はそう呟いてふっと笑った。
そう、昔からそうだった。
サバイバル戦争の中に生きた幼少時代。
自分を連れ出した養父と隠れ逃げるように過ごした十代。
見つかり研究所に連れ戻され、お金や生活には困らなかったものの傭兵紛いの訓練をさせられたこれまでの人生。
チームを組んで訓練をしたこともある。
チームメイトと冗談も言い合ったりした。
笑いもした。
だが、友人と呼ぶべき人間は誰もいなかった。
(そう、いつも独りだったじゃない。何を恐れる事があるの。今までも、これからも、私はずっと独り・・・。何も変わらない・・・。)
朝の光が静かに部屋に差し込んできた。
風が小さな渦を巻いて庭から部屋へ入って来た。
武尊は吹っ切る様に、
「あーあ、きっと目が腫れているなぁ・・・、ひどい顔してるんだろうな・・・。とりあえず顔洗ってこよう。」
と、ようやく顔をあげると井戸へと向かった。
「・・・・・。」
武尊は寒くて目が覚めた。
もう秋も近いからだろうか、明け方冷えたようだ。
「そのまま寝ちゃったんだ、私・・・っ、くしゅん!」
と、武尊は小さくくしゃみをすると畳からゆっくり身体を起こした。
「・・・・痛いなぁ。」
ぼんやりした頭の中に昨晩の記憶が甦って来て武尊はまた胸を抑えた。
(生まれて来なければこんなに苦しい思いなんかしなくてすんだのに・・。)
ふとそんな事を思った。
(斎藤さんと出会わなければこんなに苦しい思いなんかしなくてすんだのに・・・。)
幕末、出会った日に恋に落ちた・・・。
自分は斎藤の一番の特別だと思い込んでそれに甘んじていた。
それだけに、昨晩斎藤が言った事が【当たり前に正しい事】だと分かった今もあんな口調で事を言われた事がショックだった。
(自分は馬鹿だ・・・思い上がっていた。斎藤さんには時尾さんがいるんだ。何やってるんだろ、自分。)
横浜で斎藤さんの家に行くと決まった時、決めたはずではなかったのか。
自分は斎藤さんが今を幸せに生きてくれていればそれでいいと。
藤田夫婦を見守るんだと。
もうすぐここを去る。
斎藤さんとも別れの時が来る。
そのあとにきっと訪れる孤独感。
(そう・・・、それがちょっと早く体験できただけ・・・。やがて訪れる斎藤さんとの別れの気持ちを味わったリハーサルみたいな?これで急な喪失感による廃人にならなくてすんだと思えばいい。・・・・・・・・独りには慣れている。)
武尊はそう呟いてふっと笑った。
そう、昔からそうだった。
サバイバル戦争の中に生きた幼少時代。
自分を連れ出した養父と隠れ逃げるように過ごした十代。
見つかり研究所に連れ戻され、お金や生活には困らなかったものの傭兵紛いの訓練をさせられたこれまでの人生。
チームを組んで訓練をしたこともある。
チームメイトと冗談も言い合ったりした。
笑いもした。
だが、友人と呼ぶべき人間は誰もいなかった。
(そう、いつも独りだったじゃない。何を恐れる事があるの。今までも、これからも、私はずっと独り・・・。何も変わらない・・・。)
朝の光が静かに部屋に差し込んできた。
風が小さな渦を巻いて庭から部屋へ入って来た。
武尊は吹っ切る様に、
「あーあ、きっと目が腫れているなぁ・・・、ひどい顔してるんだろうな・・・。とりあえず顔洗ってこよう。」
と、ようやく顔をあげると井戸へと向かった。