斎藤は何かを思い出すように鞘の模様を睨んでいたがしばらくして、



「・・・まあ藤の花の事は今はいいだろう。随分遅くなってしまったな。」



と、斎藤は立ちあがった。



「そうですね、結構この刀の事で時間がかかってしまいましたから。」



と、武尊も立ち上がった。



「武尊がまだ大包平を見たりないのならもうしばらくいてもいいが、どうする？」



「いえ、もう十分です。じゃあこれ、総務に返してきますね。」



「それなら刀は俺が持つ。武尊はこれを持て｡」



と、斎藤は武尊に制服の上を渡した。



「わぁ！制服だ！ありがとうございます、斎藤さん。でも、いつの間に。」



「武尊が夕方前にソファーで寝ている間にもらってきた。」



「（仕事が早いと助かるわー。）助かりました！すみません。」



と、武尊は斎藤に頭を下げた。



「制服の件はもういい、俺にも責任があるからな。」



と、斎藤は言うと武尊から刀を受け取り、二人は部屋を後にした。






大包平を総務に返し、斎藤と武尊は警視庁を後にした。



帰宅途中、怪しい気配がないか気を配って歩いたがそのような気は感じられず家に着いた。