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109.描かれているのは藤の花 (斎藤・夢主)
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「危ないじゃないですか斎藤さん!もし壊れちゃったらどうするんですか!」
と、武尊はお宝物が壊れたらと、ヒヤッとした。
「武尊は落とさないと分かっているからな。」
「も~、そんな問題じゃないでしょ~。」
と、武尊は口を尖がらかせた。
そして手にした刀を改めて見た。
すると斎藤が、
「だが、これほどの名刀、どうやって手に入れたんだろうな。最初に見た時はこれではなかったと思ったが。」
と言った。
意外な斎藤の言葉に武尊は顔をあげて斎藤に、
「え?そんなことまで覚えてるんですか?」
と言った。
「嗚呼、この柄巻の朱色は良く目立つ。変わった装飾の太刀だと思っていたんだ。ただの刀ではないと思っていたがまさか大包平だったとは。」
「その、大包平って・・・どのくらいするんですか?・・・その、お値段の方・・・。」
「ん?値段か・・・そうだな、値などつけられんほどだと思うが・・・。」
と、斎藤はフンと笑った。
武尊は斎藤が値がつけられないというその値とを考えて、
「そんなにすごいものだと知っていたら絶対使えなかった・・・。」
と、絶句気味に言った。
そして武尊は、
「斎藤さんの言う通り、最初に持っていたのはこの刀はなかったんです。『これを使え。』といわれたのは確か、最初に薬を飲んだ後に私が目を覚ました時です。兄が刀を持ってきました。」
と言った。
斎藤は、
「今考えると武尊の兄というのも謎だらけだな。薩摩の一御家人の末とは思えんな。大包平はそんな奴なんぞが手にできる代物ではない。」
と、言って腕組みをした。
「池田なんとかさんぐらいでないと?」
と、武尊が聞いても斎藤は無言だった。
(ん?)
無言の斎藤に武尊は首を傾げた。
斎藤はポケットからおもむろに煙草を取り出すと、シュッと火を点けソファーに座り武尊を手招きした。
そこで武尊はハッとした。
(若しかして『池田なんとかさん』って言ったのはヤバかったか!?)
引きつり笑いをしている武尊に斎藤は、
「ん?何をしている早く来い。」
と自分の横をポンポン叩いて武尊が座るのを促した。
それでも武尊は座るのを躊躇した。
「・・・だって、お尻叩きの刑なんでしょ?」
「は?何の事だ。武尊は今日はもともと体調が悪いんだろう、だから座れと言っているんだ。」
なんだ、そういうことか、尻叩きじゃなくてよかったと、ほっとして武尊は斎藤の隣に座った。
そして武尊が斎藤の方を向いて斎藤と顔を合わせると、斎藤はすっと武尊の耳元に唇を近づけ、
「尻を叩いて欲しいのならいつでも言え。いつでも好きなだけ叩いてやるからな。」
と、わざと武尊に言った。
「!」
瞬時に顔を赤くする武尊を思ったとおりの反応だと、ふっと笑いながら斎藤は片手で武尊の髪をくしゃっとして、斎藤はふと大包平に視線を落とした。
(斎藤の名の髪をくしゃっとする行為は武尊を一瞬にしておとなしくさせる方法だと斎藤は熟知している。)
「しかし中身に合わないこしらえの刀だ。」
と、斎藤は呟いた。
まだ頬の赤みが引ききらない武尊だったが恥ずかしさよりも斎藤の疑問が気になった。
「中身に合わないってどうゆうことですか?」
「作成当時、このくらいの刀を所有できる身分は限られていた・・つまりかなり身分も高かったはずだ。ならばもっと豪華なこしらえであったとしてもいいはずだ。それを考慮すると実に質素だ。」
「へぇ・・・これで質素なんですか?とても綺麗な模様じゃないですか。」
と、武尊はしみじみと鞘を見た。
鞘は黒漆が艶やかに塗られていて、そこには極細の金の線で蔓(つる)と花が描かれている。
「握るところも朱色だなんて珍しいですよね。大抵みんなここは黒いのに。」
「目立つ色合いだ。だがどちらにせよ、こしらえの方は後年に作り直されている。今のこしらえは使ってくれと言わんばかりに実用的装飾しか施されていないからな。」
「つまり飾り物ではなかった・・・と?」
そういえば鞘なんか手で持つ辺りの模様が丁度剥げている。
(・・・・こんなになるまで誰が使っていたの?)
