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107.抜けない刀 (斎藤・夢主・張・川路)
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張が必死で刀をいじっていた間、武尊はずっと俯いて下を向いていた。
そしてそれを斎藤は壁にもたれながら両方・・・、刀と武尊を見ていた。
(この刀を手にすると心が幕末の頃へ引きずられる・・・。)
と、武尊は両手で顔を覆いながら思っていた。
(まさか再びこの刀を手にすることになるなんて・・・。)
十六夜丸が多くの人を斬ったという刀。
見たくもなかったというのが本音だ。
だが再び手にしてみると、自分でも信じられないくらいにしっくりと手に馴染む。
そのことが武尊の自己嫌悪感を増大させる。
こんなに馴染むまでこの刀を握っていたのか、そんなに人を斬ったのか、・・・と。
そして武尊は寺に刀を持っていった兄の事を考えた。
自分が幕末から消えた後、あの山の中で残された自分の血だらけの服と刀を見つけた時はどんな気持ちだったのだろう。
自分を己の復讐の道具として使っていたとはいえ、他の事に関してはこの時代に不慣れでオオボケをかましていた武尊に笑ってすますような優しい所もあった兄だった。
それは自分に似ているという蘭子という妹の面影を自分に見ていたからかもしれないけれど。
刀を供養にと、出した後、いったい兄は何処へ行ってしまったのか。
復讐も果たせず、妹の面影を残す女も失なって。
若しかしたら死んだのかもしれない・・・・。
死んでいたら私が追う十六夜丸への手がかりは何もなくなってしまう。
(ああ・・・。)
やりきれない思いと焦りが漏れる。
兄はそういう面では気の毒な人生を送ったと言える。
だが自分は兄に少なからず恨みを感じている。
若し、探し出せたら十六夜丸の事を何て聞こう、いや、そもそも自分は怒りを抑えて冷静に話ができるのだろうか。
いや・・・自分に兄を罵る権利なんかない。
自分はそんな兄に同情して復讐の話に乗ったのだ。
【殺すのは川路一人だけだから】という口車を信じて、十六夜丸に変化することを認めていたのだから・・・。
「・・・武尊、武尊。」
武尊は斎藤に呼ばれてはっと気が付いて顔をあげた。
一瞬目の前にぼんやり浅葱色の隊服が見えた・・・と思ったらそれは警官の服になった。
そしてそれを斎藤は壁にもたれながら両方・・・、刀と武尊を見ていた。
(この刀を手にすると心が幕末の頃へ引きずられる・・・。)
と、武尊は両手で顔を覆いながら思っていた。
(まさか再びこの刀を手にすることになるなんて・・・。)
十六夜丸が多くの人を斬ったという刀。
見たくもなかったというのが本音だ。
だが再び手にしてみると、自分でも信じられないくらいにしっくりと手に馴染む。
そのことが武尊の自己嫌悪感を増大させる。
こんなに馴染むまでこの刀を握っていたのか、そんなに人を斬ったのか、・・・と。
そして武尊は寺に刀を持っていった兄の事を考えた。
自分が幕末から消えた後、あの山の中で残された自分の血だらけの服と刀を見つけた時はどんな気持ちだったのだろう。
自分を己の復讐の道具として使っていたとはいえ、他の事に関してはこの時代に不慣れでオオボケをかましていた武尊に笑ってすますような優しい所もあった兄だった。
それは自分に似ているという蘭子という妹の面影を自分に見ていたからかもしれないけれど。
刀を供養にと、出した後、いったい兄は何処へ行ってしまったのか。
復讐も果たせず、妹の面影を残す女も失なって。
若しかしたら死んだのかもしれない・・・・。
死んでいたら私が追う十六夜丸への手がかりは何もなくなってしまう。
(ああ・・・。)
やりきれない思いと焦りが漏れる。
兄はそういう面では気の毒な人生を送ったと言える。
だが自分は兄に少なからず恨みを感じている。
若し、探し出せたら十六夜丸の事を何て聞こう、いや、そもそも自分は怒りを抑えて冷静に話ができるのだろうか。
いや・・・自分に兄を罵る権利なんかない。
自分はそんな兄に同情して復讐の話に乗ったのだ。
【殺すのは川路一人だけだから】という口車を信じて、十六夜丸に変化することを認めていたのだから・・・。
「・・・武尊、武尊。」
武尊は斎藤に呼ばれてはっと気が付いて顔をあげた。
一瞬目の前にぼんやり浅葱色の隊服が見えた・・・と思ったらそれは警官の服になった。