そんな思いが武武尊の心をふっと横切った。
武尊が沈黙しているとやたら静かな部屋だと思ったら斎藤も鞘をじっと見つめ沈黙していた。
「・・・斎藤さん?何か変な所でもあるんですか?」
「いや・・・変というわけではないが絵柄が少し気になる。武尊、この花は藤の花だよな?」
「そうみたいですね、花の房もきれいですが蔦の曲線がとてもいい感じです。それが何か?」
「藤の花・・・単なる装飾なのか、意味があって描かれたのか・・・。」
どうやらそれが斎藤の第六感にどうやら引っ掛かったようだ。
と、武尊はお宝物が壊れたらと、ヒヤッとした。
「武尊は落とさないと分かっているからな。」
「も~、そんな問題じゃないでしょ~。」
と、武尊は口を尖がらかせた。
そして手にした刀を改めて見た。
すると斎藤が、
「だが、これほどの名刀、どうやって手に入れたんだろうな。最初に見た時はこれではなかったと思ったが。」
と言った。
意外な斎藤の言葉に武尊は顔をあげて斎藤に、
「え?そんなことまで覚えてるんですか?」
と言った。
「嗚呼、この柄巻の朱色は良く目立つ。変わった装飾の太刀だと思っていたんだ。ただの刀ではないと思っていたがまさか大包平だったとは。」
「その、大包平って・・・どのくらいするんですか?・・・その、お値段の方・・・。」
「ん?値段か・・・そうだな、値などつけられんほどだと思うが・・・。」
と、斎藤はフンと笑った。
武尊は斎藤が値がつけられないというその値とを考えて、
「そんなにすごいものだと知っていたら絶対使えなかった・・・。」
と、絶句気味に言った。
そして武尊は、
「斎藤さんの言う通り、最初に持っていたのはこの刀はなかったんです。『これを使え。』といわれたのは確か、最初に薬を飲んだ後に私が目を覚ました時です。兄が刀を持ってきました。」
と言った。
斎藤は、
「今考えると武尊の兄というのも謎だらけだな。薩摩の一御家人の末とは思えんな。大包平はそんな奴なんぞが手にできる代物ではない。」
と、言って腕組みをした。
「池田なんとかさんぐらいでないと?」
と、武尊が聞いても斎藤は無言だった。
(ん?)
無言の斎藤に武尊は首を傾げた。
斎藤はポケットからおもむろに煙草を取り出すと、シュッと火を点けソファーに座り武尊を手招きした。
そこで武尊はハッとした。
(若しかして『池田なんとかさん』って言ったのはヤバかったか!?)
引きつり笑いをしている武尊に斎藤は、
「ん?何をしている早く来い。」
と自分の横をポンポン叩いて武尊が座るのを促した。
それでも武尊は座るのを躊躇した。
「・・・だって、お尻叩きの刑なんでしょ?」
「は?何の事だ。武尊は今日はもともと体調が悪いんだろう、だから座れと言っているんだ。」
なんだ、そういうことか、尻叩きじゃなくてよかったと、ほっとして武尊は斎藤の隣に座った。
そして武尊が斎藤の方を向いて斎藤と顔を合わせると、斎藤はすっと武尊の耳元に唇を近づけ、
「尻を叩いて欲しいのならいつでも言え。いつでも好きなだけ叩いてやるからな。」
と、わざと武尊に言った。
「!」
瞬時に顔を赤くする武尊を思ったとおりの反応だと、ふっと笑いながら斎藤は片手で武尊の髪をくしゃっとして、斎藤はふと大包平に視線を落とした。
(斎藤の名の髪をくしゃっとする行為は武尊を一瞬にしておとなしくさせる方法だと斎藤は熟知している。)
「しかし中身に合わないこしらえの刀だ。」
と、斎藤は呟いた。
まだ頬の赤みが引ききらない武尊だったが恥ずかしさよりも斎藤の疑問が気になった。
「中身に合わないってどうゆうことですか?」
「作成当時、このくらいの刀を所有できる身分は限られていた・・つまりかなり身分も高かったはずだ。ならばもっと豪華なこしらえであったとしてもいいはずだ。それを考慮すると実に質素だ。」
「へぇ・・・これで質素なんですか?とても綺麗な模様じゃないですか。」
と、武尊はしみじみと鞘を見た。
鞘は黒漆が艶やかに塗られていて、そこには極細の金の線で蔓(つる)と花が描かれている。
「握るところも朱色だなんて珍しいですよね。大抵みんなここは黒いのに。」
「目立つ色合いだ。だがどちらにせよ、こしらえの方は後年に作り直されている。今のこしらえは使ってくれと言わんばかりに実用的装飾しか施されていないからな。」
「つまり飾り物ではなかった・・・と?」
そういえば鞘なんか手で持つ辺りの模様が丁度剥げている。
(・・・・こんなになるまで誰が使っていたの?)
そんな思いが武武尊の心をふっと横切った。
武尊が沈黙しているとやたら静かな部屋だと思ったら斎藤も鞘をじっと見つめ沈黙していた。
「・・・斎藤さん?何か変な所でもあるんですか?」
「いや・・・変というわけではないが絵柄が少し気になる。武尊、この花は藤の花だよな?」
「そうみたいですね、花の房もきれいですが蔦の曲線がとてもいい感じです。それが何か?」
「藤の花・・・単なる装飾なのか、意味があって描かれたのか・・・。」
どうやらそれが斎藤の第六感にどうやら引っ掛かったようだ。